既存の統計学的手法をそのまま使うのではなく、応用して改良し、日経225平均株価の日々の終値に対しての
統計的推定値を測定したモデルです。日々最適化の推定値を計算するため、直近の推定値は毎日修正されて
しまいます。それ故、通常の統計学的手法の弱点がある程度残ったままです。グラフの更新は不定期とします。
2006年6月1日 木曜日 2:26:28 AM コラム1で投資において重要なのは株価の予測と言うよりもむしろ戦略であると書いたが、最近、戦略としての
メカニカル・トレーディング・システムの様々な実験に励んでいて、一つの良い売買基準に辿り着いた。予測よりも戦略が重要である事を実証する為に、このシステムを使って、空売りやヘッジ売りを使わず、
平均株価を1つ買って、その後で、その買った一単位を売るだけの単純な戦略で、日経225平均株価の2000年4月3日ITバブル高値20726円から2003年4月28日ITバブル崩壊後の安値7607円までの期間で
実験してみました。結果は28勝5敗でトータルで +14651円 の利益になりました。この間、日経平均は 13119円 下落して高値の1/3になっているわけですから、戦略に改善の余地はあるにせよ、
例えば、毎回1000単位で売買すると1500万円弱の利益になり、資金が約2倍になる計算になるので、まあまあの結果です。なお勝率は85%ですが、これは日経平均をある確率分布に変換して、
確率80%以上での売買基準を設定したので、この勝率はこの確率分布の理論的妥当性を裏付ける結果となっています。
ここで重要なのは、この確率分布は株価のトレンドに影響を受けないので、勝率は予測どおり常に確率分布の確率によって与えられる一方、その勝率からもたらされる利益
(理論的に言えば expected value )は予測できません。別の角度から見れば、将来の株価や利益の大きさは予測出来ないが、勝率は予測可能だと言うことで、株価の予測と、売買の勝率は
全く性質の異なることが分かります。
2008年5月20日 火曜日 11:04:56 AM 機械受注分析ページに書いたとおり、直近の株価を評価するのためにはCP波が一番適しており、予測には単なる波が最適であることが分かってきました。
理論的進展の速度があまりにも速く、最新の結果を試すためには時間も必要となり、どこまでの結果を公表し、どこまでを公表すべきでないかを確定できない状態にあります。(特にCP波の有用性が確立されて以来、予想外の理論的展開が進んでいます。)
一方、現在の相場は金余りの金融相場であり、その影響もあり、このページに掲載されている基底中波の効力が薄れてきています。CP中波と中波の掲載予定がない状態では、このページの更新頻度を毎日とする意義が薄れてきています。
それで、
今週から、このページの更新を多くとも週一回、不定期とします。最新の理論を十分検証出来次第、更新頻度を再考する可能性があります。今後の、株価の予想シナリオの一つとして、金余りの金融相場が継続すると言うものがあります。
金余りの中お金を眠らせておく(お金を失業させておく)訳には行かず、お金には働いてもらわなければなりません。それで、お金が働ける所へお金が向かう事になります。(労働市場と同じ)それが、相場の過熱を生み出し、過熱がより多くのお金を引き付けます。
この過熱の循環はそう簡単には終わらず、恐怖による終末がその過熱循環を断ち切る一つの要因となります。その恐怖とは、高値恐怖症であるかもしれません。その場合自らの重力で崩壊していきます。
もう一つの恐怖は、回復を織り込んで相場が過熱して行き、ある時点で景気回復シナリオがファンダメンタルズに於いて崩れそうになる恐怖が始まる時です。その場合、崩壊の程度は過熱の程度と恐怖の程度に呼応するでしょう。
金融資本主義の特徴は、バブルを生み出し、バブルを崩壊させていく事なのかもしれません。勿論、状況によって上記のようにならず、ジワジワ下がる、もしくはジワジワ上がるという可能性もあります。
2008年7月20日 日曜日 10:46:35 PM
日経225CP波から導出された周期トレンドグラフを更新しました。このグラフはトレンドを示すと同時に周期性も表わされています。この周期トレンドモデルは予測にはそれほど適していません。
7月18日金曜日シカゴ・グローベックス日経225終値13095円を日本での7月22日火曜日の終値と仮定して計算しています。
この一週間、重大な出来事が余にも多く適切にまとめるのは難しいですが、記録の為に要約しておきます。
