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2002年03月21日(木)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20020321~.htm#Day21

 そっちはよくてどうしてこっちは駄目なんだ、そもそもどーして状況が変化したのか明示されてないじゃないか本当に君らはそれで納得してるのかてゆーかイベント起こしすぎてそろそろ冬が終わるんじゃないのか。疑問だけがひたすらに噴出する春先の深夜約一時間。或いは終盤で纏めていい方向へ持って行こうと考えているのかも、と思いつつもそれも納得がいかない。いずれにしても、残りあと三話……でも東京での放送はあと来週一回だけ、つまり一時間半一挙放送。なんじゃそら。そして何故私は相変わらず固有名詞を出さない。

 春分たって暑いにも程があると思うんです。

 観たい映画をひとつでも多く消化するために祝日も出かける。当初は10時40分頃開始の『ピアニスト』を観に行くつもりだったが、起きる(起こされた)時間がやや遅めになったため、手持ちの鑑賞券で見られる別のものに変更する。そう決めて家を出ようとしたら、あまりに風が強く両親に制止されたのでバイクでの移動は諦め、電車を利用することにした。
 ――が、これもまた今日に限っては楽な道のりではなかった。私の住んでいる一帯は休日のほうが賑わう環境で、しかもお彼岸の時期が最大のピークときている。ちょうど私が家を出た時間帯、駅では何と通行制限を行っていて、出口と入口とを別々に設定していた。舗道はのんびりと歩く人々が群をなし、急ぎたくても人の壁で先に進めない。どうにか駅に辿り着いても切符売り場にも人が溜まり当然電車も混雑気味。つくづく休日に外出なんかするもんじゃない。
 しかし一旦電車に乗ってしまえばあとは一直線である。問題なく現地・有楽町に到着し、まだ上映には20分ほど余裕があった。そういえば有楽町には間近にビックカメラがあったと不意に思い出し、一度は諦めた買い物を思い立つ。その詳細は下を参照していただくとして。
 で、悠々劇場に入った――つもりが、ちょうど予告編が始まったところ。余裕をたっぷり見たはずなのにどうして、と思ったら、私が10分ほど開始時刻を勘違いしていたらしい。まあ、まだ政府公報や映画以外のCMを流しているところで、本編開始までは充分なゆとりはあったのだが。映画が始まる前のこの15分ほども結構気に入っている私としてはちょっと悔やまれるタイミングであった。
 本日の鑑賞作品は、新鋭監督ジョン・ムーアによる戦場のサスペンス映画エネミー・ライン』(20世紀フォックス・配給)。例によって感想はこちらからどうぞ
 ちなみに本日訪れたのは今月初めに改装オープンしたばかりの日劇3。マリオン上階にあった「日本劇場」「日劇東宝」「日劇プラザ」を一挙に改装し、作品の動員数に応じて柔軟に移動できるよう新たにシネマコンプレックス方式を採用したわけで、順に1・2・3とナンバリングしたわけである。とは言え、現時点では最大の話題作『アメリカン・スウィートハート』がかつての日本劇場である1に、日本作品の牙城であった元日劇東宝の2にはやっぱり日本映画の『ドラえもん』が、そして3には洋画で動員数も読みにくい(偏見か?)『エネミー・ライン』が入っているわけで、原状はかつてのまんまにしか見えないんだが。
 が、流石に設備はかなり質が向上していた。青を基調にした落ち着いた内装のロビーに、カップホルダーに傘立ても完備した最近流行のシート(ただちょっと座席の間隔は狭かった)、それにやっぱり音響設備が非常に良くなっている。ドルビーデジタル採用と表示があってもあまりそれを本格的に意識することはないのだが、今日は久々に肌で5.1ch(もしかしたら6.1かもしれないが)を体感してきた気がする。予告編までが音質良好である。
 ――さて、見終わって帰途に就く。電車での移動を決めた段階では、途中下車してお買い物を片づけるつもりだったが、鑑賞前に済んだので真っ直ぐ戻る。流石に午後になってだいぶ人出も和らいだようで、通行制限は終わっていた。が、相変わらず一家総出と思しい集団や物見遊山の最中と見られるカップルなどが未だあちこちを彷徨いている。普段と較べる私が悪いのだが、やはり歩きにくいことこの上ないのだった。

 本日のお買い物
1,『サクラ大戦4 〜恋せよ乙女〜 初回限定版』(SEGA/ドリームキャスト対応ゲーム)
 ……結局、最終作まで、初回限定版で買ってしまった。早めに起きられたら映画鑑賞の前に近場の店に立ち寄り、その段階で初回版が残っていたら購入するつもりでいたのが、上記の通りやや寝過ごしたので半ば諦めていたのである。マニアの守備範囲からやや外れた有楽町のビックカメラなら或いは、という期待はあったが、まさに案の定、ごく普通に展示してあったので躊躇いなく購入。……前作が未プレイのまんまなんだからちょっとは躊躇えよと自分では思うが。取り敢えず、企画の成否を見ないとうかうか始められないなー。


2002年03月22日(金)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20020321~.htm#Day22

 先週まで着脱可能なフリースインナー付きの大振りなコートというかジャケットというか、そういうのを上着として選んでいたのに、週末頃には暑く感じ、今ではそれより薄手の今更『アルマゲドン』ロゴ入りのジャンパーでさえ鬱陶しくなってしまった。その下にはトレーナーも着ていたはずだがこれもいつの間にやらベストに代わっている。三寒四温どころではない、一寒五温くらいのペースで急激に春が訪れようとしている。てゆーか地元も上野も桜が満開、あまりの早さに却って気分が悪くなっていたりする。

 本日のお買い物
1,エラリイ・クイーン『スペイン岬の秘密』(ハヤカワ文庫HM/早川書房)
2,北森 鴻『メイン・ディッシュ』(集英社文庫/集英社)

