2001年9月上旬の日常

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2001年9月1日(土)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20010901~.htm#Day01

 久々に猿発症。『あしたの雪之丞』(elf/Windows95・98・Me・2000対応ゲーム18禁)を延々と遊び続ける。遊び続けてあらかたのキャラクターはクリア直前まで漕ぎ着けた。で、ざっと感想を述べると……及第点からちょっと上。比較的優秀だけど、傑作ではない。というのも、主人公のある設定によって、中盤から以降の基本的な展開が固まってしまっているため。ある少女がある日付から登場するのだが、そこから先の展開はどうしても各キャラクターとも一本調子になってしまっており、最初に遊んでいるときは兎も角、繰り返しているうちにその深刻な内容にも拘わらず段々飽きてくるのだ。取り分け何人も攻略しているうちに、展開の変化が乏しいことに気付かされて段々ルーティンワークの気分を味わわされてしまう……のは、こういうタイプのゲームにとって宿命的な部分ではあるのだけれど、もうちょっと回避のしようがあった気がした。しかし、キャラクターの選択と噛み合わせは非常に巧く、ゲームシステムの面でほとんど不満がないだけに遊んでいてストレスがない。老舗の面目躍如、と言える佳作だろう。イベントグラフィック目当てで買う、という向きも少なくないだろうが内容的にも外れの気分を味わうことはない筈。

 本日の映画鑑賞は、どう考えても『カウボーイ・ビバップ』に追いやられて俄に場末の雰囲気を漂わせた劇場に移されてしまった、スティーヴン・セガール主演最新作電撃 [DENGEKI]』(Warner Bros.・配給)感想はこちら。何だかんだと言いつつ楽しかったからそれで良し。
 それにしても驚きなのは、『山の郵便配達』という作品。岩波ホールにてたぶん一年近くロングラン上映しているのだが、今月漸く終了する――しかも、終了を告知する広告を打っているぐらいなのだからその盛況ぶりは推して知るべし、だろう。しかも、今日訪れた銀座シネパトスの通路部分(小さな劇場が三つ、その他の店舗共々道路下のトンネルに入っている感覚)に掲げられていたポスターに依れば、今月22日からこちらで続映されるらしい――一体いつまで続くのだ。

 本日のお買い物
1,さだまさし『きみを忘れない 〜タイムカプセル〜』(Free Fright/テイチク/Maxi CD)
 昨日入手した小説版『精霊流し』のイメージソング、という触れ込みの新曲。発売日を失念し、若干遅れての購入。きちんとグレープの『精霊流し』と現在のさだまさし氏が歌う『精霊流し』も収めているのがナイス。


2001年9月2日(日)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20010901~.htm#Day02

『あしたの雪之丞』(elf/Windows95・98・Me・2000対応ゲーム18禁)……あかん、そろそろ鬱陶しくなってきた。キャラクター攻略ではあと一人、確認したエンディングはまだ四分の一にも満たないが、気分を変えるためひとまず間隔を置くべきかも知れない。個人的には定番過ぎる大人の女性型キャラは大嫌いだ、という理由もある。特定のマニアだとか云々ではなく、それなりに社会人やってるとこの類のステレオ描写に特に違和感を覚えてしまうのだ。手を付けたきり停滞させている『愛しの言霊』(Silky's/Windows対応ゲーム18禁)か、某氏にお借りしたままの『Sense Off』か、どちらかに移行すべきだろうな。

 先日脱稿したショートショート、というか短めの短篇を、そのままだとちとweb掲載には向かないという判断のために若干手を入れて担当氏に送信。

 と、まったりと一日を過ごしたのであった。明日からの予定は、長篇Aと長篇Bのプロット作りに短篇A(ホラー)執筆、中旬くらいから短篇B(本格ミステリ)執筆。……やっぱり、思っていたよりやることがあるの。


2001年9月3日(月)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20010901~.htm#Day03

