diary / 2002年04月上旬

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2002年04月01日(月)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20020401~.htm#Day01

 MYSCON零れ話。雑談は地味に危険な話ばかりで具体的なことが書けないのが悔しい。
 先日新たに導入した、グラシン紙によるお手製カバーは概ね好評だった。サインをお願いした作家さんの中には喜んでくださった方もある。私も手触り、雰囲気、表紙保護の点からも文句なく気に入っているのだけれど、弱点もある。まず、読んでいるときにかさかさと音がして気にし出すと鬱陶しいこと。ただ、この辺は寧ろ醍醐味と考えることも出来るのだけれど、困るのは、次に挙げるような本にかけた場合。
 本日のお買い物
1,土屋隆夫『聖悪女』(東京創元社)
2,大倉らいた『坂物語り 〜そしてキミと出会う夏』(角川スニーカー文庫/角川書店)

 ……いや、これは人目に表紙を晒した状態ではちょっと読みづらいと思う。うん。
 1は当初文庫版全集に書き下ろし収録される予定だった3年振りの長篇、だが予定より内容が膨らんでしまったために単行本で単独刊行の運びとなった。何が恥ずかしいって、全裸の女性をモチーフとした装画に帯の「三つの乳房を持つ女」という文句、そしてどこにも「ミステリ」とか「本格推理」とか書いてない! ――そこを押しても買い、読むのがファンと言うべきだろうけど。それに私は電車には乗らないし。
 2は場所によっては話のタネになるだろうが、そこを除けばちょっと恥ずかしいと思う。絵柄そのものは好きなんですけどね。今回もまた、一冊も読まないうちに完結してしまいました。なお、1も2も行き付けの書店では入荷までかかりそうだったので、秋葉原の書泉で購入。……でもミステリマガジンは既にない。

 今週水曜日は映画サービスデーである。先月半ばぐらいの段階で映画版パトレイバーを観に行く、と心に決めていたので、昨晩のうちにネットで上映時間を確認する。職場から行ける範囲で公開しているのだが、何故か「放映時間は劇場に直接お問い合わせ下さい」となっていた。
 日付が変わって本日の午前中、仕事の合間にちょこっと買い物に出かけたそのついでに劇場前まで自転車を走らせ、張り出されている上映時間を見る。パトレイバーは……10時30分と12時40分
 ……の、二回だけ
 その劇場では一日にあと二回予定が組まれているが、そちらは『助太刀屋助六』……面白いけどさ、それは。しかし、勤務終了後に観に行くつもりだったのにこれでは論外ではないか。どーしたものか。
 他に、平日のどこかで『寵愛』のレイトショーを観に行くつもりがあったので、そちらを今度の水曜日にまわしてきてもいいのだけれど、多分あの映画はサービスデーには余計に混雑している、はず……ほかのを選ぶと言っても、折角のサービスデーに招待券を使うほど意味のない話もないんだよなあ……

 帰宅後、お仕事のことで連絡。流石に時間がかかりすぎているので、現状が続くのであればもう一つのほうを準備しませんか、と提案してみる。どちらにしても、今月あたりが本当の正念場になるでしょう。……たぶん。

 随分前にトップページをリニューアルするとか、MYSCONの自己紹介にも「近々改称予定」と書いておいてすっかりほったらかしの毎日ですが、今度こそ、近いうちに何とかします。そのついでに、あちこち手を入れたためにこの日記が自宅から見えない(内心プラウザのヴァージョンをもーちょっとだけ上げてくれー、と思わなくもないが)という人々のために、最新の日記のみ余計な背景・字間の設定を省いたヴァージョンを同時にアップできる状況を作る予定。
 ……ぢつは、トップページだけflashを利用してクールな雰囲気を演出しようと思っていたのだが、MYSCONで数名から厭がられたので、現在のindexページでflashのトップとhtmlのみのトップを選択できるようにしなければならず、かなーり面倒な作業になりそうなんだけど……いや、ま、いいか。


2002年04月02日(火)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20020401~.htm#Day02

