2000年11月下旬の日常

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2000年11月21日(火)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20001121~.htm#Day21

 読み出すと止まらないんだからもう。あざの耕平『Dクラッカーズ 接触-touch-』(富士見書房・富士見ミステリー文庫)読了。前述の通り挿し絵目当てだったが意外なヒット。続編出たら私は読みます。……で、どうします?>U田さん。

 先月とはうって変わって超鈍行で執筆していた短篇、どうにか第一稿完成。描写に拘りすぎたのが原因なのだが、更にもうちょっと寝かす気でいる。自分ではなかなか気に入っているのだが、客観的には不明。果たして皆さんにお見せする機会があるのかどうか――いや、遅くとも来年には活字にするとは思うんだけど。

 本日のお買い物
1,秋月りす『OL進化論(17)』
2,植芝理一『ディスコミュニケーション 精霊編(3)』(以上、講談社アフタヌーンKC)
3,『幻想文学59 ボルヘス&ラテンアメリカ幻想』(アトリエOCTA)
4,早見裕司『ルームメイトM 井上涼子 17才 春』(メディアワークス・電撃G's文庫)
5,大野俊三『Poetry Of Japan』(KING RECORDS/ABSORD MUSIC JAPAN・CD)

 ここだけの話、最近「お買い物」関係のリンクが無茶苦茶面倒臭いです。
 2は長いシリーズの最終巻。好きなんだけど何故こんなに続いたのか好きでもよく解りません。終わり方にしてからが、主人公を引き継いだだけの気もする(実際そうらしい)。途中から、特にこの『精霊編』は京極ミステリの影響ありありで苦笑しましたが、依然好きなシリーズであることに変わらず。完結したけど肝心のテーマは決着していないのも却って清々しく感じたりする。ともあれ、次の『夢使い』にも期待。3は書店に定期購読で頼んでいたはずが数量不足で私の手元に届くのが遅れていたのだった。しかしまさか井上涼子を復活させるとは思ってませんでした4。私は早見氏の作品というだけで有り難いんですが、果たして今、どれほど「井上涼子」のファンがいるのか、また現在の『ルームメイト』ユーザーが本当に彼女の復活を望んでいたのかは非常に疑問。
 帰途寄り道してCDとDVDを大量に買い込む……筈が何故か5だけという結果になった。22日発売商品の早期入荷分を当てにして出かけたのだが、どうも22日の新作、無茶苦茶多いらしい。サザンとか竹内まりあとか国内の大物はディスプレイされていたものの、例えばサザンの関口和之と竹中直人のアルバムとか本筋から外れた品物は後回しにされているようで並んでいない。店内を上へ下へと彷徨い歩くが目当ての商品は一つも発見できない。試しに傍にある別の店に足を踏み入れると、目当てのうちの一揃いは陳列されていたが、馴染みのない店ということもあって敢えて避ける。またいつもの店に戻り、店員に訊ねるもどうやらまだ倉庫の奥深くにあるようで、すぐには手に入らないらしい。5だけは見付けてくれたので購入し、一つだけ取り置きを依頼して撤退した。
 因みに5の大野俊三は、26年前にアート・ブレイキーに見出され渡米し、ギル・エヴァンス・オーケストラに参加するなど華々しい活躍をしたトランペッター。事故により唇と前歯を負傷するなどトラブルにも見舞われたが、リハビリの末に復帰し今も第一線で活動している。このアルバムは企画の一環として一部の人々のみが聞くことの出来るものだったが、あまりの出来の良さに今回一般発売の運びとなったもの。収録曲は「椰子の実」「荒城の月」など日本を代表する唱歌で、それを極めてストレートかつ柔らかなジャズのスタイルに消化して演奏している。メロディは原曲を忠実に再現しつつアレンジはかなり大胆、しかし大野俊三のトランペットの音色もバックの演奏も柔らかで、力強さよりも包み込むような雰囲気がある。ここ暫く、気力を消耗するジャズばかり聴いていた耳には非常に心地よいサウンドで、BGMに重宝しそう。しかし……佐山雅弘……夜会……


2000年11月22日(水)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20001121~.htm#Day22

