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J24 <切断> 手ノコ治具

 住宅地の庭片隅青空工房では騒音防止の観点から、電動工具は使わずに可能な限り手工具で済ませたいのが正直な気持ちです。
 そこで最も出番が多いのが何と言ってもノコギリ。
ここではノコギリ関連治具を紹介します。


  J24-1 直角挽きガイド
  J24-2 切込み深さ調整治具
  J24-3 ダボ切り治具
  J24-4 斜め切りガイド
  J24-5 丸棒カットガイド
  J24-6 あられ組治具
  J24-7 万能留め継ぎ治具
  J24-8 丸棒カット台


 J24-1 <切断> 手ノコ治具 → 直角挽きガイド  (2013.9.24)

 ノコギリの加工のほとんどが直角の切断。
 
 そこでガイドを作成しましたが、面方向と厚み方向の直角を正確に作りさえしたら、直角挽きは大幅に効率化が図れます。
 マウスオンで表示される裏面の失敗跡に苦労のあとが窺われますネ。


 ノコギリの当たる面にマグネットシートが貼り付けてありまので、ノコギリの横のブレがなく安定した作業が可能です。





 試しに2x4材をカットしてカット面を下にして並べてみると、ピッタリ隙間なく並ぶことから面方向と厚み方向で共に直角が正確に出ていることが確認できました。 

 マグネットシートの活用は上総木工交流会に参加して覚えた”技”ですが、いろいろと応用できそうですネ。


  (2020.8.4 追記)

 途中いろいろなバージョンがありましたが、現在使用中の直角挽きガイドで、これが最終版かな?

 木工会で紹介があった治具をコピーさせてもらいました。




 材に当てる小サイズのアルミアングル、ノコギリガイドの大サイズのアルミアングルで構成されていますが、ノコギリガイドの裏にネオジム磁石3個を接着して更に磁力強化用で鉄板を貼り付けています。


 ノコギリが直接当たる面がアルミで傷つきにくく、左右2面使えますので耐久性は大幅にアップ、またクランプで押さえる面積も大きく作業性も向上しました。

 治具の裏面には透明滑り止めシートを貼り付けています。

   ← 鉄板を外して撮影


 
 J24-2 <切断> 手ノコ治具 → 切込み深さ調整治具  (2013.9.24) Top ↑

 切込み深さを調整するための治具ですが、オリジナルはのほほん木工房さん

 薄板をノコ刃に固定するだけの単純な方法ですが役立ち度は抜群です。

 薄板を固定する際に、片面だけなら問題ないのですが、両面共に正確に固定するのが大変だったので、位置決めを容易にするために磁石を埋め込みました。
 薄板は片面だけで十分なのかもしれませんが、両面に固定すればより完璧 ・・・・・・

それ以外は、オリジナルの通り滑り止めとしてサンドペーパーを貼り、固定にはダブルクリップを使いました。 
 
 写真の下が、サンドペーパーを貼る前に磁石を2個埋め込んだところです。





 磁石は百均で10個100円で購入したマグネットピンで、プラスチックのつまみ部分を壊して磁石だけ取り出して使っています。
 磁石のサイズは5mmφ×3mmですが、強力ネオジム磁石でお買い得です。


(2014.2.15 追記)

 マグネットシートを使った手ノコガイド(J24-1、-4等)で、従来の切込み深さ調整治具を使おうとするとダブルクリップが邪魔になります。
 そこで、ダブルクリップ不要な治具を工夫してみました。


 初めに治具とノコギリの吸着力を磁石だけで持たせるために、手持ちのネオジム磁石で最も大きなサイズ(13φ×2mm)を5個使うことにしました。

 この磁石構成の吸着力をネットで調べててみたら合計で7kgfとなるようです。
これは、中身の入った一升瓶2本と五合瓶1本を治具の上に載せているのとほぼ同等ですから、これで充分じゃぁないかなぁ?
 ・・・・わかりやすい表現ですね・・・と本人は思っている。



