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ギンザめざましクラシックスVol.11
〜オペラとミュージカル II〜
Produced by ちさ子&軽部

2000年03月18日(土) 銀座4丁目・王子ホール
18:00開場 / 19:00開演
プログラム
−第1部−

●ファリャ/クライスラー●
「はかなき人生」より スペイン舞曲第1番

●プッチーニ●
「トゥーランドット」より 誰も寝てはならぬ

●プッチーニ●
「トスカ」より 星は光りぬ

●J.シュトラウスII世●
「こうもり」より 侯爵様あなたのようなお方は

●ヴェルディ●
「椿姫」より パリを離れて

●マスネー●
タイスの瞑想曲

●ガーシュウィン●
サマータイム
−第2部−

●ロジャース●
「サウンド・オブ・ミュージック」メドレー

●ロジャース●
「回転木馬」より イフ・アイ・ラヴド・ユー

SweBe’sミュージカル・ワールド

●ロイド=ウェバー●
「オペラ座の怪人」より

●ロイド=ウェバー●
「キャッツ」より メモリー

●ショーンベルク●
「レ・ミゼラブル」より オン・マイ・オウン

●バーンスタイン●
「ウエスト・サイド物語」より トゥナイト
出 演
高嶋ちさ子[Vl.]
軽部真一

島田歌穂
島 健

白石光隆[Pf.]
林 詩乃[Vc.]
経種廉彦[Ten.]
武内亜季[Sop.]
中山眞美[Vo.]
久我英代[Vo.]
和田琢磨[Vo.]
■ ギンザめざましクラシックスVol.11
2000年03月18日(土) PM7:00
3月中旬、街を吹く強い風が春の訪れを告げるこの時期に“めざクラ”第11回目の公演が行われました。 それまで私が苦手だった声楽を好きになったきっかけというのが、以前に行われた〜オペラとミュージカル〜の公演であっただけに、今回の公演には特に期待して臨みました。
■ オープニング
真っ暗なステージ。モーツァルトの歌劇「フィガロの結婚」より『序曲』がピアノで奏でられる中、 スポットライトを浴びながら「遅れてしまってすみません」と慌てた様子でステージに現れた軽部さん。この「フィガロの結婚」が作られた当時というのは、 観客が開演時間に遅れて席に着くというのは当たり前だったので、その遅れてくる観客のために、本編に入る前の序曲というものを作るようになったそうです。 つまり、当時の観客はそれだけ今よりもずっとオペラを身近に感じ、気楽に楽しんでいたということです。しかし現代ではオペラやミュージカルというと高尚なイメージから、 気楽な気持ちで聴くことがなかなかできません。
そこで、「オペラやミュージカルの名曲を集めてもっと気楽に楽しんでもらおう」という想いから、〜オペラとミュージカル〜が考えられたそうです。 ただ、「オペラやミュージカルの名曲があまりにも多すぎるために、とても1回では収まりきらない」ということで、Vol.2に続きふたたび〜オペラとミュージカル〜を 取り上げることになったそうです(軽部さんが大のオペラ好きだからという噂も...)。
そして、この日の1曲目として演奏されたのが『スペイン舞曲 第1番』。これは、ファリャが歌劇「はかなき人生」の中の1曲として作り、 それをクライスラーがヴァイオリンで演奏するために編曲したもので、いつしかヴァイオリンの名曲として世に知られるようになった曲です。 激しく、リズミカルで、技巧的なこの曲を高嶋さんが演奏してこの日のめざクラは幕を開けたのでした。

