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研究レポート5 お地蔵様の六変化


(1)青森県むつ市恐山
(1)青森県むつ市恐山
お手水娘と比べると、グンと地味になりますが、お地蔵さまのファッションもなかなかバリエーションがあって面白いですね。→(1)

ああ、これは放浪日記にも書いてたやつだな。きっと故人の遺品だろうね。

なかなか不気味なものがあります。次はこちら。→(2)

(2)秋田市付近
(2)秋田市付近
な、何か芸術的な意図があるのか?この金色は。奉納というより、包装されてるぞ。

これだけ派手なのを着せてあげれば、ご利益も確実に違いない、という論理でしょう。

おれがもし地蔵だったら「勘弁しろよ〜」って奉納者の夢枕に立つけどな。

そしたら「勘弁してほしければ願いを叶えろ」って脅かされますよ、きっと。

そういう魂胆か。地蔵が拒んだらもっと恥ずかしい格好させられちゃうわけだな。

シルクのブラジャーと、黒のガーターストッキングとか。

弁天様ならともかく、お地蔵様にそれはあんまりだ。地蔵にどうやってストッキング履かせるのか謎だけど。

(3)福岡県久留米市付近
(3)福岡県久留米市付近
こんなお地蔵さんも見つけました。→(3)

別の意味で問題ありだな、この格好は。お地蔵さんがアーミーファッションしちゃって、いいのかね。

戦争といえばこの世の地獄。地獄といえばお地蔵様。お地蔵様はPKFなわけです。地獄の鬼から亡者を救うには、武装も止むを得ないでしょう。

その手の実力行使は明王様や仁王様の仕事じゃあないのか?

お地蔵さんって、実はハゲしい仏様みたいですよ。「勝軍地蔵」っていう甲冑姿のお地蔵さんも実際にあって、戦国武将なんかが戦勝祈願したそうですから。

へええ。
(4)青森県木造町
(4)青森県木造町


打って変わって、こちらはオシャレな白塗り十字架地蔵。→(4)

これもまた不気味だな。

津軽地方にはこうしたお地蔵様が多いみたいですね。梅原猛も注目してますよ。
その地蔵はすべて赤や青の原色の美しい着物を着て、顔に白粉や口紅をつけているのである。それはまったく生きている人間のようであるが、その真っ白な肌と赤い唇は、ひどく不気味な感じをわれわれに与えるのである。それは明らかに、生きている人間ではない。おそらくは死んだ人間なのであろう。地蔵の中にはどういうわけか、十字架のマークを胸にかけているものがある。この近所に隠れキリシタンがあったのではないかとも思われるが、よくわからない。どうかすると、この地蔵たちは日本人ではなくて、西洋の童話に出てくる魔法使いのようにすら見える。
(梅原猛『日本の深層』集英社文庫 P167)
(5)青森県木造町
(5)青森県木造町
まさにその通りですねえ。

へえ。お地蔵様にキリスト教がかぶさってるかもしれないわけか。仏教は奥が深い。というか、なんでもありだな。

首がとれちゃったから胸に顔を描かれてるお地蔵さんも見つけました。→(5)

まるで妖怪だな。

妖怪といえば、このお地蔵さんなんか頭の形が「あぶらすまし」に似てませんか。→(6)
(6)宮城県松島五大堂
(6)宮城県松島五大堂


ていうか、これ仏像じゃなくて擬宝珠(ぎぼし)だろ。

でも、よだれ掛けがしてあるってことは、この擬宝珠が夜な夜なよだれを垂らすんですよ。

奉納マニアってのがいるんだろうね、日本には。なにか丸っこいものを見ると、反射的によだれ掛けや毛糸の帽子を奉納したくなっちゃうんだ。

頭からすっぽりゴムを奉納してあげたらご利益ありますよ、きっと。

またシモネタに走る……。何のご利益だ?子宝?水子供養?

病気封じ。

なるほどね。

朝になってみると、不思議なことにそのゴムには
(以下削除)


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