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 中小企業経営考

  1.中小企業註所企組織内の情報共有とコミュニケーション活性化を!
  2.中小企業と産学連携活動
  3.中小企業の個別技術

  4.小学生の工作教室

  5.やっぱり企業経営はコミュニケーション力

1.中小企業組織内の情報共有とコミュニケーション活性化を!

   事業経営に於いて、社長一人で全てを取り仕切る事が出来る部下の数は数十人と言われている。それ以上だと社長一人
 
で全てを切り盛りするのは難しい。マネジメント組織を整備し、部下に権限の委譲が行なわれる。次の成長のためである。
  その組織はバーナードの言う三要素「共通の目的」、「協働する意思」とその実行プロセスを支える「コミ ュニケーション力」を具備する
 必要がある。しかしこれが容易でなく、特に「コミュニケーション」が機能してない為 に社員が「協働する意思」を持てていない例に
 遭遇する。社員数が少なく、社長の目が届い ていれば、社内のコミュニケーションが良いとはかならずしも言えないのである。
1).「相談し合えている、コミュニケーション豊かな関係」があれば、会社は格段に良くなる。
  最近、情報を流しながら、部下に仕事を任せようとする姿勢の社長が 少なくない。一例だが、経営者研修会で「某企業
 の社長は一番早く出社 し、便所掃除をし、社員のモラルアップに絶大な成果を出している」との話に感動した某中小企業
 (社員三十数名)の社長が自社で男子便所でやり始めた。そこに外部の5Sコンサルタントが雇われ、男子と 女子のトイレが汚い
 と指摘を受けた。男子便所のお世話は社長だが、所用で社長が不在で清掃が抜け、女子トイレは管理のルールが不在で

 あった。コンサルタントはトイレ使用者全員参加のミーテイングを求めた。女子グループは話合いの結果、輪番で掃除 当番を決め、しかも
 輪番担当者を日めくり掲示し、翌日の担当者が前日の状況を評価するシステ ムを決めた。当然結果はすこぶる良好である。
 一方男子グループは一向に清掃システムを構築せず、ミーテイングも持たない。社長の好意の足らざるを、他の使用者でドウ補うのか
 の話合いが社長と部下と間で持てないのである。社長の好意の意味を部下達が分からず、 社長もフォロー出来ていなのだ。 
 一事が万事で、社長の週刊誌発行や毎週の朝礼の講 話も一方通行である。コミュニケーション豊かに相談し合え関 係が作れて
 いないのである。5Sを中心に改善ミーテイングが動き始めると、会社は着実に良い方 向に向きだしている。忍耐一途の凡事
 凡行・凡事徹底で、風土変革・意識改革が歩み始めている。
2).常にコミュニケーション活性化を意識した経営こそ基本
  組織のコミュニケーション土壌の不毛は中小企業のみならず、大企業も同じ状態である。しかし一部の中小企業は特有のハ ンデイ
 キャップを抱えている。即ち、①言語能力が低い、②幹部間の派閥争いがしばしば表面化し、外部営業より内部営業に専念し
 がちである、③コミュニニケーションと全体最適の概念が薄い等である。これ等は組織内コミュニケーション活性化の障害となり、企業活
 そのものも沈滞させるから、経営者は意識し、持続的に是正の措置を打って欲しいのである。 組織内部のコミュニケーション
 力が弱いと、外部環境とのコミュニケーションも又稀薄となる。それは情報社会で、生き抜く為に必要な情報リテラシーの欠落に繋
 がるから、軽視されてはならない。コミュニケーションは受け手がメッセージに意味を見つけ、それに影響を受けたときに完了する」と
 定義されているから、情報共有はコミュニケーション活動活性化状 態に裏打ちされていないと機能しない のである。
3).コミュニケーション活性化の基本、それは凡事凡行・凡事徹底
  話合い即ちミーテインクには場が必要である。タテ・ヨコ・ナナメのコミュニケーションの活発化には、誰もがどこかに参加するミーテインクを
 意識的に継続的に持つ必要がある。当然経営幹部も例外ではない。勿論ミーテイングが雑談では時間のムダ故、媒介に
 通常経営の「テーマ」を用意しないと全員が参加できない。私は経営トップとして「ムダ」をテーマに営々と数年間やった。詳細は
 別に報告したが、忍耐強く継続し、コミュニケーション力を身に付けることが、組織文化の高度化に必要である。(H18.5宇多小路記)