 とうとう、と言うべきか今になって、と言うべきか。東京創元社に遅れて国名シリーズを刊行し始めた早川書房であったが、あと僅かのところで中断して早幾年、漸く実質的な最終作である1の発売である――ちなみにここで『ニッポン樫鳥』をシリーズに含めるか否かで、同じクイーンファンでも傾向が異なってくるのではと思っていたりする。翻訳を誰が担当するのかが直前まで最大の興味であったが、モース警部シリーズの訳者として知られハヤカワ版の『アメリカ銃の秘密』を担当したことのある大庭忠男氏が受け持っている。まあ、新しい訳者よりは馴染みやすいか? 個人的には、本格派の実作者に訳させても面白かったのではないか、と無責任な発想を弄んでみたりもするんだけど。――さて、創元推理文庫版ではシリーズ最後の一篇となっている『ニッポン樫鳥』、果たしてハヤカワでも刊行されるのだろうか? されるなら国名シリーズとしてか、或いは原題“Door Between”(……ちょっと自信がないぞと)に添った別タイトルとしてか。
 2は親本に新たに一本の作品を追加したもの。解説でも触れられているが、『狂乱廿四孝』といいこの人の文庫版は油断ならない。というか親本を買ったまま文庫化まで放置しがちな私のような人間の立場はどーなる(普通そんな奴のことなど念頭に置きませんかそうですか)。

 買い物途中にアイディアが降ってきて、構想中だった連作短篇が当初必要と考えていた分どうやら出揃った――が、何だかもうひとつエピソードが欲しいように思えてきた。数としては充分だがひとまとまりにするにはまだ紙幅が少ないような気がするし、もーちょっと別の見方をひとつ挿入しておきたい。
 ……ああ、いったい自分がどっちに進んでいるのか解らない。

『ウォーターボーイズ』特典ディスク収録の番外編を二本ほど見る。矢口史靖監督自らの脚本・演出作品は女子高の文化祭実行委員会3人組を主人公にした一本きりだが、それでも本編を観た上でならいずれも楽しめそう。単独でもちゃんと完成された、しかも約6分を僅か3カットで表現してみせた矢口作品の完成度がいちばん高そうなのはまあ当然としても。
 ところでこの番外編、私の見た二本はいずれも音楽担当が谷川賢作という人物。どっかで聞いた名前だ、と思いよくよく考えてみれば、詩人・谷川俊太郎氏の息子であった。――同姓同名の別人だったらごめん。


2002年03月23日(土)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20020321~.htm#Day23

 朝まで今日の予定を決めあぐねていた。来週の某イベント直前に前哨戦めいた集まりがあって、店の予約を私が請け負っており、下見を兼ねて予約に行けるのはたぶん今日が最後の機会のため(予定している店は日曜定休)、店を訪れることを前提とすると映画鑑賞にあまり遠いところまでは行けない。今日の段階で観に行きたい作品はふたつ、が上映開始時刻に隔たりがあり、一方ならば観賞後に食事、もう一方なら鑑賞前に食事を済まさねばならない。後者は鑑賞券を確保していない作品のうえ時間割もシビア、しかも前者はよくよく考えると劇場鑑賞券利用で、今月28日(変則的)に期限が切れる。つまり条件的には前者をこそ優先するべきなのだけど、内容が肌に合うかどうか予測がつかず、後者は間違いなく私好みだと想像がつくのだ。
 ――結局、鑑賞前だと食事や下見の時間が充分に取れない、という判断の元、前者の選択肢を拾った。銀座、映画街からはやや離れた位置にあるシネスイッチ銀座を訪れ、昨年のカンヌ映画祭グランプリ(準優勝)受賞作品ピアニスト』(日本ヘラルド・配給)を観る。例によって感想はこちらから。先に柴田よしきさんの「男性が見たらどう思うのか」といった感想を目にしていたのでかなり身構えていたのだが、特に何の問題もなく。あまりにがっちりと仕上がっていてそのことのほうが悔しいぐらいだ。
 途中までいつも通りの帰り道を辿り、途中から道を逸れて国道17号線を東大付近まで進みバイクを止める。問題の店は裏通り、路地の入り組んだ住宅街の直中にあって、やや迷ったが無事に発見する。聞いていたとおりかなり狭い店構えで、私自身しばらく席が空くのを待たねばならなかった。無事席に着き、鳥南蛮うどんを食す。味は納得。支払の時に予約が取れるかどうか確認したところ、基本的に受けていないと言われたのだが、事情をお話ししていちおう確保していただく。二階にも席があり、そこなら12人ほど入れるのだそうだ。無事に役目を果たしたところで、このまま職場近くまで遠回りして、行き付けの書店で簡単に買い物を済ませるつもりだったが、ぽつぽつと雨粒が落ちてきたので急遽まっすぐ家に戻った。

 ――って、三ヶ月連続で月間7本映画観てるよ俺!

 本日のお買い物、そんなわけで何もなし。
 その代わり、MYSCON3に備えて読んでおきたい本を屋根裏から発掘してくる。西澤さんの近著と、これはMYSCONではなく映画に向けての予習としてもう一組。西澤さんのは問題なく見つかるが、もう一点のほうが発見できない。まあまだ先の話だしあとでもう一度捜すか、と思って部屋に戻ってから気付いて、着替えの山を削りその奥にある段ボールを調べてみる。……あった。まだ先の話ではあるがヴォリュームがヴォリュームなので、ひとまず外に出しておいた。
 ……ちゃんと読めるかなー。

 MYSCON3全体イベントのグループ分けが参加者向けメールで発表となる。……なんか全体企画中、私一人ぐらい発言しなくてもちゃんとオチが付きそうなグループだわ。いや、本気で黙ってるつもりはありませんけど。


2002年03月24日(日)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20020321~.htm#Day24