『愛しの言霊』(Silky's/Windows対応ゲーム18禁)一人を除いて攻略。簡単だ。霊魂の定義はひとまずおいとくにしても、ちょっと構造が単純すぎるかとは思う。故に気楽に遊べる、という点ではよく出来ているのだけれど。システム的にも整っているし、普通ならさほど不満は抱かないのだけど……惜しむらくは、もうちょっと価格下げてくれたらな、と。それと、癒し系BGMという触れ込みで同梱された音楽CDですが、本編のものを聴く限り全く期待できません。少なくとも私は。

 本日のお買い物
1,宮部みゆき『人質カノン』(文春文庫/文藝春秋)
2,石川真介『金沢能登殺人周遊』(BIG BOOKS/青樹社)
3,菅 浩江『鬼女の都』
4,牧野 修『呪禁官』(以上、NON NOVEL)
5,柴田よしき『ふたたびの虹』(以上、祥伝社)
6,『Aria Vol.1』(FOX出版)

 2は発売に気付きませんでした。例によって旧作は未だ読めていないが、ちゃんとシリーズものは揃える流儀。
 ちなみに1は午前中行き付けの店で、2と3は某大規模書店で。本当はこのとき一緒に4も捜していたのだが、何故かこれだけが品切れ。遠出を覚悟したところ、夕方になってあっさり行き付けの方で入荷。以下6まで同時購入。しかし、完成した本を眺めると流石に感慨深いものがあります。色々と問題がないわけではないし先行きも不透明なのだが。取り敢えず購読してくださった方には、シリーズ継続のためにアンケート葉書を投函していただければ有り難いかなーなどと一応言ってみる。

 色々と作業をしながら、『ふたりの男とひとりの女』(20世紀フォックスホームエンタテインメント・DVD Video)鑑賞。詳しい感想は後日として、やはり『メリーに首ったけ』同様、下ネタ禁じ手のオンパレードながら非常に楽しい作品でした。チャーリーの血の繋がらない息子三人がいいぞ。ラストシーン、カメラ目線で語る一言まで巧みに作り上げられたコメディ。

 私と某著名作品の続編を制作中の某新興ソフトハウスとは無縁であることをお断りしておきます。言わなくても解るかそうか。


2001年9月4日(火)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20010901~.htm#Day04

 新作告知
『放課後メイド探偵』
(深川 拓・文/しんたろー・カラー扉、挿絵)
9/4発売予定の『Aria Vol.1』(FOX出版・発行 本体価格952円)に掲載予定

雑誌名のリンク先で『とらのあな』通販からの購入が可能となっております。
シリーズ化の是非もかかってたりするので、興味のある方はご購読下さいませ。
更に言えば、巻頭特集2と3も実は私の仕事。

(※9/4付記・諸事情から配本のない書店が多いようですが、注文すれば確実に入荷されますので、店頭にない場合はお手数ですがレジの方にご確認下さい。書店を訪れるのが難しい方は、上記リンク先から『とらのあな』Web通販を利用できます)

『Aria』表紙画像
表紙イラスト:基4%(ケロQ)
(c)ケロQ/有限会社ケロキュウ 2001 (c)フォックス出版 2001

 午前中は仕事を終えると郵送物の処理に追われる。『Aria』送付しましたので到着をお待ち下さい、あとは煮るなり焼くなりお好きなようにー>私信。それにつけても一部に書留を利用してしまったのは軽率でした……郵送料高っ。帰還してから消さなければいけない「御」にひとつ気付いて若干萎れる。

 あとは淡々と過ごす。夕方、見本誌を頂戴しに出版者を訪問。現時点では特に確認事項もないのでそのままお暇するはずが結局あれこれと立ち話をする。↑の広告記事にも付したように、色々あって一般の書店に『Aria』はいまひとつ行き届いていない模様。在庫はあるはずなので注文すれば数日で入荷されるはずですので、興味のある方は勇気を出して(出さなきゃ駄目なのか?!)レジにお問い合わせください。或いは上記リンクの通販か、店舗なら『とらのあな』であればかなり確実に入手できるはず。
 と、そんなことも含めてあれこれお話ししたあと、私は近隣を歩き回ってあるソフトを探し続ける……んが、結局発見できず。帰宅後強硬手段に出る。たぶん日曜日までには終わらないだろうなー、って仕事じゃないんだからそこまで根を詰めなくてもいいんだよ。

 うーん、楽になるかと思いきや細かく作業があったりするので相変わらず捗らない読書。いまは『Aria』に目を通しつつ『精霊流し』中心で読んでますが……何故突然それまで登場しなかった人物のエピソードになっているのだ?