 加納朋子『螺旋階段のアリス』(文藝春秋)読了。堪能。あああ読書がスムーズに進むのが幸せ。

 午前中、結構な量のデータを片づけてから、お買い物に出る。書店で暫く渉猟するも、あまりめぼしいものはなく、三十分ほど見回したが収穫は唐沢なをきの『カスミ伝△(1)』だけ。
 深川の自宅付近にはローソンがない。一年半ほど前まで一軒だけあったのだが、入っているビルそのものが潰れてしまったとかで撤退してしまった。が、職場付近にはやたら沢山存在する。ざっと思い浮かべただけで4軒ある。そのうち、昼時になると近くの高校から学生が大挙して中が文字通り黒山の人だかりとなる一軒に立ち寄った。目当ては、所謂Loppi。出入口の付近にあり探し回ることはなかったものの、何やらぽつねんと孤立したようなした風情。Loppiを操作する前に、まず店のあんちゃんに頼んでスーパーファミコンメモリカセットを購入する。それを店内で開け、Loppiの機械にある挿入口に差し、漸く操作開始。書き込むソフトを選択して、申込書を発行させる。レシートと同じ方式のものだが、左右が黄ばんでいるのがいよいよ侘びしい。操作を終えてカートリッジを抜き、申込書を添えて店員に渡す。書き換えは彼らが行うわけだが――案の定と言おうか手間取る手間取る。書き換えに三分以上かかるのは約束としても、レジの登録方法が解らない、別売りの取扱説明書もすぐにでてこない、書き換えの機械を操作する姿がぎこちない。果てには、私が店を出たあとで慌てて呼び止めて購入明細書(カートリッジに異常が発生した場合の保証書代わりとなる)を手渡す始末。この所謂『NINTENDO POWER』サービスは来月にも新作の予定があるのだが……果たしていつまで保つやら。まあ、私は他に買うソフトはないのでどーでもいいけどね。以上纏めると、
 本日のお買い物
1,唐沢なをき『カスミ伝△(1)』(講談社・マガジンZKC)
2,『ファミコン探偵倶楽部II うしろに立つ少女』(任天堂・SFC NINTENDO POWER専用ソフト)

 ということである。
 1は感動を覚えるほどの実験漫画シリーズ最新作。掲載誌を幾たびも変え、アスペクト(現・enterbrain)で『カスミ伝(全)』『カスミ伝S』二冊の形に漸く纏まったが、更に版元を移しての最新刊である。(全)は掲載誌が一定しなかった所為もあってか大人しめなものの、Sはほぼ全作『コミックビーム』(確かその前身となった雑誌から継承していたはず)においてその実験精神を極限まで発揮した。全編写植文字のみの漫画やコミックスのあちこちにページがワープする話、果てに各社の編集担当者などにキャラクターを描かせた究極の他力本願漫画など、凡そ類を見ない遊びで一冊埋め尽くしてしまったのである。それから更に時を経て、版元を移しての新作ということで、よもやあれ以上の内容を繰り出すことは出来まいと思っていたのだが……感服しました。今回はカバーにまで拘りを発揮し、顔文字のみで一話描ききってしまうなど、Sに勝るとも劣らないクオリティ。しかもこれで終わっていないというのが恐ろしい。唐沢氏の著作を全てチェックしているわけではないのだが、やはりこれだけは見逃すべきではないようだ。
 2は、私がミステリに開眼した頃に発売された、ディスクシステムの名作を、スーパーファミコン書き換え専用ソフトとしてリニューアルしたもの。最近無性にこの作品が遊んでみたかったのだが、ふとLoppiに登録されていることを知って今日購入に至った訳である。帰宅後、早速ドリームキャストの後ろに追いやられたスーパーファミコンを引っ張り出し、冒頭をプレイしてみる。……まあね。今やれば不自然なところは幾らでも目に付くだろうとは思っていたけどね。なんで警察から探偵風情に捜査を依頼するねんどうして関係者を勝手に呼び出したり出来るねんそもそも主人公は学校どうしたんだとかね。でも私は遊べるだけで幸せです、はい。これのエンディングは暫くトラウマになったんだよぉぉぉぉ。


2000年11月23日(木)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20001121~.htm#Day23

 工藤静香だけは許せません。それだけは勘弁して。木村拓哉は「器用貧乏」として評価している(しとんのかい)が、それとこれとは別だとは解っているが、兎に角いや。

 井上雅彦・監修『異形コレクション綺賓館I 十月のカーニヴァル』(光文社・カッパノベルス)読了。これはかなり纏まりがありました……と言っても、「十月のカーニヴァル」というモチーフそのものが極めて限定されたものだから、という理由もあるのだが。この類のアンソロジーでは珍しく、外れと感じた作品は殆どなかったのが印象的。……受け止め方が変わったのかも知れないけど。

 本日のお買い物
1,森生まさみ・原作『おまけの小林クン2 炎の三球勝負の巻/あぶない夏合宿の巻』(白泉社/KSS Records・HCD・CD)
2,森岡浩之・原作『星界の戦旗 Volume.03』(バンダイビジュアル・DVD Video)
3,佐山雅弘『ABOVE HORIZONS』(VICTOR ENTERTAINMENT/3 Views・CD)

