第2回

「オーストリア 〜ザルツブルグ〜」(1998.10)

「サウンドオブミュージック」のロケはザルツブルグの旧市街と近郊のザルツカンマグート地方で主に行われました。ザルツブルグの旧市街はそれほど広くないので、歩いてゆっくり回っても半日あればそのロケ地を見て回ることができるでしょう。私はまずミラベル庭園を訪れました。この庭園は「ドレミの歌」のシーンに使われた有名な場所です。マリアと子供たちが輪を描きながら歌ったペガサスの噴水や、楽しそうに踊りながら通った木のアーチを見ると、頭の中はもう「ドレミの歌」でいっぱいになります。

− 一通り映画の真似をして、映画の雰囲気を堪能してから、旧市街地へ向かいます。この公園にはモーツアルトゆかりの宮殿や、家などもありますが、それについては後ほど触れるとしまして、まずは「サウンドオブミュージック」の世界をたどってみましょう。新市街と旧市街はザルツァッハ川によって二分されています。このザルツァッハ川も同じく「ドレミの歌」を歌いながら行進するシーンに使われた川です。その川にかかる橋を渡って旧市街に入り、モーツアルトの生家のわきを抜けて広場に出ると青空市場が開かれています。ここはマリアが子供たちにトマトを投げて渡すシーンの撮られた場所で、30年近く経った今もまったく変わらぬ姿で市が開かれており、何やら懐かしさをおぼえるような感慨に浸ってしまいました。野菜市のほかにパンや雑貨品などの店も出ていますが、その一つで買ったジェノバペーストはとてもおいしく、パスタにしたり、パンにつけたりして食べています。醤油といっしょにご飯にかけても美味いですよ。

− 広場を過ぎてつきあたりの右手奥にトラップ一家が音楽コンテストに出場したシーンの撮られた祝祭劇場があります。左手、ドーム方向に進む途中の右手側にはトラップ一家がナチスから逃げるため教会に逃げ込んだシーンが撮られた聖ペーター教会があります。私は後で知ったので訪れることができませんでしたが、すぐ近くにあるのでぜひ立ち寄るべきでしょう。ハイドンやモーツアルトのお姉さんの墓もあるそうです。

− ザルツブルクから東に車で30分程のところにもう一つのロケ地、ザルツカンマグート地方があります。この地方はアルプスの山々に囲まれた美しい湖水地帯で、マリアと大佐の結婚式や鉄道に乗ってピクニックに出かけるシーンなどが撮影されました。結婚式のシーンに使われた教会はモント湖の西端にあり、当然のこととはいえ、映画とそっくりで感動しました。しかし、撮影のうまさでしょうか、映画よりも実物はすこし小さく感じられました。教会から湖に向かう途中には子供たちが木に登って遊んでいる脇を大佐の乗った車が通り過ぎるシーンに使われたと思しき並木道がありましたが、こちらについては勝手に思い込んでいるだけで本当かどうかわかりません。

− 私はツアーだっため、ピクニックのシーンに使われたシャーフベルク山とシャーフベルク鉄道を見に行くことはできませんでしたが、モント湖のすぐ近くにあるウォルフガング湖から行けますので、時間の許す方はぜひ行ってみるとよいでしょう。ツアーバスではガイドさんの計らいで「サウンドオブミュージック」のサントラがかかっていて、とても気分がよかったのですが、その分シャフベルク山を横目で見ながら通り過ぎていくときはちょっと悲しかったですね。

− 今回のたびもそろそろ終わりに近づきました。ザルツカンマグート地方を抜け、アウトバーンに入ると、音楽の都ウィーンまでもう直ぐです。

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