2001年3月中旬の日常

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2001年3月11日(日)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20010311~.htm#Day11

 先週の雪辱とばかり行き付けの蕎麦屋までバイクで向かうが、そんな私を待っていたのは「店主が体調不良のため、今月いっぱい休業いたします」という貼り紙であった。悔しいとかいう以前に心配である。先週の段階で、もしかしたら調子を崩しているのでは、という予感は抱いていたが――大事に至っていないことを祈るばかり。

 本日のお買い物
1,『MEN IN BLACK LIMITED EDITION』(Somy Pictures Entertainment・DVD Video)
 昨晩はその後『JM』を見、更に睡眠を挟んで『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』を見、それで飽きたらずこれを購入して見始める。他に『レオン完全版』『恋愛小説家』と並べて悩んだのだが、前にテレビ放映で頭から見て内容を理解しており、しかも肩の力を抜いて観られるのでこちらに決定した。筋の通った馬鹿馬鹿しさが好きなのである。

  祝・葉っぱ隊野外ロケ敢行。


2001年3月12日(月)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20010311~.htm#Day12

 本日のお買い物
1,『幻想文学60 特集 幻想ベストブック1993-2000』(アトリエOCTA)
2,チャック・パラニューク『サバイバー』(早川書房)
3,あかほりさとる『アーバックス(3) “X”』(メディアワークス・電撃文庫)
4,牧野 修『アロマパラノイド 偏執の芳香』(角川ホラー文庫)

 2は『ファイト・クラブ』作者の第二作。同書あとがきでも触れていた「ノンブルが逆順」という奇妙な試みを行った作品である。既に20世紀フォックスで映画化権を獲得しているとのことだが――原作は兎も角映画は果たして『ファイト・クラブ』ほどの話題作足りうるか。何にしても前作でシビれた質なので本書は早めに読みたい……というのは毎回思うことなんだが。4は「改題」と打っているのだが、サブとメインを入れ替えただけじゃなかっただろーか。

 午後九時ちょっと前、今年最初の短篇小説初稿完成。色んな意味で自分らしい内容になった気がするがまだおっかなくて読み直してません。一・二時間か或いは翌朝まで寝かせてから改稿します。取り敢えず、止まったままの『サクラ大戦』シリーズでもやって気晴らしすべか。本当は、昔の短篇を少々リライトする必要があるのだがあとだあと。

 本日のDVD鑑賞:『星界の戦旗 Volume04』後半〜同『Volume05』。なおも何か見る気らしい。


2001年3月13日(火)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20010311~.htm#Day13

 その後『サクラ大戦』終盤を三時近くまで遊び、どーにか紅蘭攻略。調子に乗って『2』を起動、攻略データを反映した冒頭シナリオを見たり。このままだとやっぱり『3』を買ってしまいそうである――初回特典抜きでも(特典は既に手遅れっぽい)。
 起床・出勤後、空き時間に昨日書き上がった短篇を読み直す。自分では悪くないと思うのだが、敢えて幾つもの説明を端折っているので理解しやすいかどうか判断できないのに困る。モニターをして貰う予定の方々が最近Qで掴まらないため、迅速に意見を求められないのも悩みである。まだ一週間ほど猶予はあるのだが、なるべく早く仕上げておきたいし。ともあれ、漸く懸案がひとつ片付きそうな現状に暫しのんびりしております。

 前にも書いたような気がするがもう一回書く。何が教育に悪いって、今の政治情勢ほど悪いものは存在しないと思う。意見を明確にしない、言動に矛盾が多い、挙句人の迷惑を顧みない。そういう不出来な大人の右往左往が絶えず報道され続ける現状を、無色の子供達が見てどう感じるのでしょうね。ただ、反面教師としてくれることを願うばかり。

 本日のお買い物
1,山田南平『オトナになる方法(1)』
2,野間美由紀『パズルゲーム☆はいすくーる(3)』(白泉社文庫)

 1の解説は辻真先氏で2の巻末は野間氏と二階堂黎人氏の対談。……だからどうだ、と言いたいわけではないが。

 西出明久さんがサイト名を変更されたので、リンクページを修正。それにしても……何と言いますか……


2001年3月14日(水)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20010311~.htm#Day14