 思っていたより少ない。『夜会』は目移りしすぎるので一旦止めました。そしたら購買意欲が急激に萎んでこの有様。……まあ、連日通っている状況からすれば三枚でも充分買いすぎという気はするが。
 1は先月発作的に買ってしまったドラマCD最新作。前作よりも声優がキャラクターに馴染んでおり、雰囲気の再生や間の取り方も洗練されて、より素直に楽しめる出来に仕上がって満足。でもファンしか喜ばないなやっぱり。森生まさみ書き下ろしイラストと同じポーズを声優陣が取った写真が印刷されているが、イメージ違いすぎるので勘弁してください。
 3は先日なかなか見付けて貰えなかった、PONTA BOXピアニストの単独アルバム。取り置きして貰うよう伝えてあった筈が、まだ見つかっていなかったらしく慌てて探しに行くし。あとでこそこそと話しているのに聞き耳を立てたところ、ジャズ・洋楽を扱う2Fではなく、所謂J-POP専門の1Fにあったようで。……レジの奥の棚に見付けた店員対象と思しい張り紙に、「在庫管理が杜撰」云々という内容が記載してあるのを苦笑混じりに思い出す。
 アルバム自体は、何故か同じ3 Viewsの村田陽一(tb)がプロデュースし、ミノ・シネル(per,voice)&マーク・イーガン(b)のリズム陣に村田を核とする四管編成をサポートに迎え、佐山のピアノを前面にフィーチャーした内容で、レーベルにおける先行アルバム『3 Views』のパワーも感じさせながら思いがけず優雅な雰囲気を漂わせる音作り。所狭しとキーを叩く佐山の演奏もさることながら、リズム・セッションの堅牢なサポートぶりがいい。『3 Views』は些か贅沢すぎる、というそれこそ贅沢な悩みがあるが、こちらは完成度の高さに伸びやかさも備えた、非常に心地よいアルバムである。この二枚で村田陽一が大分気になり始めました。またチェックするアーティスト増えるのか……?

『ファミコン探偵倶楽部II うしろに立つ少女』(任天堂・SFC NINTENDO POWER専用ソフト)クリア。流石古典的名作、あっさり終わりやんの。昨日触れたような嫌味は最後まで消えなかったが、いまプレイしても意外に楽しめた。というのも、一個一個の台詞を短めにし、盛んにプレイヤーに選択を突きつけることで、全体が飽きさせない作りになっているのである。昨今、プレイヤーを置き去りに会話を繰り広げるだけのAVGや行動の目的が提示されない中途半端な作品が多いことにふと気付かされた。非常に傷だらけのシナリオだが、演出面では最近のあれだとかこれだとか(敢えて暈かす)いった作品などより遙かに楽しめるのも道理と言えよう。処でIと、衛星経由で供給されたIIIは復刻してくれないんですか。喰い足りません。もっとやらせろー!!!

 ……あう、推敲はおろか設定作業もやってない……。「本日のお買い物」で細かなリンクを貼るときの手助けにと、新しいリンクページの作成に着手したら、結構手間がかかってねえ……。尚、リニューアル版のお目見えはかなり先になると思います。多いんだよ……


2000年11月24日(金)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20001121~.htm#Day24

 紀田順一郎『神保町の怪人』(東京創元社・創元クライムクラブ)読了。……真面目に読んでしかも真面目に感想を書いている自分が信じ難かったり。

 本日のお買い物
1,岩本隆雄『イーシャの舟』(朝日ソノラマ文庫)
2,花見沢Q太郎『ももいろさんご(1)』(少年画報社・ヤングキングコミックス)
3,上遠野浩平・高野真之『ブギーポップ・デュアル 負け犬たちのサーカス(2)』(メディアワークス・電撃コミックス)
4,臣士れい『クレセント・ムーン(3)』(集英社・eyesコミックス)
5,『To Heart コミックアンソロジーVol.8』(スタジオDNA・DNAメディアコミックス)

 どうも軽いな。花見沢氏のはもう買うのを止めようかと思っていたらしく予定表からは落ちていたのに結局手に取ってしまったのだった。確かに、後半の読み切りの方が纏まっている。
 3は早くも完結。第一巻ほどのインパクトはない。結末も些か唐突の感があるし。上遠野氏がラストまで原案を提示したのかは解らないが……どっちにしても、お話は今一つ。絵の完成度は高いがどうにもエヴァンゲリオンを想起させるのがややマイナスかも知れませぬ。
 4もこれで完結。この人の悪い癖なのか、どうもクライマックスが近付くと散漫になってしまう。まあ、それは電撃系の漫画誌をはじめとした些かマニア寄りの系統から出てきた作家共通の欠点ではある。寧ろちゃんと完結させているだけましと言ってあげるべきか。雰囲気と、誰一人悪人を出さなかった辺りは好き。

 某氏は大変なことになっているらしい。そしてあれの一位が意外な作品に決まったらしいと聞く。私はそういう結果もありかな、とは思ったが、葉山響さん辺りが喜んでいそうではある。
 ……だらだらしてないでいい加減やるべきことに着手しましょうね。はい。


2000年11月25日(土)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20001121~.htm#Day25

 早見裕司『夏街道[サマーロード]』(徳間書店・アニメージュ文庫)再読了。12年振り、というのは作中に於ける現在と過去の彼我の差と同じだと、感想を書いていて不意に気付く。来月に備えての復習のつもりで読み始めたのだが、お陰で異様なまでに迫るものがありました。

