2001年2月中旬の日常

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2001年2月11日(日)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20010211~.htm#Day11

 夜になるまで家に隠ってひたすら作業……と言っても、ふと4コマのアイディアを思いついてしまい、それを纏める方に熱中してしまったので本題は殆ど進んでいない。昨晩のうちに幾分進展させておいたので、その分気楽といえば気楽だったのだが。

 午後八時半におもむろに新宿に出向き、知り合い数名(何故か女ばかし)とカラオケへ。既に余所で一次会を終えているメンバーに混じったため1人だけ素面だったがあまり拘らない。精々歌って幾許か発散する。

 他に書くことが、ない。


2001年2月12日(月)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20010211~.htm#Day12

 もう何から手をつけていいやら。

 外出する用事がないから、昼食を行き付けの蕎麦屋まで食べに出かけた以外は延々自宅に閉じ籠もって書き物……が疲れが溜まっているようであまり進まず。いや、まるっきり進展がないわけではないのだが、慣れないキャラクターを使っているもので、その消化と処理に手間取って作業している間に感じているほど進捗が良くないのだった。やはり、資料の方を先に片づけるべきか……しかし、テレビを見ながらは本は読めないからなあ。……あれ、そのせいか、もしかして。

 買ったまま見ていないDVDorビデオorLDは皆さんのお宅に何枚くらいありますか。一枚もない。それは幸いです。私は……10枚くらいあります。本に較べればまだ健全だがそれでも平常値ではない。中でも、見ている途中で執筆が佳境に入ってしまったために最後の二枚ほどをほったらかしにしていた『彼氏彼女の事情』が気になっていたので、一枚目からおさらいすることにした。というわけで現在のBGVはこれなのだが……あり、そのせいか、しもかして。


2001年2月13日(火)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20010211~.htm#Day13

 PHSを持ってます。ここだけの話、最初は「こんなものいるかーっ!」という認識でしたが、普及当初にあちこちで行われた本体無料プレゼントの類につられて導入してしまったのです。お陰で、現在も自宅にある初代機には『魔法少女プリティサミー』のプリントが残ってます……
 以上は余談、本論はここからである。導入の動機がそれであり、精々緊急時の連絡に使えればいいだろうという認識と、元々回線越しに長話をするのが好きではない(インターネットは理屈が別)質のため、自分からかけることは無論人からかかってくることも滅多にない。履歴を辿ると一番古いものには昨年九月の日付が見える。殆どが電話帳に登録してあるもので、身元の解らないものはない。
 が、現在、たった一つだけ、素性が定かでない履歴が残っている。頭が03ナンバー、一般回線からの発信である。着信記録によれば、先日金曜日、午前九時二十四分。その頃私はバイクに乗って通勤の途中であり、鳴っていることが確認できなかったか、良くやるミスで着信音の設定を小さくしてしまったか振動機能に設定してしまったかで気付かなかったと思しい。またこの前後殆どPHSの液晶を眺めておらず、次に利用したのが日曜日だったため、液晶に目を遣った時点で着信履歴は消えていたと考えられる。
 この履歴に初めて気付いたのが昨日のこと。以来、気になって仕方がない。番号の内容自体全く見覚えのないもので、勧誘電話の可能性が高いと思われるが、にしてはかけてきた時間帯が早過ぎる。或いは間違い電話とも考えられるが、平日、しかも一般人なら出勤途上か仕事を始めたぐらいの時間帯に、PHSの番号にかける用件って一体何だ。履歴にはこのあと着信した記録がないため、間違い電話ならばその後再度発信していないか正しい番号に繋げたのだろう。
 普段なら放っておけばいいことだが、そんなこんなでこればっかりは妙に気になった。午前中は仕事だ作業だでかまけていられなかったが、食後、待ち時間が出来たところで履歴にある番号に繋いでみた――相手の間違いならばその場でお詫びすればいいことだ、と思って。呼び出し音二回。接続。
「御客様のお掛けになった番号は、相手の方のサービス内容の問題で、お繋ぎすることが出来ません」
 ――念のために一般回線からもかけてみた。結果は同じ。
 考え方は幾つかある。最有力は、クレームに対応できない類の勧誘電話専用の回線。だが、実際にもう一度かけてくれないことには正解も不正解も断定できない。
 そこでこの場を借りてお願いする。先週金曜日、2月9日午前9時24分頃に深川のPHSに電話をかけた方、近いうちにもー1回ご連絡下さい。どーしようもない勧誘電話以外は、正常にお相手しますので。気になって仕方がないんです。あ、但し同じ時間帯はまだ腰が落ち着いていないのでご勘弁を。
 ……Webを使って何をしてるんだという気はする。