 何とか掴まった某氏にモニターをお願いする。概ね好感触、だが相変わらずの弱点を指摘される。……ま、そればっかりはね。常日頃自覚しているのだが、ある意味どうしようもない点であり。ともあれ、格別な問題点は見出されなかったので、これで初稿完成とする。

 山田風太郎『人間臨終図鑑I』(徳間文庫)読了。著名人の死に様を、没年齢ごとに分けて綴った奇想の書。雑学知識としても偏っているためあまり役に立つとは思えないが、こうして「死に様」ばかりを並べられると一種の諦観を呼び覚まされて、幾分気が楽になる。死がいつも隣にあるという、ごく当たり前の現実を忘れない為に読むのもいい。なるほど、と思わされる名著である。

 本日のお買い物
1,瀬川ことび『夏合宿』(角川ホラー文庫)
2,土屋隆夫『土屋隆夫推理小説集成I 天狗の面/天国は遠すぎる』(東京創元社・創元推理文庫)
3,ロバート・K・レスラー&トム・シャットマン『FBI心理分析官2 世界の異常殺人に迫る戦慄のプロファイル』(早川書房・ハヤカワ文庫NF)
4,岡嶋二人『コンピュータの熱い罠』(講談社文庫)
5,水野 良『魔法戦士リウイ(7)』(富士見書房・富士見ファンタジア文庫)

 前作同様、早々と3を読み始める。ハードカバーの時にも感じたことだが、前作の日本に於ける評価の高さを反映して横浜での親子殺人事件や留学生射殺事件、地下鉄サリン事件の日本人に纏わる事件を複数扱っているのが興味深い。著者の言を信じるなら、日本人が如何に素早く流行ものに食いつくかを如実に証明しているわけで。しかし、それはそれとして、やっぱり色々な意味で参考になる書籍であるのは間違いない。今回も一両日中に読み終えるつもり。幸い、脱稿直後の半虚脱状態で読むのは早いぞ。


2001年3月15日(木)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20010311~.htm#Day15

 昨晩、新作短篇をもう一方に読んでいただき感想を聞く。疑問点を幾つか質されたが、問題点も含めて予測と承知の範囲内。概ねいい評価を頂戴できたようなので、いい加減お送りすることにする。――あ、その前に旧作を一部改稿しなきゃいけないんだった。

 その作業の傍ら、すっかり止まらなくなったDVD鑑賞も並行する。本日は『戦火の勇気』。デンゼル・ワシントンとメグ・ライアン主演の、湾岸戦争に舞台を求めたミステリドラマ。――という言い方をするとやや絡繰りが貧弱ではあるが、戦場に身を置く人間としての葛藤を描く手法としてミステリを選んだのであり、その意味では非常に良くできた作品であった。細部が大袈裟であるとか、その真実を登場人物達がどう評価しどう結論づけたのかがやや不透明なのが気になったが、その程度は見た人間が各自判断すればいいことだろう。寧ろ、全て白黒をつけなかったのが白眉なのかも知れない。とまれ、戦争映画として見ると異なったテイストが魅力であり、ミステリ映画として見ると意表を突いた切り口が興味深い一篇。
 それにしても、メグ・ライアンの演技を目の当たりにしたのは今回が初めてだが、思ったより逞しいやんか。

 風が強く暖かい日。昨日と同じ陽気のつもりで服装を整えたら、自転車に乗っていてさえ暑い。帰り道は上着を一枚脱いだ。で、これで明日から一枚薄くなるかと言うとさにあらず。予報では最高気温が今日より10度低いのだ。寧ろ風邪に留意すべし、という話。

 本日のお買い物
1,山田南平『オトナになる方法(2)』(白泉社文庫)
2,『ジャーロNo.3 2001. SPRING』(光文社)
3,『KADOKAWAミステリ 2001年4月号』(角川書店)

 悲しい話があります。とうとう光文社文庫の元バイト先への配本がゼロになりました。誰か何とかしてぇぇぇぇ。
 3は今月から法月綸太郎氏のあの『生首に聞いてみろ』が連載開始。……つまり、角川も強硬策を選択したのだね。これで先三年以内には出してくれるだろう、と思いたいです。はよ出してください。

