−1月−

−授業−
あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。
今年度は「生徒指導主事」(不登校対策実践指定校)という分掌を担当し,教師生活で初めて学級を担任しない仕事をしています。主な仕事は「問題行動対応」「不登校対応」「道徳授業の指導」という,どれも今まで私が苦手としていた部分の取組みをすることになりました。学級から離れてみてよく分かりましたが,やはり教師としての仕事の一番の醍醐味は授業にあります。今は,その授業をされる先生方のお手伝いをしているつもりです。今年こそはまた学級担任として新しい授業作りを行っていきたいものだと思っています。

−隙間時間1−
「―元々この尊皇攘夷は古代中国の周王朝において,天子(王)を尊び,国土に侵入しようという夷(外国人)を攘(はら)うという言葉からきておりましてな,和国の国学者がペリー提督の黒船の脅威に仰天して都合よく解釈して声高に使い出したものでございます,未だ体系だった確固たる思想とまでは申せますまい」 これは時代小説作家,佐伯泰英氏の人気シリーズ「交代寄合伊那衆異聞」の最新刊「攘夷」の中の一節です。迫力ある立回りや人情味の豊かさを味わうと共に,史実の講釈も楽しめるのが時代小説です。これはシリーズの第6巻目ですが,他にも「居眠り磐音 江戸双紙シリーズ」や,江戸時代の昼下がりのほこりの匂いまで伝わってくるような藤沢周平作品等,本は読み始めると時間がいくらあっても足りなくなるものです。

−隙間時間2−
忙しい時ほどそれ以外の事をしたくなります。しかし逆に,時間が十分あると,そのしたかった事をする事が案外面倒になってきたりします。ということは,忙しい時こそが様々な事を楽しめる基本的な土壌なのだと悟った方が得な生き方ができそうです。

−隙間時間3−
忙中閑ありともいいます。忙しい時こそ他の事も楽しめるという境地に立って,読書も楽しみます。ほんの僅かな隙間を狙ってポケットに忍ばせた本を開きます。例えば校内で様々な会議が行われますが,その場所に開始時刻5分前には行き,そこでテストの採点や日記への赤ペン入れや読書をして開始を待ちます。また出張に出る時などは,途中の混雑等も予測して少なくとも30分前には着くようにしていますから,そこで教材研究や読書の時間を取ることができます。「忙しい」ではなく「今日も仕事ができる」。「時間がない」ではなく,隙間時間しか取れないからこそ,「凝縮した充実感を味わえる」という心境をつくり出します。

−駐車場1−
今年度は学級担任がないので,参観日にはグランドの駐車場係をしています。4月にはグランドに10数本のラインを引き,職員が数人出て,車の誘導をしました。多くのラインを引くので,石灰を何度も補充に行きました。最初は目測で引いていましたが,車の数が多いので,どの車もすぐ出られるように配置するにはやはりきちんとラインの間隔を測って引く必要がありました。しかし今では改良を重ね,ラインの数が3分の1に減り,間隔を測る必要も誘導する職員も必要なくなり,私一人で全て終えることができるようになりました。

−駐車場2−
最初の頃は,車2台が背中合わせに並び,その前後にラインがくるように3本引いていました。それをある月から真ん中の1本だけにしました。すると石灰の補充をする必要がなくなりました。そのラインのポイントを決めるのに,50M巻き尺を延ばして測っていましたが,ある月に引いたラインの,それぞれの端のポイントを周りの風景と一緒に写真に撮りました。これで,もういちいち巻き尺で間隔を測らなくても,その写真を見て,グランドの両側にポイントになる印を石灰でつけ,それをライン引きで結べばいいようになりました。

−駐車場3−
車の誘導も,今では私一人がグランドに出て,最初に来られた方の車を各ラインの端に2台ずつ背中合わせにとめてもらったら終わりにしています。後はそれに合わせていつものようにとめて下さいます。今まで誘導をしていた先生方もゆっくり給食を食べることができるようになりました。