2.中小企業の産学連携活動

  1998年に大学改革の一つの「大学等技術移転促進法」が施行され、大学内知的財産の民間移転を求められようになった。
 TLOや大学発ベンチャー等がその例だが、産学連携の中小企業への横展開もある。象牙の塔を唱えてきた大学には、大き
 な環境変化だ。大企業で学との共同研究も経験したが、今は中小企業産学連携のコーデイネーター役として、この問 題を
 考えてみたい。
1).中小企業の産学連携実態調査結果
  大阪商業大学と東大阪商工会議所が東大阪市の中小製造業を対象に「産学連携活動」の実態調査報告書が H18.3に

 公開され、H18.4.20日経新聞が抜粋を掲載した。それによると有効回   答273社のうち産学連携取組み中は16.5%だった。
 内訳は従業員100人以上で37%、20~29人で13.5%、4~9人で11.9%である。連携内容も研究委託したのは24.4%で、
 大学の特許や論文で協同開発したのは1.1%にすぎない。産学連携を実施していない企業で、今後実施したいと考えている
 20.7%、必要ないは22.9%であった。 一方技術開発取組みは複数回答で、「自社で開発し、他に協力を得ていない」  
 が64.5%と自助努力型が多い。他との連携は「商社・親会社との連携」が33.7%、「機械メーカとの連携」12.5%、「異業種交流」
 10.0%、「産学連携」7.0%。
2).大学・中小企業の産学連携の溝が深いと見るのか
  中小企業の経営内容は様々で、自己責任で事業を行なっているから、大学を活用するか否かは経営者の判断である
  今まで大学の知的資源がなくても事業をやれた。産学連携活動件数が少ないから、溝が深いとは言えない。親会社や機械
 メーカとの連携で技術資源の活用が盛んなことは、間接的に高度な知的資源が小規模中小企業へ流れ込んでいるはずであ
 る。例えば、切削工具一つでも、高度な表面処理を施した高精度なスローアエイチップが中小企業でも使用されているが、その事
 は最先端の技術が駆使されている事になる。今更産学連携でもないのだ。問題は経営者が、自分の事業課題解決に技術
 情報を探索し尽しているか、大学にもあるはずとの問題意識があるか否かである。中小企業が技術相談を持ち込む時
 に、インターネットの情報検索も文献調査せずにやってくる企業が私の経験で,半数はある。知的情報リテラシーが充分備わっ
 ていないのである。勿論、社内に理工系大学出身者が居り、同窓生や学会等の人脈ネットワークを活用できる企業では、情報
 リタラシーを心配する必要はないのであろう。一方、中小企業との連携には大学の研究者側の社会適応力が時々障害となる。
 中小企業者がいう問題はすこぶる現場的で、刹那的な事例が多いが、それを研究者は学問的にとらえようとする。
 そうなると言葉通じなくなり、すれ違いが生まれる。コーデイネーターを必要とする所以である。
3).中小企業の産学連携はいかにはじめるか
  中小企業の産学連携活動活性化に、行政は財政支援や口出しに熱心である。その為に地方行政機構を新設し、活動の
 殿堂というべき建物を作り、学の活動組織新設に予算投入、・・・産学官連携という新語まで掲げるようになっている。
 大失敗した農業支援政策に似て心配な事である。産学連携は、少なくとも対大企業では問題は少ない。中小企業のそれ
 と何が違うかは極めて明確で、企業の人材の質格差である。上記例の知的情報リテラシーは当に人材育成の問題である。
 それも、大企業同様に社員全員というのではなくキーマンの確保である。国の支援はこの一点に絞るべきであろう。この
 中小企業人材育成は、講習会などのスポット研修では根付かない。最低でも2年の留学は必要で あろう。其の為の財政
 支援、留学費やアブセンスフィーの穴埋め等が必要となる。これが出来れば、学との人脈ネットワーク形成や情報リテラシー向上はつい
 てくるのである。逆に大学研究者の意識改革も急務である。最近は、教授等の公募が見られ、生え抜きの研究者が
 外部企業の研究者に追い出されるケースもあり、閉じられた社会の壁が壊されて行くのが見える。ここに期待した い。
  (2006/5 宇多小路記)