 昔もちょっと思ったが、二次創作って楽しい。世の中に同人誌やパロディ・アンソロジーが氾濫するわけだ。つまり今本題をおっぽってそんなもんに着手しているという意味。

 本日のお買い物
1,芦辺 拓死体の冷めないうちに』(双葉文庫)
 表紙のデザインが親本と殆ど変わってなくて微妙にがっかり。

 自宅のパソコンに導入しているIllustrator9.0を、Webのサポートページにある差分を導入して9.02にアップデートする。ケーブル回線とはいえ22MBもあると手間取る。このアップデートによって9.0の動作が軽快になるという触れ込みだったのだが、これが確かに軽くなった。前までは「システムに負担かけてますー」と歌いながら動いていた気配があったが、アップデートした途端起動から作業中、アプリ終了まで動きが機敏になった。アップデートする価値は充分にあった、と現時点では言いたい……が、最大の問題は、ツールウィンドウなどの表示設定に、作成した書類の履歴が全てリセットされてしまうこと。スウォッチの色設定など、ツールウィンドウ内部での設定は残っているのだが、扱いやすいように並べてあったウインドウを戻したりエクスプローラーからファイルを呼び出すのがちょっと悲しかった。これさえなかったら、取り敢えず完璧だったのにー。

 昨日DVDについて記したところ早速らじさんからフォームでの返事を頂戴する。許可は頂戴したので以下まんま引用させていただきます。
>  DVDは現在のところ、77枚所有してまして
> 観ていないのは60枚ぐらいでしょうか(笑)
> ただ、過去に観たことがある作品ばかりなので
> 過去を含めて全くの未見となると4枚ですね。
>  新しく作品を知るというより、過去に観て
> 感動した作品を保存用に買っている面が強いです。

 後半は同感です。私も映画ならば公開時に共鳴したもの、保存しておきたいと思ったものがまず優先、それ以外ならば公開時にやむなく鑑賞を止めたものなどになる。あとは、原作が好きだとか揃えるに値すると思ったものの映像化、好きなミュージシャン、……人には言えない趣味とか。
 で、ふと自分は具体的に何枚所持していて、うち何枚を未見のままにしているのか、正確なところを把握したいと思い、所蔵品のデータを調べてみた。
 持っているDVD Video……86枚
 まだ見ていないDVD Video……26枚
 過去に観たことがあるものは省いてます、というか過去に見たものから優先してやがるよこいつ。というわけで昨日の10枚ぐらい、というのは適当すぎる認識でしたここにお詫びして訂正いたします。駄目だ。


2001年2月14日(水)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20010211~.htm#Day14