 MYSCON当日まではちょっと作業をお休み気味にして、読書とDVD鑑賞に費やすことにする。最優先と決めた一冊に手をつける一方、DVDは『ポエトリー、セックス』(Asmik)を鑑賞。
 ……ん、まあ、こんなもんか。女探偵が主人公、幼い女流詩人の失踪と死を追う傍ら、出逢った中年女性と恋に落ちるが……という感じのストーリーで、いちおうミステリ風なのだが、仕上がりは同じミステリでも芸術的な2時間サスペンスドラマという程度。チャットやICQにかまけつつの鑑賞だったため大事な伏線を見落としているのかもしれないが、にしても真相発覚の過程があまりにいい加減に描かれていて、どーにも腑に落ちない。詩人の心理や主人公の恋愛嗜好に関する葛藤など、感情面の描き方は悪くないと思ったのだけど、悪くないと思った程度で全体のバランスはいまいち。
 ちなみにこの作品、公開時はポスターのデザインだとか年齢制限の指定などでちょっとした話題になった。性描写の芸術性とか作品にとっての重要性とか、主旨は記憶していないが広報担当者があれこれ大層に歌っていたものだけど……正直、悪い意味で、制限をかける価値はないかな、と思ってしまった。確かに必要な性描写と言えるのだが、必要なのはこの部分を取り去ると本当にどーでもいい、盛り上がりも盛り下がりも殆どないサスペンスに成り下がるからで、作品を劇的に優れたものにしている訳では全くない。また、芸術性に満ちた作品であるように思わせた当時の煽りは、たぶん作品そのものへの評価を大幅に引き下げている、としか思えないのだけど……。
 通常のスリラーと若干趣が異なり、気楽に観られるもの、としてなら充分に目的を果たすだろう、がその程度でしかない。役者の配置や造型には色々と新味を見出せるが、そんなもの普通に観ている分には気にしないものなのだし。昨年見に行けずに嘆いた作品のひとつだが、……これはちょっと違ったかな。DVDで充分。

 本日のお買い物
1,こがわみさき『でんせつの乙女 [新装版]』(DNA COMICS/スタジオDNA)
2,竹本 泉『よみきり・もの(2)』(BEAM COMICS/enterbrain)
3,和田慎二『ピグマリオ(10)』(MFコミックス/メディアファクトリー)
4,坂田靖子『坂田靖子セレクション第11巻 水の森綺譚III』
5, 〃 『 〃 第12巻  〃 IV』(以上、潮漫画文庫/潮出版社)
6,稲見一良『遺作集 花見川のハック』
7,菅 浩江『末枯れの花守り』(以上、角川文庫/角川書店)
8,鮎川哲也『黒い白鳥』
9, 〃 『憎悪の化石』(以上、創元推理文庫/東京創元社)
10,西澤保彦『聯愁殺』(MYSTERY LEAGUE原書房)

 昨日の分も弾けてみました。……などと言っている場合じゃないな。
 1は光文社で刊行されていた最初の作品集(……よね?)の新装復刻版。待望である。
『てきぱき〜』のあとを受け継ぎ、また某誌での読み切り連載スタイルを継承する形で続けているコミックビーム読み切りシリーズの第二単行本である2、個人的に最高傑作と思っている『アップルパラダイス』のキャラクターも何故か再登場しているのだがあとがきでもなかがきでも再登場であることには一言も触れていない。宣伝とか興味ないんかあんたわ。
 6は1994年……ってもう八年も前になるのか、に亡くなって暫くのちに刊行された、最晩年の作品を集めた最後の短編集。『ダックコール』のような異様な質の高さは味わうべくもないが、死を目前にして研ぎ澄まされた文体と不思議な清澄さが光る一冊である。亡くなったあとに発売された単行本の幾つか、勿体ないという理由で未だに読んでませんわたし。7は単行本の時に未購入……だった、と思う。
 8と9は1月の『黒いトランク』に続いて発売された、創元推理文庫版鬼貫傑作選。最初に文庫の新刊予定でこの題名を見たのはいつのことでしょうそれこそ稲見氏の亡くなる前後だったような気がするが。ともあれ漸くの刊行、解説も有栖川有栖氏・山口雅也氏という如何にもな仕様を楽しむとしましょう。
 10はMYSCONにゲストとして参加する西澤さんの最新作。笠井潔氏の『オイディプス症候群』と一緒に買うつもりだったが、『オイディプス〜』は状態の悪い本が一冊だけしか発見できなかったので後日送り。それにしても、本当に最近本の入荷状況が悪化してて困る。
 他に、久々に更新された河内実加さんの日記で、法月作品の漫画化作品が載っていると初めて知り、慌てて『サスペリアミステリー2002年5月号』を購入。作品は図書館シリーズの白眉『緑の扉は危険』(一発ネタという説もあるが)。法月探偵はいわばエラリイ・クイーンの日本人化と同じなのでヴィジュアル・イメージにクイーンとの差違はないだろう、と想像はついていたのだが、図書館シリーズでのワトソン役・沢田穂波は如何なものか、……………………
 自分でこの言葉を使う日が来ようとは思ってなかった。萌死。すいません出口が見つかりません助けてくれーっ! 類型は幾らでも上げられるが束になっただけでこうも軽くKOされるとわ、寧ろ自分が恐ろしい。続編切望。目的が大いに間違っている気がするがそもそも作者の法月氏自ら「萌え」を使っていたんでは致し方ない。わをーん。

 申し訳ありません激しく取り乱しました。

 ……えーと、いま、そこの社長はその人ではなくT彦氏……

 いま読んでいる本に合わせて、現在BGMは村下孝蔵。……うあー、まだしんどいぞ。随分経つのになあ。

 cgiを置いているサーバの大規模メンテナンスが終わった――が、cgiのレスポンスが全体に悪化。カウンターの画像がなかなか降りてこないしアクセス解析の閲覧も不具合が発生しがちだし。困ったもんだ。