 テレビドラマも完結ラッシュの時期となりました。私が今期見ていた中で最初に終了したのはお前の諭吉が泣いている』(テレビ朝日系列)。低視聴率故に早々と戦線離脱した、という雰囲気があるが、何だかんだ言いつつ結構面白かった。登場人物も状況も漫画のようでただただ荒唐無稽、展開も極端に楽観的でリアリティやシビアな情動を期待すると大きく裏切られるが、それを約束として受け入れると実に素直に楽しめる。こんな学校あってもいいじゃないか、と思えると同時にこういうドラマもあっていいんじゃないのか、と思わされる、ある意味近年得難い種類のシリーズだったかも知れない。見ている間中、記憶にある何かと味わいが似ているとずっと感じていたのだが、最終回に至って漸く思い出した。
 月曜ドラマランド、である。あの脳天気なノリを彷彿とさせるのだ。あちらはフジテレビ系列、主演にアイドルを起用するのがお定まりなのに対して、本編はテレビ朝日系列、主人公から何からかなりアクの強い役者で固められている点で異なっているが、それ以外は(深川の記憶する)月曜ドラマランドの雰囲気に非常によく似ている。最近こそあまり考えなくなっていたが、こういうタイプのドラマ(シリーズ)がひとつくらいあってもいいのかも知れない、と改めて思う。月曜ドラマランドの内容について知りたい方には、こーいうサイトを発見したのでご案内しておく。……結構見てたらしい。

 最近無性に気になっているTVCM。以下、うろ覚えながら登場人物である夫婦の会話を綴ってみる。
妻「あの娘、ピアノ習いたいんだって」
夫「でも、ここじゃ近所迷惑だろう、置く場所もないし」
妻「うん、でも……私も弾きたいのよ、久し振りに」
 さて、何のCMかと言うと、住宅ローン。だがこの会話、どう考えてもピアノ教室サイレントピアノのCMである。「置く場所がない」という一語が辛うじて住居の狭さを示唆しているが、狭いことはピアノが習えない(習得できない)言い訳にはならないだろう今日日。スタンド懸架式のデジタルピアノならそれほど空間を占有しないだろうし、あとは当人の意欲や「演奏したい」という気持ちでどうにでもなる。
 一連の会話ののちに住宅ローンであることを示すロゴや画面が表示されるが、どーにも違和感が禁じ得ない。雰囲気は嫌いではないんだが。

 それはそうと、いい加減学習塾の馬鹿なCMはやめませんか。先日言及したのはまだ性懲りもなくオンエアしているし、目標で目標を相殺している奇妙なCMあるし。

 ……別に、テレビばっかり見ているわけじゃない……はずだが。


2001年3月16日(金)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20010311~.htm#Day16

 本日のお買い物
1,藤田和日郎『うしおととら(5)』(小学館少年サンデーコミックスワイド版)
 だけ。

 懸案の原稿とメールの返信を出して、こんどこそ一息……ついている場合じゃないってか。
 原稿の送付に当たって、通常の郵送でも構わなかったのだが、どうも知り合いが働いているらしい宅配便の集配所が職場の近所だったので、そこへ持っていくことにした。が、勤務時間と合わなかったせいか姿は見当たらず、ただ渡すだけにした。その後、その近所のこれまた知り合いが経営する喫茶店でたまたま一息ついていた親父にちゃっかり便乗してコーヒーを飲み、それから上野へ向かう。 今日、Microsoft Bookshelf最新ヴァージョンが発売されたので、その値段と内容の確認がしたかったのである。魅力は辞書の記述が最新のものになること、ソフトウェアの仕様でデータのHDインストールに漸く対応したことなどがあるのだが、それ以上に惹き付けるものは感じられず一旦購入を止める。……今月末から来月はじめにかけて、すんごい沢山ソフト買う羽目になるから、ね。実用性と価格のバランスからすると買ってもそれほど無駄にはならないんだけども。