2001年9月5日(水)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20010901~.htm#Day05

 ゆるゆる〜……完璧に反動で気持ちが弛緩しております。一応ぼつぼつと作業に手を付けてみるのだが先月半ばまでの異様なテンションと較べるべくもなく。……ま、焦らず行くか。取り敢えず、短篇を何とか仕上げよう……先月の大騒ぎで、短篇なら二日三日で書けるという誤った認識を躰に刻んでしまった気がしないでもない。

  さだまさし『精霊流し』(幻冬舎)読了。一ファンとして徹底的に語ってしまいそうなので具体的感想は略。どうしても堪えきれなかったら別ファイルにてまとめます。基本的にファンであれば先刻承知のエピソードばかりだが、いずれも別のエピソードと重ねて異なった効果を添え、グレープの大ヒット曲『精霊流し』に基づくエピソードには最後にとどめを用意してある。あざとい、と言ってしまえばそれまでだが、いずれにしても沁みます。ファンは必読、ファンならずとも一読の価値有り。感動ものとか泣きの入るものが嫌いだ、という方もそれを無視して読む価値は認められるのでは。

 本日のお買い物
1,七月鏡一・藤原芳秀『闇のイージス(3)』(ヤングサンデーコミックス/小学館)
2,遠藤淑子『ヘヴン2』(花とゆめコミックス/白泉社)
3,ボストン・テラン『神は銃弾』(文春文庫/文藝春秋)
4,東 雅夫・編『文藝百物語』(角川ホラー文庫/角川書店)
5,阿智太郎『なずな姫様SOS CD付きだヨ! 豪華版!!』
6,有里紅良&夢来鳥ねむ『アンダーヘヴンズふぁみりぃ』
7,上遠野浩平『ブギーポップ・アンバランス ホーリィ&ゴースト』(以上、電撃文庫/メディアワークス)

 2……なんか旧刊の内容が思い出せない展開なんだが。要は1巻でフォロー不能だった設定を吐き出した、という感覚のようだが。
 3は題名と訳者を予定表で知った段階から、内容無視でチェックを入れていたのだが、所謂ノワールで粗筋も面白そうだったので躊躇いなく購入。ああ、これと『1974/ジョーカー』は早く読みたい。4はぶんか社から刊行されていた同名単行本の文庫化。このメンバーで百物語、というだけでも買う価値有り、だがなら何故当時入手していなかったんだろう。
 5は題名の通り、シングルCD付きという珍しい文庫。丁度、一度はこの人の作品を読んでみたい、と思っていたので折角だからと購入。ちなみに、今月の電撃文庫にはあずまんがのしおりが挟んである模様。榊さんと神楽の二種類を確認しましたが他にあるのかは不明。……全部揃えるまで買えってか?

 筑波大付属小学校で昨年末に入学試験が行われた直後、試験問題が廃棄されていたことが判明したそうな。情報公開法施行以前とは言え、れっきとした行政文書の廃棄だということで問題になったらしい。
 小学校の入試問題ほど謎の多いものはないと思う。これから幾らでも色の付けようのある子供を試験で選別すること自体、学校そのものの教育能力を否定しているようなものだと思うのだが、その試験問題自体も柔軟性を問うているようでいて実は大人(というか、そういう問題を作っている人々)が信じ込んでいる柔軟性という名の枠に収めるものでしかなく、この結果で残される子供達というのは既に伸びる可能性の大部分を摘まれていると考えることも出来、では選別している意味って一体何なのだろうか。試験問題を公文書と捉えずに廃棄するような軽率な人々に教育される子供も気の毒だと思うが、或いは問題はこういう下らない篩い分けの定義がまかり通り、就学前から闇雲にスクエアな常識をたたき込まれるような状況が浸透していることの方なのかも知れない。――事実、同学校では廃棄の理由を「外部に流出すると受験戦争を煽る」と語っているらしいが、書店には過去問題集が出回っている。この大人の見栄とエゴイズムとが歪に絡み合うなかで、文字通り犠牲になった子供がいたことを、記憶する人が現場にいることをただただ願うばかり。