○ファリャ 歌劇「はかなき人生」より クライスラー編 『スペイン舞曲 第1番』
演奏:Vl. Pf.
■ 運命の一言
この日、最初のゲストとして登場したのがテノール歌手の経種廉彦さん。まず経種さんが歌ってくれたのはイタリアのオペラ、 プッチーニの歌劇「トゥーランドット」より『誰も寝てはならぬ』でした。豊かな声量で歌い上げる様は、歌劇に登場するカラフ王子そのものの風格で、 テノールの醍醐味を存分に発揮していました。本来は歌劇の第3幕で歌われるこの歌を、公演が始まってすぐに歌うことがほとんどないため、この日はかなり気を使ったそうです。 でも、この曲順を提案したのは経種さんご本人だったそうです(笑)。
豊かな声量を披露してくれた経種さんですが、普段話をするときは以外に声が小さく、歌っている時とはまるで別人のようでした。 その経種さんがテノール歌手として歌うことになったきっかけをお話ししてくれました。それはテノール歌手のカルロ・ベルゴンツィからレッスンを受けたときのこと。 バリトン歌手だった経種さんが、レッスンの場でベルディの歌劇「リゴレット」より『悪魔め鬼め』という曲を歌い終わった後、それを聴いたベルゴンツィは一言。 「まず、レッスンを始める前にみなさんに言っておきたいことがあります。彼はテノールだ!!」。自身もバリトンからテノールに転向した経歴を持つベルゴンツィは、 経種さんの歌声を聴いてテノールへの転向を勧めたわけです。この一言によって経種さんはテノール歌手に転向し、現在の活躍へとつながっています。 なかなか珍しい経歴と思いきや、バリトンからテノールに転向した歌手というのは他にも何人かいるらしく、あのパヴァロッティもその1人だそうです (ちなみに、この経種さんの運命を変えたレッスンの時にピアノ伴奏を務めていたのが、この日めざクラ初登場のピアニスト白石光隆さんでした)。
そんな経種さんが続いて歌ってくれたのが、先程と同じプッチーニの作った歌劇「トスカ」より『星は光りぬ』。これは、政治犯をかくまった罪で銃殺刑となることが決まった カヴァラドッシが、刑が執行される前の晩に愛するトスカへ宛てた手紙を書いている時の歌。テノールの名曲とも呼ばれるこの曲を経種さんがドラマティックに歌い上げてくれました。

○プッチーニ 歌劇「トゥーランドット」より 『誰も寝てはならぬ』
演奏:Ten. Pf.

○プッチーニ 歌劇「トスカ」より 『星は光りぬ』
演奏:Ten. Pf.
■ 関西からやって来たソプラノ歌手
経種さんに続いて登場してくれたのが、ソプラノ歌手の武内亜季さん。 武内さんはウィーンのオペレッタ、J・シュトラウスII世の「こうもり」より『侯爵様あなたのようなお方は』を歌ってくれました。 高嶋さんは、この歌の中の「アハハハ、ハハハ」とアデーレの笑う部分を、徐々に音階を上げて表現するところが お気に入りだそうですが、この細かい音を早い旋律で歌う唱法はコロラトゥーラと呼ぶらしいです。この曲で玉を転がすような声でアデーレの歌を披露してくれた武内さんの出身は奈良。 大学も大阪のため、その話し方は生粋の関西弁。「独特のイントネーションの関西弁だと歌うときに何か影響があるんじゃないですか?」という質問に対して、 「関西弁とイタリア語のイントネーションには共通点があるから逆にいいんです」と語っていましたが、はてさて実際はどんなものなのでしょうか? さらに話題は関西弁から出身地の奈良の話へと移ったのですが...、

軽部さん 「奈良というとやはり、お寺や鹿で有名ですよね」
武内さん 「ウチの近所には鹿はいませんが、唐招提寺というお寺ならあります」
軽部さん 「唐招提寺というと、鑑真が絡んでいるお寺ですよね。鑑真て知ってるよね?」
高嶋さん 「?? ガンジーなら知ってますけど(笑)」
軽部さん 「ガンジーは外人じゃないですか。鑑真は日本人ですよ」
しかし、この後客席から「鑑真は中国人」とツッコミが入る(笑)。

