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2002年04月11日(木)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20020411~.htm#Day11

 いつまで続くか解らないモラトリアムのなか、時間潰しと気晴らしのつもりで始めた連作短篇のプロットが大盛り上がり、もう数日練り込めばあとは書くだけ、というところまで来てしまった。あまりの登場人物の多さゆえ命名に苦しむが、ちょっとした裏技を用い無事に切り抜ける。このまま停滞しているようならこの作品から書き上げてしまうか――引き取り手は、それから捜すしかないのだしどーせ。

 治った治ったと油断したのが拙かったのか、午後から俄に頭痛を覚える。だいぶ落ち着いてきた鼻も、鼻水こそ出なくなったが詰まったような感覚が消えない。昼間は薬を抜いたが、結局夕食後にまた頓服する。ふー。先日から何度も言っている映画鑑賞は、体力が回復するまでお預け、と言っても土曜日にはちゃんと行く予定なんだが。

 本日のお買い物
1,『小説現代5月増刊号 メフィスト』(講談社)
2,カーター・ディクスン『読者よ欺かるるなかれ』(ハヤカワ文庫HM/早川書房)
3,鮎川哲也・監修/芦辺 拓・編『本格推理マガジン 少年探偵王 特集・ぼくらの推理冒険物語』
4,鮎川哲也『鍵孔のない扉 [新装版]』(鮎川哲也コレクション 鬼貫警部事件簿)
5,土屋隆夫『危険な童話 [新装版]』(土屋隆夫コレクション/以上、光文社文庫/光文社)

 ――おお、珍しく完璧にミステリ系らしいラインナップ、だがしかし今年は何年だ昭和45年くらいか、という雰囲気である。
 1については今更言うこともなし。いつになくメンバーが濃いような気がするが反面いつも通りにも見えるし、きっと今回も私は一篇も読むことなく全ての作品を単行本化ののちに購入することでしょうアーメン。
 2は読者のリクエストに応えての文庫化ということらしい、ポケミスでついこの間まで現役だった名作である。カーの代表作2点を読んでいないという不届き者の私もこれはちゃんと読んでいる――はずなのだが内容が思い出せない。追加された泡坂妻夫氏の解説にも敬意を表しての購入。
 3も一部の皆様にとってはお待たせでした、の本格推理マガジン第四巻。実に1年半ぶりだったりする。当初は全く別の企画だったようだが、紆余曲折の末、巨匠たちによる少年もの推理冒険小説集となっている。江戸川乱歩・鮎川哲也・高木彬光といずれも少年ものでもその質の高さで知られるメンバーゆえその意味での意外性は感じられないが、うち一本は途中まで藤子・F・不二雄が担当していたり、巻尾には漫画史のうえでも重要な地位を占める漫画版探偵物語『ビリーバック』の一話がすっかり収められている、など例によって凝ったラインナップである。興味のある方はご一読を――回し者のような書き方だが回し者ですこれだけはそー取られてもいいの。
 4は昨年より刊行の続く鮎川哲也コレクション最新刊。『鍵孔のない扉』自体はいちど光文社文庫に収録されており、まだ作家になる前の北村 薫氏が本名で解説を寄せていることでも知られていたりするが、コレクションの発刊に合わせて新装版にて解説もろとも復刻された――旧版を持っている身としては若干悔しいんだけど(ちなみに現役で買ってます)。
 5は私がとあるアンケートで「いちばん好きな本格ミステリ」として挙げたこともある、土屋隆夫氏の傑作中の傑作。こちらも日本ミステリー文学大賞受賞記念として、短篇とエッセイとを数本併録しての復刻である。復刻、とは言うがp300足らずの本編に対してp200近いボーナスの追加だからはっきりと違う本だ。ファンとしては買うしか。たとえ創元推理文庫版全集、それ以前に昔出ていた短編集でボーナストラックの大半も手許にあるとしても買うしか。

 たまにはいーだろうと思い、隠しページに自ら書き込みをしてみる。深い意味はない。

 早見裕司さんが、横溝正史生誕百年記念の企画として『横溝正史メモリアル』というサイトを立ち上げられた。このサイトでは殆ど触れたことのない横溝正史だが当然のように思い入れはあるので、他に何の協力も出来ないのだからと取り敢えずリンクだけ貼らせていただく。興味のある方は御覧ください。許可は戴いてませんが、暫く最新日記の下にバナーだけ置いてみます。
 個人的に、プロの方に呼び掛けてパスティーシュ作品集を編む、というのも一興ではと思ったが、その企画自体は既出だしあまりにも猶予がなさ過ぎるしー、とすっかり思考硬直しているのでした。プロット練りと同人企画の編集、それにモラトリアムの問題まであっていっぱいいっぱいなのです(お前はいつもいっぱいいっぱいじゃないのか、という意見もあるにはある)。