プール前セントルイス連銀総裁がファニーメイとフレディマックに関し『破綻状態』と10日に発言し、両社の株価もまるで破綻を想定しているかのように暴落していたが、米東部時間13日日曜日の晩に米財務省とFRBが必要な場合は公的資金を注入するとの緊急声明を発表した。
両社が保有か保障している住宅ローンは日本のGDPに相当する約550兆円、社債も(米国債の3割に相当する)160兆円強を発行している。市場では “too big to bail out” と囁かれているが、両社が破綻すると金融恐慌に陥るので救済以外の選択肢はなかろう。
なお米住宅公社発行の債券を日本の民間金融機関は15兆円以上保有との事。
ここで、問題となっていることは両社の規模だけではない。今年に入って、ベア・スターンズを救済した時はサブプライム(信用度の低い借り手への住宅ローン)に関連した損失だったが、11日に破綻した地銀のインディーマック(資産3兆4000億円)はサブプライムより優良な
オルトA(プライムとサブプライムの中間の信用力)の業務を拡大させてきた地銀だ。しかも、米連邦預金保険公社(FDIC)は更なる地銀の破綻の可能性を示唆した。加えて、プライム・ローンの延滞率も急上昇しており、問題はサブプライムに限定されず、拡大していることだ。
バナンキーFRB議長は『米国経済は重大な試練に直面し、金融はかなりの緊張感の下にある』と15日に発言した。
一方、米国の株価は反発した。主要な理由は3つあると思う。(1)原油価格の急落 (2)米金融機関の決算が予想ほど悪くなかった (3) 米証券取引委員会(SEC)が大手金融株に関して借株の裏付けなしの空売りを禁止した。
特に空売り禁止が出た時は一時的にはこれは効くと思った。米国ではこの空売り禁止が愚策であるとの罵声や侮蔑の形容詞が相次いだことで、空売り筋が窮地に陥った事が読み取れたからだ。上昇の大部分はこの空売り規制によるものではないかと思う。
また、シティなどの米金融機関の決算が予想ほど悪くなかったとはいえ、シティはSIVを非連結にしているためで、7〜9月期では連結に加えなければならない。サブプライムだけでなく、プライム・ローンも問題になりつつあるようだ。
故に、株価反発の理由は脆弱としか言いようがない。
2008年9月28日 日曜日 9:07:53 PM 日経225CP波から導出された周期トレンドグラフを更新しました。9月26日金曜日シカゴ・グローベックス日経225終値12070円(円建て)を日本での9月29日月曜日の終値と仮定して計算しています。
米金融安定化法案が合意に至るかどうか、その中身はどうなるのかが市場の注目を一身に浴びている中で、グラフを更新する意義は殆どありませんが、更新することにしました。
米金融安定化法案がどうなるかによって、株価が短期的に大きく反応すると思われていますが、これほどニュースに過敏に反応するマーケットに短期的に付いて行くよりも、もっと長期的視野で捉えたほうが賢明だと思います。
それで短期的なサイクルを示すグラフは今回掲載しないことにしました。
2008年10月12日 日曜日 9:13:24 PM 日経225CP波から導出された周期トレンドグラフを更新しました。10月10日金曜日シカゴ・グローベックス日経225終値7885円(円建て)を日本での10月14日火曜日の終値と仮定して計算しています。
株価は急暴落しました。ここまで下げたのだから、ショートカバーによる急反発や、PBRなどから判断して水準訂正のある程度の反発があってもおかしくないが、逆に続落の危険性も十分ある。
それで、サイクル系のグラフを掲載して、もしリバウンドを仮定した場合、そのリバウンドはどの程度当てになるかを分析してみました。投資した分の資金がただの紙切れになってもいい額なら、PBRに基づいて長期スタンスでの買いも良いのかも知れないが、
そうでない場合は、もう少しマーケットが落ち着くのを待つのも賢明な選択だと思います。
2008年9月28日 日曜日 11:15:50 PM 当サイトでは当初CP中波をなどを 中波 at current prices などと呼んでいました。様々な波長のCP波は直近の株価は正当な水準にあるとの仮定から導出した波で、目的はこの仮説が株価を説明するのに適していないことを証明することでした。
しかし、昨年暮れ当たりから、CP波は株価の急激な変化によく付いて行けるだけでなく、理論的にも可能性を秘めていることを認識出来るようになりました。それ以来、信じられないスピードで株価のモデル開発が進み、理論的にも大きな進展がありました。