ずいぶんと話が脱線したもので、クラシックコンサートにまさか日本史の話題が出てくるとは。めざクラ恐るべし。

○J・シュトラウスII世 オペレッタ「こうもり」より 『侯爵様あなたというお方は』
演奏:Sop. Pf.
■ 演技でも魅せるオペラ歌手
さらに続けて、イタリアの作曲家ヴェルディの書いた歌劇「椿姫」より『パリを離れて』を、 再登場した経種さんと武内さんの二重奏で歌われました。これは愛し合うアルフレードとヴィオレッタが再会を喜び合う場面で歌われる曲で、 歌劇の中の設定では肺を患い病身のはずのヴィオレッタなのですが、この日その役を演じるのは若くて健康的な武内さん。 その武内さんは、軽部さんが設定を解説した時の「ちょっと病身には見えませんが...」という言葉に咳き込む仕草で返して会場の笑いを誘っていました。
経種さんと武内さんはいざ曲が始まると、とたんに愛し合う二人になりきり、病身のヴィオレッタとそれをいたわるようにやさしく手を取るアルフレードを見事に演じながら、 美しい二重奏を聴かせてくれました。

○ヴェルディ 歌劇「椿姫」より 『パリを離れて』
演奏:Ten. Sop. Pf.
■ ヴァイオリンの名曲
甘い二重唱に続いて演奏されたのがフランスの作曲家マスネーの『タイスの瞑想曲』。 今ではヴァイオリンの小品としてすっかり有名になっているこの曲ですが、元々はマスネーの歌劇「タイス」の間奏曲として作曲されたものが、 いつしかヴァイオリン単独で演奏されるようになったのだそうです。この曲を演奏してくれた高嶋さんは、1曲目に演奏した『スペイン舞曲 第1番』と対比して、 「ファリャやクライスラーのような技巧的な曲というのはとにかく練習量がものを言いますが、 それに対しこの『タイスの瞑想曲』のような曲は、実際の練習量よりもむしろ演奏する際の頭と心が重要なのでかえって難しい」と語っていました。 素人目で見ると技巧的な曲の方が圧倒的に難しそうに見えるけど、易しそうな曲も演奏する側に立てばなかなか奥深いものがあるようです。

○マスネー 歌劇「タイス」より 『瞑想曲』
演奏:Vl. Pf.
■ オペラに初挑戦
ここまでは、スペイン、イタリア、オーストリア、フランスとヨーロッパのオペラから数々の名曲が披露されてきましたが、 第1部の最後を飾るオペラの名曲はアメリカのオペラの傑作、ガーシュウィンの歌劇「ポーギーとベス」より『サマータイム』。この曲を歌うのは、おなじみSweBeの中山眞美さん。 この曲はさらにめざクラ初登場のチェリスト林詩乃さんを迎えて演奏されました。めざクラ準レギュラーとしておなじみの中山さんですが、聞けばオペラの曲を歌うのは初めてとのこと。 それに加えて、マイクを使わずに歌うというのも初めてということで多少緊張気味。しかし、実際に歌ってみればマイクを使わずともその歌声は王子ホールの隅々まで響きわたり、 ジャジーなアレンジの『サマータイム』で見事に第1部を締めくくってくれました。