3.中小企業の個別技術

 
 産学連携活動の技術相談やコンサルタント業務等を通じ、もの造り中小企業殿と技術課題の取組みをさせて頂いていると、
 「この課題なら、日常的に大企業で使われている個別技術を使えば、解決が一歩進むのに」と思うことが少なくない。
 勿論、大企業もあらゆる技術手法や知識を有効活用していない。長いバブル崩壊後のリストラ過程で要員削減を進め、
 人とともに技術や知識を失っている。特に間接部門の要員削減により管理技術を保有する有能な人材を失い技術基盤、
 を弱めている現実がある。例えば、効率的業務管理の維持向上に必須のIE技術の外部放出や現業技能者の
 職場活性化に必要な労務管理の弱体化は心配なことである。一方、中小企業はこの間に技能者の散逸はあったものの、
 あまり失ったものは多くない。逆に、系列・下請け体制の崩壊や変化による経営環境に適応する為に、経営の武器となる
 新たな技術手法や知識の吸収が求められている。従来は、親会社による細かい作業改善指導について行けば良かったが、
 下請け体制の変化後、ガミガミ文句をいう親会社のスタッフ巡視も減り、自らが改善に取組まざるを得なくなってきている。
 その例がICTである。電子取引やCAD等の活用で多くの中小企業が苦闘し、ICT化は外圧となっており、
 速度は遅いものの次第に普及が進んでいる。以下に、事業に対応して具備すべき企業固有の新たな技術や知識の吸収と
 活用について、筆者が遭遇した事例を紹介する。
1).生産工程の改善(生産性向上)にはIE手法の工程分析が基本だが、ノウハウを身に付け活用している企業が少ない。入門
 書も 多いのに、勉強不足で工数不足をパートや派遣で穴埋めしている。コストダウン手段としてのナレッジ活用の機会損失である。
2).円滑な生産管理は常にもの造り現場の課題である。しかし多くの中小企業では、依然生産スケジューリングの精度が低く、
 設備稼働のちぐはぐや要員配置の不適切で、残業や休日出勤による工数のムダ・ムラ・ムリのロスに悩んでいる。製造ソリュウーション
 展等でスゲューリングのパッケージソフトに接し得るのだが、忙しい日々に追われ、その存在さえ知らずにいる。
3).電気機械の設計製作をしている小企業が、電磁漏洩防止設計にトライ・アンド・エラーの経験と勘に頼っている。今時、電磁
  場挙動は高精度の数値解析数値シミュレーションが普通できる。それを使えば、機械を製作しては測定し又それを繰り返す
 手間と時間が節約できる。しかしそのようなツールの存在すら知らないでいる。 
  以上は筆者が偶然にも知ったから、1項の場合は直接指導支援をし、2項はパッケージソフトを試用してもらった後に導入・
 実用化され、3項は某大学の大学院学生に計算ソフトを作成・応用して貰う段取をさせてもらった。このような技術や
 ナレッジの存在は、学会活動や専門誌に接していれば知る事が出来る。しかし日々仕事に追われる中小企業経営者には
 難しいし、学会入会の気力までは湧かない。異業種交流などで同業者に聞く事も腰が引けるようである。そのような
 場のコミュニケーション媒介者として、コーデイネーター等支援者が参加できれば、有効なのかもしれない。一旦気づけば、産学官連携等
 の公的支援は有効になるが、その前提の「気づき」  を生むコミュニケーションの場作りは我々コンサルタントを業とする者の重要な
 仕事である。(H18.8 宇多小路記)