その結果、今までの理論的基礎部分を一部再構築する必要に迫られ、CP波は現時点までの株価を最も良く近似している一方、それ自体は予測には適していないことが分かってきました。そこで、予測の部分に於いてはCP波を改良したモデルを開発し、その一部をこのサイトでも掲載しました。
最近、理論的に著しい飛躍を遂げ、この予測モデルをさらに改善して、当サイトが目指す最終的なモデルへの道筋がしっかりと出来ました。最終的なモデルにおいても改善は可能ですが、土台は既にしっかりと据えられており、その土台に則ったモデルとなります。
理論的な breakthrough には、理論を精密にするために、数学の論文を3つ書く必要がありました。既に一つ目はほぼ書き終えており、二つ目も2/3以上完成しています。三番目の論文は、最初の二つの論文を基礎として、予測に直接的に係わってくる論文で、
その論文を書き終えないと、予測モデルの数式の細部が決定されません。実は、この三つの論文を書くことを最優先としていたため、今年は実質的に夏休みは無かったと言えます。登山にも殆ど行けませんでした。今も、論文を書いている最中ですが、最初の二つのの論文は数学的に意外であり、楽しいほど面白くもあります。
三番目の論文は来年の前半までには書き終えれると思いますが、その時まで、最終的なモデルは構築されません。モデルが構築され検証実験で有効性が試されてから、当サイトでそのモデルに基づくグラフを一部公開する予定です。理論的にとてもしっかりしているので、実験結果も良いものになると確信しております。
その時までは、当サイトのグラフは暫定的で、予測部分は幾分改善されるものと解釈してください。
2009年2月26日 木曜日 3:43:50 PM 中途半端な位置から反発を試みているのが難点。
2009年2月27日 金曜日 3:53:58 PM Oscillatorグラフの波が収束してきている。しかもその位置が丁度中立地帯なので、収束の後には通常どちらかへ大き振れる。
2009年3月3日 火曜日 3:47:58 PM 政府による株価対策への期待で、株価は下支えされている状態。株価が大きく下放れするのを政府が断固として阻止する模様。
2009年3月4日 水曜日 3:55:35 PM 3月の株価は政府の意向次第か。
2010年7月8日 木曜日 3:49:45 PM
このサイトを更新しているコンピューターが一時ダウンしました。クラウド・コンピューティングの時代に、もしこの状態が続くならば、
特定のPCにインストールされたホームページ・ソフトを用いて、特定のプロバイダー契約に依存した、この様なサイトの更新を停止し、
サイトを復元することはありませんので、ご了承ください。
2011年3月13日 日曜日 4:23:48 AM 札幌で仕事をしていた時、緩やかな横揺れがかなりの時間続き、恐怖を感じた。テレビをつけると、宮城沖で地震が起きたとのこと。
6mの津波が10分後に来る場所が表示されていた。無理だ、助からない人が多数いるだろうと思った。宮城沖の地震で札幌がこれ程揺れるならば、
とてつもない地震だと、計算するまでもなく直ぐに分かった。大変だ! しかし、地震の揺れ自体というよりも、
それに伴う津波がこれ程悲劇的な状況を生じさせるとは想像できなかった。津波が畑、家屋、車を次々と飲み込んでいく様をテレビで見ていて、
力が体から抜けていくのを感じた。虚脱感というか、あまりエネルギーが残っていないような脱力感を感じた。翌日の土曜日になっても、
私はぐったりして、力が出なかった。気仙沼が火の街と化していた。被災地にいる人は、打ちのめされているに違いない。
家、畑、自分にとってかけがえのない人を失った人達の喪失感を思うと心が痛む。泣き崩れている人々の、精神的、感情的な苦痛は耐え難いに違いない。
今まで懸命に働いて築いた生活の基盤が津波で一瞬に破壊されていくのは残酷だ。悲嘆に圧倒されるのはごく自然で、
思いが悲劇的な事に集中するのは無理のないことです。体に負った傷は時が経てば癒える。しかし、心に刻まれた傷を時が癒す事はない。それでも、
日本人は決して悲嘆に打ちのめされたままでいない事を私は信じています。広島、長崎、大震災の神戸など、数々の復興がその事を証明しています。
心がすっかり癒される事はなくても、必死で思いを積極的な事柄に向け、破壊的な事でなく建設的な活動に精力的に携わる日本人の姿は称賛に値します。
決して苦境に屈しない、これが日本人の美しさです。打ちのめされ続ける事を拒否する力が日本人にはあると確信しています。決して悲しみに支配される事を許さない。