−規範意識1−
子どもたちの規範意識の希薄化が様々な場で問題とされています。今,子どもたちに規範意識の確立を図ることは重要な課題です。毎日の集団生活の中には,当たり前に守らなければならない決まり事があります。それを意識して行動できるよう指導していくことが教師の1つの仕事です。しかし指導する教師自身が決まり事を意識して行動していなければ,その指導は口先だけの効果のないものになってしまいます。

−規範意識2−
「きまりを守りましょう。」という言葉に重みが生まれる最低条件は,それを言う者がまずちゃんときまりを守っているということです。しかし,これがほとんどできていない実態があります。例えば子どもたちが休憩時間終わりのチャイムが鳴っても遊んでいれば注意されますが,授業終わりのチャイムが鳴っても授業をしている教師は注意されないのです。

−規範意識3−
「授業終わりのチャイムを守りましょう。」と呼びかけても,チャイム前後に休憩が始まるクラスはなかなかありません。「そんなことは大した問題ではない。」という意識があるのかもしれませんが,「そんなこともできない」から子どもの規範意識も確立されないのかもしれません。

−規範意識4−
逆に教師がチャイムを守るだけで,子どももきまりを守るようになるわけでもありません。ただ,教師が「きまりを守ることは大切だ」ということを意識し,そういう感覚を身につけさせたいと心底思っていれば,自ずと自分自身に対してもこだわりを持つようになるはずです。

−規範意識5−
はっきり言って,私自身は「規律」や「規範」を意識してチャイムを守ろうと思っているわけではありません。私は終わりのチャイムを守ることは「授業を受ける(受けてくれる)人へのせめてもの誠意」だと思っています。大人でも45分や50分間の学習をすれば疲れます。たとえ興味を持って夢中で取り組んだとしても,身体は疲労します。

−規範意識6−
授業時間を平気で延ばしてしまう感覚が,自分自身の反省も含めて,教員体質ではないかと思うことがあります。巷では「エラそう」「言うことを聞かない」「平気で遅刻する」「文句が多い」などと陰口をきかれています。いつも綺麗事を言っていながら,自分自身の行動には醜い自己中心的な病巣を内包しているということが,教師の世界にもあるのかもしれません。

−規範意識7−
子どもたちに規範意識を育てようとする時,それなりの迫力と評価が必要です。迫力とは,外に向けての力強さと共に,内に向けて自らを律する気迫,気概です。例えば自分自身が始まりや終わりの時間を守ろうとする態度です。それは大袈裟に大々的にするのではなく,ごく自然に,それが当たり前のように1年間毎日繰り返す努力をすることで,逆に深く影響を与えるように思います。

−規範意識8−
各時間毎に教科担任が変わる中学校と違って,小学校では各時間毎の区切りをあまり意識する必要がありません。休憩になってもそのまま続けて,休憩終わりのチャイムが鳴った頃から「ではこれから5分間休憩。」とタイマーをかけたりします。子どもたちもそれに慣れています。それが,ある学年になって,終わりのチャイムが鳴ると同時に休憩が始まるということになると,新鮮な驚きと小さな喜びを覚えます。それが1年中ずっと続くと,ありがたがってくれる子もいます。またそういう教師の姿勢をちゃんと評価してくれる子もいます。

−規範意識9−
心理学というほどのレベル以前の段階ですが,実は子どもたちにこういった印象を与えることが,経営の隠し味になるところではないかと思います。媚びるわけでなく,当たり前のことを自然にやっているようで,求心力が生まれる小さなポイントのような気がします。

−規範意識10−
学級開きをした日から規律指導もしていかなくてはなりません。しかし出会ったばかりの関係で,ただ厳しくするだけでは,特に最近の子どもたちには通じなかったり,反発を招く心配もあります。どこかで,子どもたちが納得し,教師を自分たちの側に感じながら,能動的に規律を守ることを意識するようになる糸口を見つけたいものです。「きまりを守らせること」を目的にするよりも,「きまりを守るようになる取組みの工夫をしていくこと」を,求心力を持った学級づくりに利用していきたいものです。そこに教育の面白味が生まれます。