 あ、やっと益体なしサポート第3回が掲載された、と思ったらそういうネタかい。


2001年9月6日(木)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20010901~.htm#Day06

 ……手に入らない、というコメントを方々で見ているとちょっと泣けてきます。取り敢えず手近な書店で注文してください〜。こればっかりは致し方ないのです。
 ちなみに、担当氏のOKを得られましたので、近日公開予定の公式ホームページにて『放課後メイド探偵』の番外編が掲載される、はず。実は本編よりもXXだったりするので、公開の暁には御覧戴きたく。

 あの歌唱力を惜しんだと見た、Will Call。CHEMISTRYの成功を羨んだ、という見方も出来るが、元々歌唱力と声の魅力を備えていた上に既に数年間野猿で揉まれてきたふたりである、あちらとはまた別の地位を確立することは不可能ではあるまい。

 本日のお買い物
1,八神 健『ななか6/17(3)』(少年チャンピオンコミックス/秋田書店)
2,井上雅彦・監修『異形コレクション 玩具館』
3,山田風太郎『山田風太郎ミステリー傑作選5 戦争篇 戦艦陸奥』
4, 〃 『  〃  6 ユーモア篇 天国荘奇譚』(以上、光文社文庫/光文社)

 ええ、私も雨宮さんには幸せになって戴きたいと願っております。それにしてもジャンプで活動していた頃と較べて本当に伸び伸びとしてませんか、の1。
 2〜4で2680円(税込)文庫の値段じゃありません。ちなみに2は帰宅後、自宅にも一冊届いていたことを知って嬉しいやら悲しいやら。遂に登場の宮部みゆき氏・皆川博子氏以外にも一風変わった執筆陣が加わっております。

 それにしても、何回見てもクリスティーナ・リッチって童顔だ……『スリーピー・ホロウ』だけでか?

 漸く懸案のコミケ60で発生した新規リンクの追加を、8月10日分だけ済ませる……って、二件しかない。本当は三つあると思っていたのだが、『猫じゃらし』さんのサイトが行方不明なので如何ともしがたく。ところでこれが販売されていたのは『ピンクトルコ』というサークルの机でだったのだが……そちらもサイトはアドレスだけ公表されていて未だ存在せず。私の記憶が確かならば、もう一年半ぐらい何もないままなんだが……???
 更に、『所業』に『放課後メイド探偵』の項目を追加。やっと五つ目。


2001年9月7日(金)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20010901~.htm#Day07

 何故かあるページを見ようとするとIEが強制終了されるという不具合がどうしても改善されないので、IEを最新の5.5にヴァージョンアップしてみた。だが、今度は問題のページに繋がるリンクをクリックしただけでOSそのものがフリーズする。IEを強制終了させると、IEの新機能らしい「Microsoftへのエラー報告」を行うか否かを確認するダイアログが表示されるのだが、OKを選択すると完璧に沈黙してしまうのだ。対処に困り、それならばいっそとIEを旧ヴァージョンに戻してみたところ……事態はまるで解消せず、それどころかOutlook Expressまでヴァージョンが戻り、その所為で今日まで蓄積したメールのデータが閲覧できなくなってしまった。見られないページはひとつだけなので、諦めて最新のヴァージョンをインストールし直した。そうすると、データそのものは残っていたため無事に元の状態に戻せたのだけれど……ほんとに、Microsoftの作るシステムってバグが多い。
 ちなみに問題のページはここ……実は昨日漸くリンクしたしんたろーさんのところの日記だったりする。多分、他の人には正常に見えるはずなんですけど、どうしてでしょう?