 ――あなたは、何フェチですか?
 フェティシズムについてちょっと考えてみよう。これを英和辞典で引くと『呪物崇拝』(木石など、特定の自然物に超越的な力や存在感を認め崇拝すること)というのが最初に出てくるが、無論ここで採り上げるのは所謂「足フェチ」「靴フェチ」「指先フェチ」などと際限なく援用される、異性(というか性的対象)の部分・着衣に執着し興奮を感じる性的倒錯である。本来はそれに対する執着の激しさ故に強盗・暴力など犯罪的な行動に及ぶレベルの異常がフェティシズムなのだが、昨今は「ロリコン」「ファザコン」などと同様に曲解・一般化されて些細な嗜好についても「フェチ」という言葉で説明されている。こうしたくだりは言葉の用法の変遷でしかないのであまり拘泥しないとして。
 肉体の一部に対するフェティシズムは脇に置き、問題は身につけたものへのフェティシズムである。身に着けたもの、と言うからにはそれは取り外しできるものなのだから、基本にまず「それを装着していない状態」があるわけだ。
 喩えが尾籠で申し訳ないが、以下説明しやすいので下着を用いてしまう。下着フェチという種族は論を待たず性的対象となる異性が着用していた下着に執着を抱く。語義通りのフェティシズムであればこれ以外に説明の要は認めないのだが、一般的な「フェチ」はこれでは不充分だ。彼らは一度以上身に着けられた下着にも執着するが、実際に身に着けた状態のそれも偏愛する傾向にある。そして更に言えば、一度も着用されていないものには興味を抱かない――あくまでそれが性的興奮を呼び覚ます性質のものであることを考慮すれば意外でも何でもない事実だろう。
 しかし、そこまでフェティシズムを「フェチ」という表現の元拡張して定義するのであれば、最終的には斯様な境地にまで突き詰めて捉える必要があるだろう。即ち、
「それを身に着けていない異性そのものをも性的興奮の対象とする」
という段階である。見境ない、と言うなかれ。そこにはまず、性的嗜好の対象となるある物品を日常的に身に着けている、という前提が必然的に求められる点で、単純なリビドーとは一線を画す。普段身に着けているそれを欠く性的対象そのもの、にアンピバレントな欲動を感じる、というところにまで高められてこそ、表現として一般化してしまった「フェチ」に相応しい、と私は愚考するわけである。
 さて、ここで改めてお訊ねしよう。あなたは何フェチですか? かく言う私は……

 そこで本日のお買い物
1,西川魯介『屈折リーベ』(白泉社・JETS COMICS)
 どうしようもない結論だ。しかも解りにくい。ここまでの記述が本書を購入したという事実に振れるための前振りだったと理解できる人間が、何人この日記を読んでいるのやら。……取り敢えず、最低二方は思い当たるが。何にしてもツボに入ってしまったので他の単行本も購入しようっと。
 最後に、先の日曜日にお会いした皆様にお詫びします。すまぬ、やっぱし私、眼鏡フェチっぽいわ。

 ととと、本日のお買い物追加。正確には私の母の買い物だが。
2,フジ子・ヘミング『奇蹟のカンパネラ』(Victor Entertainment・CD)
 色々と複雑な生い立ちを経てきた、繊細だが確実なタッチを特徴とするクラシック・ピアニストである。二年ほど前から各種メディアで注目されていたらしいが、先日も何処かの番組で生演奏していたのを両親が見ていたのだ。あまりに薦めるのでちょっとだけ聴いてみたが、確かにいい。

  昨日アップグレードしたIllustratorを利用し、Web検索により習得したIllustratorでのルビ設定法を実践してみた(Illustratorでは、機能としてルビの設定をサポートしていない)。翻訳書や古い著作などに良く用いられる「割り注」の設定は可能なので、それを応用してルビのようなものを打ち込むわけだ。意地でサポートされていない機能を採用しようとしているのは、結局は夏頃に出す予定の同人誌の為なのだが、当然現時点で同人原稿は一つとして手許にない。従って、過去に手掛けた原稿を利用しているわけだが――試行錯誤しいしいルビを振っているうちに、折角の作業を捨てるのが勿体なくなってきてしまった……ので、相方に打診した上で収録を画策中。そんなわけで、一部で妙に好評を博した幻の短篇、夏にお目にかけられるかも知れません。

 ……連日たらたらと長々しい日記で申し訳ありません。因みに謎の電話の正体は今もって不明である。


2001年2月15日(木)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20010211~.htm#Day15

「絶体絶命」が「絶対絶命」になっていることに今の今まで誰も気付かず、そのまま掲載されていたという恐怖。どしぇー。にしても、大抵のIMEは「ぜったいぜつめい」と入力すれば一回で正しい変換を行う筈なんだが……分けて入力していたんだろうな、やっぱし。

 本日のお買い物
1,芦辺 拓『時の密室』(立風書房)
2,京極夏彦・多田克己・村上健司『妖怪馬鹿』(新潮社・新潮OH!文庫)
3,緒方剛志(原作/上遠野浩平)『ブギーポップは笑わない(1)』(メディアワークス・DC Animation magazine WIDE)
4,CLAMP『東京BABYLON(3)〜(5)』(新書館・ウィングス文庫)
5,井上雅彦・監修『幽霊船』(光文社文庫)
6,西澤保彦『死者は黄泉が得る』(講談社文庫)