決して苦しみに屈しない。何があっても決して屈しない。一丸となって苦難を克服していく日本人は素晴らしいと思います。
Wall Street Journal,
New York Times,
Washington Post,
Reuters
ABC News,
CBS News Video,
CNN,
CBS News,
NBC,
BBC
2011年3月20日 日曜日 12:43:11 PM 東京消防庁が福島第1原発3号機に向けて連続10時間の放水をして、放射線量が減少しているという。状態を把握するには、現状だけでなく、状態が悪化傾向にあるか、改善傾向にあるか、
その傾向は減速的か加速的かを判断する必要がある。原発事故以来、状態が時に加速度的に悪化していたが、今回初めて改善傾向が見られたことは本当に喜ばしいことだ。
東京消防庁ハイパーレスキュー隊隊長らの会見を見ていて、相当の覚悟と決意を持って任務を遂行したことが伝わり心が打たれた。東京消防庁は、
日本はまだ世界が経験したことのない危機を克服する勇気と力と知恵があることを証明した。心から感謝したい。まだ予断を許さないが、悪化傾向に歯止めを掛けたことは、高く評価できる。
今度は東電の番である。冷却電源の復旧が成功すれば、状態はかなり改善される。東京消防庁の勇気ある行動から力と励ましを得て、最善を尽くしていただきたい。
2011年7月25日 月曜日 2:41:49 PM 気象条件等が良ければ、突如山登りに行くことがあります。その際はグラフは更新されませんので、ご了承お願いいたします。
2011年8月15日 月曜日 10:40:29 AM 短期トレーディング vs 長期投資
今は危機連発の時代であることを最近痛感させられる。ITバブル崩壊、住宅バブルの崩
壊、リーマンショック、日欧米の財政赤字、新興国のインフレ、原発事故、自然の大災害、
異常気象など、世界のあらゆる所から危機が頻繁に襲ってくる。もはや、安定的な株価の
中長期上昇トレンドを見込める国は世界に残されていないのではないかとさえ思えてくる。
どの国でも長期投資の死の時代に入ったのではないかと考えたくなる。それで、S&P500
に関して、短期トレーディング(スウィング・トレードの範疇)の実験をしてみることにした。
トレンドを判定するCPVやCPS は不確定性の問題があるので、まず、ボトム圏と
ピーク圏を確定的に判定する手法を編み出した。それから、CPVやCPS のトレンドを無
視して、ボトム圏での最も遅い時点で買い、ピーク圏での最も遅い時点で売り、ストップ
ロスは無し、という大変とろい、間抜けな短期トレーディング戦略で、シミュレーション
してみることにした。S&P500の期間は 2006年7月から2011年8月現在までの、5年間。
この戦略の欠点は、判定がオシレーターの範疇なので、トレンドが強く出た時に、失敗す
るという点にある。
2006年7月から始めて、利益が積み重ねられていくが、『あっ、そんなとこで売
っちゃうの。これから上昇トレンドが始まるというのに』という場合があり、やはり継続
的なトレンドに弱い。とすると、リーマンショックの時に、恐ろしい結果になるのでは、
と心配しながら、実験を続けると、『おっ …、そんなところで買っちゃ駄目でしょ。あ
っ、また買った』という具合に、リーマンショックの暴落時に、トレンドを無視するこの
戦略は、利益をすべて吐き出し、損失を重ねて、マイナス幅を拡大していった。予想通り
とはいえ、ショック。耐えがたきを耐え、忍びがたきを忍び、実験を続けていった。する
と、株価が反転するや、利益をまた積み重ね、損失を埋め合わせ、プラス幅を拡大してい
った。
結果は、5年間で約28.7%(年換算で毎年複利で約5.18%)の利益となっ
た。同じ期間をバイ・アンド・ホールドの長期戦術では、5年間で約6.16%(年換算
で毎年複利で約1.2%)の利益にしかならない。こんなアホな戦略でも、長期投資より
利益が出る、というのが結論。「この危機連発の時代、これからは、長期投資アホらしく
てやってられない」というのが私の率直な実感。
2011年9月22日 木曜日 3:23:40 AM 短期トレーディング vs 長期投資 Part 2
前回は、間抜けな短期トレーディング手法でもバイ・アンド・ホールドよりもパフォーマンスが遥かに良いことを指摘した。
それ以来、真面目に様々な短期メカニカル・トレーディングの為のプログラミング作りに精を出し、検証実験を繰り返し試みてきた。
期間は2003年から2011年までの9年弱の期間を9年と計算し、空売りをせずに、日経225を1単位買い、その後その1単位を売るという制約の下で、
