911テロの後に書かれた坂本龍一の非戦とミスチル

坂本龍一さんは、1980年前後に活躍したYMOイエロー・マジック・オーケストラのメンバーで、2002年に発行された『非戦』の編者です。(明日の平和のために)

2023年3月28日、亡くなられた。享年71歳(満年齢)

「非戦」の166ページに、ミスチルの「さよなら2001年」の歌詞がのっています。

坂本龍一 監修『非戦』

『非戦』は、2001年の911テロの後に書かれ、2001/12/20に発売されました。

911テロによる米国のアフガン報復攻撃に対して坂本龍一を始めとする『非戦』チームが、『非戦』による平和な世界の実現について考える材料を提供する。ネット上の情報を中心に内外から50人以上評論を集めたもの。「反戦」ではなく、「非戦」です。

坂本龍一『非戦』あとがきより

事件以降、大手メディアの流す報道は、一部質の高い論評などもあったが、多くはアメリカ寄りの一方的なものが多いと感じられ、残念ながらそこからはテロと戦争の真実が見えてこなかった。このような非常事態の中で、いかにぼくたちが「真実」から遠ざけられているか、改めて気づかされる。

一方、ネットには様々な陰謀説も含めて、多種多様な論考や意見がとびかっていた。そこでぼくは、ニ、三人の友人たちと、お互いに重要だと思われる論考や記事を発見しては、メールで送り合うことを自然発生的に始めていた。そして煩雑さを避けるため、この情報交換はメーリングリストへと発展した。そして、このメーリングリストに、次々と新たな友人たちが加わり、交換される情報も増していった。

お互いに情報を送り合う中で、いつしかそれらの論考や記事をまとめた本を出版しようという話しがもちあがった。一般のメディアではあまり目にすることのない、こうした声を少しでもたくさんの人に読んでもらいたいとの思いからだ。

非戦の中のミスチルの桜井さん

「非戦」の、161から166ページに、ミスチルの桜井さんの文章がのっています。

非戦164ページに書いてあるミスチルの桜井さんの言葉

『もし破壊されるべきものがあるとすれば、それは盲目的に信じてきた欧米型の資本主義のありかたなのではないだろうか。無宗教とも言える僕ら日本人が、お金に替わる新しい価値を見つけるチャンスかもしれない。』

ミスチルさよなら2001年

『さよなら2001年』は「君が好き」のカップリング曲、2002年1月1日発売。「非戦」の166ページに、ミスチルの「さよなら2001年」の歌詞がのっています。つまり、この曲は911テロを前提に書かれています。

『平和はもう、僕らの前に、当たり前に存在はしてくれないけど』

911テロ前も、平和は当たり前に存在はしていなかったが、911テロ後は、平和がはるかに遠のいた。(あの時点で、その事に思いをはせた人は少ないかも知れないが)

『僕らの前にもう少しだけ、楽しい未来が来るように』

あれ以来、楽しい未来というのは無くなったようだ。今の世界大恐慌も、911テロとは無関係ではないだろう。

『君は拳を 堅く握って、だけど誰にも 振り下ろせはしない』

怒りは誰にもある。怒りにまかせて、拳を振り下ろせば、そのうち双方の破滅につながる。

ap bankと坂本さんとミスチルの櫻井さん

apは「Artists' Power」あるいは「Alternative Power」の略だそうです。「自然エネルギー促進プロジェクト」のためのbank(銀行)を作ろうという事で、2003年に設立されました。坂本龍一さん、小林武史さん、櫻井和寿さんの3人が作ったのがap bankです。

Bank Bandのto U

Bank Bandは、「ap bank」の可能性を広げるために小林さんと櫻さん井が結成したグループです。「to U」は、Bank Bandの1枚目のシングル(2006年7月発売)で、収益はap bankの活動資金に充てられています。2005年3月28日から2008年3月28日まで『筑紫哲也 NEWS23』のテーマソングでした。

最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。