 がー、調子に乗って予定にないものまで大量に買ってしまいました。
 1は芦辺氏の代表作の一つ『時の誘拐』の、一部では待望であった姉妹編。2200円……きついっす。2は、まさに妖怪馬鹿三名+αによる語り下ろし妖怪談義。
 暫く前に言及した3はつまり漸くの刊行である。漫画演出としてはオリジナルの『負け犬たちのサーカス』に軍配を挙げたいが、絵の雰囲気はやはり緒方版の魅力が勝っていると感じた。内容はまるきり原作そのままだが、でも読み続ける。3は……入手が遅れてはじっこが削られているのがちょっと悲しかった。
 で、6……何故かあちこちを眺めては笑みを漏らしてしまう日々。


2001年2月16日(金)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20010211~.htm#Day16

 今日、私の仕事が忙しかった原因の一部はデ○ィ夫人にあります。潤色抜き。んな、5センチ四方ぐらいにしか使わないサインでなんで40MBも食うのだ。出力への転送だけでどえらい時間がかかるじゃないか。
 ……しかし、忙しかった原因の大半はデザイナーにあったんだが。
 届いたMOを見た時点で厭な予感はしたのだ。出力するデータは都合三種類、但し同じものの広告で大阪版が二枚に東京版が一枚という構成である。見本を見る限り、貼り込まれた画像データは全て共通しており、恐らくいずれも同じデータをIllustratorファイルの内部で加工していると考えられた。こういう場合、出力のみ行う側にとって理想的なのは、MOに必要なデータのみが入っており、MOを開いてすぐ確認できる階層に並んでいる状態だが、現実問題としてそれほど単純明快な形での入稿は望めない。それにしても、明らかに同じデータを利用しているのに、今日来たMOは大阪版と東京版とでフォルダを分けている。加えて、双方のフォルダを開けてみると、東京版のフォルダには必要充分のデータが揃っているのに、大阪版には一番重要な画像データのみが一個入っているだけだった。この段階で非常な不安を覚えつつ、手順通りデータをHDDにコピーし、Illustratorで開く。
 画像が貼り込まれてない
 念のために、「リンク」タブを表示させて、Illustratorファイルに貼り込まれた(貼り込まれているはずの)画像データを確認する……一個も貼り込まれていない。そもそもこんな確認をするまでもなく、通常、貼り込まれた画像が所定の位置にない場合、Illustratorが開く前にファイルの所在を確認するダイアログを表示させる。それがなかった、ということは、はなからこのデータは画像を貼り込む作業を行っていない、と考えざるを得ない。
 こっちは大混乱である。東京版は来週入稿のため作り直してもらえばいいとして、大阪版は今日中に届けなければいけない。異常が確認された段階で入稿元のデザイナーと責任者に連絡を取るが、デザイナーはまだ出勤していない。となれば、見本を元にこちらで全ての画像を貼り付けなければならないわけだ。はっきり言ってこれはオペレーターの仕事じゃない、と思いつつ、一時間近くかけてデータを貼り込む。アナログ時代には、写植と写真を元に似たような作業を行っていた製版業とは言え、私の領分はあくまでもオペレーターである。いやそら根っこに職人気質があるためこういう作業そのものは嫌いではないのだが、何にしても本来の職務でないのは間違いない――無論、仕事内容はデータ出力なのだから、出力できる状態にすることと捉えれば領分の範囲内だし、費やした労力分は料金に加算されるので、まるっきり文句があるわけではないが、いずれにしたって厄介であるのに変わりはない。カリカリしながら作業を進める。
 急ぎという指定のあった大阪版について一通り作業を完了させた頃、漸く入稿元のデザイナーと話が出来た。こちらで確認された異常について伝えるが、どうしてそう言う事態になったのか理解できないらしい。あちらでは正常にファイルを開ける、というのだ。とすれば問題はMOに複写したときに発生したか、保存方式(実は、pdfで来ていた……)に誤りがあったかである。ともあれ、急ぎの大阪版は既に完成し出力している最中なので(転送→出力までに15分ぐらいかかりました)、東京版のみMOに保存し直して届けて貰う段取りをつけて電話を切った。
 ――が、その後どうやら本当に原因らしきものが判明し、慌てて再度連絡を取った。要は、来たデータはIllustrator9.0で作成し、その標準のデータ形式で保存されていたのである。
 PCソフトの進化は歓迎されるべきだとは思うが、こと出版・印刷業界においては色々と問題がある。ソフトが作業効率の向上を狙ってアップグレードを重ねても、肝心の出力装置がその発展に対応しきれないのが現実なのだ。特に、うちのような零細企業は、払い下げられた旧式の出力装置をそのまま使っており、Illustratorで言えば8.0での出力が精一杯である。仮にアップグレードを行ったとしても正常に出力できるか解らないし、入稿されるデータも今の処8.0が最新で、概ね5.0〜7.0で作成されていることもあって、9.0を導入する必然性も認めていない。そういうことを相手が理解していれば、9.0を利用して作成しても予め8.0以前の方式で保存して提出してくれそうなものだが、いい加減私も悟ってきたことに、デザイナーや代理店ではそういう現実をあまり把握していない。というわけで、すぐさま8.0形式での再提出をお願いし、更にそういう各種不可避の現実についてレクチャーしてさしあげたのだった……そして、大阪版の処理・出力のみで午前中は終わってしまった……
 ……なお、午後に東京版の修正版が届いたが、画像データが名前を変えないままに改竄されていて、結局またしても出力に手間取らされたのだった……しくしくしくしく……