 昨日触れ忘れていたが元田隆晴『現役医師が体験した!! 本当にあった病院の怖い話』(竹書房文庫/竹書房)読了。医学知識という確かな足場と、余計な因果を語りすぎず出来事だけを綴る姿勢を極力選んでいるために、突出して出来がいいという程ではないが、オーソドックスな怪談として成り立っており、意外といい読み物。いわゆる霊現象「らしきもの」のみではなく、扱い次第では秀麗なホラーになる「大酒飲みの医師」のような素材も登場するあたりがまた侮れない。ただ、どーして看護婦の半端な体験談を挟んでしまうのかがよく解らん。

 極度に対象を絞った耳寄り情報。来週の週刊少年サンデー掲載の読み切り作品は丹羽啓介『しっぽの怪』、キャットルーキー第二部の主人公・四方二三矢の高校時代の話だそうです。しかも陰陽道テーマ。仮に定期講読していなくても来週だけはチェックだ!

 本日のお買い物
1,柊あおい『バロン・猫の男爵』(ANIMAGE COMICS SPECIAL/徳間書店)
 今年の夏公開となるジブリの最新作『猫の恩返し』の原作だそうである。初出を明記していないので、いつの作品なのか書き下ろしなのかはっきりせず色々と判断を保留しないとならんのがちと辛い。

 流石に完徹のダメージを一日二日で恢復させるのは困難だったらしい。どーしようもないローテンション。取り敢えず映画でも観てきてテンションを上げてみようか――って何故そうなる俺。

 ――で、本当に観に行ってしまった。寵愛』(GAGA・配給)を。感想はこちらから。カップルばっかりだったら机ひっくり返してやろうかと思っていたが、こんな平日にレイトショーを訪れるような人間はひとりか同行の士と共に来るものらしい。気楽ではあったがなんか詰まらん。


2002年04月03日(水)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20020401~.htm#Day03

 芦辺 拓『名探偵Z 不可能推理』(ハルキノベルス/角川春樹事務所)読了。感想はこちら――って、以前はかんとく権限で芦辺倶楽部のサイト内に置いていたのだが……どうしよう、あとで移すか? ま、それはともかく、これでミステリベスト10の投票権が来ても(以下略)。

 本日は映画サービスデー。この機を逃してはマニアの名が廃る(マニアと認めるのか俺は)ということで、あろーことか平日二日連続での映画鑑賞。日暮れに家を出、八重洲ブックセンターにて手早く買い物を済ませたのち劇場に到着、同じ敷地内で上映開始時間の違いはたった五分、入口で再度悩んで最終的に選んだのは、カンヌ映画祭最優秀監督賞受賞、アカデミー監督賞にもノミネートされた、デイヴィッド・リンチの話題作マルホランド・ドライブ』(コムストック・配給)。感想はこちらから。この劇場では今週金曜で上映が終了、平日最終回でしかも期間中最後の映画サービスデーとあって列が出来るほどの賑わいだったが、果たして何人がこの話を理解できたんだろうか。

 本日のお買い物
1,いしいひさいち『文豪春秋』(創元ライブラリ)
2,シーリア・フレムリン『泣き声は聞こえない』(創元推理文庫/以上、東京創元社)
3,アンドリュー・クラヴァン『秘密の友人』(角川文庫/角川書店)

 いずれも映画鑑賞前、八重洲ブックセンターで購入。20分もなかったのだが見つかるもんだ。
 1は『となりのののちゃん』などともリンクする、文豪・広岡達三をメインにした作品集。先月の新刊だが、最近はこーいうのも遠出しないと入手できないのである。
 2と3は先日のMYSCON3にて海外サスペンス企画で名前の挙がった作品。1は1991年発売、ふと口にした偽りから妊婦を装う羽目になった少女が主人公。設定がやけにツボに入ったので――ちなみに某氏には「品切れかも」と言われたが、それもそのはず、11年前の本なのに入手したのは初版であった……。
 3は平成六年初版、こっちは無事10回も版を重ねている。今夏日本公開予定の映画『サウンド・オブ・サイレンス』の原作だが……小説の原題、邦題、そして映画版邦題と全て異なるというのはどんなもんだろう。どー考えても原題の“Don't Say A Word”がいちばん綺麗だと思うのだけど。