2002年04月12日(金)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20020411~.htm#Day12

 ――どうしてあんな書き込みをしたかって? それが使命だからだ。あのあと彼が俺の書き込みを消して上書きする文章の内容も解っていた。俺には、その結果訪れる事態を防がなきゃいけないんだ。本当は過去に干渉してはいけない。それでもああいう書き込みをしなきゃいけなかったのは、他に方法がなかったからなんだ。解るだろう? だから、電話を一本だけかけさせてくれ。そうすれば真実が明らかになるはずなんだ……

 ……というわけで(何がや)作業しつつ『12MONKEYS [dts EDITION]』(松竹/DVD Video)を鑑賞した。どういう訳かというと、ブルース・ウィリス演じるジェイムズ・コールが過去に送り込まれる理由が実際そんな感じなのだ。
 本編のテリー・ギリアム監督作品を観るのは『ラスベガスをやっつけろ』から二本目だが、どうやら私の感性に合うようで本編も半ば作業の手を止め唸りながら見入っていた。『ラスベガス〜』ではジョニー・デップとベネチオ・デル・トロ、本編ではブルース・ウィリスにブラッド・ピットといずれもお気に入りの役者を徹底的にブチ切れさせてくれたことも嬉しかった一因だろうが、狂気と正気の境界を溶かしつつも、自らは極めて確実に冷静に描くスタイルが好きなのである。所謂タイムトラベルものとしては、幾度も未来に帰還するあたりは独創的だが決着は予測の範囲内だった。が、そこに至るまでの紆余曲折の巧みな描き方、大胆な伏線の張り方、そして事態の推移に少しずつ狂っていく登場人物の表現が凄い。見ていていちばん愉しかったのは、最初から最後までイカれたまんまのブラッド・ピットではあったが。

 本日のお買い物
1,迫 光『シルヴィウス・サークル』(創元クライムクラブ/東京創元社)
2,古処誠二『ルール』(集英社)
3,黒田研二『嘘つきパズル』(白泉社My文庫/白泉社)

 1は昨年の鮎川哲也賞最終候補作。訳あって出版を待ち焦がれてました。あとがきに中井英夫のエッセイを引いていること、否が応にも期待を煽る。
 2は、どうも本格ものではないらしいメフィスト賞作家最新作。推薦文が北上次郎氏に福井晴敏氏だから、やはりそちらの傾向なのだろう。シンプルな装幀が却って魅力的。これだけ何故かbk1で購入。
 3は、今日の買い物で最大の色物になってしまった嫌いがあるくろけん氏の最新作。帯で「バカミスにして純粋本格!」なんて打っている作品初めて見たぞ。魔夜峰央氏の激しい装幀に屈せず買いましょう。

 コミックビーム今月号。表紙が森薫『エマ』で本編も非常にいい感じなのだがそれより何より『振袖いちま』広告のイラストを見て思わず涙ぐんでしまったいや冗談でも何でもなく。こーいうのが欲しかったんです。ほんとに。
 しかし、今月号だけで完結が三本(もう一本は短期だったので考慮の外)。『幽玄漫玉日記』は、まあ、作者のコンディションがあーだから兎も角、『オールナイトライブ』と『LAZREZ』(最終回に来てスペルの誤りを自白するとわ)は意外にも静かな終わり方。後者は中盤荒れに荒れまくったのでどうにるかと思っていたが、想像よりもずっと綺麗な着地をしたのではなかろーか。今になって単行本をチェックしたくなるのであった。

 最近CDはあまり買っていないが依然私のなかではジャズ・フィーバーが続いている、と言うよりもうかなり定着してきたのかも知れない。あまり焦って新作をチェックしようと考えなくなったのである。それでもちゃんと『Jazz Life』は買い続けている。特集はベース……ギター・サックス・ドラム・ベース・キーボード、でローテーションを組んでないだろうか。いいけど。
 わーい、仲宗根かほるさんのメジャー三枚目が発売だー。“Memories of you”が入ってるぞー。

 耐えられずに、いま読んでいる本をほっぽって『少年探偵王』を読み始めてしまう。……光文社文庫とは思えない平仮名の多さだ。如何にも少年少女向けの内容ながらその古典ぶりが愉しい。

 帰宅後の電話連絡で三度目が実現したことを確認する。今度は中島みゆきだ!<?