 本日のお買い物
1,『二重影 [通常版]』(ケロQ/Windows95・98対応ゲーム18禁)
2,あずまきよひこ『あずまんが大王(3)』(電撃コミックスEX/メディアワークス)
3,倉田英之『R.O.D.(4)』(スーパーダッシュ文庫/集英社)
4,小野不由美『華胥の幽夢 十二国記』(講談社X文庫 White Heart/講談社)
5,カーター・ディクスン『第三の銃弾[完全版]』(ハヤカワ文庫HM/早川書房)
6,『Visual comic anthology COCO file.01』(MAGICAL CUTE/enterbrain)

 帰宅後在庫を調べてみたら、3は既に購入済みだった……久し振りにやってしまった、意図せずダブり本購入。だって、新刊だけ置いてあるはずの棚に平然と面出しにして置いてあったからてっきりチェックしていなかった新作だと思い込んでしまったんだもーん。ご入り用の方いましたら差し上げます。しくしくしく。
 しかし、今日は個人的に1と2だけでも満足だったりする。1は『Aria』特集の際に色々話を聞くうちに遊んでみたくなり、とうとう購入。実は数日間探し回ってました。
 5、はミステリファンには言わずもがな、エラリイ・クイーンの片割れフレデリック・ダネイによって刈り込まれたヴァージョンでのみ知られていたカーター・ディクスンの長篇を初めて完全な形で邦訳したもの。ミステリ愛読者なら買うしか。
 6は絵描きさんのオリジナル描き下ろしで構成された、一風変わったアンソロジー誌。迷ったが結局購入してしまった。

 明日は映画鑑賞を自粛して、他のお遊びのためにお金を残しておくことにする。どのみち、まだ未鑑賞のDVDも何本か残ってるしー。

 追記:キャッシュの廃棄、実は三・四回やってます……でも改善せず。さっきももう一度試してみましたが結果は同じでした……誰か助けてー。ときどき、一瞬だけ戻るのが余計に謎だ。

 追記2:デニス・ルヘイン『ミスティック・リバー』に惹かれてます。この厚みで2000円足らずなら良心的価格と言えましょうが、ネックが二点。ひとつはいわずもがなの予算問題ですが、もう一つは訳者が気に食わないこと。フィリップ・マーゴリン『葬儀屋の未亡人』の切れ味に乏しい訳文を読んでから個人的にあまり関わりたくないと思っていた翻訳者が担当している……しかし、原ォ・キング・レナードという推薦陣にイーストウッドが監督しての映画化、という周辺材料だけでも私にとっては充分魅力的。困ったものだ。マーゴリンのように作家そのものに愛着があるならこうも迷わないのだが……


2001年9月8日(土)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20010901~.htm#Day08

 夜中、某チャットで会話を愉しんでいるうちに勃然とお絵描きへの欲求が沸き上がる。またフラストレーションになる前に下絵だけでも、と思うが机の上に紙を広げられるスペースがない。片づけているうちに夜がどっぷりと更けてしまいお絵描きそのものは断念。
 翌朝目が醒めてからもお片づけへの情熱が止まらない、というより片づけないと落ちつかない。机の上は概ね空間が出来たので、執筆集中期間に部屋の中に積まれた箱の中身を点検し別の場所に移しそこに新しい箱を置いて本を詰める――さよう、トータルでは部屋の床面積は拡がらないわけだが焦っても仕方ない。本の山がある程度切り崩せたところで一息吐く。それにしても、蔵書や所有ゲームのデータベースに思ったより欠損が多かったのが意外。

 本日発売予定の某同人ソフトを買いに秋葉原に出向いてみるが最初に訪れた店で入場制限がかかっているのを見て一瞬で嫌気が差し踵を返す。はっきりと、これほど評判になる以前からこのシリーズを評価していたんだけど、まさかこれほどまで大事になるとはなぁ……。バイクで職場近くの元バイト先書店まで向かい、下記のお買い物をして正午には自宅に戻る。

 本日のお買い物
1,山田風太郎『山田風太郎コレクション2 忍法創世記』(出版芸術社)
2,石崎幸二『長く短い呪文』
3,高田崇史『試験に出るパズル 千葉千波の事件日記』
4,津村 巧『DOOMSDAY -審判の夜-』
5,舞城王太郎『暗闇の中で子供』
6,森 博嗣『六人の超音波科学者』(以上、講談社ノベルス/講談社)