 その後一気に小説を読み切ろう、と思っていたのに思わずテレビで放映されていた『ダイ・ハード』後半に見入ってしまう。そーいや、意外にもまともに見た覚えがないぞこの話。


2002年03月25日(月)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20020321~.htm#Day25

 深夜に西澤保彦『異邦人 fusion』(集英社)読了。感想はこちらから。あー、久々にまともに小説を読んだ気がする。それにしても季里子の人物造型が他人事とは思われず。いや、わたしに似ているとか言うんでなく、キャラの組み立てがわたしの嗜好に嵌りすぎている、という意味で。

 花冷え、と言うのか、この二日ほど先週の暖かさはいったいなんだと思うほど寒い。いい具合に引き締まって桜の花期が伸びそうな気がするが、あんまりちんたらと長く咲き誇る桜も風情がない――というのは単なるエゴだ。

 なぜお前がやるんだ、と思われるかもしれないがアカデミー賞受賞一覧。
 主演男優賞=デンゼル・ワシントン(トレーニング・デイ)
 主演女優賞=ハル・ベリー(チョコレート)
 助演男優賞=ジム・ブロードベント(アイリス)
 助演女優賞=ジェニファー・コネリー(ビューティフル・マインド)
 アニメーション部門賞=シュレック(アーロン・ワーナー)
 美術賞=ムーランルージュ!
 撮影賞=ロード・オブ・ザ・リング
 衣装デザイン賞=ムーランルージュ!
 最優秀監督賞=ロン・ハワード(ビューティフル・マインド)
 短篇ドキュメンタリー部門賞=ソース
 編集賞=ブラックホーク・ダウン
 外国語映画賞=ノー・マンズ・ランド(デニス・タノヴィック監督)
 メイクアップ賞=ロード・オブ・ザ・リング
 作曲賞=ロード・オブ・ザ・リング(ハワード・ショア)
 作曲賞(歌曲)=モンスターズ・インク(ランディ・ニューマン“I Didn't Have You”)
 最優秀作品賞=ビューティフル・マインド
 短篇アニメーション部門=フォー・ザ・バーズ
 短篇実写部門=THE ACCOUNTANT
 音響賞=ブラックホーク・ダウン
 音響効果賞=パール・ハーバー
 視覚効果賞=ロード・オブ・ザ・リング
 脚色賞=ビューティフル・マインド
 オリジナル脚本賞=ゴスフォード・パーク
 作品賞と主演男優賞はわたし当ててました。あの演技を見てれば外しようがありませんものデンゼル・ワシントン。一回きりの大業ではあるが。しかし、何より意外だったのは主演女優賞のハル・ベリー(『ソードフィッシュ』ではそれほどインパクトはなかったんだが)であった。初の黒人女優による受賞、というのは寧ろ今までなかったことそのものに驚くが、わたしはてっきりニコール・キッドマンが取るものだと思っていたんだけど――多分に思い入れもあるが。
 それにしても、13部門もノミネートされた『ロード・オブ・ザ・リング』であったが、蓋を開けてみれば主要部門は皆無、撮影賞・メイクアップ賞・作曲賞・視覚効果賞の4部門のみ。それだって立派な結果であるが、作品賞・監督賞・助演女優賞・脚色賞の主要4部門を得た『ビューティフル・マインド』の勝利は火を見るよりも明らかだろう。……が、何より哀しいのはリドリー・スコット監督である。実力については既に折り紙付き、幾度候補に上ったか解らないのにまたしても受賞を逃している。まあ、スピルバーグもそういう意味では冬が長かったから、いずれ、とは思うのだけど。
 ミニシアター系の雄2本『アメリ』と『メメント』が共に落選となったのは惜しいが、ま、今更これ以上の評価は必要とするまい。

 本日のお買い物
1,笠井 潔『オイディプス症候群』(光文社)
2,那州雪絵『天使とダイアモンド』
3,野間美由紀『パズルゲーム☆はいすくーる(6)』(以上、白泉社文庫/白泉社)
4,堤幸彦・監修『TRICK2』
5,神坂 一・トミイ大塚『スレイヤーズぷれみあむ』(Kadokawa Comics Dragon Jr./以上、角川書店)
6,大塚英志・衣谷 遊『リヴァイアサン(5)』
7,吉富昭仁『EAT-MAN(15)(16)』(以上、電撃コミックス/メディアワークス)
8,『こみっくパーティー アンソロジーコミック 6』(Twin Heart Comics/MISSY COMICS/宙出版)
9,『To Heart コミックアンソロジー Vol.15』(DNAメディアコミックス/スタジオDNA)

 あははははは。
 1はどーも配本数が少なかったようでなかなか見つからず、あっても状態悪ばかりだったために今日まで入手できませんでした。漸く入手、しかし厚い。どーせなら二段にしてくれればいいのに、ってそれも善し悪しなんだが。
 2は那州雪絵の約10年前の連載作。わたしは先月の文庫予定表で初めて本編の存在を知った。高校球児の話ではなく高校生が野球をする話、とのこと。これと6は発売から一週間以上経つはずだが、行き付けの書店で「入る」「入る」と言いながらなかなか入荷されなかったので、結局痺れを切らして別の店舗で購入。今月、他にもそういう状況の新刊がわたしにはまだ二冊ほどある。どうしたことだ。
 4、は言うまでもなく先日大団円を迎えたドラマのノベライズ。文章であの味が出せるのか、てゆーかあのまま並べたら同一傾向の話が続いてしまった事実をより明確にしやしないか、という不安はあるが別にいいの。……ところで、なぞなぞの答はちゃんと書いておこうね。
 凄いのは7だ。二冊同時発売で、しかも15巻はオール書き下ろし。つくづくこの人の執筆速度は異常だ。
 8は、同時発売の『月姫アンソロジーコミック』のほうに興味があったが、どーも先週土曜日に発売、行き付けの店では数が少なかった所為もあって即売り切れたようで、追加も入らなかったらしい。あーもう、そんなんばっかだ。

 そしてよーやくカウンターを一本化する。まだ不安はあるんだが……

 昨晩の勢いをそのまま引き継いで、日中には西澤保彦『ナイフが町に降ってくる』(祥伝社文庫/祥伝社)読了。感想はこちら。えーい、もういっちょいってまえー!