2002年04月13日(土)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20020411~.htm#Day13

 本日の映画鑑賞は、ジェリー・ブラッカイマー製作、リドリー・スコット監督、現実にあった急襲作戦の破綻を描いた戦争映画大作『ブラックホーク・ダウン』(東宝東和・配給)、例によって感想はこ――まだ書いてない。このあと八時前に家を出て、また映画を一本見、それから新耳袋のトークライブを鑑賞する予定になっている。既に感想自体は書き始めているが、纏める時間はないので明日・明後日ぐらいに。

 本日のお買い物
1,笠井 潔『哲学者の密室』(創元推理文庫/東京創元社)
2,マーク・D・フェルドマン/チャールズ・V・フォード『病気志願者 「死ぬほど」病気になりたがる人たち』(原書房)
3,ハラルト・シュテュンプケ『鼻行類 新しく発見された哺乳類の構造と生活』(平凡社ライブラリー/平凡社)

 1は縦にも積める特厚本。『オイディプス症候群』の発売に合わせて一巻本で復刻したわけである。こりもまた防御に使用可能――凶器にはちょっと柔らかい気がするが。
 2は次に書く作品の参考資料。テーマだけ先に決めて、それに添った文献に当たってから発想を膨らませてみよう、という思惑である。癌患者らしく見られるために自分の髪を抜いた人物、汚物を注射した人物など、自らを病人に見せたがる人々に関するルポルタージュである。
 3は、戦時中に発見され、20年に亘って研究が為されたが、核実験によってその唯一の生息地であるハイアイアイ諸島が水没してしまい、標本も存在しないために現在ではその棲息の根拠がただ一冊の研究書のみとなってしまった、問題のその本である。鼻で歩く、という移動手段そのものが激しく魅力的だが、本の存在意義もその扱われ方もあらゆる意味で興味深かったので、特に理由もなく購入。


2002年04月14日(日)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20020411~.htm#Day14

 まずは昨日の補完作業、ブラックホーク・ダウン』(東宝東和・配給)感想を追加

 以下、正確には昨日の日記に留めるべき部分なのだが、面倒なのでそのまんま14日付の記述に一括してしまう。

 9時の整理券配布で5人分確保し、時間潰しがてらに13日2本目の映画鑑賞。単純に空き時間との兼ね合いがいちばん良かった、という理由だけで決めたのが、なんとダリオ・アルジェント監督最新作『スリープレス』(日本コロムビア・配給)。感想は別に記すが、面白いことに観ながらケロQのSCA−自さんと、ミステリファンにはお馴染みの綾辻行人氏の作品とを思い起こしていたのだった。――それにしてもこういう日に限ってどうして血飛沫の舞う映画ばかり観てるんだか。
 この為に再結成したというゴブリンによるサウンドトラックが非常に刺激的だったので、売店でちょっと悩んでみようかな、と思って帰り際に立ち寄るが、どーいうわけかサントラは売っていない。プレスシート(プログラムの販売もなく、代わりにこれが300円で売られていた)にはちゃんと書いてあるのに何故何故、と思いつつ諦めてその場をあとにするのだった。