2002年04月04日(木)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20020401~.htm#Day04

 昨日の『名探偵Z 不可能推理』レビューを若干加筆修正。近々著作リストのデザインなどを修正するつもりなので、やっぱりその際にレビューをあちらに移動させます。

 なんか最近作業を放棄しているかのような記述ばかりですがちまちまちまちま進行させておりますええ進行させておりますとも。MYSCON準備週間も終わり、資料読みも再開させてますし――が、当初の目的には使えず、別目的でもいつ利用できるのか段々覚束無くなってきておりますが。ために半ば趣味と化しており結局作業全体として見ると進捗ははかばかしくないとも言えるわけですが。

 ……たしか去年も二本同時発売しそうになった記憶があるんだが、今年も? 今年もなの? 『Ethos』とともに『ハヤシ迷作劇場』(どーいうタイトルだ)が待機しているらしい春の潜伏王。

 本日のお買い物
1,うえお久光『悪魔のミカタ2 インヴィジブルエア』
2,阿智太郎『なずな姫SOS 目に入らないよ紋どころ』(以上、電撃文庫/メディアワークス)
3,芦辺 拓『メトロポリスに死の罠を』(双葉社)
4,『クイルズ 特別編
5,『狂っちゃいないぜ』(以上、20世紀フォックスホームエンターテイメント/DVD Video)
6,『ソードフィッシュ』(Warner Home Video/DVD Video)
7,『フィールド・オブ・ドリームス コレクターズ・エディション』(Sony Pictures Entertainment/DVD Video)

 1は一部で好評だった『悪魔のミカタ』早々の第二弾。なんとなくサブタイトルがドラ○もんのようです。2はCDシングルつき文庫本として発売された作品の、同じく第二弾。今度はCDなしでもの足りません――前巻のCD自体聴いてないけど。
 3は『死体の冷めないうちに』で活躍した、パラレルワールドの大阪に設置された自治警特捜が再登場した長篇。芦辺さん初の雑誌連載作品に加筆訂正したもの。あとがきの印象からすると本格推理というよりはスリラーに近いようだが。
 4以下は今月もやってきましたDVD新作ラッシュ第一波。5以外は劇場で鑑賞したものだが、いずれも私にとって手元に置いておきたい名作揃いなのであった……痛いなあ。他にも『銀河鉄道の夜』なんてのもあったのだが多すぎて後回し。
 4は創作者必見、マルキ・ド・サドの生涯をモチーフに構築された圧倒的なドラマ。広告ではケイト・ウィンスレットが前面に押し出されているが本編の主役はあくまでジェフリー・ラッシュ、そして彼の演じるサドに影響を受ける神父役のホアキン・フェニックスにこそ注目せよ。というか、エロスなんてものに期待しすぎると肩透かしを食います。少なくとも、その言葉が日本人にイメージさせるものからは隔たっているはずだ。
 5は私が映画に嵌るちょっと前に公開された、ジョン・キューザックとビリー・ボブ・ソーントン主演のイかれた作品。現在本当に結婚しているビリーとアンジェリーナ・ジョリーが夫婦役で共演しており、しかももうひとり脇を固めるのは化ける女優ケイト・ブランシェット。内容はさておき、この四名の演技を見るためだけでも買う価値はあると思ったので。
 6は、昨年のアクション映画の中で出色のクオリティを示した一本。今となっては、ブレイク直前のハル・ベリーを起用したことでも意味のある作品になったよーな。
 そして待望の7。ケヴィン・コスナーの代表作のひとつであり、アメリカ野球映画屈指の名作のひとつでもある。私はこれを観て以来、暫くはケヴィン・コスナー主演と聞いただけで劇場に馳せ参じたものだけど――ともあれ、これと『ダンス・ウィズ・ウルブス』だけは持っておきたかったのだ――って『〜ウルブス』のほうは未発売だけど。