 ちょろちょろと作業に着手する。といってもまた間が空いたので、手慣らしに落書きをしているだけなのだが。はやいとここの辺の作業を片づけないと、肝心の執筆にかかれないのよね。書きつつ、来年度の購入予定表を作ったり、未鑑賞のDVDを幾つかプレーヤーにかけてみたり。
『星界の戦旗 Volume.03』……これだけ? 話が殆ど進んでない。『紋章』シリーズは13話で単行本三冊を収めていたため、鯛焼きの餡が所々溢れ出ているという感があったが、『戦旗』は異様に皮が分厚い。続けて、現在は『クリムゾン・タイド』を鑑賞中。これを見るととあるCMを思い出してしまうのが困る。

 ネタが特にありません……出歩いてないから。

 ……と書いて凡そ二時間後。『クリムゾン・タイド』終了。面白い。元々、テレビ放映の時に見ていた親が私に向いているというので買ってみた作品だが、これは確かに好み。戒厳令下の潜水艦内、直前にロシア反乱軍に対する核ミサイル発射命令が下り否が応にも緊張感が高まる中に新しい通信が入るが、その最中に敵艦の魚雷攻撃を受けて通信は途絶えてしまう。デンゼル・ワシントン演じる新任副官が通信の回復と内容確認を待つべきだと主張するのに対し、ジーン・ハックマン演じる艦長はミサイルの即時発射を主張する。やがて口論となり、権限を越えて艦長が副官の退任命令を下したことから副官は職務規程違反を盾に艦長を拘束・監禁し一時的に指揮官となるが、その最中に敵艦の攻撃が続き、人的犠牲を含む甚大な被害を受ける。それを契機に一部の幹部が艦長を監禁から解き逆に副官を拘束、再度ミサイルの発射準備が進められる中、艦内は一触即発の危機的状態に陥る――アメリカ、ひいては世界人類の存亡が背景となっているが、基本的には「目隠し」の状態となった潜水艦内での憶測と逡巡、危機に直面したが故の極限的な緊張状態が物語の主眼に当たる。どちらが正しいとも間違っているとも判断しかねる中での、関係者それぞれの葛藤が描かれており、奥深く目が離せない。ラストのテロップに依れば、現在この種の緊張状態が密室内で発生する危険は減少しているようだが、このリアリティと緊張感は時代的変化を考慮に容れなくても傑出している。パッケージ裏にある「話題の最高傑作!」という文句が「誰の」最高傑作なのかよく解らないが、敢えてそう言いたくなるのも頷きたくなる逸品でした。満喫。しかしBGVには出来ませんでした、結局釘付けになってまうし。


2000年11月26日(日)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20001121~.htm#Day26

『怖い日曜日』本日付けの放送で終了。多分今回はドラマオリジナルのエピソードだが、ここに来て脚本家のセンスの乏しさを露呈したような気がします。風間俊介はいい味出しているのにね。

 見終わったところで自転車で出発。上野まで出て、中央通りをひたすら進み、凡そ40分で銀座着。山野楽器で楽器類を見て回るも、流石に一時間以上暇があると持て余す。当初そのつもりはなかったが、ジャズのCDも覗いてみる……
 ……感動のお買い物
1,Jaco Pastorius・Pat Metheny・Bruce Ditmas・Paul Bley『Jaco』(Improvising Artists)
2,Pat Metheny・Gary Burton・The Heath Brothers『All The Things You Are』(Fruit Tree)
3,Jaco Pastorius『Holiday for Pans』(SOUND HILLS RECORDS/東芝EMI)

 ……財政難にも拘わらず三枚も衝動買い。上の1と2は輸入盤。1はジャコらが学生時代に、ピアノ担当のポール・ブレイの楽曲を中心にレコーディングしたものらしい。後年、ポール・ブレイ名義で発売されているが、扱いは極めて公式に近い海賊版といったところ。2は恐らく完全な海賊版。1983年にパットがフランスのカンヌにてヘス・ブラザーズ(知りません……誰?)と行ったライブ演奏に、1981年に同じ地でパットの師匠とも言えるゲイリー・バートンが行ったライブの音源を追加して纏めたアルバムの模様。オフィシャルでこんなことをするとはとても思えません。しかも発売は去年のようだし。音はいいし、パットの演奏も伸びやかで瑞々しいのでこれはこれで悪くない。そして目玉は3。先日試しに注文してみたところ、既に生産中止になっていると言われた、伝説のジャコ第三のリーダーアルバム。前にも書いた気がするが一応因縁話を語っておきましょう。
 ジャコ・パストリアスはウェザー・リポートを脱退したのち、レコード会社をそれまでのCBSからワーナー・ブラザーズに移籍し、二つめのリーダー作であり伝説的な名作ともなった『Word of Mouth』を上梓する。今でこそ定番として語られるアルバムだが、発売当時はかなり苦戦したらしい。その為ワーナー側は新作としてもっと「売れる」ものをジャコに望んだが、彼が提示したのはスティール・パン(スティール・ドラム)を核としたかなりマニアックなアルバムで、しかもジャコはベースすら弾いていなかった。会社側はこの作品を没とし、別の作品を要求したがジャコは拒絶、ワーナーとの契約もうち切ってしまう。この頃からジャコの麻薬中毒が深刻化し、結果的にこのリーダーアルバム第三作を取り上げるレコード会社もなく、ジャコ自身親しいミュージシャンからも見放されるようになり、そのまま死へと直進することになる。ただ、ジャコ自身はこの作品の発表に意欲的で、錯乱した行動を取りながらも機を見て自らミックスダウンを行っていたらしい。
 ――問題は、彼の死後、このミックスダウンされたトラックが、ジャコの遺族の手ではなく、ミックスダウンに立ち会った人物の手にあったことだった。聴けば解るが、このディスクにはあるはずのないエレキベースの音が入っている――つまり、この人物はどうも誰とも知れぬベーシストの音を追加した上で売却したらしい。しかも相手は日本のレコード会社で、このディスクは更に日本人の手によってミックスが行われている。何処までジャコの意志が反映されているのか、全く判断の出来ない代物に成り下がってしまったのだ。困ったことにジャコがミックスダウンを行ったものも、それ以前の一番プレーンな音源も発見されておらず、これはこれで価値がある音源ではあるのだが、お陰で純粋なジャコの作品としては評価できない。
 これらの話を予め聴かされていた私は、当初本作の購入を控えるつもりでいたのだが、ジャコ作品の絶対数の乏しさと、それでも彼がスティール・パンに託したものを片鱗でも感じたかったために購入を願ったのである。一旦は生産終了と聞いて諦めていたところでの発見に、はっきり言って今日はこれだけでも銀座に来た甲斐があった、と思った。