 で、新耳袋である。まず誘っていた松本楽志さんから明日早くからの用件が出来てしまったという辞退の電話があり、そのあと先日東京に越してきた某氏(どの名前で記していいのか解らないのでひとまず伏せておく)を電話で誘って、さて出かけようかとした矢先にひろさんからの連絡を受け、某氏含めて最大の参加人数が5人となったが、某氏は結局ギリギリに断りの電話をかけてこられたので(っても私が映画鑑賞のため電源を切っていたから仕方のないことなんですけど)、最終的に男ばかり4人で会場に乗り込んだわけ。
 例によってオフレコ話、それを前提としたトークライブでも固有名詞は出せない、という話題が幾つかあったが、その辺に新刊に収録される話題を省いた大筋を、MDの録音に基づいて再現する……つもりだったが。
 MDの録音に失敗していた。
 これが新耳袋ファンにとってはお馴染みのトラブルで、であればまだ諦めもつくし話のタネにもなるのだが、原因は単純、わたしが録音に必要な手続をひとつ怠っていたがためのミスだったのが哀しい。しかし、取り敢えずギリギリになって出席を諦めた松本楽志は不運でした、とネタに出来るのでまあこれはこれで良しとする。
 そんなわけで、以下は記憶に基づいて単語だけ羅列すると、「神隠しふたつ」、「レントゲンの手」、「怪談の部屋」、「クリエイターの最期」、「妹の話を書いていたら」、「駆け落ちと白い女」、「廃村の車」、そしてラストの質問での「妖怪の話と記録者の覚悟」――こんなところか。
 始まる前から眠る危険を訴えていたひろさんの弟さんのみならずひろさんまでも早々に沈没し、私もいつになく強い眠気に見舞われ朦朧としながらの参加であったが、結構堪能できた。やっぱり録音しなかったのが痛いが――まあ、今回のエピソードは大半が固有名詞などを省略のうえ本に収められるはずなので、いつか話題にのぼった不意に再生することも出来るでしょう。
 単独でのライブ、しかもいま現在新刊を鋭意執筆中ということもあってネタ不足を恐れ、冒頭と休憩明けには何かと宣伝してお茶を濁していた木原氏であったが、そのなかで御自身が監修されたという新人作家のデビュー長篇を、本日当人が会場に9冊持ち込んでいるということで、買えばその場でサインしてもらえる、ということを最初のほうで仰言った。暗行御史(あめんおさ)をテーマにした妖怪小説で、実は店頭で見かけたときにも気になった作品だったため、こりゃいい機会だ、と思いその場で購入する。
1,中内かなみ『李朝暗行御史霊遊記』(角川書店)
 荒俣宏氏と京極夏彦氏の推薦文つき。……だがこのふたりの推薦は果たしてどこまで信用していいものか判断しかねたので書店では一旦購入を見送ったのだった、あとにして思うと。

 7時20分から10時頃まで眠り、1時過ぎに昼食を行き付けの蕎麦屋までバイクまで出かけて採った以外は、感想と日記とを書きつつだらだらと過ごす。変な恰好でライブを聴いていたものだから体の節々がじんじんと痛むし眠気は取れないし。ために、本日日中に報告できるような話は皆無。

 某ソフトハウスの「シナリオライター募集(外注のみ)」が私を誘っているように思えてならない今日この頃。いま暇でもますます収拾つかなくなるでしょうが。てゆーか、予定では明日にはゲラの点検と、ようやく明後日あたりから同人長篇の執筆を本格的に始めるんぢゃん! 大丈夫なのか? 大丈夫か、と思ってしまうのはもう申し込むつもりになっているのか?! おい?!


2002年04月15日(月)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20020411~.htm#Day15

 昨年の夏頃から秋にかけて、早めにチェックしておきたいメールが多くなったことから、ネット環境のない職場でPHSを経由してサーバに繋いでいた。その当時の癖が抜けず、いまでも日中、訳もなくメールチェックをしては無駄な通信費を支払っている。このところ本当の意味で至急の用件はあまりないし(物書きの仕事では何故かメールを介さない場合が殆どになっていたりする)、チェックしてもDMが大半のためやってから虚しくなることも多い。今日も午前中、ふと繋いでメールチェックをしてみる……やけに、転送に時間を食った。
 秋から冬を目標に上梓する予定の同人誌に掲載予定の原稿だった……400字詰換算、約200枚。流石に重い。ケーブルテレビ利用の自宅ではこの程度のファイルサイズ、屁でもないのだが、アナログ回線の辛さを久々に身に染みて感じた一瞬。
 それにしても、冬までに仕上げる予定の本の原稿が既に着いていて、夏に出す予定の本の原稿を明日からようやく書き始める予定、というのも結構凄まじい。冬のほうは特に綿密に仕上げるつもりなので(可能ならプロを数人巻き込みたい所存)、ゆえに今からデザイン・校正作業を行っておきたいからこれだけ早く受け取ったのだけど。

 鮎川哲也・監修/芦辺 拓・編『本格推理マガジン 少年探偵王 特集・ぼくらの推理冒険物語』(光文社文庫/光文社)読了。グッド。少年少女向けとして書かれただけあって荒唐無稽、かなり派手な内容ばかりだが、それ故に「娯楽小説」の精髄を生々しく実感させる一冊。冒険小説的な高揚感をそのまま味わうも良し、少年もの乱歩の奇妙な見世物小屋感覚や高木・鮎川作品の名作に登場する絡繰りの原型に唸るも良し、大人なりの楽しみ方は色々ある。惜しむらくは、本来この物語に享楽する権利のある子供達は恐らく本書を手に取らないであろうこと。こういうジャンルは時代ごとに変遷するもので、今このままでは殆どの子供にとって「子供だまし」と映るかも知れないけれど。解説にて語っているとおり、こういう稚気に溢れた物語を排除したからこその活字離れであるのは間違いない。
 芦辺さん絡みの本なのでちゃんと別枠で感想を書くつもりだが、ちょっとばたばたしているので後日。