○ガーシュウィン 歌劇「ポーギーとベス」より 『サマータイム』
演奏:Sop. Vl. Vc. Pf.
■ 7つの楽器で『ド・レ・ミの歌』
第2部はミュージカルの名曲から選曲されました。 まずはロジャースの作ったミュージカル「サウンド・オブ・ミュージック」より、テーマ曲の『サウンド・オブ・ミュージック』。 そしておなじみの『エーデルワイス』、『マイ・フェイバリット・シングス』、『ド・レ・ミの歌』などがメドレーで演奏されました。 ヴァイオリン、チェロ、ピアノの三重奏で進行していったメドレーでしたが、某鉄道会社のCFでも使われている『マイ・フェイバリット・シングス』では、 軽部さんの「そうだ。京都へ行こう!」のセリフ付き(笑)。さらに『ド・レ・ミの歌』では軽部さんも演奏に参加。「ドはドーナツのド、レはレモンのレ...」という歌詞に合わせて、 ド=ウクレレ、レ=サンポーニャ、ミ=木琴、ファ=小さな鉄琴、ソ=クラクション(?)、ラ=ソプラノ・リコーダー、シ=オカリナという具合に、 1つの音階ごとに1つの楽器を演奏するという慌ただしさ。そのあまりの慌ただしさにいくつか音がはずれる場面も...。 演奏後、軽部さんは「リハーサルでは完璧だったんですが...」と苦笑。 特に小さな鉄琴で出すファの音には自信があったのに、「本番ということで緊張して手が震えてしまい、思った場所が叩けなかった」そうで「本番は怖いですね」と語っていました。
ロジャースは他にも「オクラホマ!」や「王様と私」のなどのミュージカルを手がけており、この日は「サウンド・オブ・ミュージック」に続いて、 同じくロジャースの作った「回転木馬」よりメロディアスなラブバラード『イフ・アイ・ラヴド・ユー』が三重奏で演奏されました。

○ロジャース ミュージカル「サウンド・オブ・ミュージック」より 『サウンド・オブ・ミュージック メドレー』
演奏:Vl. Vc. Pf. & Etc.

○ロジャース ミュージカル「回転木馬」より 『イフ・アイ・ラヴド・ユー』
演奏:Vl. Vc. Pf.
■ SweBe’s ミュージカル・ワールド
めざクラのコーラス部門担当(?)のSweBeは、ミュージカルの名曲を集めたメドレーを『SweBe’s ミュージカル・ワールド』と 題して、 お得意のコーラスで披露してくれました。このメドレーは「コーラス・ライン」の『ワン!』のリズムに乗って軽快なステップでSweBeが登場するところから始まり、 続けて「ヘアー」、「ピピン」、「ジーザス・クライスト=スーパースター」、「ゴッドスペル」などのミュージカルの名作から選りすぐられた名曲を、 SweBeが独特のコーラスで歌ってくれました。そして、メドレーの最後には自らの自己紹介をコーラスにした『ウィ・アー・SweBe』で締めくくり、 またもや『ワン!』のリズムに乗りながら退場していくという楽しい演出を見せてくれました。
その後で改めて登場したSwe Beに話を聞いてみると、なんと!! SweBeは昨年の暮れに解散してしまい、現在はそれぞれが別々に仕事をしているとのこと。 メンバーの和田さんにいたっては、現在まんが喫茶でアルバイト中のため、まともに歌うのは3ヶ月ぶりだそうです。 それにも関わらず、あれだけそろったハーモニーを聴かせてくれるのだから 大したものです。バンドは解散してしまったけれど、めざクラに出演するときには3人そろって 出演してくれるそうなので、これからもSweBeのコーラスを聴くことができそうです。

○『SweBe’s ミュージカル・ワールド』
演奏:Vo. Pf.
■ 王子シアターに怪人現る!!
ところで、Swe Beの出番のあたりから軽部さんの姿が見えない。Swe Beに話を聞くときも高嶋さんが1人で聞いていたし...。 そんなことを考えているところへ「これからミュージカルの1場面をこの王子ホールで再現してみます」と高嶋さんの言葉。
そこへ流れてくる『オペラ座の怪人』のイントロ。そして、その旋律に重なるように客席の後ろから聞こえてきた女性の歌声。振り返るとそこにはクリスティーヌに扮する 武内さんの姿が!! そのまま歌いながらゆっくりとステージに向かって歩くクリスティーヌ。
続いてまたもや客席後方から聞こえてくる男性の歌声。そこに現れたのは白い仮面を着け、黒いマントを身にまとった“オペラ座の怪人”でした。 この怪人役はもちろん軽部さん。怪人が客席の通路にいたクリスティーヌの手を掴み、そのままステージへと上がっていく。このあたりの軽部さんの演技はなかなか様になっていて、 ミュージカルの曲に初挑戦したという武内さんも、音域の広いクリスティーヌ役を見事にこなしていました。この瞬間、まさに王子ホールは劇場“王子シアター”と化して、 私たちを「オペラ座の怪人」の世界へと引き込んでいったのでした。
この「オペラ座の怪人」の1場面が無事終了して、仮面やマントをはずした軽部さんもさすがにホッとした様子。『ド・レ・ミの歌』では失敗してしまいましたが、この場面で面目躍如。 高嶋さんも「いい曲は誰が歌ってもいい曲ですねぇ」と茶化しながらも賞賛していました。