様々な手法を検証した結果、数多くの手法で9年で1.7倍から1.8倍というパフォーマンスとなったが、その中で2つの2倍を超える手法があった。
今まで試した短期メカニカル・トレーディングの中では、9年で約2.27倍、年率換算約 9.55% の利益というのがベスト。目標の年最低10%〜20%を
下回ってしまったが、同じ期間でバイ・アンド・ホールドでは約1.05倍、年率換算約 0.59% にしかならないので、
パフォーマンスの違いは歴然としている。やはり、リーマンショックの暴落で、パフォーマンスが極度に低下すると共に、
上昇トレンドに乗りきれていない場合があるいという欠点が、年9.55%と10%を切った原因となっていることが判明したが、一貫した手法でこれ以上パフォーマンスを上げるのは難しい状況。
非凡な考え方がないかどうか思案中だが、浮かんで来ない。全く別の一貫したメカニカルな手法か空売りを組み入れないと年10%以上をコンスタントに出すのは無理のようだ。
いずれにせよ、S&P500であろうが日経225であろうが、今は短期トレーディングが長期バイ・アンド・ホールドを凌駕する危機の時代であることは動かし難い事実だ。
2011年10月26日 水曜日 3:18:21 AM 短期トレーディング vs 長期投資 Part 3
このサイトを2004年11月に立ち上げて以来、株価分析モデルの実験結果や分析手法の進捗状況を公表することには、公表しない時と比べて、遥かに大きな益があることを実感してきた。それ故に、短期トレーディングの検証実験も公表してきた。
しかし、S&P500と日経225の短期トレーディングに関して年率10%が大きな壁になっていた。必死に考えた結果、日経225に関してあるアイディアが浮かび、新たな手法とルールの下で、2003年から2011年までの9年弱を9年として計算し、
空売りなしで一単位買い後にその一単位を売るという制約の下、検証実験したところ、短期トレーディングは 約3.68倍、年率15.58%、となる一方、バイ・アンド・ホールドは 約1.05倍、年率0.56%となった。
大喜びで、同じ手法とルールを同じ期間のS&P500に適用したところ、バイ・アンド・ホールドより少しましなだけだった。衝撃が走った。結果の後退に大いに落胆した。周期を少し長めにとったところ、約2倍、年率8%くらいへと改善したが、ショックだ。
何故駄目なのか、根本的に考え直し、かなりの数の手法とルールで何回も検証実験ていると、途轍もないアイディアが浮かんだ。その一部を
私の英語サイトに掲載しました。
早速S&P500に適用して検証実験したところ、今回は、約 3.77 倍、年率 15.89 %になった。バイ・アンド・ホールドは約1.3倍、年率2.97%なので、やはり短期トレーディングは長期投資を遥かに凌駕する。危機連発の今の時代に、私は長期投資に戻ることはないだろう。
結果がどうなるか分からないが、今度は、この手法を日経225に適用して検証実験をし、それをまた公表することにする。マーケットによって手法を変えるべきなのか、同じ一貫した手法になるのか、どうなるにせよ楽しみだ。
2012年1月18日 水曜日 3:18:55 PM 2,3カ月前、BGMの目的でFMラジオを聴いていたら、女性のアナウンサーが『そうなんですね』
という表現を連発していて、耳障りになってきた。
例えば、大学の物理学の教授の明らかに難し過ぎる解説の後、女性(DJ、アナウンサー、リポーター?)が一言『そうなんですね』と
言って終わり。私は、『この知ったかぶりめが』と思い、鼻につく番組から別のFM局の番組へ変えたら、今度は女性DJがある(中年の?)
アーティストにインタビュー中で、お昼に何を食べたかを質問し、彼が答えるやいなや、その女性DJは『そうなんですね』と受け答えた。
このアーティストは少し怪訝そうだった。私は『こいつは、ストーカーか?知っているならわざわざ聞くな』と気持ち悪くなり、
再度、前のFMラジオ局の番組にダイヤルを合わせた。今度は、ある企業の方が今まで極秘で開発してきた新製品の紹介をしていたら、
例の女性(DJ、アナウンサー、リポーター?)が◯◯の一つ覚えのように、『そうなんですね』と繰り返した。
私は『こいつは企業スパイか』と思った。1秒2秒と沈黙の時間が過ぎ、やっと、その企業の方が、動揺を隠すように平静を装い、
話を続けていった。ここで、ようやく、『そうなんですね』を『そうなんですか』の代わりに使うのが、
若い女性の間での流行になっているのが分かった。