 今日も今日とてDVD鑑賞なのである。本日はジョン・トラボルタ&クリスチャン・スレーター主演『ブロークン・アロー』。演習中のステルス爆撃機からディーキンズ(トラボルタ)が核弾頭二基を奪った。闘争の末ステルスから弾き出され、自然公園の直中に放り出されたヘイル(スレーター)は、出逢った女性パークレンジャーと共にディーキンズら一味を追う。広大な自然公園を舞台に、二基の核弾頭を巡って壮絶な死闘が繰り広げられる。因みに『ブロークン・アロー』とは「核兵器紛失」を意味する軍内部の符丁。
 監督は『M:I-2』のジョン・ウー。香港出身のアクション映画監督としてハリウッドでも頭角を現しつつある人物だが、私はこれが初めての鑑賞。物語としてはアクションとストレートな策略と攻防のみ、極論すると型に嵌ったアクションものに過ぎないのだが、故に滅法面白い。徒に思想的背景などを持ち込まず、ただ己の私利私欲のために奔走するトラボルタと、恐らく正義感よりも裏切られたことに憤って執念的に彼を追うスレーター、両者の単純明快な行動理念で物語を引っ張り、最後には(共鳴するか否かは別として)彼らなりの美学を匂わせる辺りもいい。ミル姉(by笑う犬の冒険)が指摘した『二丁拳銃』『スローモーション』に代表されるジョン・ウー監督自身の美学も体感できたので、私は十分に納得しました。但し、BGVにするためには数回見ないと駄目な気がする。こんな騒がしくては見てしまうではないか。


2001年3月17日(土)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20010311~.htm#Day17

 最近週末恒例の映画鑑賞、今日はキャンセル。陽気も望ましくないし、未鑑賞DVDも溜まってるし。
 その代わりに秋葉原でウィンドウショッピング……のつもりはなく、本当は何か買うつもりだったのだが迷っているうちに見てるだけ、になってしまったのだ。既に規格が古くなってしまったのか最近不調なPC搭載のDVDドライブを新しいものに付け替えるか付け足すかしようと考えていたのだけれど、店頭で価格や仕様を眺め較べているうちに面倒臭くなって後日に廻す。何ヶ月か経ったらPC自体を新調するつもりなので、それまで待つことも考えると余計に面倒臭くなったのである。
 CD・DVDも見て廻るが、後日数枚まとめて買うことを考えると恐ろしく、欲しいものは数多あってもいま万難を排して手に入れたいとまで思わされるようなものはないから、やっぱり一旦保留としてしまった。例によってCD売場でジャズの棚を眺めていると、今年度グラミー賞ジャズアルバム部門賞を獲得したベラ・フレック&フレックトーンズ『Outbound』(SME Records)を漸く発見する。ジャズ・ヴォーカル部門賞獲得作品に、メセニーの『Trio→Live』はソロ・パフォーマンス部門賞獲得作品として(前にも書いた気がするが本当は違う。受賞作は『Trio 99→00』所収の“(Go) Get It”である)面出しして複数枚重ねて陳列されているのに、こちらはたった一枚が、何のアピールもなく棚に挿してあるだけ。ロック・ポッブ・ラップそれぞれの部門賞獲得作品はコーナーを設けて紹介しているというのに、この差はいったい何なのだ。……尤も、調べてみるとこのベラ・フレック、日本では著名と言えないどころか、CDも日本盤ではあまり発売されていないらしい。今回の受賞作がSME移籍後初のアルバムであり、それを機に初めて日本盤が発売された、という雰囲気がある。……だとしたら余計にまともに紹介してくれても良さそうなものだが。
 更に同人ソフトの売場を見に行く、が勘違いをしていて目当てのものはまだ発売しておらず。20日だ。祝日……果たして何時頃までなら入手できるのかね、『月姫 PLUS DISC』。にしてもなあ……。冬コミの時は苦労も何もなく入手できたのに、早くも隔世の感がある。ここで盛んに薦めておいて何だが、嬉しいよりはただただ複雑な気分。何にしても、20日は朝からお買い物決定なのであった。