 風邪気味で時を経るごとにダルダルな気分に襲われてます。ために、日記だけ推敲も何もせず早々とアップして就寝します。あー、この服装の微妙な時期に二日続けて夜中にお出かけしたのが祟ったか。


2002年04月05日(金)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20020401~.htm#Day05

 恐懼せよ。7/18、夏休みを目前にしたこの日、数年振りにあの悪夢が帰ってくる。
『かまいたちの夜2 監獄島のわらべ歌』
 我孫子武丸監修、我孫子・田中啓文牧野修シナリオ、東儀秀樹音楽、チュンソフト製作・発売、PS2対応――刮目して待て!
 って、回し者か私は。……似たようなものですだってファンだし。ああ、それにしても、学生諸氏は長い休みがあるからいいようなものの、我々社会人にとってこの発売日は拷問ではないか。まして、物書きや出版業界の末席を汚すものにしてみれば、ここから約半月ちょっとほどがいちばんきつい時期なわけで。

 現在私が悩まされている風邪、実は一昨晩がいちばん感覚的にはしんどかった。喉の腫れから来る息苦しさで満足な睡眠も採れなかったほどなのだ。薬を服用しつつ安静を心懸けたお陰か、今朝は若干鼻づまりがあったくらいでだいぶん快方に向かっている。でもこの文章を見直している現在も、ぼんやりとして思考力は著しく低下している気配ですが。困ったもんだ。

 昨晩、早速『ソードフィッシュ』を鑑賞。劇場で一度観ているから、多少端折っても理解に差し障りはない。当時、どんでん返しの数々が行き当たりばったりだ、という意見を何度か目にしたが、私はそうは思わない。作中繰り返しトラボルタ演じるガブリエルが口にしているように、観客は目と耳の刺激に騙されやすいのだ――幾つかの、主人公であるスタンリー(ヒュー・ジャックマン)の恣意的とも映る行動こそが「行き当たりばったり」感を強めているのだけれど、実はこの部分だけ、予定に組み込まれた別行動を差し込んでも良かったのだ、ということを訴えておきたい。スタンリーが誘発された行動に出なかったとしても、幾つかの部分で計画されたとおりに事を運べば、取り漏らしはあっても全体として頓挫することはなかっただろう。過激な外観に惑わされがちだが、やっぱり筋は通っている、と改めて確認した次第。ま、尾行してきた相手にあーまで過剰な反応をする必要あったんか、とか娯楽映画特有の問題点はけっこーあるんだが、そこも含めて幻惑され続けるのも一興ってことで。
 そして今日は、思わず職場に『クイルズ』のDVDを持ち込んで、冒頭30分ほど眺めてみたり……ああ、やっぱり素晴らしいぞ。こんなに創作意欲を擽られる作品、世の中にそう沢山はない。
 ――で、それだけ書いたらちゃんと見終わっただろう、とお思いでしょうが、自宅に戻って鑑賞したのは何故か『フィールド・オブ・ドリームス』……最後に見てから随分経っているので筋を殆ど忘れていた。が、やっぱりいい。なんの主張もなく、ただ野球という名の夢を求める、それだけの話である。それだけなのが、いっそ心地よいのだ。

 本日のお買い物
1,瀬戸内寂聴・訳『源氏物語 [新装版] (八)』
2,ロクニシコージ『すべてに射矢ガール(4)』(ヤンマガKC/以上、講談社)
3,神坂 一・原作/Ark Performance・漫画『シェリフスターズ The Artificial Angel』(Kadokawa Comcis A)
4,石田敦子『魔女レーナ マジョり〜な』(100% COMICS/以上、角川書店)
5,七月鏡一・藤原芳秀『闇のイージス(6)』(ヤングサンデーコミックス/小学館)
6,樋野まつり『とらわれの身の上(5)』(花とゆめコミックス/白泉社)