 無論すぐには帰らず、更に近くの小さな新刊書店を訪れて
4,天藤 真『親友記』(東京創元社・創元推理文庫・天藤真推理小説全集12)
 を購入し、漸く待ち合わせ場所へ向かう。ゆきりんとぱんえもんさんの姿を発見し合流、順次キバヤシ@ザ・ワールドさんにまぬぅ(旧・ぐるぐる)さん、かなぞー、みき*さん、tinaさんと現れる。一番最後に迷っていたちゃっきぃさんを迎え、オフ会会場へ。当初は内田竜宮丞さんが東京にて所用があると言うことから企画された迎撃オフであったが、当の内田さんは本業が俄に立て込み欠席という為体。ともあれ、ちゃっきぃさんにまぬぅさんという遠来の方もあるので宴は行う。場所は地下二階の中華料理店。男4対女5の半ば合コン状態であるが色っぽい話は全く出ず、延々とここには出しにくい会話が交わされることになった。この際、ゆきりんに内田さんとちゃっきぃさんが向こうの中華街で購入したという怪しげなお面が提供され、更に私はキバヤシさんからdの
5,左右田 謙『狂人館の惨劇』(春陽堂書店・春陽文庫)
 を頂戴する。多謝。読んでみたかったのですこれが。
 今回の集いには「酒を飲まないグループを調教する」という目的も加味されていたらしいが、私は自制心を失うほど呑まない上に本人はぼんやりしていても全く顔に出ない、ちゃっきぃさんは実はかなぞーに匹敵する酒豪らしく、まぬぅさんもそこそこにいける。犠牲者はキバヤシさんであった。かなぞーの口車に乗せられて、ビールのあとに紹興酒を口にしてしまったが為に後半はグロッキーであった。
 その後何やかやとお話しし、私のデジカメで記念撮影も行った上(後日、一部顔出し不可の方のみ修正を施した上掲載予定)、五時頃に一旦散会。その前にちゃっきぃさんの携帯電話で内田さんを呼びだし、全員でいたぶることで今日のオフ会の目的を達成する。
 ここで殆どのメンバーは仕事とかブックオフ巡りとかに流れるが、ゆきりん・ぱんえもんさん・ちゃっきぃさん・私の四名は近場のカラオケへ。こういう機会でもないとカラオケで歌ったりしないため、毎度の椎名林檎に中島みゆき、牧原敬之にかなり受け狙いの選曲でさだまさしと、遠慮なく発散させていただく。私のパートで一番笑えたのは、見付けたが為に思わず入力してしまった『北の国から〜蛍のテーマ〜』のバック映像が使い回しの踊る姉ちゃんだったことだろう。そしてこの曲はやはりカラオケには向かない。自分でギター演奏までやらなければ駄目だと改めて思う。あとは、ぱんえもんさんの「夫婦みち」と、ちゃっきいさん@ボイスチェンジャー機能採用の「さよなら大好きな人」がヒット。七時半頃にカラオケ屋を出、私もそこでお別れする。……流石に喉にダメージが来ていた。

 疲れたので今日はもう何もしません。上記のCDも今聴いているところなので感想も何も。……しかし、今週はこの調子であと二回あるらしい……。


2000年11月27日(月)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20001121~.htm#Day27

 本日のお買い物
1,いしいひさいち『女には向かない職業2』(東京創元社)
2,坂田靖子『坂田靖子セレクション第5巻 芋の葉に聴いた咄 珍見異聞(1)』(潮漫画文庫)