 本日のお買い物
1,東 雅夫『新訂 クトゥルー神話事典』(学習研究社・学研M文庫)
2,CLAMP『ちょびっツ(1) [初回限定版]』(講談社・ヤンマガKC)
3,秋田禎信『もういいかげんあきらめろ!』(富士見書房・富士見ファンタジア文庫)
4,吉住 渉『ランダム・ウォーク(1)』(集英社・りぼんマスコットコミックス)
5,CLAMP『ちょびっツ(1)』(講談社・ヤンマガKC)

 何か変だ? いえどこもおかしくないです。1と2とはbk1での予約購入、3以下が自らの足で買いに出かけたもの。出勤前に宅配便で届いた2を開封するのが惜しくなって通常版も買ってしまったのです。馬鹿と呼ぶなら呼べ。ばーか。
 4は、『ミントな僕ら』からなんとなくチェックするようになってしまった吉住渉の新刊。前作といい本書といい冒頭のアプローチに目新しさは感じなかったのだが、常に現代感覚に合わせようとしているのがなんとなく快いのだ。ただ、作中人物に1人「社会派ミステリーの大家」というのが存在しているのが、その道の人間には違和感バリバリ。一般人の認識なんて依然そんなものかも知れないが。


2001年2月17日(土)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20010211~.htm#Day17