.小学生の工作教室

 夏休みシーズンに、京都府南部のとある公立小学校の二、三年生 向けに自由参加夏休み工作教室を開くことが出来た。
同校のPTAの会長が校長先生をたきつけ、実現してくれたのである。彼と、子供に「もの造り」を体験させねばな
らないと意気投合したのが発端である。かくゆう筆者は子供に工作を教えるほどの匠の技を身につけているわけではない。
からくり人形作り凝り、プロ級の腕を持ち、関連著作もある大学同級のD氏を浜松から来てもらい指導員をお願いした。
音は、久しぶりに飲もうであった。工作教室は市立の子供会館で昼から、4時間弱開かれた。8割が女子生徒だったが約
が三十人休憩もとらず熱心に取組み、工作おもちゃの完成品を持って嬉々と帰って行った。大成功だったのだ。
 潤沢なサン プルを提示しながらのD先生の一時間弱のからくり人形工学講義の後、和紙を使った実物製作に進んだ。女の子
が多かったためか、とにかく彼等の姿は可愛い。しかも熱心で、目は輝き、目は澄みきっていた。この年代の日本の女の子
は世界で一番おしゃれで可愛く、知的だが当方の主張である。こんないい子達が、一部とは言え数年も経つとおかしな
状況に巻き込まれねばならないのかと、つらい現実が頭を過ぎって行ってしまう。
 充実した半日だったが、久々に初等教育の現場に、あら捜しの性分が芽生えてしまう。午前中から学校に出向き、

校長先生、教頭先生(両人は男性、他の先生は全て女性)と懇談した。教育現場も社会に開かれなければならない
との演説を聞かされ、お二人には迷惑なことであったろう。さて、あら捜しの三点をご紹介する。
 第一は、教員室の先生達の机の乱れぶりだ。整理整頓という言葉が通用しない世界だ。PCも支給・配置されていない。
夏休み中でこの現実では、先生方は日々事務に忙殺されているのだろう。生徒に関するデータベースはどうなっているのか? 
事務に足を取られ生徒とのフェース・ツー・フェースのコミュニケーションは機能していないのでは?初等教育の大きな目標は子供の心
作りのはずだが、この状態では何も出来まい。年寄りの心は滅入ってしまう。関係者は人が足らない、親の手前勝手な
言動、文科省の口出しが多い等々の責任転嫁と水掛け論に終始しているのであろうが、そこには大人の改善へ向け
た知恵を働かす動きが感じられない。管理者たる教育委員も、現場改善の真の支援をしていないのだろうと疑ってしまう。
その結果は、子供達という現場・現実・現物からの遊離という悲劇である。それを裏付ける現象が第二である。
工作教室出席の子供達の担任の先生十人強の全てが、校長先生の命を受けて出席していた。ところが、彼女(先生は全部
女性)達は二、三人を除き、声掛けもせず、遠巻きに立って子供達の遊びを眺めているだけである。ギャーギ゙ヤーと子供達と
一緒に遊んでいるのは、出向いた二人の爺と校長先生に加え同伴の母親数名だけである。先生達は遊びの現場・現物・
現実に飛び込まないのだ。生徒の心の現場・現物・現実に見ることができないなら、苛めの予兆などを見つけることなど期
待できるはずもない。
 第三は悪口が過ぎるが、先生達の多くが髪はぼさぼさで、口紅一つさしていない化粧レスなのである。「ばっちい」
のである。小学校二、三年生の女の子は化粧心が芽生えている社会人である。ならば、先生も社会人としても嗜みを
示す責務があるではないか。それも生徒とのささやかなコミュニケーションツールであるからだ。
 総括すれば、教育の現場に三現主義を根つかせる意識と風土が希薄だということである。もとよりこの風土のなか
で育てられた先生であり親だから、意識改革は難しいであろうが、お上や知識人の上滑りの教育改革論議では現場は
変われない。三現主義への意識改革へ踏み出してもらいたいのだ。工作教室はそのささやかなメッセージだったと思う。
 振り返って、中小企業支援を通じものづくりの現場を思い起こすと、程度の差はあれ同様な現象が見られる。三現主
義が風化しているのだ。ものづくり現場を見ることは、プロダクツをみるだけではない。ものを作っている人の心も見なければ

なるまい。それを理解し実践できる社長さんが減っているようだ。コンサルタントに社長は分かっていないと告げ口をする社員
に接する機会が多い。原点、基本を認識し直す必要のあることを痛感する。 (H18.11宇多小路記)