2002年03月26日(火)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20020321~.htm#Day26

 髪観たい硫酸紙切りたい映画探しに行きたい。
 ……違うな。
 髪切りたい硫酸紙探しに行きたい映画観たい。
 これでいいのか。でも何故だか最初のほうも大きな誤りはないように思える今日この頃。硫酸紙は、そろそろ元バイト先から大量にカバーを戴いてくるのも気が咎めてきたし、そもそも印刷入りで本来のカバーが見えないから整理する際いちいちページを開かなければならないのが面倒臭いので、先達に倣って採用を検討しているから。しかし、職場近くでいちばん使い勝手のいい文房具店では既に取り扱いを止めている。すると、銀座の伊東屋までまずは足を運んでみるしかない、と……しかし、今週は結構身動き取りづらいからなあ……。

 止まりません。西澤保彦『聯愁殺』(MYSTERY LEAGUE原書房)読了、感想はこちらから。よし、これで今年ミステリベスト10の投票権が来てもひとつは迷わずに挙げられるぞ! と虚しくも無意味な喜びを噛み締めてみる。そもそも来月以降も新刊を読む余裕があるかどうかは依然解らないのだし。

 本日のお買い物
1,『電撃萌王VOLUME1』(メディアワークス)
2,ジョン・コラピント『著者略歴』(ハヤカワ・ノヴェルス/早川書房)

 あれと狙いが同じでしかも雰囲気も一緒だなどと言うのは禁止、の1。買う人間は多分みんな百も承知です。なおわたしは、門井亜矢の『うさみみ天国』が載っているかぎりは講読することをこの一冊にして早くも固く決意。……最近ちょっと弱っているのかも知れない私。
 2は折原 一・スティーヴン・キングという内外の大物の讃辞を得たデビュー作。タイトル粗筋ともにひじょーにマニア心を擽られたので購入。

 今週の週刊少年サンデー掲載の読切は名作。アイディア一発の大業ではあるがそれ故に必読。ある意味、足許からひっくり返されたような衝撃があります。

 帰宅後すぐにパソコンの前に座りあちこち巡回したりお買い物の記録を取るのが日課なのだが、ここ数日その私の膝の上で猫が寛いでいることが多い。最初は箱座り(通常の立位から前足・後ろ足を折り、そのまま静止する)ですぐにも移動できる体勢なのだけど、段々と本格的に寛いで、喉を鳴らしながら丸くなる。猫好きにはただの自慢話に聞こえているだろうが、この状態が30分も続くとどうだろう。昔からの習慣で、猫を足に載せるときは足を組むのだが、10分程度なら兎も角30分40分と経つと本格的に痺れてくる。だいたい飽きるときはすぐに退いてくれるのだが本気で寛ぎはじめた猫は1時間経とうと2時間経とうとその場を動かないものだ(寝返りを打ったり向きを変えることはあるが)。最初はいいのだが段々しんどくなる、というかこれを書いている今現在実際に辛い。前でキーボードを打っている腕に顎載せてくるし。

 太田忠司さん柴田よしきさんのアドレスを新しいものに変更致しました。随分前に、柴田さんのサイトにバナーを提供したのですが、それがリニューアル後も使われている、どころかトップページにアクセスするとすぐさまページ下部に表示されるのが面映ゆいったら。


2002年03月27日(水)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20020321~.htm#Day27

 本当にどうしたのかわたしわ。篠田真由美『龍の黙示録』(NON NOVEL/祥伝社)読了。感想はこちらから。そのまま続編『東日流妖異変』に着手したいくらいノっているが、取り敢えず間に2・3冊おく予定。

 雨のために両親の車に乗せてもらっての出社。自由が利かないので今日も半ばは諦めていたのだが、父が銀座方面に用事があると聞き、便乗して伊東屋を訪れた。硫酸紙そのものはここでも取り扱っていないのだが、グラシン紙というものが代用可能というので、試しに全判で10枚ほど購入してみた。これから使い心地の検証である。さて、いかがなものか。

 ……すんごい手間がかかるんだこれが。頂き物の書店謹製カバー(住所表示が古いもの)は新書版以下に合わせたものと雑誌サイズまでに合わせたものの二通りが用意してあり、背表紙にあたる部分にガイドがあって、そこに添ってハサミを入れればだいたいの書籍に対応した大きさに揃えられる。が、まったく生のままの紙を適当なサイズに切り、それをカバーに出来るように形を整えた上で被せるのは、ガイドがあるのに較べて数倍の時間がかかるのだ。しかも御存知の通り(或いはご想像の通り)私の部屋の行動可能な空間は異常に狭い。全判の紙を拡げた状態でカットできるはずもなく、色々と工夫をしてサイズを合わせてゆく。今日買った書籍以外、昨日読み終わったものとか週末のMYSCONに持ち込むのでカバーが見えていた方がいいものなどにかけてみて、ようやっと慣れてきたところだが、いずれにしても手間がかかるのは確か。忙しいときはとてもじゃないがやってられません。んなことにかまけているから折角快調だった読書も一時中断してるしああ本末転倒。