 今月は毎週末映画鑑賞と決まってしまったのか――いや、来週は絶対に無理……でもないのか。皆さん引っ張っていけばいいんだから……
 それは兎も角、要は今日も映画を見てきたわけである。バイクで銀座まで向かい、時間ぎりぎりで丸の内ピカデリー1に駆け込む。
ペイ・フォワード [可能の王国]』(WARNER BROS.松竹配給):ロサンジェルスで人質事件に遭遇、取材している最中に犯行の煽りで車を大破させてしまった記者・クリス・チャンドラーは、だがその場で新車のジャガーを見ず知らずの男性から譲られる。クリスがその人物を捜し出して理由を訊ねると、「Pay it foward」、“先に贈った”のだと語る。かつて自分が他の人物から受けた恩に、全く別の三人に返すことで報いたのだと。クリスは特ダネの匂いを嗅ぎ取り、この運動の出所を辿り始める。
 それより四ヶ月前の、ラスベガス。中学1年生になったトレバー・マッキニー少年は、初めての授業で、顔に火傷の引き攣れを残した社会科教師・ユージーン・シモネットから、「何か一つ、世界を変えるためのアイディアを生み、実践する」という課題を与えられる――ユージーンにとってそれは、毎年新しい生徒を得る都度に告げていた、さして期待のない提案であったのだが、トレバーは本気で考えた。ある夜、トレバーの母親・アーリーンは、息子が自宅に見知らぬホームレスの若者を呼び、泊めたことを知る。それは、トレバーが「世界を変えるため」に得たアイディア、「Pay it foward」の始まりだった。トレバーは自分が三人の人間を助け、助けた人々がまた別の三人に善行を施すことで、世界が変えられるのではないか、と考えたのである――。やがてトレバーはユージーンの心の傷に気付き、それを癒すことで「Pay it foward」を達成しようとするが……
 久々にサスペンスでもコメディでもアクションでもない、肩肘凝らさずに見ていられたドラマ。そして、とっっても久し振りに映画を見て涙腺が緩むという感覚を得た(実際に泣いたことはないです)。シナリオがやや平板で時系列が把握しづらい(未だにどの行為がいつ頃にあったのか、という関係がよく理解できないのだ)、「Pay it foward」の広がりが思ったよりもないのがネックだと感じたが、それ以外は殆ど間然するところがない。アカデミー主演賞受賞のケヴィン・スペイシーにヘレン・ハント、助演賞候補にも挙げられた『シックス・センス』の天才子役・ハーレイ・ジョエル・オスメントの演技は言うまでもなく(やっぱりハーレイ少年は天才としか言いようがないし)、ジョン・ボン・ジョヴィ(トレバー少年の不出来な父親役)を始めとした脇役もいい。演出面でも、性善説の局地のようなアイディアの発端となる舞台を欲望と虚栄の町・ラスベガスに求めたり、何気ないが登場人物達の人柄や生活を感じさせる印象的なカットを随所に挟んだりと配慮が行き届いている。音楽も、ヒューマン・ドラマと呼ばれる作品にありがちなオーケストレーションではなく、少数編成でアクセントの利いたメロディラインを奏でて、場面ごとの印象を深めている。何より、パンフレットや広告で喧伝を禁じられたラストシーン。実は昔見たある映画(個人的に印象深い作品として五指のうちに含めるぐらいの名作だ)に似通った演出と感じたのだが、ここで重ねられるJane Siberry『Calling All Angels』というヴォーカル曲と相俟って与えられる余韻は重くも暖かい。
 ただ一点、一部の人間が悪役のまま終わっているのが気に掛かったのだが、帰宅途中で寄り道した書店にて原作を確認したところ、エピローグできちんと決着をつけていた模様。映画ではあれ以上語ると蛇足になるので省いたのだろう。……すると何か、やっぱりこれも原作読まなきゃ駄目か? ……いや、私は兎も角これから御覧になる方がそこまでする必要はないと思うが。何のことを言っているのか解りたい方だけチェックしてください。何にしても、この映画も当たり。

 本日のお買い物
1,西川魯介『SF/フェチ・スナッチャー』(白泉社・JETS COMICS)
2, 〃 『昇天コマンド』(ワニマガジン社・WANI MAGAZINE COMICS)
3,Michael Brecker『Michael Brecker』(MCA impulse!・CD)

 1はbk1で、2は映画からの帰り道に寄った書店にて購入。早くもあと一冊でコンプリートだが、既にbk1で注文済みだったり。どちらもミステリ・SFに絡めたマニアックなギャグが随所に見受けられて楽しい。しかしまー……好きだなー、こういう壊れ具合。
 3は兄とのユニット・ブレッカー・ブラザーズとしてデビューした当時から現在に至るまで、多くの大物アーティストと共演しているジャズ・サキソフォニストであるマイケル・ブレッカーが、デビューから十数年を経た1987年に初めて発表したソロ・アルバム。第一作にしてサポートにパット・メセニー(g)、ジャック・ディジョネット(ds)、チャーリー・ヘイデン(b)、ケニー・カークランド(p・key)という錚々たるメンバーが参加している辺り、当時の彼の実力も察せられようというもの。テナーサックス・EWIで膨らみのある音楽世界を魅せるマイケルを、この豪華なメンバーが理性的にサポートしており、成る程発売当時の評価の高さも頷ける(当時のビルボード誌ジャズチャートで19週の一位、グラミー賞にも2部門でノミネートされている)。最新作『Time is of the essence』よりもフュージョン寄りで、14年を隔てた今聴いても古いという印象を与えない辺りも流石。うん、やっぱりこの人も追い掛けてみたいアーティストである……が、ああああ……