○ロイド=ウェバー ミュージカル「オペラ座の怪人」より 『オペラ座の怪人』
演奏:Vo. Pf.
■ 登場!! 日本が誇るエポニーヌ
軽部さんの好演(?)による感動もさめやらぬステージに満を持して登場したのが、この日のスペシャルゲスト、歌手の島田歌穂さんと ピアニストの島 健さんのお二人。 島田さんはご主人でもある島さんの伴奏で、ロイド=ウェバーのミュージカル「キャッツ」より『メモリー』を歌ってくれました。それは島さんの澄んだ音色のピアノ伴奏と、 島田さんの透き通った歌声が重なり合った素敵な演奏でした。
素敵な演奏を聴かせてくれたお二人でしたが、この日、島田さんが出演者と顔を合わせたのはこれが初めてだったそうです。というのも、島田さんはこの日の昼間、 長野県上田市で行われている井上ひさしさんのこまつ座の公演「黙阿弥オペラ」に出演しており、その舞台が終わってから東京に向かったため東京駅に着いたのが午後7時ちょっと前。 王子ホールに到着したときには、すでにめざクラが始まっていた時間。そのため、この日はリハーサルなしで本番に望んだわけです。 そんなハードスケジュールでも出演してくれたのは、軽部さんが「ぜひとも島田さんに歌っていただきたくて、今回のテーマをオペラとミュージカルに選び、 無理を言って出演のお願いをした」からだそうです。決して「オペラ座の怪人をやりたくて」(by島田さん)このテーマにしたわけではないそうです(笑)。
その後、話題は島田さんと島さんがご結婚された経緯へ。どんなきっかけでお二人が出逢ったかというと、それはまったく偶然の出逢いで、島田さんがアルバムの レコーディングをしている時に、そのレコーディングに参加していたギタリストに用事のあった島さんがスタジオへ訪ねてきたそうです。 その日がたまたまレコーディングの最終日だったため、「それじゃ、せっかくだから一緒に打ち上げに参加しましょう」という話になり、 その打ち上げで偶然お互い目の前の席に座ったことがきっかけで知り合うことになったそうです。ところが、この打ち上げの時が初めてと思いきや、お二人はお互いに知り合う前に、 島田さんの「レ・ミゼラブル」のシングル曲で島さんがピアノ伴奏をしていたという妙なご縁があったそうです。
「レ・ミゼラブル」とえば、島田さんはこのミュージカルの日本公演が初演された1987年より13年間に渡ってエポニーヌ役を務めており、その出演回数は1000回を超え、 いまや「エポニーヌといえば島田歌穂さん」と呼ばれるほど。世界中の出演者から選りすぐられた「レ・ミゼラブル」のベスト・キャスト・アルバムにも日本人としてただ1人参加し、 高い評価を受けています。
そしてこの日、エポニーヌが歌ってくれたのが名曲『オン・マイ・オウン』。マリウスを愛していながらも、そのマリウスとコゼットのキューピッド役をするという切ない立場の エポニーヌが歌ったこの曲。聴いていると胸が締め付けられるような悲しい曲を、日本が世界に誇るエポニーヌ、島田歌穂さんが絶唱してくれました。 その歌唱力は会場全体が「レ・ミゼラブル」の一場面に思えてしまうほどの素晴らしさで、この瞬間その場にいた誰もがその素晴らしさに魅了されたことでしょう。 この曲の後に高嶋さんが「対訳のしっかりした日本語のミュージカルは、歌詞が心に染み込んでくる」と語っていましたが、この日の『オン・マイ・オウン』は、 まさに心の奥へ染み込んでくるような歌でした。

○ロイド=ウェバー ミュージカル「キャッツ」より 『メモリー』
演奏:Vo. Pf.