 本日のお買い物
1,芦辺 拓『名探偵Z 不可能推理』(ハルキノベルス/角川春樹事務所)
2,柴田よしき『ミスティー・レイン』
3,大石 圭『殺人勤務医』(角川ホラー文庫)
4,火浦 功『ファイナル・セーラー・クエスト 完全版』
5,泡坂妻夫・折原 一・霞 流一・柴田よしき『ミステリー・アンソロジーIII 密室レシピ』(スニーカー・ミステリ倶楽部/以上2冊=角川スニーカー文庫/以上5冊=角川書店)
6,城平 京・水野英多『スパイラル〜推理の絆〜2 鋼鉄番長の密室』(COMIC NOVELS)
7,きたうみつな『まじかる☆アンティーク(1)』(Gファンタジーコミックス)
8,天野こずえ『AQUA(2)』(stencil comics)
9,藤野もやむ『ナイトメア☆チルドレン(5)』(GANGAN WING COMICS)
10,『こみっくパーティー(第三集)』(エニックススーパーコミック劇場VOL.48/以上5冊=ENIX)

 ……なんつうか、無茶苦茶だな。よく見ると角川とエニックスの固め打ちだし。
 それは兎も角。一部のファンの皆様お待たせしました、数ある芦辺拓作品の中でも特異な地位を占める伝説のシリーズが遂に単行本化です、の1。装画と目次のイラストは、『サイバーフォーミュラ』などに携わり奇妙なギャグセンスを発揮するサムシング吉松氏。中身同様にブッ飛んでます。紹介しながら私自身読みたくて読みたくて仕方ありませんがMYSCON準備期間のためちょっと間をおく予定ですと書くのすら口惜しいわおーん。
 2は昨年頭あたりから殆ど月刊化している柴田よしきさんの最新作。芸能界を舞台にした、恋愛を絡めたミステリー。夕焼けのような色使いの装幀がいいぞ。
 3は母の買い物だがいちおう加えておく。ホラー文庫での前作『アンダー・ユア・ベッド』を母が褒めていたので買わせた。4は、先日雄叫んでおいたので省略……現物を目の当たりにしたら多少納得するかと思っていたら、却って内圧高まった気がする……。5は一線で活躍するミステリ作家の書き下ろし作品を集めたアンソロジー第3作。ここに来て泡坂氏を起用するとわ。
 6は人気漫画シリーズの原作者自らが手掛けたオリジナル小説第二作。この常軌を逸した題名を思いついたところから書き始めるあたりが非常に、らしい。
 7はアンソロジーではなく、メーカー公認の連載作品単行本化。18禁でしか発売されていないゲームを一般漫画誌で漫画化する、と聞いたときはかなーり驚いたが、どうやら無事に続いているらしい。8・9は先のあれこれと関連して最近連載を終えた二作品、従って両方とも完結巻。とは言え、8は舞台を変えて継続しているわけだが……題名が『ARIA』……くはーっ<意味不明
 10はもはやめんどくさいので言及無し。今日買ったエニックスの本はみんなレーベルが違っていて書き留めるのが大変だったわほんとに。


2002年03月28日(木)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20020321~.htm#Day28

 ……やあ、終わりましたぜ旦那。そこの兄ちゃんは最後まで画面に向かって「俺に書き直させろーっ!」とか喚いてたけどな。ま、もともとファン以外はお呼びでないって話と放送の仕方だったから、あんなとこじゃないのか? 俺自身もとの話全部知ってるわけじゃねえし、どうも脈絡がよく解らんところが多かったからな。たぶんはじめっから13話だって言われてたから、こういうふうにまとめるしかなかったんだろうな。何もかも悪い方に考えるこたないだろ、な? ……ま、好意的に見られるのももしかしたらファンだけかも知れねえっていうのがいちばん問題なんだろうけどな。

 そして私は最後まで固有名詞を出さない。というか、上の文章は何故第三者の視線なんだろうね。兎に角間が間が間が間が気になって気になって仕方なかったのです、最後まで。結果として最後の最後に恋愛物のパターンに突入していったわけだが、あの場合――こと、ゲームという形で幸福な結末も提示されているこの作品に関しては、あるキャラクターが必要以上に不幸に見えるわけで。

 一晩中カバーかけに専念していたので、今週に入って初めて読書が捗らなかった一日。……でもないか、日中に随分読み進めていたし。
 という具合に読書が快調な一方で、深刻な様相を呈し始めたのが、――漫画。ここ数日の買い物を御覧いただければお解りになるだろう、小説よりもずっと沢山買い込んでいるのだが、まだ24日に買った分が消化できていない。まったく世の中良く出来ている。
 当然ながら創作は完璧な停滞状態――が、このところ休みなく創作絡みの入出力を繰り返していたところを、いきなり自分に揺り戻しの来ない(いや、ものによっちゃ来るんだけど)読書中心に切り替えたことで気分のほうもリフレッシュしてしまったようで、意欲は俄に掻き立てられている。やっぱりただ書いているだけじゃストレスになりまさあね。旅行だ行楽だに金を回さず大半本に注ぎ込んでいるから、籠もっている分ほかに刺激を受けられる場所もないのだし。
 ……で、溜まっていく漫画をどうしたらよいのか途方に暮れているところでもある。

 光原百合『遠い約束』(創元推理文庫/東京創元社)読了。本編とは直接絡まないところで疑問を抱いたがそれも含めて感想のほうで触れます
 まだまだMYSCON準備週間は続く。

 本日のお買い物
1,竹本 泉『いろいろいろもの』(BEAM COMICS)
2,『こみっくパーティー アンソロジーコミック』(Magi-Cu Comics/以上、enterbrain)
3,『月姫 アンソロジーコミック2』(Twin Heart Comics/MISSY COMICS/宙出版)
4,吉田基已『恋風(1)』(イブニングKC/講談社)
5,ジーン・ブルーワー『光の旅人 K-PAX』(角川文庫/角川書店)
6,『紅の豚』』(ジブリがいっぱいCollection/ブエナビスタホームエンターテイメント/DVD Video)