 1は数年前に第一巻が刊行された、作家・藤原瞳シリーズ第二巻。従来の小学校教師時代(『となりの山田くん』『となりのののちゃん』登場のののちゃんの担任である)、作家時代に加えて藤原センセの高校時代のエピソードも加えた最新作。作者自身が論じられるのを拒んでいるらしいのであれこれは言わないが、やはり巧いですこの方は。2は、毎月出るのがこの上なく嬉しい坂田靖子の旧刊復刻文庫シリーズ。何気なく、何の考えもなく書いているようでいて、殆どの定番を踏まえた上で破壊・再構築しているのが、こういう古典風な作品世界を用いるとよく解る。

 午後、郵便を出しに行く。下の名前をど忘れして省くというかなり失礼な真似をしてしまった。間違えるよりはましだ、と思ったのだが、自分で「確かこうだった」と朧気に思いだしたものが正解だったため悔やむ悔やむ。御免なさい悪気はなかったんです。

 明後日は中島みゆきの『夜会』を見に行く予定。チケットは二枚入手しているので、もう一枚に昔からの友人を誘ったのだが、一応了解したものの予定が不確定なので近い時期にもう一度確認を入れてくれとの由。そこで私のPHSのメモリーから奴の携帯の番号を呼び出し、繋げてみたところ、
『この電話は現在使われておりません、もう一度ご確認の上』
 ……切る。改めてメモリーを確認する。見ると、途中で番号を変えたものがそのまま残っていたのに気付き、もう一個の方にかけてみた。
『この番号は現在使われておりません、もうい』
 切る。そういえば『夜会』に誘ったときの電話は向こうからかけてきたんだった、と思い出し、着信履歴から辿って通話ボタンを押す――
『この電話は現在つか』
 ……確かに、かかってきたとき名前が表示されたのだから、メモリーの番号と同じだった訳だが。
 数年前、奴は実家の都合で自宅の番号がややこしいことになってしまったため、そちらから確認が取れない。電話帳で捜そうにも奴の世帯主の名前が解らずしかも奴の名字は無茶苦茶有り触れていてそもそも電話帳に載せているかも定かでない(実際、深川の自宅も何処にも載せていない)。
 一体どうなる二枚目。というか何故番号が死んでるんだ? 多分見ていないと思うが万一見ていたら至急連絡寄越せ>KW。

 カーター・ディクスン『貴婦人として死す』(ハヤカワ文庫HM)読了。取り敢えず年内はこまめに「書斎」の更新を行おう。年が明けたあとはどうなるか解りません。

 首尾良く物書きとしてデビューしたあと、第二作か第三作の出版は何となくあてが出来たらしい。くふ。……などと世迷い言をぬかしている暇があったら書けってか。


2000年11月28日(火)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20001121~.htm#Day28

 本日のお買い物
1,槇原敬之『太陽』(WARNER MUSIC JAPAN・CD)
2,桜野みねね・藤咲あゆな『小説まもって守護月天! IX 夢のかたち愛のかたち』(エニックス・コミックノベル)
3,CLAMP『ANGELIC LAYER(3)』(角川書店・Kadokawa Comics A)

 事前の報道から若干の危惧を抱いていたが、概ね杞憂に終わったようだ。力みも若干の説教臭さも加味されているものの、驚くほど曲調も演奏も従来通り。元々シングルカットされた楽曲とアルバムのみの楽曲との間にレベル的な開きが少ないアーティストではあったが、今回は頓に粒が揃っている印象がある。気負いすぎぬように、という配慮も窺われ、満を持しての復活と言えるだろう。……もう二度とこーいう想いをさせないで欲しいものだ。12/6にはソニー在籍時代の全シングル+『Listen to the Music』からの三曲を纏めたアルバムが発売され、同時に事件当時回収されたアルバムも全て発売再開するらしい。詳しくはここ。発売期間が短かったものの完成度の高かった『Cicada』もよーやっと復活である。ああこれで一安心なり。……ところで、名前の所にリンクを貼る場合、何処を指定したらいいんでしょ? ソニーに未だ存在するほう? ワーナーのサイト内にある情報ページ?
 3は来年アニメ化だそうな。見るかどうかは解らないが、いっちゃんは山寺宏一を切望。

 昨日連絡が取れなかった友人は、日中に自宅の新しい番号を職場で発見、無事話を通すことが出来た。うっかり「何故前の番号が使えなくなっているのか」を確認し忘れたが、今日届いたという携帯電話の番号も受け取ったので、まあ良しとする。

 漸く真面目にお絵描きをする。昔は女性の躰なんてまともに描けなかったよなーと思いつつ、下書きの前の下書きをひたすら書き続ける私であった。
 やっているのは、同人活動のキャラクター作り。今月はじめぐらいから何度となく描いてきたので、なかなか決まらなかった顔立ちも大分仕上がり、手にも馴染んでくる。来年、というか今の情勢だとかなり長い付き合いになりそうなので、成る可く愛着の湧きそうな雰囲気を加味できるよう努力している訳だが。


2000年11月29日(水)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20001121~.htm#Day29