私は、この『そうなんですね』という表現は、ゆとり教育の成果の一つ、思考力不足、を露呈していると感じた。私達は皆、
時として考えが足りないことはあるが、これはひど過ぎる。日本の教育において、漢字の読み書きのために、膨大な時間が費やされる。
一方、欧米の教育では、その時間を、文字自体を習うよりも、文章を理解し、読解力を強化し、自分の考えを効果的に言葉で表現する
訓練に用いる。つまり、知識よりも、思考力の方が重視される。漢字を学ぶ分、日本は教育に費やす時間を欧米諸国よりも
長くする必要がある。日本のゆとり教育が思考力の訓練に貢献してきたとはとても思えない、
(引き続き、一般的な日本人(複数形)の言動を分析していて、思考力不足という表現は不適切で、むしろ、私が教育を受けた米国と比べて、
日本では思考力が軽視されており、故に、一般の日本人(複数形)は相対的に、思考力が弱い、と訂正すべき事を思い知らされました。2012.4.13)
そういう事例が頻繁に見られる。この『そうなんですね』という表現は、その一つにすぎない。
インタビューにおいて、『そうなんですね』という表現を繰り返すよりも、相手の述べた事を良く聴いて関心を払っていることを
示すために、相手の話の内容に基づいて更なる質問をしたりすることにより、会話のキャッチボールを行った方が良いと思った。
では、このように『そうなんですね』という表現を繰り返す人に会ったら、私はどう反応すべきか。多分、『そうなんですね』と
言われたら、『そうなんですね』と返答するだろう。ハハハ… とにかく、FMをBGMとして流すのは、聞き苦しくなり、
ラジオを聴くのを暫く止めていたが、PCに保存しておいた音楽も聞き飽き、また懲りもせず、FMをつけた。やはり、
若い女性DJが『そうなんですね』という表現を連発していたが、今回は、少し気が利いていて、『そうなんですね』と言った後、
相手の話を少し敷衍した。「おお、たいしたものだ」と感心していたら、相手が『そうじゃないんですね』と返答してきた。
私は大笑いして、この人の返事の方が私が考えたものより遥かに勝っていて、洒落ていると思った。
こうしたちょっとした思考力の行使は聞いていて嬉しくなる。ちなみに、この女性DJ、
相手の『そうじゃないんですね』という返事に、『そうなんですね』とは言わなかった。
2012年1月19日 木曜日 1:28:48 PM ある現役の若いサッカー選手が、『僕は自分の見た事しか信じない』、という本を最近出版した。
ゆとり教育の世代である。思考力不足の露呈。心配だ! このディフェンダーの選手は、ちょうどヘディングでクリアーできるような
相手チームが大きく蹴ったボールが自分の所へ飛んでくると思った瞬間、突然強い風を顔で感じても、『僕は自分の見た事しか信じない』
とボールが思ったより伸びてくる可能性を否定して、自分のポジションを修正しないのだろうかと思ってしまう。
この選手は、盲学校へ行って、大勢の生徒達を目の前に、『僕は自分の見た事しか信じない』と声高に説くのだろうか?
この選手は、明らかに Adelson Illusion を知らない。ここにビデオを貼っておくのでよく見て欲しい。
ちなみにビデオにおけるAとBは同じ色である。
http://www.youtube.com/watch?v=EDoAnDxoHTU
http://www.youtube.com/watch?v=iYb2hOVLXAQ
http://www.youtube.com/watch?v=ZYh4SxE7Xp8
いつも目で見るものだけしか信じないのであれば、いとも簡単に欺かれるだろう。まだ、『僕は自分の見た事しか信じない』
と言い張るのだろうか?この若者は、可視光線という概念しか持っていないようだ。ここを参照。彼は目に見えない光(電磁波)
もあるということを否定するのだろう。誰もが虹の色(7色?)を見て光の様々な色の美しさに心を打たれるであろう。しかし、
目は真実を見ていないのである。光に色はないのである。ここを参照。ただ波長が異なっているだけである。大雑把に言えば、
光が目に入ってくると、3種類の錐体が長波、中波、短波をそれぞれ捉える。ここを参照。(赤、青、緑と分類するのは不正確だと言われている。)
それから光は信号に変えられて大脳で色というものが創造されているのです。色とは人の頭脳が作り上げている創造物であり、
光自体は無色で波長が異なっているだけなのだ。自分が見ている色が絶対的だと思うのは、
真実を否定していることになる。それでも、この選手は『僕は自分の見た事しか信じない』と言い張るのだろうか?