 ……あれ、ゲラ、届かなかったわ。ちょっと拍子抜けしたので、創作は脇に避けて受け取った原稿の処理を行う。もとのテキストデータではルビを[]で囲って、指定位置の後ろに挿入してある形になっているので、デザインするためには別途ルビを抜いたものを用意する必要がある。と書くと気を遣われる作者のことで、あとでルビ抜きのものを送ってくださいそーだが、なに抜きながら読むことも並行しているので構わないのです。……ただ、エディターの横書きで読むのにはやや不向きな内容なので捗らないのも事実なのだが。


2002年04月16日(火)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20020411~.htm#Day16

 例によってゲラが到着したこの段階にようやく断言いたします。
 5月発売予定、井上雅彦・監修『異形コレクション 恐怖症』(光文社文庫/光文社)に最新短篇『あのバスに』が掲載されます。細かいことは出てから別枠に書きますが、取り敢えずいま一番嬉しい事実は、早見裕司氏と同じ本に載ることだったりする。
 いい時間に到着してくれたので、昼間いっぱい使って訂正を施し――今回は前に較べてかなり楽でした枚数的にも少ないしー――、夕方にとっとと投函する。あとは宜しくお願いいたしますー>担当M様。
 ……さて、そろそろ次のために『ミツバチのささやき』を鑑賞しなおさないと。

 本日のお買い物
1,田中芳樹『東京ナイトメア 薬師寺涼子の怪奇事件簿』(講談社文庫/講談社)
 そう言えば第一作は文庫書き下ろしだったんだよねーの1、はシリーズ開始以来初めての文庫化作品(微妙な表現だ)。挿絵・イラストの大半はどうやら親本通りだが、西澤保彦さんの弾けた解説があるのでそのために560円(税込)支払うもまた一興。興がるなよ。……そういやこれも未読のシリーズ作が二冊くらい残ってるなー……

 フィリップ・マーロウは『長いお別れ』が本来の最後の事件であり、『プレイバック』は引き延ばしに過ぎない、というのが私の見解。『プードル・スプリングス物語』なんていらんのだ(それ以前に寡作のチャンドラーを多作のパーカーが書き継ぐ、という構図がまず気に食わなくて未だに手に取ってないんだけど)。晶文社刊の作品や映画については知識がないのだけど、取り敢えずマーロウは作者が生前に手掛けたものを本流とする、という立場からは他に有り得ないのでは、と。

 と、上までを夕方にアップしたあと、新たに届いたデータを印刷していたらインクが切れてしまったので、雨も降っていないようだし、とついでにあれこれ買い物を済ませてしまうことにした。DVDでも欲しいものが一個あったがそれは見送り、ゲームの予約にCD3枚、それにだいぶ少なくなっていたA4のコピー用紙を購入する。
2,仲宗根かほる『TABOO』(M&I Company/CD)
3,中島みゆき『Singles 2000』(YAMAHA MUSIC COMMUNICATIONS/CD)
4,矢野顕子『reverb』(Epic Records/CD)

 2は、調べてみたら年に一枚のペースを堅実に守っている仲宗根かほるメジャー第三作。クラブ演奏のような小編成であった前二作に対し、今回は紛う方なきフルバンド。相変わらず洗練されたオールドファッションを体現しているのが良。ちなみに表題曲『TABOO』は皆さんお馴染みのあの場面で流れる曲だがそーいうことは忘れて聴こう。ハニー・ヴォイスだが表現の幅は広い。
 3は中島みゆきがここ7年ほどに発売したシングルを網羅した一枚。従って、殆ど持っている――何故買ったかというと、『たかが愛』だけシングル盤を購入しておらず、手許にないCW『目を開けて最初に君を見たい』が聴きたかったから。……一曲のためだけに、アルバム一枚……
 ……気を取り直して4。実は発売からひと月近く経つのだが、出来に絶対の安心感があったのでいつ買ってもいいだろう、と機会が来るまでほったらかしていた一枚。近年パートナーに定着してたジェフ・ボーヴァが脇に退き、ライヴでドラムを担当していたクリフ・アーモンドがコ・プロデューサーになっている。前作は全体のクオリティは高いながら一曲一曲がこぢんまりと纏まってしまった感があったが、今回は一曲抜き出してちょっと聴いても驚くようなインパクトがある。まだ前半をちょこっと聴いただけなのだが、それでも川村結花が作詞に加わった『いないと[It's Us]』、同じタイトルだからまさかと思ったら本当にベンチャーズのあれだった『Walk, Don't Run』の仕上がりは強烈。さすがやのう。ちなみに後者の演奏には細野晴臣も参加してます。怠けずにベース弾いてます。で、ついでに参加ミュージシャンのリストをぼんやりと眺めていたら……あ、ギル・ゴールドスタイン(st. arr)がっ! あっ、クリス・ミン・ドーキー(b)がっ?! 地味に一曲ずつ、ジャズ界の大物が参加してるっ?!
 ……あ、気付けばCD女性ばっかし。


