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HDDの弱点は?

HDDに負荷のかからないように使用するには、HDDの弱点を知っておく必要があります。HDDベンダのサイトに装置仕様、もしくはマニュアルが置いてありますから、見てみましょう。

システム屋さんが読むと、性能に関わる最大・最小転送速度やシーク時間、バッファサイズなどが気になりがちですが、HDDを使う上で大事なのは、やはり信頼性!です。(これがこのサイトの趣旨ですが)

当然HDDの弱点を突かれたくないので、そのような使い方をされないような仕様を決めているはずです。

従って、これを読んでみると弱点も見えて来ると言う事になります。

温度・湿度環境

まず最初にあるのが温度・湿度ですね。

動作時のものをざっと見てみると、温度が0or5℃ 〜 55or60℃、湿度が5%〜90%位になっています。

温度は氷点下や60℃以上は嫌と言っているので、低温や高温には弱いと言っている事になります。

次に湿度ですが、電子機器ですので静電気には弱いと思います。しかし湿度の下側は5%でその下はほとんどないため、低湿はそんなに嫌がっていないように読めます。上側もそうですね。

しかし! ここに大きな落とし穴があります。温度湿度に関わる仕様としては最大湿球温度の仕様が確実にあります。これを見てみると29〜30℃位になっています。

これはどういう意味かと言うと、温度は最大60℃、湿度は90%まで各々OKですが、60℃の90%という組み合わせでは使えませんと言う事になるのです。

下の図を見てください。(Wordで書いただけなので曲線は正確ではありません)温度5-60℃、湿度5-90%の仕様だと、四角い範囲が全て許されているように感じますが、実際には最大湿球温度の仕様があるので、実線の範囲内が仕様内と言う事になります。

T-H-SPEC1.GIF - 46,136BYTES



最大湿球温度仕様により、仕様範囲外になってしまう赤い斜線部分は、絶対水分量が多い箇所です。つまり、湿気も多いのは嫌と言っている事になります。

従いまして温湿度環境の観点からは、低温と高温高湿が弱点と言う事になるかと思います。

当然高温高湿での故障は劣化モードと思いますが、低温はスピンドルモータが定常回転できないとか、媒体の磁化が上手くできないといった要因じゃないかと思います。
なお、高温に弱い一つの要因は、高温になるとヘッドの浮上量が低下する事があげられます。ここにSeagate社の社長によるBarracuda 7200.10シリーズの説明会記事がありますが、ここでも言及されています。当然浮上量が低下すればヘッドとメディアの接触する確立は高くなりますよね。ただし、私の経験で言えば、温度を80℃やそこらに上げたからといってすぐに故障するようなものではないと思っています。この状態で長期間動作させると、温度がより低い場合に比べて劣化が加速される、障害が発生しやすい、と言うことだと思っています。



振動・衝撃環境

次に確実に仕様に記載されているのが振動と衝撃です。

まあ、こちらは当然と言えば当然で、ヘッドが媒体上を超低空飛行しているわけですから、衝撃を受ければ媒体を叩いてキズをつけるでしょうし、振動も酷ければ同じ状態になりますし、小さくてもヘッドの位置決めが大変になってくると思います。

従いまして振動と衝撃も弱点となります。



その他の環境

その他の環境仕様は温度勾配と高度が記載されています

温度勾配は大体1時間当たり20℃位が普通の仕様みたいです。当然DE内で結露が発生すれば大問題となるからでしょう。他の問題としては、HDDは媒体を磁化させる事で読み書きするわけですが、磁化率は温度によって違います。
昔のHDDは高温でも低温でも同じように書いたり読んだりしていましたが、現在の高密度化の中ではきちんと温度に応じて読み書きしているようです。

なので、急激な温度変化があると、追従できない可能性があると言う事もあるだろうと思います。

高度は加圧の記載もありますが(-60〜-300m程度)、通常こちらは問題にならないと思います。減圧側(高度)は3,000m程度が普通のようです。

ヘッドは気流により浮上しているので、当然空気が薄くなれば正常に飛べなくなりますね。

従って急激な温度変化や減圧も弱点になります。



HDDの稼動状態

もうひとつ微妙なのは使用率(稼動率)ですね。記載があるものとないものがあります。

例えば年間3,000時間、月間250時間以下の稼動でMTBFがこんな感じとか記載されていたりします。その際にReadとWriteのDutyは何%なんて書かれていたりする場合もあります。それと電源On/Offが何万回とか記載されています。このあたりもできるだけ抑えて使用したほうが望ましいと言う事になるかと思います。

と言ったところが、マニュアルに記載されている環境仕様から導き出された弱点になると思います。

できるだけ極低温や高温高湿は避けて、振動・衝撃は与えず、急激な温度変化を避け、何千mと言う高いところでは使わず、稼働率を下げてあげると、HDDにとってやさしい使い方と言えるのではないでしょうか?



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