 しくしくしくしくしくしくしくしく今月も講談社ノベルス全部。1は、やや遅くなってしまったが待望の未刊忍法帖単行本化。

 これから軽くお絵描きをして、七時頃には身内だけのオフ会に出かける予定。という訳で、午後四時半というかなり早い時刻に暫定的更新を行う。

 ……軽くお絵描き、はせずに昨日購入した『二重影』の冒頭をざっと眺めてみる。ウィンドウ表示に対応してくれると有り難かったかなーと思いつつ。初めての二択で思わず「ベルギー」を選んだところでパソコンの電源を落とし出発の準備。
 で、七時半頃に有楽町着。電車ではなく自転車で。待ち合わせ場所が旭屋書店前だったのでご想像通り本を眺めて時間を潰す。途中で面子の一人を発見したので一緒に資料本を探して貰ったり。お金を崩す目的もあって仕入れたのはこれ。
7,服藤早苗『平安朝の母と子 貴族と庶民の家族生活史』(中公新書/中央公論社)
 書誌データは奥付に従ってます。
 約束の時間をやや過ぎた頃にいま一人が到着、残り一名は一時間ほど遅れるという連絡があったとのこと。少々時間を潰してから店へ。
 料理を食べながら約三時間ほど雑談したわけだが、如何せん仕事上の利害関係などがない組み合わせだし全員互いのキャラに慣れているので結構スレスレの話をしていたりする。取り敢えず、やっぱり世間が狭いと実感したことがひとつあった、とだけ。
 十一時半頃に店を出て、全員利用する交通が違うので一人一人送りつつぱらぱらと別れる。そろそろ夜は寒いだろうと鞄にジーンズジャンパーを忍ばせておいたのだが、自宅に着いたときには汗だくなのだった。


2001年9月9日(日)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20010901~.htm#Day09