 一方、滑り止めに関しては、従来のサンドペーパーよりはゴム系が良いいだろうと考えていろいろと探した結果、日本エラストマー製極薄滑り止めテープなるものを見つけました。
 サンドペーパーからゴムシートに変更したのは、いつものカンジニアリング(感覚)で、実際に比較をしているわけではないので、どちらがより効果的かは何とも言えません。
 そのうち実際に比較しようと思ってはいますが、・・・・


 サイズが大きい方が滑りにくいわけですが、ノコギリサイズを考慮して治具は長さ200mm、幅20mmとして、磁石用の穴をを開けた2mm厚の板と3mm厚の板を張り合わせることにしました。

 蟻継ぎ等で斜めに切り込む場合は治具の厚みが加工精度を左右するためでできるだけ薄い方が良いので、張り合わせた3mm厚の板の周辺部は斜めに落としています。


 治具をノコギリ面に正確にセットするときには平行線定規があると便利ですし、取り外しはノコギリを軽く曲げると容易です。

 しばらく使っていますが使い勝手は良好で、組接ぎ等の細工に威力を発揮しています。

             


 J24-3 <切断> 手ノコ治具 → ダボ切りノコ  (2013.9.24) Top ↑

 引き続いてのほほん木工房さんのダボ切りノコで、完璧にコピーさせていただきました。
 (^^;;

 使いきったノコギリをグラインダーで半分に切断して、木材に当てる面のアサリを砥石で研磨して、取っ手を瞬間接着剤で取り付けました。


            

 使いきったノコでしたが結構切れ味も復活して、文字通り生まれ変わりました。
 とても重宝しています。 ありがとうございました。


 J24-4 <切断> 手ノコ治具 → 斜め挽きガイド  (2013.9.24) Top ↑

 J24-1の直角挽きガイドのの自在角度タイプです。

 写真で一目超然ですがノコを当てる部材と板材に当てる部材を、六角穴付きボルトと蝶ナットで留め、角度が調整できるようにしてあります。

 裏側に、最もよく使われると思われる角度、30、45、60度を鋭角と鈍角でそれぞれガイド線を描きました。
 (鈍角用はガイド板の影に隠れて見えませんが・・・・・)
 但し、このガイド線では精度はたかが知れてますので、別途45度専用の角度調整用ジグも作成しました。

 裏側に見える穴は、失敗跡
 (^^;;






 J24-5 <切断> 手ノコ治具 → 丸棒カットガイド  (2013.9.24) Top ↑

 汎用からかけ離れたかなり特殊な治具です。
直径が概略20数mm以下の丸棒の定尺カット用で、もともと木のアクセサリー作成用に作ったのですが、こんなもの紹介してもどうなのかなー・・・・・・

 ストッパーと一体になった棒をスライドさせて位置決めしてから、丸棒をのせてカットします。
 この治具を使う時には専用ノコとしてあさりなしの0.3mm厚のノコギリを使っていますので、それを前提にしたスケールをスライド棒に貼り付けましたが、貼り付ける部分はあらかじめカンナで削りました。

 その他に、スライド棒の固定ビスと、カット後にノコギリでスライド棒を傷つけるのを防止するための紙筒(かなり注意しても勢いでちょっとスライド棒に触ってしまうことも・・・・)、そしてお馴染みのノコギリ固定用のマグネットシートを貼り付けています。

    


J24-6 <切断> 手ノコ治具 → あられ組治具  (2014.9.10) Top ↑

 あられ組は酒枡等の側板同士の接合等に使われている最も単純な組手のひとつ。
これを手ノコで作成するための治具です。

特徴は2枚一組で切込みを入れるので噛合せのずれがなく、自由なデザインが可能な点です。

 原理は、図に示す通りで、使用するノコギリの厚みの分だけずらしてカットします。
正確にいうとノコギリの切削幅分ずらすのですが、ここではアサリなしを使用しますので、ノコ本体の厚みが切削幅となります。

 