 1と2は略。3はArk Percormanceの名義で石川孝一氏がストーリーを、小説版のイラストレーターでもある光吉賢司氏が作画を手掛けた完全オリジナルストーリーとのこと。4は愛らしい絵柄で深刻なテーマを扱う、というスタイルがすっかり確定した作者の最新作、第2巻に続くようだが単行本のどこにも「1」と記されていないのでここでの表記もそちらに合わせました。微妙だ。
 6は最新刊にして本編終了だそーです。以後は後日談と番外編になるとか。うーん、もーちょっと右往左往してくれても良かったような気が。
 ちなみに現在、漫画の積読が20冊以上あります。そのため、コメントは中身をざっと眺めるか、あとがきや粗筋を参考に記していることを御了承下さい。


2002年04月06日(土)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20020401~.htm#Day06

 某所の閉鎖については既にあちこちで述べられている以上の言葉は持ち合わせがありませんので言及はこれのみにします――黙ってリンクを外すだけにしようかと思っていたのですが、これだけは書かないといけないだろう、と考えましたので。
 お疲れさまでした。オフラインではまた機会があるかと存じますが、いつか再びWeb上でもお会いできる日が来ることを願っております――

 それはさておき、週末恒例の映画鑑賞。今月に入って初めての週末なのに早くも三本目だというのはどーしたことか。
 本日の目的地は、バイクで訪れる劇場としては今までで最も遠い。中央通り沿いに銀座付近まで走るのはいつも通りだが、和光の交差点で晴海通りに入り、南に下る。更に20分ほど走ると次第に周辺の建物が大規模かつ疎らになっていく――かの湾岸署の管轄、お台場はシネマ・メディアージュが本日の目的地である。途中曲がる道を間違え、東京ビッグサイト入口近くに出てしまったが、午前11時20分頃、無事にあの悪目立ちするフジテレビ前、アクアシティに到着する。
 やや早めの時間だからか、春休みの土曜日にもかかわらず人出は少ない――というか、人家がないせいもあるのか余計に閑散として見える。アクアシティの隅っこにバイクを置き、ひとまず建物の中へ。
 シネマ・メディアージュは一般の映画館とはかなりシステムが異なっている。観客は前売り鑑賞券を持っている・いないに拘わらず、必ずチケットカウンターを訪れて、上映時間と座席を指定し予約する。カウンターは三階にあり、上映時間が近付いたら一階の指定されたスクリーンに移動する、という仕組みなのだ。ひとつの建物に都合13のスクリーンがあり、座席数も作品数も桁が違うからこそのシステムなのだろう。座席ひとつひとつは快適だし、視野が広いから画面を眺める際のストレスも少ない。私が訪れたのは恐らくいちばんキャパシティの低いスクリーンだと思うが、それでも一番前には車椅子のためと思しいスペースが二席ぶん設けられているくらいで、バリアフリーへの対応にも意欲が見える
 ――が、全体に手続が煩瑣で困る。売店はスクリーン全体の中央、ロビーとなっている一画に、統一する恰好でひとつ設けられているだけ。上映作品全てのプログラムが購入できる仕組みは有り難いが、飲み物・食べ物を持ち運ぶ距離が通常の劇場と較べてかなり長くなってしまった弊害がある。また、トイレの場所が解らないし、劇場の配置によっては異常に遠い。かくいう私が、席に着き上映開始五分前くらいに、気軽に小用を足しに向かったところ、あまりの遠さに駆け足になってしまったほどなのだ。走れればいいがそれが無理なら、だいいち道に弱い人であったらかなーり焦ると思う。雰囲気はいいだけに、雰囲気に走りすぎている嫌いがあるのが残念な劇場である。もう一つ、チケットセンターが劇場と離れた場所にある不便も指摘するところだが、こちらはなんと月曜日から、スクリーンへの入口がある一階ロビーに移動するとのことなので、今後も色々と改善するつもりはあるのだろう。
 話は戻る。無事に座席の予約を終えたあと、上映時間までの約一時間にかるい散策と昼食を済ませることにした。――しかし、シネマ・メディアージュに感じたのと同様の不便が多い。入り組んでいて構成が把握しづらいのだ。昼食は例によってうどんが食えるところを選んだのだが、これが建物の中に仮想的に設けた路地のような一画の奥にあって、探し出すのに往生した――意図は買うのだが、やたら段差の多い通路といい、ちょっと排除したものも多すぎると感じる趣味の良さである。食事のために入った店も、店に入ったとき・注文したとき・店を出るとき、といちいち大声で反芻してくれるので、私のように単独行動の多い人間にしてみると面映ゆいことこの上ない。頼んだ釜揚げうどんはそこそこ美味かった――が、やっぱり量が少なくあとで大盛りにすれば良かったと後悔した。
 前置きが長引いたが、午後12時40分、ようやく上映開始。本日の鑑賞作品はシネマ・メディアージュ独自企画“SHOCKING MOVIE PROJECT”の一環として、3/30〜4/12の2週間限定で上映されている作品アナトミー』(Sony Pictures Entertainment・配給)。『ラン・ローラ・ラン』での演技が好評を博したフランカ・ポテンテをヒロインに据えた、ドイツ発のホラー映画である。例によって感想はこちら。薦めてもあと一週間足らずで上映が終わってしまうのが哀しい。
 鑑賞を終えると、少々疲れたので寄り道も遊びも抜きに真っ直ぐ帰宅。行きで道を間違えたので、反芻し記憶しながらの帰宅。慣れれば気持ちのいい設備だと思うので、何かの機会に再訪するつもりなのである――夏と冬の祭典の時にも利用する道かも知れないし、と。