 昨晩、「ボケましょうinMYSCON」に投稿する。したあとで大後悔する。お願いだから採用しないでください……が、現時点で投稿点数の少ない「見立て殺人」に挑戦してしまったので、採用される可能性、低くない……目の前で読まれたら私、壊れるかも知れません。うがががが。

 本日のお買い物
1,長野まゆみ『少年アリス』(河出文庫 BUNGEI Collection)
 この発言に触発されてふと買ってみる。

 今朝の新聞で初めて津村秀介氏の訃報を見付ける。嵐山薫氏の日記で初めて知ったことだが、何故訃報の掲載がこの時期になったのか、何故嵐山氏の日記で触れた記事が訃報より早く表沙汰にされたのか、不思議は幾つか感じるが、それはそれとして、御冥福を祈る。

 紅白出場歌手決定。ここ数年さだまさしが常連化しているので、番組全体には興味がないけれどこの報道があると取り敢えずチェックしてしまうのだった。藤井隆の出場がある意味では一番嬉しいかも知れない。

 今日は中島みゆき『夜会』を見に行ってきます、ので日記は御覧の如く簡単に済ませてしまいました。余裕があればちょっとだけレポート書きます。ぢゃ。

※ ※ ※

 というわけで中島みゆき『夜会Vol,11 ウィンター・ガーデン』観劇して参りました。往路、同行した友人が自信ありげに進むのに無批判で従ったら明後日の目印を頼りに歩いていたと解ったり、というのがありましたが、無事に到着、売店でプログラムを購入したあと松本楽志さんと一瞬邂逅して、その後立ち見席へ。二階、舞台を見て右手のほぼ一番前。……舞台の右側が全く見えません。そこに色々と舞台装置があったのも、終盤で漸く気付くぐらい。しかし元々狭い劇場で、音響設備は完成されているので音を聴く分には問題なし。
 これから見に行くという方のために、筋を明かすのは取り敢えず避ける。私自身の感想は、大満足。ビデオ(正確にはLD、DVD)のみで見ていたときから、この作品は舞台で生の空気に触れた方が浸透するだろうと感じていたが、正解だったらしい。取り分け今回は、あの谷山浩子が参加し、中島みゆきとの(ちょっと驚くぐらいに)美しいハーモニーを聴かせている。計算され作り込まれた舞台装置、嫌味にならぬタイミングとクオリティで挟まれる楽曲、そして意味深で示唆に富む物語など。見に来て大正解でした。『夜会』先達の楽志さんは「一旦嵌るとリピーターになる」と仰言っていたが、確かにこれは、一度ツボに入ったら何度も来たくなります。
 しかし、極端に観念的な表現、全般に抑制された演技と物語展開は、やはり見る側の資質を相当問うてしまっている。事実、私とは幼稚園時分からの馴染みだが嗜好のほぼ正反対な友人は、耐え難くなり終盤で劇場の外で待っていたぐらいだった。盛んにぼやいていたが、この場合相手の嗜好を理解しながらうっかり誘ってしまった私に責任があるのは明白である。すまぬ。――何にせよ、往年のファンであり元々象徴を多用する物語表現が好きだという向きである、或いは見る上で着目点を予めきっちり定めている人間でないと、受け付けがたい作品であるのは確か。べた褒めしましたがその辺はご留意下さい。今後は、連れていく人間の嗜好も考慮に容れねば。
 しかし、本当に映像化しない……んだろうなあ。撮影日設定していないらしいしなあ。勿体ない。それにしても例え作詞作曲中島みゆきであっても谷山浩子が歌うとどう聴いても谷山の曲なのだなこれが。


2000年11月30日(木)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20001121~.htm#Day30

 ケーブルが絶不調。帰宅しPCを起動したあと、ケーブルモデムの「CABLE」ランプが頻りに消える。どうも接続会社のケーブルが劣化しているのが原因らしい、という話だが、それにしても頻繁である。これを書いている今現在もランプは消えて――今戻った。非常に不安定。どうしたものだか。

 本日のお買い物
1,高橋しん『最終兵器彼女(3)』(小学館・ビッグコミックス)
2,神坂 一・義仲翔子『超爆魔道伝スレイヤーズ(7) 異界黙示録編』(角川書店・Kadokawa Comics Dragon Jr,)
3,内田康夫『不知火海』(講談社)
4,倉阪鬼一郎『首のない鳥』(祥伝社・NON NOVEL)
5,『ファイト・クラブ プレミアム・エディション』(20世紀フォックスホームエンタテインメント・DVD Video)

 1のテンションは何処までも高くなっております。基本的に未完の段階で評価を下すのは避けたいと考えているが、このまま行けば大傑作になると思う。……でも当初はこの巻で終わる予定だったような。いいけど。
 楽しみにしていた5だが、購入したときに何やら仕様に関する注意の紙片を手渡され、いざ特典ディスクを鑑賞しようと思ったらPCのDVDドライブが不調で映像の再生がうまくいかない。仕方なしに、親に貸してからケーブルもコンセントも外しっぱなしだったPS2を繋ぎ直して、特典の一部を鑑賞する。内容自体は悪くないんですけどね。スタイリッシュで刺激的。本編を見る気力がなくとも、The Dust Brothersの音楽をサポートしたBGVとして点けておくという利用法も出来るので、重宝しそうである。……しかし、付録の石鹸が匂いすぎる。