 とーとー出ましたよ皆さん、って昨日も似たような切り出しだったな、ともあれ待望の竹本泉第三画集となる1の発売である。
 2は、とうとうenterbrainからも出始めたアンソロジーコミック第一回配本より。……しかし、面子に新味はない。
 3から5は行き付けの書店で入荷困難となっているので、秋葉原まで出向いての購入。3は同人ゲームをオリジナルとするアンソロジー、の何と第2巻。今回はオリジナルスタッフは参加しておりません、流石に。4はよく訪れるサイトでやっったらプッシュしていたので、気になって予定表に入れていたところ、どうやら同じような人々が小さな書店の配本率より多くいたようで、行き付けでは早々と品切れになったのでした。内容は――お兄ちゃん?
 5は来月から日本公開予定の、ケヴィン・スペイシー主演最新作の原作。今月の新刊の列に加わっていたので、映画化に合わせて初めて訳出されたものとばかり思い込んでいたが、後ろを見ると「一九九五年に角川文庫より刊行した『K−パックス』を改題したものです」とあり、しかも訳者は幻想文学などにも寄稿されるベテランの風間賢二氏。実はかなり真っ当な現代ファンタジーらしい。予告編を見たときから個人的に期待が大きかったのだが、原作がこの様子なら内容は大丈夫だろう――んが、そうなると折角なら画面で結末を知りたい、と思えてきて、買ってきたこの本をいつ読むべきか(モチベーションの高い今ならあっという間に読み終えてしまいそうなんだが)迷ってしまうのだった。
 6は、もはやお馴染みの『ジブリがいっぱいCOLLECTION』最新作。宮崎駿監督の「理想」がいちばん反映された作品かも知れない。今回の特典の目玉は、収録されたフランス語版音声でのポルコ・ロッソをジャン・レノが演じていること。基本的にこのシリーズは全て買うつもりでいたが、今回はこれが特に楽しみでした。――特番が多い上に読書が捗っているので、暫く見られないんだけど。

 先週の段階でも母と話していたのだが、『金八先生』はそもそも第四シリーズ――たしか第一シリーズで生まれた早過ぎる子が三年生のとき、問題の多発する桜中学三年B組に、校長からたっての願いで教育委員会か文部省(当時)から呼び戻された経緯がある。そして名作の誉れ高い第五シリーズでは、担任を持たない学年主任として勤務していたところ、三年B組全体による担任への暴行という事件が起き(最初の段階ではクラス全体の犯行とは判明していない)、双方とも学年半ばから急遽担任に復帰している。キャリアからも業績からも、本来なら動かし難い立場にある教員のはずなのだ。そういう人間を、これも急遽任期半ばで交替しただけの校長が、自身の意志のみで異動させる権限はあるのだろうか?
 それが今回は頭から担任教諭となっているあたりから、実は今回のシリーズ、金八先生の立場が曖昧なのだ。復帰以降の大前提が覆されている――前提とは、「現場に金八先生がいたら」という、当時の教育現場の圧倒的な危機感である。無論、この危機感そのものは当時も今もさして変わっていないのだが、呼び戻されてスーパーバイザーとして梃子入れするのと、現場の人間として悩むのとでは話が違う。そうして考えてみると、今回のシリーズは、超人的にすら見え始めた金八先生という存在を、いちど人間に引き戻そうという試みであったのかも知れない。だからこそ、息子幸作の大病という要素が求められたのだろう。
 曖昧さ、はそのキャラクターが浸透してしまったがゆえのひとたびの反抗と捉えられるが、そこに殺人犯の息子に性同一性障害の(生物学的意味合いでの)少女という、取り分け医学的にも解釈の定まらない後者のような問題を持ち込むのは、流石に荷が重かったのではないか、と思う。元々人生の極めて短い一部を切り抜くしかないドラマの、しかも学校生活という極度にデフォルメされた一断面を覗き込むこの手法は、断面であるがゆえにリアリティを追求するのであれば問題の解決を提示することが難しい。最後まで来ても、この問題児ふたりに明確な答を出せなかったのは、その見地からすれば間違いではないのだが、重いからこそもっと徹底的に取り組んで欲しかった、というのは欲張りなのだろう。
 もっと割り切った考え方もある――「金八先生」に限らず、フィクションで可能なのは本来問題提起のみで、解決方法を示すことではない。もともと一例を取り上げて全体に決着をつけようなどと、烏滸がましい思いなのだ。そう考えれば、やはり今回のシリーズも、これはこれで悪くない結末だったと捉えられる。フィクションとして纏まりが悪いなど、欠点を挙げればきりがないが、こうまで緻密に取材を行い、約半年間に亘って濃密に語ろうとするドラマ自体ほかには大して存在しないのだから、ある程度の甘さは許容したい。
 ……でもなあ。元々一介の教師がひとつの学校に延々十数年も留まっていること自体稀なのに、学校を移るくらいでみんなしてそんないきり立たなくてもなあ……。あの校長も、描かれた立場は巧妙だと思うが、公衆の面前で取り繕う程度の度量がないならそもそも器ではないだろうに。今回、ちょっと脚本家がやりすぎたきらいがあり、そこがいちばん惜しい。

 ちなみに『左眼を忘れた男』は「左眼」であって「左目」ではないのよ。

 ……しかしまた長いな。なお本日のアンビリバボーは冒頭の「自らに呪いをかけた男」以外は私にとって常識以前の知識が羅列され、レポートもこれまでの同工異曲が殆どだったので、途中で見切りをつけて風呂に入ってしまいました。だって金八先生が長いから、ここを逃すと入れずじまいになるしー。


2002年03月29日(金)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20020321~.htm#Day29

 風に頼んでも無駄ですか 振り返るのは嫌いですか
 どこにもある様な事ですか
 ……わたし髪を切りました(byグレープ『追伸』)。
 中途半端に髪が伸びた状態だと、顔だけを見るとみょーに女の子みたいな印象になるもので、却ってこのまま放っておこうかとも思ったのだが、やはり鬱陶しいし髪を洗う時間が長引くのも嬉しくない。そして切りに行くときの恒例として、なるべく短めにしてもらう――面倒臭がって床屋から足が遠ざかっても暫くは保つように。
 だいぶさっぱりした、が頭が軽い。頭皮が寒い。