2002年04月17日(水)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20020411~.htm#Day17

 ルビの位置の確認や、吸い上げるときの便宜を図るための調整を施しつづける。自分の創作は止まっているが、これはこれで愉しい。てゆーかー、昨日で潜伏から復帰するとか言ってた某氏がー、全然出てこないからー、自分の同人活動はやりたくっても出来ないって感じー? ……で、その隙にもう一本の方を可能なところまで進めておこうという所存。
 にしても、新人賞の下読み諸氏の苦労をちょこっとだけ体感した数時間ではあった。この方の原稿でも、こーいう条件付きでこーいう読み方をするとかなりしんどいというのに……。

 本日のお買い物
1,石持浅海『アイルランドの薔薇』
2,加賀美雅之『双月城の惨劇』
3,林 泰広『見えない精霊 The Unseen』
4,東川篤哉『密室の鍵貸します』(以上、カッパ・ノベルス Kappa-one/光文社)
5,飛鳥部勝則『バラバの方へ』(トクマノベルス/徳間書店)
6,津原泰水・監修『血の12幻想』(講談社文庫)
7,『IN★POCKET 2002・4月号』(6・7まで講談社)
8,乙 一『暗いところで待ち合わせ』(幻冬舎文庫/幻冬舎)
9,竹本 泉『てけてけマイハート(2)』
10,秋月りす『かしましハウス(7)』(以上、BAMBOO COMICS/竹書房)
11,安西信行『烈火の炎(33)』(少年サンデーコミックス/小学館)

 多い。
 1〜4は既あちこちで名前はおろか感想さえ目にしているので、どーして今頃、と傍からは見えるかも知れないと思いつつ仕方ないやん今日搬入だったんだから、と愚痴りつつ購入した本格推理出身者による四冊。
 5は……どうもトクマノベルスも情報が掴めなくて困ります。ほかに浦賀和宏氏の新刊などがあったが、今回はこれだけにしておきます。関係ないが私はバラバと言われるとミッション・バラバを思い出す。解りにくい?
 6はENIXから刊行されたアンソロジー三部作の文庫化第二弾。なんで順番が変わってしまったのでしょう。出揃ってしまえば同じなんだけど。
 9は4コマ誌に連載しているショートコミックシリーズ、という妙な位置づけでの第2巻。現在の竹本連載作品で唯一の純然たるラブコメ……のはず。いまいち明言できないのが歯痒い。10、はのんびりしたペースで長寿作品となりつつある第7巻。中身はまだ読んでいないのでさておき、折り返しの著者コメントはショートエッセイとして完璧な仕上がりになっている、と妙なところを褒める私。
 11は遂に完結の一巻。限定版も出るらしいが、注文が早くに締め切られたようで入手の可能性は低い――ってそれも買う気かい。

 昨晩作業をしながら、久々にPS2を利用してDVD鑑賞(相変わらずゲームではないところが……)。『ソードフィッシュ』を眺める――と、何故か設定を変えても最初だけは日本語の音声が出てしまう。このとき初めて吹き替えを耳にしたのだが、――トラボルタの吹き替えが、全く合ってない。元の声に慣れている所為もあるだろうが、半端に悪党の迫力を出そうとするような演技が、そもそもこのキャラクターには合わない。当てているのは村山 明氏というベテランだが……はっきり言います、これについては不的確。あらゆる意味で。好きな映画は吹き替えで見直すのも趣味のひとつだが、これに限ってはやらないと思う、その位に合ってない。
 ……と書いてから、ふと他の部分も日本語音声に切り替えてみたら、ハル・ベリーも半端に色気を出しすぎて作品のシャープさを損なっているし、そもそも吹き替えの翻訳自体も、演出全体から合っていないと言うしかない出来だった。……あーあ。最初から日本語に合わない作品だと言えばそれまでだが。

 ああ、地味にハードワークな日々だ。ところで私自身の同人活動の相方はどこに姿を消してしまったのでしょう?


