法人税法の収益事業の範囲
収益事業以外の事業であれば、法人税はかかりません。
法人税を納める義務
法人税法には、法人税を納めなければならない者が定められています。
法人税を納める義務があるのは、まず「内国法人」です。
「内国法人」とは、日本国内に本店または主たる事務所がある法人のこと。
内国法人は、法人税を納める義務があるのですが、法人税法では例外を認めています。
その例外とは、一般社団法人の非営利型法人などの公益法人等に含まれるもの。
それから、NPO法人のように公益法人等とみなされるもの。
(注) 一般社団法人は、「非営利型法人」と「営利型法人」に分けられます。
(参照「会社を設立する- 一般社団法人」)
これら公益法人等については、「収益事業」を行う場合に限って、法人税を納めなければならない、としています。
つまり、「収益事業」以外の事業から利益が出ても、その部分については、法人税を納める義務がないということです。
それでは、「収益事業」とはどんなものでしょうか。
収益事業とは
「収益事業」は、法人税法施行令に34種類の事業があげられています。
この34種類の事業で「継続して」「事業場を設けて」行われるものです。
そして、「その性質上その事業に付随して行われる行為を含む」ともされています。
1. | 物品販売業 | 13. | 写真業 | 25. | 美容業 |
2. | 不動産販売業 | 14. | 席貸業 | 26. | 興行業 |
3. | 金銭貸付業 | 15. | 旅館業 | 27. | 遊技所業 |
4. | 物品貸付業 | 16. | 料理店業その他の飲食店業 | 28. | 遊覧所業 |
5. | 不動産貸付業 | 17. | 周旋業 | 29. | 医療保健業 |
6. | 製造業 | 18. | 代理業 | 30. | 技芸教授業 |
7. | 通信業 | 19. | 仲立業 | 31. | 駐車場業 |
8. | 運送業 | 20. | 問屋業 | 32. | 信用保証業 |
9. | 倉庫業 | 21. | 鉱業 | 33. | 無体財産権提供業 |
10. | 請負業 | 22. | 土石採取業 | 34. | 労働者派遣業 |
11. | 印刷業 | 23. | 浴場業 | ||
12. | 出版業 | 24. | 理容業 |
「継続して」
毎期継続して行う以外にも、次のような場合も、この「継続して」に含まれます。
- 1つの事業計画に基づいて行われる事業が、通常相当期間かかるもの
(例) 土地の造成や分譲、全集や事典も出版など - 通常相当期間にわたって継続して行われるものや、定期的もしくは不定期に反復して行われるもの
(例) 海水浴場での席貸し、縁日での販売など
「事業場を設けて」
店舗や事務所など事業活動の拠点となる場所を常時設けること以外に、次のような場合も「事業所を設けて」に含まれます。
- 必要に応じて随時その活動のために事業場を設ける場合
- 既存施設を利用して活動を行う場合
- 移動販売や移動演劇興行などのように活動を行う場所が転々と移動する場合
収益事業の範囲に含まれる付随行為
「収益事業の範囲に含まれる付随行為」については、法人税法基本通達で例示されています。
- 出版業を行う公益法人等が行うその出版業務に関係する講演会の開催や、その出版物に掲載する広告の引受け
- 技芸教授業を行う公益法人等が行うその技芸の教科書や教材の販売など
- 旅館業または料理店業を行う公益法人等がその旅館などで行う会議のための席貸し
- 興行業を行う公益法人等が放送会社に対して、その催し物の放送をすることを許諾する行為
- 公益法人等が収益事業から生じた所得を預金や投資などで運用する行為
- 公益法人等が収益事業に属する固定資産などを売却・処分する行為