 本日のお買い物
1,宇佐美渉『はーとふるピンク』
2,結城心一『ももえサイズ(2)』(以上、零式コミックス/シュベール出版)
3,高田裕三『ゴリ押し成就 ドラマジ!?(2)』(てんとう虫コミックススペシャル/小学館)
4,元田隆晴『現役医師が体験した!! 本当にあった病院の怖い話』(竹書房文庫/竹書房)

 イロモノ特選……すいません言い過ぎました。
 1と2は何故かbk1で予約購入した漫画2点。1は2〜3年前に発売された単行本に未収録短篇を追加した新装版。でも中身はいつものとおり。2は、やっぱり解りにくい引用ギャグに、1話ごとに新しい単語が追加されてゆく正式タイトルがもはやとんでもないことに。ちなみに2には限定何千部(1000だったような)の初回版缶ペンケースつき、というヴァージョンも存在している。bk1では予約受付していなかったしその筋の店では予約で売り切れになってしまった模様なので入手は絶対に無理だろう、と思っていたら――昨日立ち寄った秋葉原の某書店に平積みになっていた。なにそれ。
 3、4ともに予定表から拾い忘れていたもの。3は高田裕三初の学年誌連載最終巻。でもノリはだいたいいつもどおり、妙にこっ恥ずかしい雰囲気もそのまま。この方は大長編になってしまった『3×3EYES』を除くとだいたい単行本二冊くらいで完結してしまう作品が多いように思うが……
 4は久々に買った怪談本。パターンを集め尽くしたのかすっかり新鮮味のある本と出逢わなくなってしまったため、『新耳袋』以外はもう手を出さずにおくかとも一時は考えていたのだけど、この著者の本は比較的まともだった記憶があったので、内心訝りつつも購入。

 自宅ではカバーかけに夢中で若干ながら読書が停滞。久々に最新読書感想なしの更新。未だに悩んでいるのだが、流石にハードスケジュールとなることが明白なので、明日に限って映画鑑賞はお預けにしようかと思っている。その場合は、恐らく日中にいちど、感想のみ更新するはず。
 ともあれ、MYSCON3に参加するため、通常の更新はない……と思う。いや、ノートパソコンとPHS、それに両方を繋げるケーブルさえ持っていけば、中からでも更新できるんだよね……。


2002年03月30日(土)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20020321~.htm#Day30

 MYSCON前最後の更新です。次の更新は……今夜、普通にするかも知れません。いちおうPC含め必要なものは持って行くつもりでいますから。

 流石に今夜は体力勝負のため、考えた末映画鑑賞は取り止めた――未練はあるが。『ブラックホーク・ダウン』か『ビューティフル・マインド』か……あとあと大変そうだからなー。
 11時頃まで、PCで音楽を鳴らしつつMYSCON準備週間最後の読書として浅暮三文『左眼を忘れた男 I wanna see you』(講談社ノベルス/講談社)読了、感想はこちらから
 読書のあと、デジカメとノートPCそれぞれに充電させつつ、ちょっとした買い物と銀行での用事を済ませるために外出する。途中ふと立ち寄ったCD屋でBGMにかかっていたCDを買いそうになるが、あとのことを考えどうにか踏みとどまる。
 用事を済ませ、マクドナルドで簡単な昼食を買って自宅へ。早々に準備を終え、あとはのんびり無関係な読書を――と思っていたが、やはり禁断症状が出た。あまりにも私好みの予感がしたので見るのを止めていたDVD『π』を流す――いま途中なので感想はなし。

 本日のお買い物
1,あかほりさとる『霊都清掃 こいまげ。(2)』(カッパ・ノベルス/光文社)
 だけ。ほかは、止めようか迷っている定期講読だけ。それにしても、やっぱりというか案の定というか、予定は大幅に狂って月一冊どころか二巻には次の予定も書かれていない。そしてまたしてもラジオドラマ化の記述。……やっていることが同じならわざわざカッパノベルスという今までと異なるフォーマットを利用する意味はないと思うんだが。

 MYSCON3に関する詳細なレポートは別ファイルにて纏めました。長いです。はい。こちらからどうぞ


2002年03月31日(日)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20020321~.htm#Day31

 昨日の出来事に軽い追加。
 出発前、やや時間を持て余し、やはり『π』を見続け、漸く終わりまできっちりと見る。
 描いている脅威はいささか抽象的だが、主人公の視覚を代弁するようなモノクロ映像と幻惑するようなカメラワークで、見る者を半ば強引に主人公と同じ視点に巻き込む。やや散漫な状態で見ていたためそこまでは到達しなかったが、最後の場面における主人公の衝撃的な行動は、或いは共感して見てしまうかも知れない。成る程刺激的な物語――だが、レイトショーで驚異的な動員数を記録したのは、たぶんマニアとリピーターだろうな。嫌悪する人も多かろう。

 私が蕎麦屋近辺で右往左往しているころ、池袋あたりではえらい濃厚な面々が濃密な話をしていた模様。萌え要素は沢山詰め込んでいるけど内容はクソ――ああ、咄嗟に思いつかない。そのものを読んだときにはかなりこめかみにギリギリと突き刺さるものを感じるのだが。そう、『π』の主人公のように、ドリルで孔開けたくなるくらい。

 そして夕方から五時間ほどを費やして、MYSCON3レポートを仕上げる。気力を使い果たしたので今日の更新はこれだけ。先週は準備期間と称して読書にかまけていたが、浅暮さんからもしきりに背中を押されてしまったので、ぼちぼち次のネタに着手しようかなと思う。……あの企画が進むのなら事情は異なるんだが。


「diary」への感想はこちらからお寄せ下さい。深川が空を飛びます(飛ばねえって)
映画鑑賞が止まりません。

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2002年03月中旬
2002年04月上旬
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