 あとは映画の感想を書きつつ、貯まってしまった漫画を減らす作業。うーん、土日は当分同人誌の作業に費やすつもりだったのだが。某氏が近所に越してくるようなので、それまでに文字のみのゲラくらいは用意しておきたかったのだが。


2002年04月07日(日)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20020401~.htm#Day07

 昨晩十一時ちょっと前に私のPHSにかかってきた電話の出所が知りたい。市外局番は大阪なのだが、それ以下の番号におよそ見覚えがない。どこからいったい誰が。間違い電話の可能性がいちばん高いようにも思うが詰まらないので検討の外に置く。

 昼過ぎに突然松本楽志さんから電話が入る。うちの近所まで端切れを買いに出てきたとかで、「遊びに行っていーですか」と。風邪気味でばてばてゆえ、どーせ放っておいても寝るだけだし、と承諾する。
 珍しく空いていた居間に通し、約一時間ほどのんたら駄弁る。長篇書きたいとか「雪の孤島」というテーマはシュールでいいとかやっぱり『マルホランド・ドライブ』は変だとか。ついでに芦辺さんの『名探偵Z 不可能推理』を貸す。本当は「買え」と言うべきところだが引っ越し直後であからさまに貧乏そうだったし(だいたい今日の歯切れにしたって、カーテンを出来合いで買うと高いから、という理由だったらしい)、こっちには余剰分もあるので急に必要が生じても問題はない。
 楽志さんが近所で買った煎餅の、開けたまままだ中身の残っている袋を、食べていいと言うので夜食用に確保し、玄関先で見送ったあと数分も経たずに結局昼寝する私であった。その後七時近くまでほぼ熟睡。

 積み上げた漫画の消化作業を続ける。ようやく話題の吉田基已『恋風(1)』を読み終える――激賞するほどいい作品とは思わないが、それなりに評価はできるのではないでしょか。「萌え」の部分から考えようとすると偏りがきついが、ダメ男の心理をダメなまま描いた文芸作品と考えれば、少なくとも意欲は認められるレベルにあると思う。
 購入した順番通りに並べていた都合上、立て続けに読む羽目になったアンソロジーが、大当たりから大ハズレまで(それこそ商業誌はおろか同人誌でもどーかと思う仕上がりの作品が……)選り取りみどりだったのに疲れ果てる……アタリの確率が低いのは致し方ないにしても、大ハズレがこんなに多いのはちょっとなあ……。編集者、ネームとか絵コンテの段階で調整しないのかなあ……。