日本は第2次世界大戦で負け、マッカーサー将軍が日本人の精神年齢は12歳ぐらいだと言ったと解釈されているが、
もしかしたら本当にそうなのではないかと思わせるようなことではだめだと思います。日本は戦争で負けた後、
金融戦争でも負けバブル崩壊後の失われた20年を経て、予想通り年金がもらえなくなりつつあり、
金融だけでなくモノづくりも日本国内では危機的状況です。世界でこのような経済の衰退を日本化と呼ばれている。この上、
教育上の失敗で、思考力にひどく欠けた若者の増加を日本化と世界中で呼ばれるのはこの上ない屈辱である。
反省と改善なしには、本当にそうなってしまうのではないか。
(引き続き、TVやラジオ等で様々な日本人(複数形)の言動を分析していて、私が大学教育を受けた米国とは違い、
日本ではむしろ考える事が軽視しされ、考えない事を美徳とするが故に、米国人と比べて一般的に日本人は、
思考力不足というよりも、思考力が弱い、と訂正すべき事を思い知らされました。
このままでは相変わらず外国の餌食にされ続けると思うのだが。2012.4.13)
どうも、日本のラジオのMCと相性が悪いので困っていたが、今はインターネットラジオという非常に便利なものがある。
それで、海外のインターネットラジオを探し
Windows Media Guide - インターネット ラジオ
をBGMの為に選択。この中でも Smooth Jazz に嵌って、今BGMに使っているが、なかなか良い。
さらに
Live365 Internet Radio Network - Listen to Free Music, Online Radio
の中で、 Easy Listening 項目にある SOFT JAZZ FM も良い。
2012年7月3日 火曜日 6:25:33 PM 失われた20年の原因の一つ
ロイター、2012年7月2日日本語電子版に於いて、「超円高」認識は誤り、と伊藤元重
東京大学大学院教授が主張している。その中で伊藤元重東大教授は “円高で大変だと騒
いでいるのは、日本人だけかもしれない。欧米のプロのエコノミストは、「実質レートで
見て若干の円高かもしれないが、騒ぐほどのことはない」と見ている。” と書いている。
まさに、この程度の認識が失われた20年の主因の一つであり、日本が長期デフレか
ら脱却でいない理由を際立たせると私は思った。それで、この事を説明する為に、まず実
質実効為替レートを分かりやすく説明したい。日銀ホームページの解説を用いると、邦貨
建て名目為替レートを使用したドル円の実質実効為替レートは次の簡単な式によって定義
されている。
実質実効為替レート
=邦貨建て名目為替レート×(米国の生産者価格指数PPI/日本の企業物価指数CGPI)
邦貨建て名目為替レートは私達が日々ニュースで耳にするレートの事で、現在は 1ドル
=¥79.77 位です。
ここで、議論を簡単にする為に、邦貨建て名目為替レートを $1=¥120 、米
国の価格指数と日本の物価指数を同じ 100 と仮定しましょう。すると実質実効為替
レートも名目と同じ 120=120×(100/100) となり、実質実効為替レー
トも1ドル=120円となります。では何故、実効為替レートという概念が重要なのでしょ
うか。例えば、金1オンスが米国では$1600、日本では¥210000とします。もし、あなた
が円を所有しているなら、米国で1オンス$1600の金を買うなら、1ドルが120円なので、
192000円を支払う事になります。この192000円で買った金を、今度日本で売るなら
210000円を受け取る事が出来、1オンス当たり18000円の儲けになります。経済学の
the
law of one price によりと、この利ザヤを狙う事により、ついには日米、為替換算
で金は同じ価格になるということになります。どういうことか、具体的に考えてみましょう。
上記の式で、名目為替レートを120円とし、米国の物価指数を1600、日本の物価指数を1750、
日米の金価格は其々の物価指数と同じ割合で変動するなら、実質実効為替レートは
120×(1600/1750)= 109.7円 になります。この場合の日本の金価格を\210000、米国の金価格
を$1600としましょう。次に、日本の物価指数が1750から1600まで低下するならば、実質実効為替
レートは 120×(1600/1600)= 120円 になります。これは日本では1オンスの金が210000円
から192000円まで値下がりした事に相当します。日本の物価指数が低下する代わりに、
名目為替レートで1ドルが131.25円になると、やはり実質実効為替レートは
131.25 ×(1600/1750)= 120円 になります。これは、1オンスで210000円の金は
$1=¥131.25 なので、$1600 となる事に相当します。どちらの場合も、もはや利ザ
ヤを稼げなくなり、この事は実質実効為替レートが一定(この場合は120円)のままであ
る事によって示されています。最も単純に言うと、両国の金価格と物価指数が其々同じ割合で
変化しているのに、実質実効為替レートが一定のままでなく、かなり変化しているのなら、金
に関して利ザヤを稼げる機会がある事が示唆されます。その様に利ザヤを稼ぐことにより、実質
実効為替レートがある程度一定範囲内に収まると、もうそれ以上、マーケットの歪みを利用
して、利ザヤを稼ぐ事は出来なくなります。これは、the law of one price が物価指数
と通貨価値に適用された Purchasing Power Parity Theory と経済学では呼ばれている