2002年04月18日(木)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20020411~.htm#Day18

 本日のお買い物
1,楠 桂『ガールズザウルス(1)』
2,藤田和日郎『からくりサーカス(22)』
3,青山剛昌『名探偵コナン(37)』(少年サンデーコミックス)
4,たかしげ宙・皆川亮二『スプリガン [愛蔵版](7)』(SHONEN SUNDAY BOOKS)
5,尹 仁完・梁 慶一『新暗行御史(3)』(SUNDAY GX COMICS/以上、小学館)
6,神坂 一『影メグル地ノ邂逅者タチ』(富士見ファンタジア文庫/富士見書房)

 1はボクササイズ部の女の子たちと、ある出来事がきっかけで女性恐怖症に陥った少年の話。こーいう話を女性的な視点から描いてしまうのがこの人の強み。
 5は、かなーり歴史的解釈はいい加減らしいがそれでもエピソードの捻りは上手いとやはり思うので買い続けているシリーズ。無茶苦茶だからいいのよ。ねえ。
 6はクロスカディア第2巻。びみょーに、視点をちょっと賢くなったガウリイに移したスレイヤーズという気がしなくもないが。

 同人誌の原稿をIllustratorに吸い上げ、見た目の調整。字間を変えたりフォントを差し替えたり何文字か下げて揃えたり。本来はページ単位のベクトル画像作成用ソフトのため、こういう繊細な作業には適していない。加えて、枚数が枚数なので処理にもいちいちタイムラグが生じる。さらにさらに、おばかなIllustratorさんはちょっとした不具合で簡単に機能不全に陥るため、かなり頻繁に再起動、メモリの整理整頓を行わないといけないのだ。
 ……ちなみに、私自身の同人活動における書き下ろし作品は、現在扱っているものより50枚から100枚ほど多くなる予定。泣くぞ。


2002年04月19日(金)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20020411~.htm#Day19

5月9日頃発売予定
井上雅彦・監修『異形コレクション 恐怖症』(光文社文庫/光文社)
最新作「あのバスに」が掲載されます

買っていただけるととっても助かります、ええそれはもう

 ↑宣伝載せてみました。三回目にもなるとちゃっかり忘れられてそうなので。

 昨日の日記が淡泊だったのはその後もう一回更新するつもりが思いの外同人仕事に難渋して時間を取られた所為です。あー、In Designが欲しい。それでなければIllustratorで自由自在にルビを設定するプラグインを。何はともあれ、昨日選択した方法は全く実際性がないと悟ったので、また別の方法を模索しないと。

 作業の傍ら、BGVというかBGMというか、唐突にPS2版『Kanon』を、テキスト自動送りで始めてみる。どんくらいぶりだろうコンシューマーゲームを遊んでみるの。
 アニメ版と同じ声優が演じている、はずなのだが全般にアニメ版より演技の印象が落ち着いているのは気の所為だろうか。常に画面を見ているわけにいかないこの作業では、音声の入っていない主人公がどーいう台詞を吐いているのかいちいち見逃すため、展開が掴めないこともままあったり。内容については今更言うことありません。

 本日のお買い物
1,嬉野秋彦『チキチキのわ〜る烈風伝!!(1) ショットガンマリッジ』(ファミ通文庫/enterbrain)
2,山口美由紀『マジック☆マイスター』
3,絵夢羅『Wジュリエット(10)』
4,羅川真里茂『しゃにむにGO(11)』(2〜4まで、花とゆめコミックス/白泉社)

 1は、昔集めていたシリーズの番外編らしいので急遽購入……ちなみに前のシリーズは積んだままである。いいのか。
 2は山口美由紀久々の単行本。まだ昨日買った分を読み終えていないので、パラパラとめくっただけだが……『おひさまの世界地図』以来の傑作の予感。
 3は……思いがけず長いなあ。正直、もうあまり面白いとは思わないのだが、そろそろ完結が近いと解っているので、止めどころが見つからないのだった。