「放送と青少年に関する委員会」も少年法改正も、「少年の自主性を信用していない」という点では同一に罪が重い。
 前者は子供が目にしたものを真似ることだけを単純に恐れた事なかれ主義に過ぎず、また同時に子供が目にしたものしか真似しないという誤解と根本的な無知が窺われる。子供の想像力は大人の数千倍豊かであるし、その残虐性もまた大人の比ではない(尤も、この「残虐性」というのも正義や善と一緒でその時期の社会によって流動するものだが)。大人が示さなくとも――寧ろ半端に覆うほどに子供はその想像力と勘の鋭さで大人の残虐さを察知し、それを空想し模倣する。その時、「そんなことしては駄目だからやっちゃいけません」と諭すだけで納得させられると思うのは教育も躾も理解していない人間だけだろう。寧ろ、表沙汰になった行為を教材にしてその都度何がいけないのかを根本から教える方が効果はある筈だ。そうして現れたものを利用する柔軟性もなく、単純な一般化を用いて行為を剥奪するだけでそれに類する(類似した)行為を払底できるなどと考える方が余程甘く、危険な思想だろう。テレビ番組の内容を曲解して封印するぐらいなら、簡単に翻意したり他者に対する配慮の乏しい失言を繰り返す政治家をいつまでも担ぎ上げている現状を先に何とかするべきだと思うのだが。彼らの方がよっぽど子供に悪影響与えてます。
 後者は被害者救済と刑罰の意味を取り違えた改悪さえなければいいと思うのだが、あまりに被害者の権利を重視しすぎて、一般の凶悪犯罪と縁のない少年の権利が蔑ろにされていはしまいか。法律的に少年が成人するのは18〜20歳(飲酒・喫煙も考慮に容れてます)だが、今回刑法が適用可能になった14歳以上にそれだけの判断力があると考えるなら、喫煙なり飲酒なり労働法なりで成人としての権利を付与するのが妥当だろうし、判断力が乏しいと考えるなら本来の少年法で以て更正に努めるのが社会というもののの役割だろう――彼らの乏しい判断力を狂わせるのは基本的に社会の不平等や病理なのだから。――実の処、凶悪犯罪に走った少年に極刑を適応すること自体にはあまり反対する気はない。その他の微罪の少年たちに対する配慮と更正への協力を絶やさないことが守られていれば、抑止力として機能する可能性もないではないし。私は寧ろ、無期懲役の下がいきなり20年にまで下がる現行の刑法を、欧米流の量刑年数無制限(懲役80年とか200年とかどー恩赦があっても生きているうちに出てこられないような)にする方が実際的ではないかと思うのだが。

 今月の読書冊数は18冊でした。年内最高。これで今年全体では87冊に到達し、何とか年内100冊突破が出来そう。良かった良かった。

 嵐山薫さんに振られたので触れておきましょう今日の『アンビリーバボー』「吸血鬼伝説」。
 ……と言っても、率直な印象は、腰砕け。吸血鬼、という素材に纏わる死体損壊や、ドラマ形式で提示された過去の事実自体は興味深かったものの、その現実的な解釈が狂犬病と血液嗜好というかなり有り体のものしか提示されず、肝心のかなりオカルトな例については何ら解釈を示していないのも疑問。そもそも、各種の怪物と精神異常や疫病を結びつける考え方自体特異なものではない。代表的なところを挙げるなら、この「吸血鬼」とも結びつけられた狂犬病は、その症状から「狼男」伝承の出所という説が存在する(詳しくは「MASTERキートン」を御覧下さい。最初の方)。折角番組として扱うなら、オカルトか科学的かどちらかを深く掘り下げて、或いは一時間丸々使って双方の見地から掘り下げるなりしなければ半端になるだけだろう――実際、今日の内容も半端だったし。また、吸血鬼の血を引く女性、として明らかに血液嗜好か血液によって補給される栄養素(鉄分とかね)の慢性的欠乏に悩まされているであろう女性を取り上げる姿勢も、あまり賛成できない。彼女には「協力者」でもある恋人が存在し、日常生活を比較的円滑に営める環境にあることが救いではあったが、そうでなければ徒に誤解を助長するだけで終わるところだったはず。今日の放映分では実際の体験談のドラマ部分が中心になっていたのだから、下手に後裔らしき女性を出して論旨を混乱させるよりは、徹底的にオカルトな検分や情報を採集して研究した方が纏まりが出ただろうに。
 というわけで、あまり掘り下げる気分にならなかった、というのが正直なところ。嵐山さんごめんなさい。続く「感動のアンビリーバボー」ぐらい耳を疑うような美談だと、却って突っ込みどころがなくて素直に楽しめるんだが。 


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