理論から導き出せる一例です。実質実効為替レートを考慮するのがいかに大切か体感でき
たと思います。以上、マーケットの視点を通して実質実効為替レートを考慮しましたが、
経済学では、対外競争力という観点から論じています。
では、伊藤元重東大教授が “円高で大変だと騒いでいるのは、日本人だけかもしれ
ない。欧米のプロのエコノミストは、「実質レートで見て若干の円高かもしれないが、騒
ぐほどのことはない」と見ている。” と書いていることを、上記の式に当てはめて考え
てみましょう。上記と同じように、邦貨建て名目為替レートを $1=¥120 、米国
の価格指数と日本の物価指数を同じ 100 と仮定しましょう。すると実質実効為替レ
ートも名目と同じ 120=120×(100/100) となり、実質実効為替レート
も1ドル=120円となります。ここで、名目為替レートが1ドル80円、日本の物価指数
が100から67へとデフレになったとしましょう。実質実効為替レートは
80×(100/67)= 119.403
となり、実質実効為替レートは1ドルがおおよそ119.4円になります。名目では1ドル
80円と円高になりましたが、伊藤教授によると、実質では119円と殆ど円高になってい
ないので、円高だと騒ぐのは愚かだと言う事です。しかし、これは日本の物価が100から
67とデフレになっただけなので、騒ぐなと主張する事と同じです。伊藤元重東大教授の
論法によると“名目では円高だが、実質レートはほとんど同じで、実質的に変化していな
いので、日本はデフレにならなければならない”という事になります。この様に為替レー
トを実質だけで考慮し、名目為替レートを無視しているので、いつまで経っても日本はデ
フレに対処できないのではないでしょうか。まさにここに失われた20年の主因の一つが
明らかにされていると言えます。
上記の事がいかに恐ろしい事か、静学的にではなく動学的に考えてみましょう。伊藤
元重東大教授によると、“大学でも、私は学生に「為替レートを名目で見るのは素人、プ
ロは実質で見る」と教えている。” とのこと。それで、まず米国の物価指数が100から
140へとインフレになり、日本の物価指数が100から80へとデフレになり、実質実効為
替レートが120から140へと円安になったとしましょう。伊藤元重東大教授の論法による
と実質レートが円安になったので、両国の物価指数が同じままで、もし実質レートが140から
120へと円高に振れても、元と同じ120という状態になるのだから、騒ぐ必要はないとい
う事になる。しかし、これを名目為替レートで見てみると、
邦貨建て名目為替レート
=実質実効為替レート×(日本の企業物価指数CGPI/米国の生産者価格指数PPI)
という式を当てはめ、最初は名目で120円だが、物価が米国と日本でそれぞれ140と80
実質レートが140円になると 140×(80/140)=80 と名目で80円と円高になる。その次
に、物価が同じで、実質為替レートが120円と元に戻ると、名目為替レートは
120×(80/140)=68.57 となり、名目で 80円から約68.57円とさらに円高になる。こ
れが日本国内の経済に影響を及ぼさないと考えるのは大きな間違いだ。動学的にはこの円
高が、日本国内でデフレ圧力となる事は失われた20年で経験している事だ。動学的には
これにより、日本の物価指数が80から70へとデフレになり、実質は120円のままとしま
しょう。伊藤元重東大教授の理論によると名目は考慮しない事になり、実質的に以前と同
じという事になる。しかし、名目為替レートを考慮すると120×(70/140)=60 となり、
名目で 68.57円から60円とさらに円高になる。これがデフレ圧力となり、この動学的
なプロセスはデフレ・スパイラルに至る。伊藤元重東大教授はこの事をプロのエコノミス
トは考慮する必要はないと述べているのです。東大の教授が東大の大学院生にこの様に教
え訓練しているのです。日本における、東大で学位を取得した者達の、官庁やシンクタンク
への影響力は依然絶大で日本の未来を大きく左右する。伊藤元重東大教授もTVの経済番
組で日本人の見方に多大な影響を及ぼす。日本が失われた20年とデフレから脱却できな
いのも不思議ではない。経済学は実証科学としてとても未熟だと、知識人が考えるのもも
っともなのかもしれないが、プロのエコノミストは名目為替レートを考慮しないという事
は理論的にもおかしい。バナンキーFRB議長は
Ben
S. Bernanke, ESSAYS ON THE GREAT DEPRESSION, Princeton University Press, 2004
の15ページで
However,
even stronger evidence for the role of nominal factors in the Depression is
provided by a
comparison
of the experiences of countries that continued to adhere to the gold standard
with
those
that did not.
と述べて、名目上の要素の重要性を示唆している。特に為替レートがゆがめられている場
合は注意が必要だと思う。いずれにせよ、日本が長期にわたってデフレを脱却できない理
由の一つが伊藤元重東大教授の主張からも明白であろう。
2012年8月15日 水曜日 5:36:20 PM グラフの更新が不可能になりました。今後の更新はこちらでご覧出来ます。