○ショーンベルク ミュージカル「レ・ミゼラブル」より 『オン・マイ・オウン』
演奏:Vo. Pf.
■ お知らせ
感動的な『オン・マイ・オウン』のあとで、雰囲気はガラッと変わって高嶋さんと軽部さんからお知らせ。 かねてより話があっためざクラCDのレコーディングを3月末に控え、発売日も05月20日(土)に決定!!。それに続いて高嶋さんのヴァイオリン・リサイタルの話へ。

高嶋さん 「めざクラCDの発売日は私のリサイタルの3日後です」
軽部さん 「そういえば今度リサイタルをやるんですよね。どんな感じでやるんですか?」
高嶋さん 「リサイタルなので、なるべくしゃべらないでやるつもりです」
軽部さん 「どうせなら、いっさいトークなしでやってください(笑)」

ということで、リサイタルではトークなしで、黙々と演奏する高嶋さんの貴重な姿が見られるかもしれません。そして話題はめざクラの地方公演の話へ。

軽部さん 「めざクラの全国ツアーが決まり、なんと全国16カ所からオファーが来ています」
高嶋さん 「沖縄からもオファーが来ているので、めざクラ観覧ツアーも計画中です(笑)」

全国各地を“めざクラ”が席巻(?)するかも...。さらに高嶋さんは、4月から天下のNHK(教育テレビ)「芸術劇場」で司会を務めることが決まったそうです。

軽部さん 「NHKも思い切った人選をしますねぇ」
高嶋さん 「私もそう思います(笑)」

一方、軽部さんもこの春のフジテレビのキャンペーンソングを“Withラフ”というユニットで歌うことが決定し、シングル『スマイル・アンド・ビギン』を5月に発売することが 決まったそうです。以上、めざクラ以外でも大活躍のお二人からのお知らせでした。
■ 「譜面台が1つ多い?」
この日の最後のプログラムは、バーンスタインのミュージカル「ウェスト・サイド物語」より『トゥナイト』。 ここで演奏されたのは、トニーとマリアの2人がバルコニーで歌う『トゥナイト』ではなく、ジェット団とシャーク団の対決する夜に歌われた『トゥナイト』のアンサンブルバージョン。 この曲を経種さんと武内さんのオペラ歌手の2人、SweBeの3人。そして「譜面台が1つ多くないですか?」と高嶋さんからツッコミのあった軽部さんによる6人が、Vl. Vc. Pf. の高嶋さん、林さん、白石さんの3人の 演奏をバックに歌い、この日のプログラムは締めくくられました。

○バーンスタイン ミュージカル「ウェスト・サイド物語」より 『トゥナイト(アンサンブル)』
演奏:Vo. Vl. Vc. Pf.
■ アンコール
全プログラム終了後、先程のメンバーに加えて島田さんに再び登場してもらい、ミュージカル「レ・ミゼラブル」より 『民衆の歌(ピープルズ・ソング)』が演奏され、この日の公演は幕を下ろしました。

○ショーンベルク ミュージカル「レ・ミゼラブル」より 『民衆の歌(ピープルズ・ソング)』
演奏:Vo. Vl. Vc. Pf.
■ 今回のひとこと
今回の公演はめざクラ初登場の出演者が多く新鮮味があり(別におなじみのメンバーが良くないというわけではないです)、 軽部さんの“怪人”役もハマっていて楽しい公演だったが、なんといっても島田さんのエポニーヌが素晴らしかった。 この日に聴いた『オン・マイ・オウン』は決して忘れられません。