 ながら鑑賞のためところどころ事情を把握していない気がするが、とりあえず、グリニッジ・ミーン・タイム g:mt』(東宝東和/丸紅/M3 ENTERTAINMENT/DVD Video)ひととおり鑑賞。……劇場で見ておけば良かった。意外な傑作でした。それぞれに大望を抱く若者たちが、ある悲劇を契機にばたばたと挫折し、それでも成長していく姿を描く……と書くと非常にありきたりだが、悲劇との対峙の仕方を枠に嵌めていないのがいい。全編を彩るUKクラブサウンドの完成度の高さと相俟って、見応えのある一本。

 劇場招待券の制約とスケジュールの都合から、今週の平日に一本映画を観る必要が出てきたので、上映時間をチェックし……驚く。観る予定の作品のことではない、確か二年以上前に岩波ホールでの単館上映から始まった『山の郵便配達』が、まだ続いていることに驚いたのだ。しかも、先日まで新宿武蔵野館のモーニングショー(朝第一回上映限定)でかかっていたことは知っていたが、なんと今週末から有楽町スバル座にて通常のスケジュールにて上映が決まっている……恐るべし。内心私に「観ろ」「観ろ」と脅しをかけているような被害妄想さえ抱いているのだけど……
 もうひとつ、思い出したようにレイトショーが始まる『ロッキー・ホラー・ショー』にも首を傾げているが、たぶんアイデンティティか何かなんでしょう、きっと。

 同人活動に費やすという意欲も虚しく、風邪による虚脱状態が続き手付かずのまま終わったのであった。哀しいので今日も早めに就寝しますさようなら。

 私信:引っ越ししたての某氏へ。ご挨拶と称した襲撃を行う予定でしたがそんなわけで行かずじまいとなってしまいました。今月中に再決行を考えておりますので宜しく。たぶん変なお土産を持っていきますので覚悟。


2002年04月08日(月)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20020401~.htm#Day08

 早めに切り上げられるようだったら映画を観に行くつもりだったが、未だ風邪があとを引いているので見送り。ああ、だるだる。

 本日のお買い物
1,高里椎奈『蒼い千鳥 花霞に泳ぐ 薬屋探偵妖綺談』
2,柄刀 一『奇蹟審問官アーサー 神の手の不可能殺人』
3,積木鏡介『芙路魅 Fujimi』
4,舞城王太郎『世界は密室でできている。』
5,霧舎 巧『私立霧舎学園ミステリ白書 四月は霧の00(ラブラブ)密室』(以上、講談社ノベルス/講談社)
6,鮎川哲也/日下三蔵・編『鮎川哲也名作選 冷凍人間』(本格ミステリコレクション4/河出文庫/河出書房新社)

 恨みます講談社ノベルス。半分くらいどーにか回収できないもんか。他に大塚英志の『多重人格探偵サイコ』スニーカー文庫収録分の改稿版が二冊出てます……持ってるけど……どうしよう……
 2は原書房刊『サタンの僧院』から枝分かれした新シリーズの模様。厚い。
 3〜5は色々と物議を醸す密室本最新刊。3はよく考えるとかなーり久し振りの新作である。4は随分ポップな装幀だ、と思ったら著者自筆のイラストレーションであった。作風の出所が察せられる。5は西村博之氏の装画を得ていよいよヤングアダルト風の雰囲気を纏った新シリーズである――しかし、折り返しにある作者の言葉が真意ならば、正直なところ、講談社ノベルス――というより新書版での刊行は不適当ではないかと思うのだが。まして内容の確かめられない密室本で出すのは余計に拙いのではなかろーか。
 6は初期短篇・入手困難な連作を編集復刻するシリーズの最新刊、遂に鮎川哲也編の登場。が、流石に昔から集めていたもので、私自身は読んだもの・持っているものがけっこう多かった。無論それで買うのを躊躇うということはなかったんだが――1200円(本体)は今月辛いです、はい。目玉は映画『ダイヤルMを廻せ』のダイジェスト・ノベライズ、かな? あいや、『むかで横丁』と競ったリレー合作『ジュピター殺人事件』か?