2001年2月18日(日)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20010211~.htm#Day18

 えーい、またすっぱぬいちゃれ。今回も私は入ってない……のは当たり前で、私は長篇部門の応募だったから。って、何故短篇だけ先に結果が出る。というか、長篇部門は選考委員が違うのか?! なんだかよく解らないぞ?!

 それは兎も角、と脇に置いても今日は作業しかしてないから書くことがないのです。困った。何にしても、八月頃まではこんな調子で延々執筆し続けるしかないのだが。ひー。


2001年2月19日(月)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20010211~.htm#Day19

 軽い鬱状態だったのが、一通のメールのほんの数行ですっかり恢復してしまった。我ながらこの現金ぶりがナイス。

 昨晩はその後、頭痛を覚えながらも押し詰まった時間を考えて、少しでも少しでも進めようと半ば意地になって作業を続けていたのだが、それが寝付けない夜を経て鼻水になるに至り、どうやら風邪の前駆症状であったと気付いた。出勤の足がバイクなので、朝夜二回服用の風邪薬を一組職場まで持ち寄り頓服。それだけで体調は万全になった――が。
 先週末、データ関連のトラブルに紛れて言及し損なっていたが、実は職場のモニターもまた不調に陥っていたのだ。起動して暫くは正常なのだが、ふとした拍子に画面が暈ける。分かり易く説明すると、近視の人がいきなり眼鏡・コンタクトレンズを外したときの様な状態に、表示がおかしくなる。生まれてこのかた眼鏡のお世話になったことがないという方には、身近にいる近視の方に眼鏡を借りてかけてみると理解できるだろう。画像も文字も輪郭がぼやけて、とても仕事が出来る状態ではない。再起動をかければ恢復するのだが、それでも暫くすると(規則性は見出せない)またぼやけてしまう。
 最初は、再起動で改善することからPC内部の異常だと思っていたが、システムの発注先に来て貰い検証したところ、モニターそのものの故障と判明した。明日代替機を入れて貰い、修理に出す手筈を整える。それにしてもいつまでもトラブルが尽きない。動作確認最中の暇に担当の方とお話ししたところ、機械・ソフトの製造元でも色々と問題が絶えないらしい。不況も多分に絡んでいるとは言え、どーにかならんのかこの業界。
 ……で、そんなことをしているうちに日中は終わってしまったのだった。データ待ちと来月の文庫・コミック発売予定表のチェック込みでめいっぱい、作業する余裕殆どなし。く。

 本日のお買い物
1,辻 真先『悪魔は天使である』(東京創元社・創元クライム・クラブ)
2,北森 鴻『親不孝通りディテクティブ』(実業之日本社)
3,福澤徹三『怪の標本』
4,森 奈津子『ノンセクシャル』(以上、角川春樹事務所・ハルキホラー文庫)
5,椎名高志『MISTERジパング(3)』
6,猪熊しのぶ『SALAD DAYS(13)』(以上、小学館・少年サンデーコミックス)
7,樋口 橘『MとNの肖像(2)』
8,中条比紗也『花ざかりの君たちへ』(以上、白泉社・花とゆめコミックス)
9,西川魯介『初恋☆電動ファイト』(ワニマガジン社・WANI MAGAZINE COMICS)