 昨晩あたりから久々にちょっとまともに読書。まずロバート・K・レスラー&トム・シャットマン『FBI心理分析官2 世界の異常殺人に迫る戦慄のプロファイル』(早川書房・ハヤカワ文庫NF)読了。先日も書いたとおり、日本における事件への言及が増えたことも含め、アメリカ以外の国におけるプロファイリング捜査の現状や実地調査の模様に多く紙幅を割いているのが前作との大きな違い。イギリス・南アフリカでの事例を詳細に綴り、捜査官側の問題点と同時に、文化的差違に関わりなくシリアル・キラーが極めて似たような環境から生まれていることを指摘しているのが最大の着眼と言えるだろう。ちらと暴力表現への批判も行っているが、安直なマスコミや文化人もどきと異なり捜査官や研究者による予防措置の充実・早期解決の徹底を訴えているあたり、強い職業的義務感を思わせる。内容的にも、私にとって非常に得るところの多い一冊であった。というか、最近は何を読んでもひたすら吸収することしか考えていないのだが。
 次は、ジョン・ディクスン・カー特集の『ミステリマガジン 2001年4月号』(早川書房)より、かんとくとしてはまずこれを優先せずにはいられない芦辺 拓『フレンチ警部と雷鳴の城』
 スコットランドヤードの名物主席警部、ジョジフ・フレンチ警部は久々の休暇を利用して夫人と共に旅行に出かけた。だが、乗換駅でちょっとした誤解からスミザーズと名乗る老執事によって《雷鳴の城》に連れて行かれる。折しも《雷鳴の城》では遺産相続を巡るゴタゴタによって一触即発の状況にあり、スミザーズ老人は警部をその解決のために物故した先代当主が招いた「探偵」と勘違いしたのである。だが城には既に、ホーンスウォグレ博士と名乗る「探偵」が女当主のナイトとして招かれていたのだった。そしてその夜、二人の探偵を待ち受けていたかのように事件は発生した……
 カー特集、という紙面の性質を考慮に容れた、実に職人芸的な一篇。非常に古めかしく感じるが、本格ミステリの枠の中で実践されたそれこそこの企画に望まれた趣向だと思われる。その上で更にこの特集の内側で描かれてこそ効果的な絡繰りを用意したところが着眼である――が、反面、著者の他のパスティーシュと較べても原典に当たる読者でないと存分に楽しめない、という性格を得てしまったのが、ある観点からは大きな傷とも言える。とまれ、カー愛好者や病的な本格ミステリ愛好者にとっては興味深い一篇と言って間違いない。ここに敢えてフレンチ警部を持ち出した遊び心を理解できるか否かが、またもう一つの分かれ目でもある。
 他のものは、『ジャーロ』一冊半を読み終えてから。というわけでお次は『ジャーロNo.2 2001. WINTER 新世紀特大号』(光文社)散発レビュー、……実に二ヶ月強ぶりの第六弾。しかもたった一篇。折原 一『北斗星の密室 「黒星警部の夜」あるいは「白岡牛」(2001/3/25別ファイルに格納)

 ……やっぱり、短篇の粗筋を書くのはめんどい。

 昨日から待望のビクトル・エリセ監督作品『ミツバチのささやき』を見ようとしているのだが……なかなか先に進めない。スペイン語なのが問題なのである。作業をしながらだとどうしても聴覚を中心に鑑賞することになるが、英語ではニュアンスで察しがついてもスペイン語では大半が理解できない。アクションものならば間が途切れ途切れになっても概ね筋は想像できるが、この静謐に包まれたような作品世界では一瞬の見落としが重大な損失のように思われて、メニューから少し前のチャプターに戻す、という行為を繰り返してしまう。この際、作業を捨てて集中した方が身のためのように感じられてきたので、この日記が書き上がったら映像の方に暫し集中する。今日は劇場に行っていないし、丁度いいくらいでしょ、きっと。それにしてもアナ・トレントは可愛い。内田さんも必見だ!←?