5.やっぱり企業経営はコミュニケーション力

 「生産効率向上、品質向上を図りたいあるいは従業員の能力を向上したい、手伝ってくれ」 と、町の中小企業の社長に
求められる事がある。経営者は社長と奥さん、幸運なケースでは息子さんが加わるが、番頭に相当する管理スタッフはいない。
息子さんは現場作業員として見習いというのが普通である。
 企業にお邪魔して、もの造り現場と働いている従業員の姿を拝見する。時間があれば、従業員とも話もする。勿論社長
から事業内容、目標、課題などを聞くが、ちょっとした立ち話でも社長と従業員との事業認識のギャッフを発見する。支援の
手始めに現場と接触し始めると、企業内のコミュニケーション不足に遭遇し始めるが、時々痛ましいとさえ感じられることがある。
 社長の携帯には、顧客からの生産指示や品質クレーム等が頻々と入ってくるから、落着いて机に座れない。その結果、
現場への生産指示はほとんど口頭連絡となり、製作指示書や生産計画書等の文書の発行が手抜きされる。朝礼も形式的
で、従業員と膝を交えた会(ミーテイング)もない。忙しく時間がないと言う。息子との対話もほとんど無く、個別業務連絡
だけである。この国では、親子が朝食を共にしない家庭が3割を越えるそうだから、親子の対話が無いのは普通だろう。
同じ職場で一緒に働けるだけでも幸いなのかもしれない。だが、いかにも寂しい。
 支援を頼まれても月に一、二回の訪問だけだから、企業がその気になって貰わないと、KAIZENははじまらない。スタッフが
いないし、社長は飛び歩いているから頼りは従業員だけとなる。だが、その従業員がタテ・ヨコ・ナナメのコミュニケーションをせず、
ひたすら社長の指示待ちなら、効率向上のKAIZENはなかなか進まない。コミュニケーション活性化から手を付ける必要がある。
 そこで、支援者は社長許可を得て工場を一時間ぐらい止め、全員のミーテイングを開くことにする。KAIZENミーテイングである。
支援者は、現場のムダ・ムリ・ムラ作業と5S不良等を例に挙げながら、参加者の発言を引き出し、それに対して別の参加者の応
答を誘導する。対話が回りはじめれば、課題解決を誰が何時までに「やってみる」が決められる。これが行動に繋がれ
ば、相互のコミュニケーションは生まれる。KAIZEN成果に繋がれば、次回のKAIZENミーテインクで褒め育てることが可能になる。
KAIZENのスパイラルが回りだす。話は簡単だが、これにはちょっとしたテクニックと経験が要る。又支援者が何時までも司会
をやっていては、自立を妨げるから誰かに代わってもらうが、この目利きにも技術が必要になる。
 肝心なのは、社長が経営に於けるコミュニケーションの重要性を認識することである。それなくて、効率向上も期待できな い。
そもそもコミュニケーションは、発信者である社長の送ったメッセージに受信者の従業員が意味を見つけ、なんらかの行動をして完結
する。ところが、上記のような企業では送り手と受け手の間で「言ったとおりやらない」、「そんなこと言ってない」、
「聞いていない」のすれ違 いが頻発する。だいたい発信者の意味や概念を受信者がさっと理解する事は不可能なのだから、
コミュニケーションの質がフォローされ、対話を通じ改善されねばならない。社長が認識し、変身してくれると現場の変革も加速し、
自律的なコミュニケーションの活性化が醸成され、KAIZENも進んでいく。社長と息子とのコミュニケーション不足も、息子さんをKAIZEN
ミーテインクのコミュニケーションの輪のなかに巻き込むことで次第に解消していくものである。事業継承の大切な要素だと考える。
 以上に紹介した経営変革のプロセスは、外部の人間を引き入れ、経営改善の「外圧」として活用しようと考えた経営者の
前向きな姿勢があっての事である。言い換えればこの経営者は外とのコミュニケーションの価値を認識し、それが企業の変革・
前進へ繋がることを知っているのである。ところが、この一歩を踏み出さず、大企業の下請けに徹し、横のコミュニケーションを
絶っている小企業経営者が少なくない。願いば人の出会いを求めて行動し、経営改善の糧を得てもらいたいものである。(H19.10記)

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