 正確な加工のポイントは、カット線が板厚方向に直角で且つ垂直であること、正確に刃厚の分だけ板材同士をずらすことです。

 これらの条件を満たすための治具ですが、写真に示した直角部を正確に作成するのがポイントで、パタパタマニュアルはカットする位置を間違わないように付けました。
(実は何度か間違いをしてしまいました・・・・・失敗は工夫の源デス

 板材のずれを正確に設定するための治具として、使用するノコギリと同じものをディスクグラインダーで切断したもの、及びそれらを写真のように3枚を瞬間接着剤で貼りあわせたものを作成しました。

  

   



 それでは、実際にこの治具を使用してあられ組を加工してみます。

 初めに使用工具です。  

専用治具、平行定規、白柿、及び切込み深さ調整治具は手作り品で、平行定規、白柿、切込み深さ調整治具はあったら便利ですが、なくても大丈夫です。

 ノコギリは厚みが0.6mmのアサリなしです。










 次いで、加工手順です。



(1) 内側を合わせカットする位置に印をつけてソケット部(削除する部位)に×印を入れる。
 印は片側だけで大丈夫です。
 表側に組み合わせを間違わないようにマスキングテープ等で目印をつけておく。
 


(2) 切込み深さを板厚より若干大きめにけがく。
 表側は傷をつけたたくないので、ここでは鉛筆で線引き。






(3) 加工面を下にして使用するノコギリと同じ厚みの片を片側に当てずらす。




(4) 専用治具にクランプで固定する。
クランプは初めにクリップで仮止めすると容易。
 写真の場合手前の材を右側にずらしてるのでパタパタマニュアルにあるように奥側のソケット部位の左側をカット。





(5) マグネットシートを貼り付けたノコギリガイドに沿わせてノコギリでカット。
 この際、切込み深さ調整治具があると正確な切込みが簡単。





(6) 所定の場所のカット終了。
 (写真を撮るためにスライド上蓋は奥にずらしています。)


(7) 専用治具をカット溝に挟み込んでノコギリ厚み2枚分だけ逆方向にずらす。






(8) 金属治具を専用治具の溝に入れてカット面を下に押し付け、二つの板材のカット面が平面になようにピッタリ合わせる。


(9) 残りのカットを(5)と同様に入れる。
写真は全ての切込みを終えたもの。


(10) 表側のソケット部だけをけがく。
(ケガキあるいは白柿を使用)




(11) 端部のソケット部をノコギリで落とす。
次行程以降と同様ノミで落としても良い。




(12) ピンに挟まれたソケット部を糸鋸で粗落とし。


(13) ノミで全てのソケット部を落とす。
表側は正確に、裏側に向かって若干深めに落とす感覚でやると仕上がりがきれい。



(14) 仮組みした状態。

 この後は接着剤で接着し、ピンの出た部分はカンナ或はあさり無しノコギリでおとし、最後はサンドペーパー掛け。


(2014.12.9 追記)

 セットした板は2枚をピッタリ合わせたまま動かさなければなりませんが、慎重にやらないと板がずれてしまします。
 表面が平滑な板、作業途中のくしゃみ、二日酔いで手先が定まらない朝、進行する老眼、・・・等々、結構ずれるのデス(泣)

 作業途中の板のずれは致命的ですので、最初にカットしたらクランプを外す前に、その切込み部にのこ刃の切片を挿入して移動中にずれない工夫をしました。

二枚分の厚みに板一枚分の深さで切り込みを入れてるわけですから、挿入する切片は傾きが1/2(約25.6°)の直角三角形にしておけば厚みが異なっても全てこの1枚で対応できます。

 学研のDIY雑誌「ドゥーパ! 手作り週末木工 2015-2016」(2015年3月発行)にあられ組治具の紹介記事が掲載されました。 こちらです。

J24-7 <切断> 手ノコ治具 → 万能留め継ぎ(額縁作成)治具  (2015.8.17) Top ↑

 額縁作成の基本である留め継ぎ加工治具ですが、45度以外にも対応しているのであえて万能とうたっています。 

 留め継ぎの精度は、@額縁の角が正確に直角になること、A留め切断面が直角であること、に尽きますが、写真に示すように@についてはα、Aについてはβの各角度を正確に直角にすることで達成できます。