 ……き、今日も買いすぎましたしくしくしく。それにしても、漫画家のウェブサイトも随分増えましたな。単行本に記載されていたアドレスを新たにリンクページに追加。
 バイトを初めて一年ほど経ったときに、東京創元社に対して「日本人作家によるミステリ作品が出たら必ず一冊送って欲しい」という注文を自ら出した。部数は捌けないものの、私自身がかなりの率で購入するため、その都度注文を出すのが面倒に思えたのである。この乱暴な注文を東京創元社はちゃんと受理してくれて、二年ほど前まではきっちり(注文という形のため若干のタイムラグはあったが)配本してくれていた。だが、バイトを辞める一年ほど前頃から、あちこちで改革があったとかでこの奇妙な「定期購読」の記録が消えてしまったらしく、中井英夫全集のように明らかなシリーズもの以外は届かなくなってしまう。以来、自力で新刊をチェックしその都度注文を出したり自らの足で探し回ったりしていた。それが今日、元バイト先を訪れると、レジ脇にある注文書を挿した棚に1がある。……寂しい話ではあるが、ここで東京創元社のこの手の本を購入するのは私ぐらいである。棚に挿された本を確かめてみると、「深川様」と記された注文伝票がちゃんと挟んであった。すると、過去の記録が復活したのか、或いは……まさかねえ。
 だがしかし、白状しますが私にはこの本を買う気は直前までありませんでした。でも実物を見てしまうとやはり読みたくなってしまうのであった。
 9はbk1での購入。これで早くもコンプリート……が、来月には『SF/フェチ・スナッチャー』の第二巻が刊行される模様。

 今日の『HERO』は今までで一番いい出来ではないでしょーか。相変わらず木村拓哉の「検事」としての行動、ミステリとしての決着には疑問符がありますが、人物の配置とエピソードの快さで充分に補っている。癖のある脇役も初期に較べてきっちり収まるべきところに収まった感があって、安心して見ていられた。

 因みに、出勤するときはサングラスかけてます。眼鏡のフレームに爪をかけるタイプの。


2001年2月20日(火)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20010211~.htm#Day20

 ディスプレイの代替機が届く。従来のものよりふた廻りほど小さい17インチ。だが、どうやら私が自宅で使用しているものの旧型らしく、妙に愛着が湧いた。但し、表示機能はPC本体の性能もあって自宅のものを遙かに下回る。800X600以外の解像度にならないのだ。修理が早く終わってくれると有り難いんだが。そして、グラフィックメモリももーちょっと増設したい。

 本日のお買い物
1,北原尚彦『霧幻帝都』(ENIX・EX NOVELS)
2,大沢在昌『灰夜 新宿鮫VII』(光文社・カッパ・ノベルス)
3,Miles Davis『In Paris Festival International De Jazz』
4, 〃 『Jazz At The Plaza Vol.1』(以上、SME Records・CD)

 2が納得できない。VIIとあるが、七作目は『風化水脈』と違うのか。お陰で記録を取るとき悩んでしまったではないか。取り敢えず、記録上は8にしておいたのだが――とここまで書いてからふとカバー折り返しを見ると、著者の言葉に「事件の発生順からVIIとした」とあるのに気付いた。成る程……というか、記録と発売時期とでますます混乱するではないか。いいけど。因みに北原氏の名前にリンクしたのは、同氏の古本日誌が掲載されている津原泰水氏のサイトである。
 3と4は21日付発売の、DSDリマスタリングによる再発売7枚の中から購入。うち3は、今まで発売されていたものはラジオから聴こえる演奏のように加工されていたものだったところ、最近になって処理前の音源が発見されたとかで、そちらを採用しての再発売である。旧盤を持っていないので何とも言えないが、こちらのヴァージョンも決して状態は良くない。が、時は1949年、既に『Birth of the Cool』を発表したにも拘わらずビ・バップスタイルバリバリで演奏するマイルスの熱が感じられて爽快。しかし、被さっているフランス語のナレーションが全く理解できません。困った。
 対して4は伝説の名盤『Kind of Blue』を収録する半年前の1958年、全く同じメンバーによって行われたライブである。買ってから、結構困ったちゃんな音源であったことに気付いた。まだ全部聴いていないのだが、アルバム後半でマイルスのトランペットにつけたマイクが故障したらしく、トランペットの音だけがヴェール一枚隔てたように聴こえるのである。演奏そのものはジョン・コルトレーンとキャノンボール・アダレイという屈指のホーンラインを得て絶好調なのだけど。うーむ、やはり『Milestones』辺りからチェックしておくべきだったか。
 ここのところ買うものが多いため、他に泡坂妻夫氏の新刊を発見したもののやむなく看過。しくしくしくしく。


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