 普段と違う立場に着かせることほど愉しいことってないかも知れず。

 カウンターを置いているトクトクのサーバが、昨日メンテナンスをしたと思ったらそれ以来カウンタおよびアクセス解析のcgiが正常に動作していない。同じところに置いたIn Deep掲示板は書き込み・編集処理ともに可能だが、要するにアクセスログを取得するcgiが全く使えなくなっているらしい。表示だけは出来るのだが、木曜日の夕方ぐらいからあと全くデータを取得していないのが明らかなのだ。どうしたもんやら。


2002年04月20日(土)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20020411~.htm#Day20

 昨晩、よーやく相方をICQで捕獲し、遂に同人長篇の執筆に着手……が企画立案から既に随分と時間が経過しており、お互いに細かい設定や約束を失念していたので、私のICQに残っていた会話のログから企画に関する部分だけを抽出しお浚いすることから始めた。ついでに、昨年今頃に一ヶ月きっちりで仕上げた短篇も、日付を今年のそれに合わせて若干書き直す――何故かというと、登場人物がリンクしているのだが、このままだと去年の話にせざるを得ないからだ。それでも不都合はないといえばそうなのだが、気付いてしまうと居心地が悪いので、取り敢えず相方に修正をお願いする。
 そんなことをやっていたら気が立ってしまって、横になってもなかなか寝付けず、まんじりとしないまま朝を迎えてしまった。いつもならそれでも意地で映画鑑賞に出かけるところだが、今日は念願であった創元推理倶楽部東京分科会に参加する予定が午後にある。今日は映画鑑賞を取り止めて、ようやく覚えた眠気に任せて1時頃まで横になった。
 多少楽になったところで、改装オープンしたばかりの行き付けのラーメン屋で昼食を済ます。小綺麗になりすぎてちょっと落ち着かず、ついでに見慣れない顔の店員が私の注文を間違えるわ支払時には伝票を間違えるわで見ていて不安になった。  食後、自転車にて秋葉原まで向かい、買い物と予約をかるーく済ませて分科会の会場へ。予定ぴったりに到着するもまだお二人しかいない。それでも次第次第に人が増えるなか、ひたすら雑談をして過ごす。二次会も半ばになると寝不足で体は揺れるわ頭は痛いわ、で一旦支払いを済ませたあたりで先にお暇させて貰う。取り敢えず雑談でもミステリがらみの与太話がたっぷり堪能できたので良し。次も可能であればお邪魔させていただきますはい。

 本日のお買い物
1,田中芳樹『マヴァール年代記(全)』(創元推理文庫/東京創元社)
2,『デビル』
3,『恋愛小説家』(2・3ともにSony Pictures Entertainment/DVD Video)
 1はやや特殊な経路で思いがけず手に入ってしまったもの。故にまだ店頭には並んでおりませんのでリアルタイムで御覧の方はご注意を。シリーズ三部作を一冊に纏めた文庫版。なぜ創元推理文庫なのかとか突っ込んではいけない。予定では25日頃から店頭に並び始めます。
 2と3は、SPEで既に発売した作品数本を、ケースをジュエルからトールに変更し価格も2500円に落として再発売したもの。どちらも前々からDVDで手元に置いておきたかった作品だが、トールケースにだいぶ愛着が湧いてきてしまったので、今回の仕様変更を待って購入した次第。念のために簡単に解説しておくと、2はハリソン・フォードとブラッド・ピットが対決するサスペンス・アクション。3はジャック・ニコルソンが偏屈な恋愛小説家を演じ、恋の相手を演じたヘレン・ハントと共にアカデミー主演男優・女優賞を独占したラブコメディ。どっちも楽しみにし過ぎてテレビ放映などでは敢えて全部は見ないようにしていたのであるほんとに。
 それはそうと、2と3を購入したときに一緒に貰った予告編を集めたDVD、これがなかなか拾いものであった。全てオリジナルの予告編を、英語のものは字幕付きで収録しているだけなのだが、画質はいいし『MIB2』『パニック・ルーム』『スパイダーマン』など話題作中心(あたまはラズベリー賞主演女優賞をダントツの得票数で受けた『グリッター』だったりする)のため、ぼーっと流しているだけでも愉しい。……んが、観ていて気になることが幾つか。『スパイダーマン』の音楽は確かダニー・エルフマンだと思ったが、予告編でかかっている曲がティム・バートン版『猿の惑星』のテーマに似ているのはどーいうことだ? 邦題未定のリチャード・ギア主演作『THE MOTHMAN PROPHECIES』のバックにかかっているのは『ソードフィッシュ』か何かの曲にそっくりだったし……。

 寝不足に頭痛のおまけがついてきてグロッキー、ゆえに今日はこれだけ。


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