游心流の教習内容について

武術は本来、兵法学の基礎訓練法でした。つまり、武術というものを学ぶにあたっては、目先の技を追っていても得るものは乏しく、学問の一大体系として学ぶという姿勢が重要です。游心流では狭い価値観にとらわれず、様々な武術流派の技の型の戦闘理論、そしてそこに内蔵されている兵法の智慧を再発見しようとしています。

また、本来武術は殺法(戦い方)と活法(人体の癒し方)が表裏一体となっているものです。游心流では素手の徒手体術にこだわらず様々な武器も使いこなせるように練習しますが、他方では整体活法や気功導引術、といった伝統医学の研究もします。

以下、具体的な教習内容の例を紹介します。

1)基礎練体

身体の部分的筋力の増強ではなく、心身をリラックスさせ、身体の軸を体感して全身を協調連動する

ことによって生まれる”脱力統一体のパワー”を養成します。

力を「入れる」のではなく「抜く」ことから可能になる重心移動の力を利用することで、より強大なパワーを駆使できるようにします。

それゆえ50歳60歳を過ぎて老齢になっても衰えません。従来、”気の威力”であると喧伝され神秘的に解釈されていたパワーの正体がこれです。游心流の基礎連体法は、骨格のゆがみを調整し内臓や神経系の働きを活性化することによって自然治癒力を高め、身体感覚を鋭敏にして能力開発効果も得られるように構成されています。

2) 体術

読みと交叉により一瞬でケリをつけるのが武術の真の戦闘法であると考え、「交叉法(交差法)」と呼ばれる攻防一体の武術の根幹を成す高等戦術を追求します。

相手の力に力で対抗するのではなく、力のベクトルをはずして受け流すことによって、相手が自分の力で自滅してしまうようにする「化勁」や「合気」と呼ばれる技術も駆使するのが特徴です。

3)杖術・半棒術

傘やステッキ、ゴルフクラブなどの棒状のものを護身術に応用する基本を習得します。手や指の感覚を鋭敏にするのでやはり能力開発効果が望めます。ボケ予防にも最適でしょう。

4)健身術

整体という言葉は古武道の”整胎術”が語源です。游心流は武医同術の理念とSOTカイロプラクティック理論を基に整体・活法・気功・食養・メンタル法などを総合的に学びます。

5)舞の手 "mai-no-te"

游心流武術健身法の集大成である舞踊の型です。古来、「優れた舞踊は武術の極意に通じる」と言われてきましたが、その言葉の意味は、「自然な無理のない動きは人間の最高度の脳力を発揮できる」ということです。

この舞踊には、太極拳・形意拳・意拳・八極拳等の武術の動きが含まれますが、特に龍が舞い踊る様子をイメージしているとされる八卦掌の動きを取り入れています。

八卦掌は別名、游身八卦連環掌等とも呼ばれ、螺旋状に身体を捻りながら全身を運動させる点に特徴があります。游心流舞の手”mai-no-te”とは、型の所作や手順ではなく身体の内側から自発的に湧き出てくるエネルギーの流れに任せて舞い踊ることを基本とし、定まった型はありません。

ボディーワークであると同時にボディアートでもあり、「健身・整躰・能力開発」の三つの要素を同時に訓練できるものです。

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