2001年3月18日(日)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20010311~.htm#Day18

 午前0時から新宿にて毎度の『新耳袋ライブ』があることをつい二日ほど前に知ったのだが、時期が遅く金銭的余裕がなく体調の不安があって加えて寒空の雨降りときては断念せざるを得なかった。悔し紛れに作業、と並行してDVD未鑑賞分の消化。『ミツバチ〜』は起床後、改めて見直すとして、取り敢えず『ボルケーノ』を選んでみた。
 舞台は冬、穏やかな陽光降り注ぐロサンジェルス。非常時に市長よりも巨大な権限を与えられる危機管理部門の局長を務めるマイク・ローク(トミー・リー・ジョーンズ)にとって希少な休暇の日。久々に娘とゆっくり過ごすはずが突如発生した地震に出勤を余儀なくされる。格別の被害はない模様だったが、意見を求めた女性地質学者・エミー・バーンズ(アン・ヘッシュ)は未知のマグマ活動が地下で発生した可能性を指摘する。ロークはそれを一笑に付し帰宅するが、翌朝早朝、事態は急転する。再度の大規模な地震、それを受けて娘を最も安全な本部へ連れて行く途上、公園にある池から火柱が上がった。火の玉が舞い、火柱から溢れ出る灼熱の物質。大都市のど真ん中に、忽然と火口が姿を現した瞬間であった。
 あんまり期待していなかったんだが、これは凄い。緊迫感溢れる展開もそうだが、実際の地理を考慮に容れて解決策を提示している(現実にこういう方法で成功するかどうかは別)シナリオにも感心する。火山噴火というあまりにも巨大な敵のためにやもすると人物はかすみがちだが、ロークと娘の繋がりと、人命救助に奔走し命を落とす人々との幾つかのエピソードを細かに鏤めることで単純な構造で留まっていない(尤も、こうした組み立てはハリウッドのみならずエンタテインメントの定石なのだけど)。ラスト、決して深刻になっていないのもいい。――現実にこういう災害に遭った(遭っている)人々には正視しがたい筋書きかも知れないが、ある種の思考実験として、何よりエンタテインメントとして成功している点、きっちりと評価したい。しかし本編といい『MIB』といい、いい年だろうによく駆けずり回りますなこのおぢさんは。

 で朝起きて、早速作業再開……とはいかず、何故か昼間から突如日本語環境でのICQチャット実践講座になってしまう。ICQそのものの問題点も多いが、どうやらMacとWinとの環境の違いも色々と影響してくるらしく、いつまでやっても成功しない。一時半頃に一度ぶち切れて私はPCの電源を落とし、昼食とDVDドライブを買いに出かける。……もう音飛びコマ落ち不安定な現状が耐え難くなってきたので、ドライブだけ差し替えてしまうのである。購入したのはI-O DATAの『DVD-AB12RM』。DVD-ROM再生は12倍速、CD-ROMは40倍速。昨今の店頭水準からすると中レベルくらいか。
 で、帰宅後再挑戦。色々と試した挙句、どうやら一番の原因は設定タブで他人の割り込みをその都度承認しなければいけない状態になっていたことらしい。これを常時受け入れ可能に設定し直したら途端に成功。その後四時近くまでチャットで遊ぶ。
 さて、昼寝の前にDVDドライブを装着しよう……と、簡単に済ませるつもりでいたら、何故かWindowsが起動してくれない。ドライブを元のものに戻しても起動しない。何故ぢゃどうしてぢゃ、と一時間近く格闘を続ける。しまいにはまたしてもぶち切れそうになるが、ふとドライブ背面のコネクタを強めに押してみると……簡単に、動いた。デバイス変更に伴う微調整を行うとあとは何の問題もなし。
 ただ、ドライブ不調が原因かと想像していた『マトリックス』DVD-ROM対応版の不具合、『ファイトクラブ』スペシャルディスクの特典映像が一部再生できないといった一連のトラブルは解消されなかった。こちらは再生用ハードウェアのドライバの問題のようで、ドライブ付属のDVDソフトウェア再生ツールをインストールしたことで解決した――と言っても、このソフト自体画面が暗く何故か色調の微調整が出来ない、インターフェースが見づらいなどの問題を孕んでいるが、まあいずれにしてもお遊びに使うだけなのだから充分。ドライブを変えたことでコマ落ちに読込の停滞といったトラブルは現時点では発生しなくなっている。これで漸く心置きなくDVD鑑賞に耽ることが出来るぞと。……耽ってるんじゃない、というお叱りは甘んじて受けます。


2001年3月19日(月)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20010311~.htm#Day19

