本格的な商業・サービス業向け補助金を作る  

商業・サービス業は、すぐにでも収益を上げたい。補助金審査もスピードが大事。

商業・サービス業向けの補助金を作りにくい理由〜(3)事業化を急ぐ場合が多い
一般的に、商業・サービス業の申請する補助事業は採択から事業終了・補助金確定までの期間が短いものが多いようです。
これは、「補助金が後払い」であることと、深く関係しています。



補助金は後払いです。
別に「前払いしてはいけない」という法律はないのですが、当方としてはどうしても「持ち逃げ」の心配をしなければなりません(こんなことを言ってしまうと中小企業者の方は気分を害されるかもしれませんが・・・)
後出し補助金の不思議→

商業・サービス業はアイデア勝負です。
また、商業・サービス業は、日々の収入で事業が転がっていますので、できるだけ早く収益を上げたいと考えます。したがって、事業化を急いでいる場合が多いと思われます。
このため、できるだけ早く補助金を確定させてほしいと望むのは当然です。
商業・サービス業では事業開発と販路開拓が同時進行する→

小さな会社は3つの「S」に気をつけろ→

これに対して補助金は、周知期間→(事前登録期間)→受付期間→書面審査→面接審査→総合審査→採択決定→事前説明→公表、という流れになります。
公費を扱う以上、裏付け書類(領収書など)のチェックは必要で、ここでも一定の時間がかかります。
実際に補助金が交付されるのは事業が終了してからになります。

なんだかんだで補助金が採択されるまで半年、それから開発を行い試作品が完成するのに1年、
それから事業を構築していくのですから、実際に運転開始となる頃には経済の風向きが変わってしまっていたり、ようやく販売にこぎつけた頃には、すでに別の大手が市場を席巻していた、ということにもなりかねません。




科学技術の進歩は早いので、補助金事務をやっている間に、競合他社に抜かれてしまうこともあります。

新しい技術が開発されたり、重要な部品の価格が下がったりすると、好機を利用しようとしてたくさんの企業が動き出します。
例えば、LEDの普及。1〜2年も経つと大手が市場を席巻してしまい、その頃には中小が割り込む余地がなくなってしまいました。
東北の大震災があった直後には、防災用品の開発を進めようという企業がどっと増えたり、外国人の観光客が増えて、“爆買”がニュースになると、観光やインバウンドに絡ませた申請が増えます。

こういう時期には、もう、早い者勝ちです。
惜しくも落選し、「次回、再チャレンジしてください」と声をかけられても、その「次回」はないかもしれません。
あるいは、補助金に採択されて、2年くらいかけて事業を立ち上げた時には、すでにブームが終わっているかもしれません。
「補助金なんか、あてにしなけりゃよかった・・・」ということも、あります。

こうした状況ですので、せめて事務処理の迅速化くらい、何とか叶えてあげたいと思います。

有名な展示会には、できるだけ出かけるようにしてください。類似品がすでに市場に出ている可能性があるからです。他社から得る情報も、とても貴重なのです。ネット検索もきわめて有効な手段です

その一方で、補助金を出す側では製造業への対応に馴れていますから、確定を急ぐ商業・サービス業は高く評価されません。
良い事業計画は、その道筋がしっかりしているものと思い込んでいます。
その都度その都度、臨機応変に変更を重ねていくのは、良い事業計画ではない、とされます。

一方で、商業・サービス業の経営には、変化に対応する能力が求められます。これを支援する制度にも、常時発生する状況変化へ十分対応できるようにすることが望まれます。
私は、「補助対象経費の大くくり化」で、これを解決しようと考えました(詳細は後述)。
補助対象期間に注意!→


メニューに戻る   次のページへ