 今日も用事のある親に早々と叩き起こされ、別にそれが理由でもないが10時半には電車に乗って、京成線を辿って稲毛まで。プリントしてきた地図が想像以上に大雑把で些か迷いながらもどうにか現地に到着……それにしても広大な分離帯を設けた国道に郊外型の店舗、多く立ち並ぶ団地に一般住宅と、凡そサイン会と言われて想像しないだろう環境、そしていざ着いてみたらファーストフードに衣料品店など、複数のテナントが幾つかの建物に分散された、いかにも郊外のショッピングタウンという空間にかなり戸惑う。
 会場であるヴィレッジヴァンガードに入ってその戸惑いは最高潮に達した。書店と言ってもかなり特異なスタイルで、事前に得た情報によれば全ての商品を独自のポリシーに基づいて買い切りで仕入れているとかで、漫画は『キャンディー・キャンディー』に『風の谷のナウシカ』が7巻くらい平台になっていて(冊数そのものは多くない)書籍は音楽・ドラッグ・思想などいずれもサブカルチャー系のものが多く、しかも店舗全体で見ると本よりもアクセサリーに香、レゴに腹話術の人形にCDと他の商品が多かったりする。おもちゃ箱をひっくり返したような構成で雰囲気はいいのだが、そもそも『Aria』を取り扱う雰囲気の店ではない。既に二・三十人ほどが店外の通路に列を作っていたが、明らかに客層が違い、真向かいの衣料品店から出てくる親子連れやカップルは無論、他ならぬヴィレッジヴァンガードのお客さんからも奇異の目で見られているのがよく解る。素敵だ。入り口脇の低い看板には、『SCA-自さん来日記念サイン会』としたためたボール紙が貼り付けてある。尚更素敵だ。
 手狭な店内ではなく、棚の後ろにある恐らくは搬入用に作られた扉と僅かな空間に、ケロQSCA-自さんと基4%さんが陣取り、そこでサイン会を開始した。対象はこの店で『Aria』を購入した方全員となっている……実は先日、担当さんに私がする側で誘われたのがこれだったりする。脇から覗き込むと全て絵入りのサインで色紙にも丁寧にイラストを添えていたようで、そのため列の進行が遅い遅い。開始から15分ほど遅れて(私同様道に迷っていたらしい)到着した担当さんと立ち話をしつつ様子を見遣るも想像以上に列の進みが遅くしかも人が減らない、という当事者お二人にとっても私達にとっても意外な状況に、……取り敢えず先に昼食を採ることにした。
 が、家族連れで大混雑のレストランで食事を済ませてから戻っても依然列は長い。折からの台風の影響で、油断すると通路の吹きさらしの一画で雨に降られるので、一旦階下に戻って飲物を採りつつ時間を潰し、結局予定を大幅に割った三時過ぎ(予定では二時終了)に漸く終了……最後に、合流した極楽橋水軒氏共々列に混ざって一般人の振りをしてきちんとサインを頂戴する。その後更に、残っていた人々にコピーした原画にサインを入れたものを配るというサービスぶり。素敵だ。ちなみにこの日一日でこの店の入荷分、落丁分を除く59冊売り切ったとのこと。いよいよもって素敵だ。基4%さんの原画が塚本千紗だったのも更に素敵だ。
 そして漸く、担当さんに紹介して貰う。お互いに担当さん経由で色々と話が通じていたりする。まずサイン会のために食事の済んでいないスタッフの皆さんに付き合ってファーストフードへ向かう……が座る場所がないのでまた先刻のレストランへ。SCA-自さんと同じテーブルになったので色々と話を伺う。……ついでに昨日始めたばかりの『二重影』のユーザー登録葉書をお渡しした。一度やってみたかったのである。その後車に乗せていただき、ケロQの事務所にお邪魔させていただく。ソフトハウスの内部に立ち入らせていただいたのはこれが初めてだが……何と言おうか、凄まじいものがある。どう見ても四・五人くらいここで暮らしているとしか思えなかった。蔵書も哲学に思想は無論、春陽文庫の江戸川乱歩に日本残酷物語、でその横に花○京メイ○隊のDVDが平然と並んでいたり、ゲーム誌はさりながら音楽誌、漫画誌、CDもロックにテクノが並ぶ横に中島みゆきと某18禁ゲームのディスクが平然と収まっている。しばしそれらについて、主にSCA-自さんと極楽橋さんが話し倒す。当初そのまま飲みに行く予定が、台風の影響による雨がひと段落するまでまったりと過ごす――スタッフの人々が別室でギターを掻き鳴らすのを横に、担当さん・極楽橋さん・私で話し倒した。
 五時頃、小康状態となったので最寄り駅前の居食屋(と書いてあった)に河岸を移し飲み食い。ここでも基本的にSCA-自さんと極楽橋さん独走状態。哲学・思想系には疎いと言うより無知なので私は基本的に聞くだけだったがそれでも楽しい。まるで口を利かなかったわけではなくそら得意分野やゲーム業界の話題、それに自分のこととなればお話ししたわけだけれど、にしても聞くだけで楽しいというのは非常に楽なポジションだったりする。時々口を挟ませて貰ったときにはとんでもねー方向に話を持っていったり。いや、冗談を言ったつもりはないです少なくとも私は。多分SCA-自さんもキャラクターからしてかなり本気だったとは思うが。いずれにしても、僅か数時間ながらSCA-自さんのキャラクターとケロQスタッフの皆さん(飲み会に同道されたのは基4%さん含むお三方でした)の位置づけは大体理解できたような。
 十時ちょっと前に、台風による電車の停滞への懸念と夜行バスで帰還予定の極楽橋さんの都合もあって散会。SCA-自さんらスタッフ三名はそのまま事務所に戻られ、音楽担当のDJ COTTONさんと極楽橋さん、担当さん、私の四名はほぼ路線が一緒なので同じ電車に乗って更にあれこれと雑談した。実はこの車中のお話がまた興味深かったりする。
 地元の駅に着くと、例によってまだ食い足りなかったので途中のコンビニで冷やしとろろそばを買って帰宅。一風呂浴びてそれからこの日記をしたためている訳だが……厳しいところは削除してもこれだけの分量が書けるくらいに楽しく充実した一日でした。そのうち本当に遊びに伺いますー>ケロQの皆様。

 ……サイン会場で鳥の糞を浴びたことだけが悲しかった。

 今になって、ふと気付いたこと。……実は私、今日は交通費とサイン用に現地で『Aria』を購入した費用が支出の全てでした。つまり、食事は全部他人様の奢り。……いいのか?