 昨晩。日中の疲労から強烈な眠気に見舞われつつ、作業の手を止めても『ミツバチのささやき』を改めて通して鑑賞する。
 舞台は1940年代、スペインの小村。やってきた映画・『フランケンシュタイン』の空想世界にアナ(アナ・トレント)は強く囚われる。姉・イサベル(イサベル・テリェリア)の揶揄いを真に受けたりしていたある日、村外れの高原にある廃屋で、スペイン内戦で傷ついた一人の兵士と出会う。
 粗筋が短いのは、そうやって具体的なものを抜き出すと非常に簡単な物語だからである。アナ・トレント(役名と芸名が同じなのは、彼女自身が「どうして変えなきゃいけないの?」と言ったかららしい)と彼女の家族の何気ない日常を淡々と描きつつ、アナが少しずつ空想世界に深入りしていく様を丹念に見せていく。こういう淡々とした描写が退屈と映る向きも多いだろうが、これらの描写が終盤にきっちりと結実し、静かなラストの余韻を重く深く響かせるのだ。直接に関わりのない出来事も、奥の方でひっそりと繋がっている感覚があり、やはり気を抜かずにじっくりと見るのが正解。アナの父親が行う養蜂のワンシーンから汽車の来訪を線路上で待つアナとイサベル、フランケンシュタインの一場面に至るまで信念と詩情を湛えた映像感覚も秀逸。万人に勧めるにはあまりに穏やかすぎるが、こっそりと称え続けたい名品でした。『エル・スール』も楽しみだが、きっちり時間作らないと駄目だなこれは。

 まだやることが定まっていない間に出来る限り片づけようの『ジャーロNo.2 2001. WINTER 新世紀特大号』(光文社)散発レビュー、第七弾。ジャネット・ラピエール『家族の集いアレクサンドラ・マリーニナ『事の次第。(2001/3/25別ファイルに格納)

 本日のお買い物……多いよおお。
1,鮎川哲也・監修/二階堂黎人・編『新・本格推理01 モルグ街の住人たち』
2,西澤保彦『ストレート・チェイサー』
3,ミステリー文学資料館・編『幻の探偵雑誌(6) 「猟奇」傑作選』
4,山田風太郎『山田風太郎ミステリー傑作選(2)名探偵編 十三角関係』(以上、光文社文庫)
5,花見沢Q太郎『BWH(ベルウッドハウス)(1)』(集英社・ヤングジャンプコミックスUJ)
6,竹田エリ『私立T女子学園(9)』(集英社)
7,望月花梨『スイッチ(2)』
8,山田南平『紅茶王子(13)』(以上、白泉社・花とゆめコミックス)
9,青山剛昌『名探偵コナン(31)』
10,あだち 充『いつも美空(3)』
11,安西信行『烈火の炎(28)』
12,河合克敏『モンキーターン(16)』
13,高橋留美子『犬夜叉(20)』(以上、小学館・少年サンデーコミックス)

 数日遅れながらなんとか入荷しました光文社文庫。あー焦った……が、何故か風太郎ミステリー傑作選は一冊忘れられた。今頃気付いたのだが、セロニアス・モンクの代表作に『Straight, No Chaser』というのがあるんだよな……という述懐を疑問符付きでするのが読んでいない証拠。初出誌も持ってるぜいえー。

 私にとっては今期二つめの終了ドラマ、『HERO』(フジテレビ系列)。最後まで事件の筋は何処か詰めが甘いままだったし、人物関係が最後まで予定調和で終わってしまったのが勿体なく思うが、それでも主人公を核とした世界が完成された上で話を締めくくっていたので、連続ものとしては及第だろう。結局のところ、木村&松人気を異様にキャラの立った脇役が支えた格好で最後まで高視聴率を維持できたのだろう。個人的には田中要次演じるバーのマスターがやはり最高のお気に入りであった。最後まで美味しいところ持っていきっぱなし。