2002年04月09日(火)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20020401~.htm#Day09

 昨晩。某所のチャットに参加しつつ、『あずまんが大王』アニメ版の感想をリアルタイムで垂れ流して遊んでみる。
 案の定、というより最も忌憚のない方法でもあるのだが、特別な筋を作らず4コマのネタを継ぎ合わせて雰囲気だけで見せている。これも正直原作ファン以外にはどう受け止められるか気になる作りだが、しかしファンとして見れば悪くない仕上がりだろう。まだ第一話ゆえ予断は許さないが、取り敢えず画面の質は高いし声もちよちゃんの声が幼すぎること以外は文句はない。アニメの常套そのままであまりに普通すぎる演出は、モノローグを挟みすぎたことも含めてどうかと思ったが、まあこれだけ雰囲気を再現できていれば及第点だと思う。あとはこの質を維持しつつ、できればアニメ版独自のエピソードや方向性を見せてくれれば言うことなし、なのだが……既に望みすぎている気もする。

 漫画の積読完全消化ぜえはあ。石田敦子氏は恋愛の意味を問う作風がすっかり定着したようですが、系統が同じなので個人的にちと飽き始めてます。『シェリフスターズ』漫画版は、或いは原作以上に読み応えがあるかも知れず。ディテールを削ぎ落とすと有り体のSFに過ぎないんだが、それまたオールドファッションで良し。わたしゃこーいうのが大好きよ。

 風邪はだいぶ治まったが、今日も大事を取って映画鑑賞は取り止め――それ以前にバイク乗りにとっての大敵がやって来たので、迂闊に遠出はできない状況になっていたのだけど。

 静かに静かに構想を練ってみる。しかし、成否待ちのがあるため気が気でない……

 ……Keyのスタッフ日誌本日付の麻枝氏の記述を見て思わず小躍りしかかる。確かに大御所は大御所だがよもやこんなところに支持者がいたとわ。しかも『CLANNAD』と世界観が合うとわ。合うとわっ! 思わず「新作『Speaking of now』を侮ってもらっては困るぞー!」とか「そこまで紹介するなら三種類存在するサントラにも言及してくださいーっ!」とか意味不明のメールを出したい衝動に駆られるが危うく踏みとどまる。それだけのことでそーまで取り乱してどうするよ俺。


2002年04月10日(水)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20020401~.htm#Day10

 それからどうした。

 数日続いた風邪の所為で体力が減退気味ゆえ、けっきょく今日も平日の映画鑑賞はお預けにする。……怠惰だ。

 今月の26日は辛いなあ、などと思っていたらかなり早期に一本が逃げ、今日になってもう一本が案の定遠退いた。だいぶ楽になった、と言っても現段階で2本残っていて、その場で衝動的に別のものに手を出してしまいそうなのが怖い。
 さて問題です、私が買おうとしているものはいったい何でしょう? ヒントはどちらも客観的には博打。楽しみにしていたのはどっちかと言えば延期したもののほうです。なお、当たっても何も出ません。

 本日のお買い物
1,栗本 薫『グイン・サーガ84 劫火』(ハヤカワ文庫JA/早川書房)
2,『Kanon Band 1』(東映アニメーションMovic/DVD Video)

 1はよく考えると当初予定のクライマックスまであと16巻。このペースだとあと3年程度。……追い付くのは不可能だな。
 2は、某ソフト店のWポイントキャンペーンで何か買おう、と思った拍子に頭に浮かんできたもの。……やっぱり、口の位置に違和感ありますって特に第一話。内容的には、本放送の時にはときどき意図的に排除されていたオープニングテーマがちゃんと入っているのが最大の違いか。このまま継続して買うかは不明だが。どうでもいいが特典映像、久し振りに声優の喋っている姿を見た気がするが、アニメに声を重ねているよりも違和感が強い。だからどーしたという程のことでもないが。

 さいごに意味もなくリンク


「diary」への感想はこちらからお寄せ下さい。深川が空を飛びます(飛ばねえって)
映画鑑賞が止まりません。

お名前:  e-mailアドレス:
内容を本文で引用しても宜しいですか?: Yes No

 


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