−6月−

−相談3−
相談を受けた次の日の朝,その学級に行って,1時間目が始まるまでの20分間ほどをもらい,発表の練習をしました。内容は例の「5分でできる指名なし発言」の応用編でした。そして,その日の放課後に「その後」の子どもたちの様子を聞いてみました。

−相談4−
今まで自分のクラス以外で試したことがなく,本当にこの「発表する態度を促す方法」に効果があるのか不安があったので,様子を聞かずにおれませんでした。頼んだ手前,私に気を遣って下さったとは分かっていながら,相談をされた先生から聞かせてもらった「その後の子どもたちの様子」はとても嬉しいものでした。

−相談5−
「子どもの姿ががらっと変わった」「あんなやり方があるのかと思った」「あそこまで子どもが言えるとは思わなかった」「手が挙がるようになった」という言葉を聞き,一応教務という立場上の役目も果たせたかなと,ほっとしました。「以前,指名なし発言への取組みのプリントをもらって読んではいたけど,読むと実際に見るとでは随分イメージが違った。」とのことでした。

−生活指導1−
昨年度初めて生徒指導主事になり,今年もたぶん同じ分掌だろうと始業式の後の「生活指導部からのお話」を考えていたら,今年は教務担当となり,せっかく考えていた話ができないことになりました。

−生活指導2−
そこで,4月はじめの職員会議の中で,教務から連絡ということで,「私は今年もてっきり生活指導担当とばかり思って,始業式に生活指導部から話す内容を考えていました。もし先生方の中で学級開きのネタをまだ考えておられない方がおられたら,粗品ですが1つ提供しますので,後ほどいらして下さい。」と伝えました。

−生活指導3−
つい言ってしまった後,やっぱりあんなこと調子に乗って言わなければよかったと後悔していました。しかし,心優しい5人の先生方からその後申し出を受けました。毎回話を楽しみにしていたと,担任以外の先生からも希望があったことも嬉しく思いました。

−楽しい授業1−
授業を楽しくするためにはどうすればいいのでしょう。まず,「面白可笑しく授業を進める」ことや「タイルの代わりにキャラメルを使う」ようなことではないのは明らかです。しかし,それでもないよりあった方がまだましです。いわゆるB基準です。10歳前後の人間相手に,そういう面の工夫をするのは当たり前の手立てです。

−楽しい授業2−
「分かるようにする」とか「できるようにする」という命題に対しては力の入れようもイメージでき,すぐに取り組むことができます。しかし「楽しい授業」というものが「教師の演技や物に頼るものではない」とすれば,どこにどんな力を入れたらいいのかイメージしにくいものです。

−楽しい授業3−
「授業が楽しいとは,つまり,わかった,できたという喜びを味わう経験をさせることだ」と言ってしまえば終わりのような気もするのですが,人はそうシンプルではありません。子どもの中には確かに「分からないから楽しくない」という子もいるのですが,「分かるけど楽しくない」という子もいるのです。

−楽しい授業4−
「分からない」ことが楽しくない原因になっている子には「分かる」ように教師が頑張れば「楽しい」ということになります。しかし「分かるけど楽しくない」という子に対しては,全く違ったアプローチをしていかなくてはなりません。

−楽しい授業5−
「分かるけど楽しくない」という子に対しては「分からないから楽しい」となる指導イメージを持っています。つまり,一部の子にはすぐ分かってしまうような安直な課題の出し方を改善していくということです。最終的には,どの子も「分かった」状態を保障していくのですが,そこまでのシナリオ作りを再度検討して一捻りを加えていくことで,教える側もより楽しくなっていきます。

−楽しい授業6−
普通は「分からない」ことが「分かる」ようになれば,楽しくなるはずです。だから,楽しさを感じさせるには「分かる」ようにするのが一番です。しかし,中にはどうしても「分からない」ままだったり,「次の日には分からなくなっている」子もいます。その子たちには「分からないけど楽しい」状況の保障をしていきます。

−楽しい授業7−
子どもの実態によっては,理解の能力に個人差があり,「どうしても分からない」子もいます。それでも「分からないけど楽しい」とするためには,「評価の工夫」と「集団づくり」が考えられます。集団づくりでは「分からないことが分からないと言える」「間違っても笑われない」人間関係をつくっていきます。これは,まあ当たり前といえば当たり前すぎる学級経営ではあります。

−楽しい授業8−
「分かる」「できる」に対する力の入れ方はイメージできても,「楽しい」と子どもが感じる授業に向けての力の入れ方は方向性がいろいろありそうです。私としては,楽しい授業を行うためには,「当たり前の学級経営を行っていく」という考えですが,「当たり前」ぐらい難しいこともありません。もし「当たり前のことができる父親」や「当たり前のことができる母親」がいたとすれば,すばらしい家庭が築けるはずだからです。

−楽しい授業9−
「授業の楽しさ」は「遠足の弁当のおいしさ」と似ています。遠足で食べる弁当がおいしいと感じるのは,弁当の素材や調理法だけが原因にはなりません。友達と一緒に食べるからおいしくなります。しかし,誰と食べるかで随分味も変わってきます。授業も同じです。

−楽しい授業10−
遠足で,仲の良い友達と弁当を食べると弁当はおいしくなるものです。授業でも仲の良い友達だけと勉強すれば随分楽しくなるでしょう。しかし授業では全員で勉強をします。これは遠足では全員でいっしょに弁当を食べるようなものです。しかも授業では自分の意見をみんなの前で発表しますから,遠足に例えると,みんなの前で自分の弁当を広げて見せるような状況になります。それでもおいしく弁当を食べられるようにするには,普段からの集団づくりが大切になってきます。みんなで楽しく弁当が食べられる。これは当たり前の学級経営です。

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