 そしてこの上DVDも見る私はいったい。本日は在庫調査を行いつつ『スピード2』。事実上キアヌ・リーヴスに逃げられた格好で撮影された第二作。記憶が確かならこの時キアヌは『ディアボロス』でデ・ニーロとの共演を果たしたのだった。あっちも作品的・興行的に成功したとは言えないが(あ、念のために申し添えますが私は『ディアボロス』未見です。あくまで耳にした世評に準えての発言ですので、「本当は面白いんだぞー」という方はそう仰言ってください。見てみたいは見てみたいの、一応)。
 ……それはそうと、粗筋である。兎に角「異常な環境下で結ばれた恋人は長続きしない」という便利な言い訳と共に新しい恋人アレックス(ジェイソン・パトリック)に乗り換えたアニー(サンドラ・ブロック)であったが、案に相違して彼も前の恋人と同じくSWAT隊員。その秘密のために関係を軋ませながら、アレックスの提案で二人はカリブ海で豪華客船でのクルージングを愉しむ。数多犇めく乗客には、だがまたしても危険な人物が混ざっていた。ゴルフバックに忍ばせたパソコン複数で操船機能を乗っ取り、方々に爆薬をセットさせたガイガーは、無線を通じて乗員たちの全員退去を要求する。だが救命ボートを吊したランチのトラブルからアレックスとアニーを含む一部の乗客が船内に取り残される。船員の発言からガイガーの存在を察知したアレックスは、事態収拾のために船内を奔走する。
 凡そ第一作よりも成功する第二作というのは非常に稀である。前作の四倍という制作費を注ぎ込んだらしい本作も、ストーリーの異常な緊迫感という面であの圧倒的迫力には達していない。だが、コンピューターによる操船技術を駆使したシージャック、あの手この手を繰り出して犯人と主人公たちとの対決を演出した努力、そして海上ながらきちんと「スピードとの戦い」というテーマを全うしたあたりは評価していいだろう。中盤までは何処に金を注ぎ込んでるんだか、という雰囲気であったがクライマックスで大いに納得させられたし(終盤十分程度のあの異常な映像は一見の価値があると思う――少なくとも、あれだけで見た甲斐はあったと感じられるぐらいだ)。前作ほどの完成度を期待すると若干物足りないが、アクション大作としては充分満足の出来である。しかし、こういっちゃ何だが今度の恋人とも長続きはしないと思うぞ、おれは。

 というか一体何なのだこの文章量は。


2001年3月20日(火)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20010311~.htm#Day20

 春分の日、そして彼岸最後の休日とあって私の自宅付近はえらい人出である。秋葉原まで買い物に出かけて帰ると、駅前から自宅付近に続く坂が違法駐車とその途中の車、そして移動中の軽トラックなどで詰まり身動きが取れない。こういう日に警察が交通整理してくれないと困るんだが。加えて歩道から車道から傍若無人に歩き回る人の群。ひとりふたりぐらい轢いても赦してくれんだろうか、と思いつつ彼岸にそーいう人死には洒落にならないよなと自らを律するのであった。……穏やかな筆致だが言っていることは我ながら危険である。

 本日のお買い物
1,『月姫 PLUS DISC』(TYPE-MOON・同人ソフト・18禁)
2,室井佑月『血い花』(集英社文庫)
3,皆川亮二『ARMS(16)』(小学館・少年サンデーコミックススペシャル)

 本日の目玉は1だが何の問題もなく入手。それにしても、祝日早めの時刻の秋葉原は、特定の店にばかり人が蠢いていて妙な雰囲気である。買い物ののち別の店を覗いたところ、人気が少なく非常に動きやすかった。因みにこのPLUS DISC、CD-ROMがビニールの袋に入っているだけという小癪な包装である。持ち歩くのが怖いからせめてプラケースに入れてくれ。
 他に、芦辺拓さんの短篇を漫画化した作品が掲載された雑誌などを購入。しかし昨日買い込んだ漫画類の読破に追われ、そっちは手付かずであるが。

 で、そのあとは作業……のつもりが昨日から始めた在庫調査が止まらなくなり、『天地無用』あたりのDVDをバックにひたすら箱を開けて中身を点検する。日付が変わった今漸くひと段落したのでこの日記をしたためている次第。なお、『ジャーロNo.2』散発レビューは明日に廻します。昨日の記述が長すぎたし。

 リンクページ市川憂人さんのサイトアドレスを変更。大学卒業おめでたうございます。


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ゲームやりたい本読みたい尚かつ映画も見たい(病気)。

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