 マグネットシートを貼り付けたノコギリガイド部(A-SideとB-Side)のβの直角は板厚が大きい方が精度は高くなるのですが、磁力によるノコギリの抵抗も大きくなりますので、マグネットシートを短冊状に貼り付けました。

 一方、板材のフェンスを固定しないことで、45度以外の留め加工に対応できるようにしました。
具体的には額の横枠と縦枠の各幅の比(アスペクト比)を写真のa/bにします。
幅の大きい枠はAサイドで、小さい枠はBサイドでカットします。
同じ材の一方は材を裏返してカットします。

 言うまでもなく45度留め継ぎの場合も互いに接着する留め同士は必ずAサイドとBサイドの組合せでなければ正確な直角は望めませんので、念のため。

 基本的には縦枠と横枠をそれぞれ同サイズで2枚切り出し、治具に位置決めストッパー(SGTさん考案です。SGTさん、ありがとうございます。)を使って固定します。
 ストッパーの使い方は下記の通りです。
             


 作成手順の詳細を、アスペクト比(縦枠幅/横枠幅)=1.4の例で示します。

(1) 板材のフェンスをアスペクト比=1.4にセットします。

 縦枠と横枠を各2枚づつ同サイズで正確に切り出します。
 長さは、横枠/縦枠=1.4とします。(任意ですが、こうすることで留め継ぎ部が全て額縁中心点からの放射状になります。)
(2) 幅の大きい枠をAサイドに位置決めストッパーを使ってクランプし、あさりなし鋸でカットします。
 一方の端は材を裏返してカットします。
(3) 幅の小さい枠は、(2)と同じ手順でBサイドでカットします。 (4)留め継ぎ部を接着します。

                              


 学研のDIY雑誌「ドゥーパ! No.128 (2019年2月発行)」に紹介記事が掲載されました。
 こちらです。


   J24-8 <切断> 手ノコ治具 → 丸棒カット台  (2019.2.9) Top ↑
 

 ちょっと丸棒をカットしたい時に重宝します。


 厚さ40mmの棚板が余っていたので作成しました。

 ”作成しました。”って、ただ丸ノコテーブルで溝を掘っただけじゃぁ?・・・・・
















    


 幅の違う溝、裏に滑り止め、、、、うーむ、最近作風が単純明解、枯れてきたなぁー


 
  (2020. 8. 5 追記)

     

 フリーハンドだとなかなか直角にはカットできず、切り口が微妙に偏ってしまいます。
 そこで直角挽きガイドを取付けることにしました。

                    

 丸棒カットの頻度は多くないので直角挽きガイドは作業の都度取付けることになりますが、カット長や太さを考慮して取り付け位置を変更します。

 最初に作った丸棒カットガイドには定寸カットストッパーがあるのですが、こちらはノコギリガイドが丸棒押えを兼ねており作業性が向上しているので、今後はこの台だけで行うことになりそうです。

 丸棒カットガイドは廃版ですね。
 ”シンプルイズベスト”です。


 
  (2021.12.28 追記)

 丸棒カット台の最終バージョン(かな?)

 位置決めガイドを付け、さらに直角挽きガイドは付けっぱなしの専用としました。

          

          


 のこぎりで丸棒をカットする際は、ガイドと材が接触したままだと切断寸前で材が暴れるので材末端はフリーにする必要があります。
 そこで、2mm厚のアルミアングルにガイドを兆番で取付け、カットするときに上に跳ね上げる構造にしました。
 アルミアングルをスライドできるように台に2mm深さの溝をつけ、さらにキーボックスビットで逆T型の溝を掘り込み、M4サイズの皿ボルトとローレットナットをアングル固定用に取り付けました。
 写真を参照願います。

          

 ”シンプルイズベスト”と謳ったわりには、結構付属パーツが増えてきました。
 (-_-;)


 
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