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山の写真 (9月)
2006年秋の大雪山系縦走写真 |
2006年9月16日から17日にかけて、北海道大雪山系の旭岳(2290m)から黒岳(1984m)へと縦走した。2泊3日の単独行縦走を計画し、5リットルの飲料水、
テントなどが入った30キロ前後のバックパックを背負い山を登り始めたが、普段足を鍛えてないのと、2年ぶりの山中泊登山でもあり、旭岳の中腹で
両足のふくらはぎと股が攣り始めた。必死の思いで山を越え旭岳裏手にあるキャンプサイトに辿り着いたのが晩の4時。白雲岳避難小屋へ行く予定が、
その1/3も行けずにダウンしてしまった。キャンプ場は2/3がニュージーランド、オーストラリア、イギリス人などの外国人で、日本人は1/3と国際色豊か(北海道十勝連峰の、ある山小屋では、日本人私一人、あと全員アメリカ人という時もあった)。
夜の星空を楽しみにしていたが、雨が降り始め、テントの中でわびしい思いをし、山中泊登山からの引退を決意した。翌朝、テントに付いていた水滴が
凍っていた。しかし、それは素晴らしい朝晴れでもあった。空気が澄み切っていて、爽やかで、美味しい。空気が輝いている。景色も輝きを放っている。
予定を変更して、黒岳まで行って下山することにした(もし辿り着ければの話だが)。上段にある写真が、その時の、早朝の大雪山系の奥深い所にある景色です。
左から、それぞれ旭岳近くの間宮岳(2185m)から見た、中岳分岐方面、トムラウシ方面、黒岳方面です。この様な、空間の壮大な広がりを感じ取れる
なだらかな高原地帯を歩くのが大好きです。
下段の写真は、黒岳付近の紅葉です。デジカメを使うのが2年ぶりで使い方を忘れ、全てオートで撮ったため、本当の色鮮やかさが出なかったので、
画像編集ソフトで本当の色に出来るだけ近づけています。旭岳も黒岳も紅葉には少し早すぎたようです。黒岳を下山しようとした途端、左足親指に痛みが
生じたが、スピードを上げて、足を酷使して下山した(時々苦痛で叫び声を上げたが、そのうち腿の筋肉痛に気を取られたのか、足の指の痛みはそれほど
感じなくなっていた)。3時過ぎに下山でき、直ぐに、露天風呂目当てに、層雲峡温泉街にある「黒岳の湯」へ行った。そこで登山靴を脱いだ時、目にした事を
信じることが出来なかった。登山靴用の靴下はとても分厚いのだが、血に染まっていた。左足親指の皮が剥けていたのだ(普段、皮がとてつもなく柔らかい
ウォーキング・シューズを履いているせいなのか?)。それを見た途端、急に左足がひどく痛く感じるようになって、まともには歩けなくなった。シャワーだけ
浴びて、5時少し過ぎに、放心状態で「黒岳の湯」の階段を一歩一歩足を引きずりながら下りて行く時に、ズボンのポケットに入れておいた財布を落とした
ことに気が付いた。財布がないと家に帰れないので、絶望感に襲われた。しかし、こういう時に限って、馬鹿力が出るもので、それまで、手すりを掴みながら
足を引きずって階段を一歩一歩下りていたが、直ぐに、回れ右をして、さっそうと階段を上り、財布を探し回った。しかし見付かる訳もない。半ば諦めながら、
フロントのお嬢様に尋ねたら、フロントで、落としてあった私の財布を保管していたとのこと。どこで、見つけたのか尋ねたら、靴を履くためのいすの上との事。
ポケットから財布が落ちてからフロントのお嬢様が見つけるまで、30秒ほどしか時間が経っていないはず。落し物に機敏によく気を配っている、すばらしい
フロントだ。お礼を述べて、又、手摺を掴みながら、一歩一歩階段を下りていった。お蔭で、無事に、足を引きずりながら、帰路につく事ができた。感謝、感謝。
「黒岳の湯」は社員教育が、非常に良くなされているに違いない。ご立派です。
層雲峡にお出での際は、外来入浴専門の「黒岳の湯」を大推奨いたします。今、足がひどく痛くて歩けない状態で辛いが、
大雪山系の素晴らしい大自然に包み込まれ、「黒岳の湯」で温かい経験をしたことで、又山登りに来ようと思った。今度は1泊2日縦走登山で。
北海道新聞のホームページで山の名前で検索すると動画で紅葉などが楽しめます。
2009年7月17日 金曜日 1:42:12
PM 北海道大雪山系で登山者10名死亡と近年では類例のない大惨事が起きた。2,3年前に大雪山系の旭岳で滑落転倒により2名死亡しているが、穂高連峰のような危険な所はない。 しかし、ほぼ毎年と言って良いほど夏から秋にかけて
登山者が死亡しているが、その殆どは低体温症である。大雪山系では夏でも寒さで死亡する事がある。それで、気温が低くなりそうな時には、私は 下着の着替えに加えて、低体温症で死なない為に、ダマールの南極でも大丈夫な下着(上下)を持って行く。 今回半数が死亡した登山ツアーのコースは私が最も好きな縦走コースの一つで、気象条件にさえ気をつければ、特に紅葉の時は素晴らしく、楽しいコースのはずである。少なくとも死亡事故を起こすような山ではない。 しかし気象条件に加えて、問題点が二つある。第一に、二日目の白雲岳避難小屋からヒサゴ沼までは比較的平たんな絶景コースだが、距離が長過ぎて、 トムラウシ山へ登るの為の三日目の体力に支障が出る場合がある。第二に、トムラウシ山の岩場は迷い易く、天候が悪く濃霧の場合は、 迷って遭難するかもしれないと言う不安による精神的な疲れから余計体力を消耗しやすい。私も、単独行の時に、登山コースから迷い出る危険を十分認識しながら、コースから外れたことがある。勿論、岩場での転倒の危険性もある。 もう少し、岩場でのコースの目印を分かりやすいようにして欲しい。いずれにせよ、今回の遭難は、ツアー主催者側の大雪山系に対する認識不足と良い判断力の欠如が主因と思えてならない。残念です。
追記: 昔、真冬の中、ある北欧の人が、帽子をかぶらずいにた私に、体温は頭から逃げるので帽子をかぶらなければダメだと忠告した。防寒対策の一つとしてフードつきのものがあれば、より一層暖かさを閉じ込めて外に逃げないようしておくことが出来る。 基本的な防寒具に加えて、寒さ対策で生死を分ける一番大切な要素は下着の性能と私は思うが、山小屋を朝出発する前に、お湯を沸かして魔法ビン(サーモス)に温かい飲み物を入れておくことも同じほど重要です。 寒い時の一杯の温かい飲み物は人を生き返らせます。また、エネルギー不足に陥り、力尽きないために、朝食を十分とり、猛嵐の中、火を使った昼食を取れないことを想定し、高カロリーの素早く取れる昼食とビタミン剤を用意しておくことも当然大切です。
しかし、遭難した翌日には他の登山者が無事にトムラウシに登っていることからすると、死亡に至った根本原因は一目瞭然だ。

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