2001年9月10日(月)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20010901~.htm#Day10

 二周年でも特に何もする予定はありません。兎に角、感謝と共に変わらぬ御愛顧を賜りたく存じます。というか、頑張って続けられるだけ続けてみますのでお付き合い下さい。

 台風だから、というより二日間遊び倒してすっかりグロッキーなので一日ぐったりと過ごす。本業・副業共にじわじわちまちまと。……ああ、平行作業が疲れる。楽しいけど疲れる。
 先日執筆した広告用短篇がぼちぼちWebに登場……の予定。見易くするためにあちこち手が入っているが別に拘りなし、というかオリジナルはいつか紙媒体に移すときのためにちゃんと保管している。頑張ろうねうんうん。
 ひっそりと悩んでいるのは、昨日話題に出したあれをいつお渡しするか、ということだったり……実は、この二年くらいのあれこれで文章自体はすぐにでも用意できる状態なんだよな……。
 それにしても、やっぱりブランクをおくと覿面に腕が衰えますお絵描き。元が大したことないと余計に。

 本日のお買い物
1,『星界の戦旗フィルムブック2』(ハヤカワ文庫JA/早川書房)
2,宇河弘樹『朝霧の巫女 平成稲生物怪録 弐 学園編I』(ヤングキングコミックス/少年画報社)

 2はなんか登場人物の巫女さん率がどえらいことになってます。ラブコメ、という割には奥の深刻さがかなり濃密に作品世界を支配しているのでシンプルな楽しさを欠く嫌いがあるのがちょっと納得いかない。それと、主人公とヒロインの妙な距離感のあるラブラブぶりが壱に較べて控え目なのも寂しいか。とは言え、相変わらずその醸成する空気と妙に意表を突くストーリー展開はいい。

 事件そのものは目を覆いたくなる内容だし犯人を庇う気は例によって毛頭ない。結局不愉快なのは、思考の停滞した表現しかできない一部のマスコミの人々のほうなのだ。教師の仮面を被っていた、と言うが、そういうのは本性を完全に身辺から覆っていた人間のことを言うのであって、断片的な話だけでもかなり目立った行動や怪しげな態度を取っていたことは明白なのに、問題の犯人を斯様に喩えるのはあまりに思慮に欠いていまいか。結局型どおりの表現に毒されていて、ちょっとでもそれらしいものが目に付くと簡単に当て嵌めてスクエアにものを捉えようとする。多かれ少なかれ衆目というものは目に留まるものを型に嵌める性質を備えているわけだが、だからこそ報道媒体には何が正確で何が誤った表現なのかを自らに問い、極限まで主観の伴わない表現というものを心懸けていただきたいのだけれど。詮無い願いなんだろうか。

 悩んでいるのは、ふたりを文脈の内側に置くか外側に置くか、そして全体のプロットを本来語るべき道筋をなぞらせるか敢えて徹底的に破壊・再構築するか。まだ時間はあるから、いっそ二通りで組んでみるのも一興とは思うのだが。……しかし、やっぱり佳境に入ると作業だということを忘れてしまうな。
 だが何よりの問題は、こっちばっかり優先していると計画上あっちの進行が著しく後回しにされてしまうので、今のうちに平行して基本設定と大まかな構造だけでも決めておかないといけない、ということなのだけど。難しいねえ。或いはこの同時進行の方だけはタイトルぶっちゃけて自分の枷にしてしまうとか。んで担当さんごと身動き取れなくしてしまうとか。……無意味に自虐的発想ばかり浮かぶのもいい兆候なのか悪い兆候なのか。
 取り敢えず、調子は悪くないです。ただまだ先月までの疲れを引きずっているだけでしょう、きっと。

 それより月森聖巳さんのサイトがどこに行ったのか御存知ありませんか。


「若おやじの日々」への感想はこちらからお寄せ下さい。深川が空を飛びます(飛ばねえって)
何をすればいいのやら。

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内容を本文で引用しても宜しいですか?: Yes No

 


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