−生徒指導1−
初めてなった生徒指導主事として,何をすればよいのか分からないなりにもうすぐ1年が過ぎようとしています。週に10時間の道徳授業を受け持つことになり,2年,4年,5年,6年のそれぞれの指導案を毎回作ってきました。3月にはそれぞれノート1冊に35週分の指導案が出来上がる予定です。授業を続けてきて,段々展開や発問内容も変化してきました。

−生徒指導2−
全校児童600余名の内半分以上のクラスの道徳授業を行うという責任感を感じて,最初の内は少し「価値葛藤」「自らの生活を元に」という部分を意識し過ぎていたように思います。その内段々各クラスの実態も分かってきて,少しはそのクラスの特性に合わせた展開,発問が行えるようになってきました。最近はシンプルな構成で,教師の発言を少なくし,その場の空気を読みながら,45分を沈黙や私語のない流れにしてきているつもりです。もうすぐチャイムが鳴るという時に「終わります。」と告げると,「えっ,もう終わるの?」という声が聞かれたり,授業が終わって廊下に出ても授業の内容について自分の思いを話してくる子がいたりと,今はようやくいっしょに授業を楽しめる心境になってきました。

−生徒指導3−
以前にも書いたように,各学年の道徳掲示資料も作成してきました。テキストの全ての挿絵と,内容に関係する写真等を拡大カラー印刷し台紙に貼り,裏にマグネットシートをつけ,教材名を書いた袋に入れて整理しています。またその全てのデータを学校のPCに保存しており,年度末には必要な先生方に提供しようと思っています。



−生徒指導4−
生徒指導主事としての本来の仕事は「問題行動対応」「不登校対応」です。朝,連絡のない家庭に出向くこともあります。現在は先週から,問題が多い学年の廊下の端に机とイスを置いて,道徳の授業以外の時間はそこで待機しています。その学年が職員室のある棟の反対側の棟でしかも最上階にあり,何かあった時職員室から駆けつけていては時間がかかるためですが,これは正直言って,かなり冷えます。肌シャツ2枚に軍手は欠かせません。

−生徒指導5−
今日は朝から3時間,最上階の廊下の端に児童机とイスを出して座り手袋をして仕事をしていました。毎日何かトラブルがあり,教室から呼ばれて指導に入ります。校内の巡視も行い,2棟ある児童玄関8つの戸を安全のため見回りの度に全部閉めることを繰り返します。掃除中は指導をしながら一緒に掃除をします。最後はゴミステーションに行き,袋の整理と掃除をし,口がくくってあるかどうかを確かめます。その後階段,トイレを見て回り不十分な所や問題のある所は担当の教室に行き,担任にお知らせします。高学年は掃除場所が校内にたくさんあるので,担任はその全てを毎日全部はチェックできないことを昨年まで感じていました。もし自分が担任だったら,そのチェックをして教えてもらえると,指導上とても助かると思ってのことです。

−生徒指導6−
大休憩(2時間目と3時間目の間)と昼休憩はグランドと体育館裏の見回りをします。時には一緒にバスケットやバレー,縄跳びをします。また休憩の終わり頃は児童玄関前に立っていて,外遊びから帰ってくる子どもたちの胸元を見て名札がない子を探し,声をかけます。そして画用紙に安全ピンを付けた手製の名札にその場でマジックで名前を記入させ,胸に付けさせます。最初はちょっと大きめの画用紙で,名札のないことを目立たせようかとも思いました。しかし,最近の保護者は様々な価値観を持たれているので,「うちの子に恥をかかせた。」とクレームが来てもいけないので,その半分の大きさにしています。

−生徒指導7−
先日2,4,5,6年生の道徳テキスト全ての挿絵画像と今まで使ってきた関係資料画像をまとめることができたので,早速職員室の先生方の机上にその紹介文を配りました。

2月へ

1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月