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           DUALITY OF STOCK PRICES

 

 

                                    一関厚文

 

                           2007年2月12日

 

 

 

株価とは一体何かと言う事に関して、少なくともその数値には少しの曖昧さも無いと考えている人は多いと思います。例えば、今は、リアルタイムで全ての時系列の約定価格が毎秒入って来て、これがその特定時刻の株価となります。約定株価に関して曖昧なところは全くありません。実際、その様な毎秒のティックデータの分析において、株価と言う概念に不明瞭なところは殆どありません。そして、教科書でも株価とはなんら不明確の無い概念として扱われています。

 

しかし、「今日のA株の株価はどれ位でしたか?」と言う問いに、あなたはどの様に答えるでしょうか?株価を日次の時系列データで分析している人にとって、この質問は必要不可欠です。米国では、終値をその日の株価としてデイリー・チャートを分析します。日本では、日本古来のローソク足による日足(その日の始値、高値、安値、終値)で株価を考慮します。これらが、いわば、その日の株価となっています。言うなれば、一意的な「今日の株価」なるものは存在せず、“便宜上”、株価の代わりに終値とか日足を代用しているのです。では、今日の株価をどの様に科学的に考慮し、どの様に厳密に定義したらよいのでしょうか?

 

このサイトでは、株価は「帯状の波」としています。例えば、本日の終値に必然性はあったのでしょうか、それとも、たまたまその終値だったのでしょうか。株価が帯状の波であるとは、本日の株価の終値であろうと、高値や安値であろうと、又ある特定の時間の株価であろうと、それらの株価はそれらの時に、その株価にならなければならない必然性は無く、偶然そうなっているだけで、株価の帯の範囲内であればどの株価にでも成り得た、と解釈します。帯内の株価の位置は確率によって与えられます。一意的な「ある特定の日の株価」など存在せず、その日の株価は、点ではなく、帯(band)と帯の中での確率分布によって与えられるだけです。それ故、ある特定の時刻の株価は、帯の中での無数の可能性の中の、一つの具現に過ぎなく、その特定の事象は確率的に起こると考えます。ですから、株価は帯状の波であるとは、その日の株価は 平均μ、上限α、下限βの確率分布 である事を意味します。(当サイトでは、上限下限を、通例、80%か90%に設定しています。つまり、上限や下限の株価を超えていく確率がそれぞれ20%か10%という意味です。)よって、株価の予測とは、特定の値の予測ではなく、帯状の波の予測となります。波の予測をしてはじめて、特定の値の予測が、帯内の確率分布によって、確率的に与えられますが、重要なのは帯状の波の予測です。言い換えれば、株価の予測とは、帯状の波によって示される“トレンド”の予測の事です。

 

当サイトでは、株価は粒子でもあるとしています。株価が粒子であるとは、ある特定の時刻の株価は、帯内の確率分布によって具現化しているに過ぎなく、例えば、時系列の終値は、無数の可能性の中の一連の具現に過ぎず、帯状の波の中をランダムに粒子として揺らいでいることを意味します。

 

この様に、“株価を一つの方法だけでは捉えきれず”、株価には波としての特性と粒子としての特性の二面性があるので、投資戦略は、トレンドに沿った売買と、粒子として上限や下限を超えた時の売買、の少なくとも二本立てにする必要があることを波と粒子は示唆しています。

 


DUALITY OF STOCK PRICES とは ”株価の双対性” という意味です。英語の方がしっくり来るので英語で表記しました。
当サイトの実験室もあるのでご覧ください。


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