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U.主なCVC挿入経路とその特徴


 ● 鎖骨下穿刺:最も広く用ちいられている。
鎖骨の下方から鎖骨下静脈を穿刺し、腕頭静脈を介して上大静脈に先端を留置される。
留置後は非常に安定した管理ができるが、穿刺時に気胸や血胸、先端位置異常などの合併症が、他の経路に比較して起こりやすいという問題がある。

 ● 鎖骨上穿刺:救急領域でよく用いられる。
鎖骨下静脈と内頸静脈の合流部を穿刺する。

 ● 内頸静脈穿刺:麻酔科、ICUなどで多用されている。
穿刺に伴う合併症が少ない。穿刺部皮膚から血管までの距離が短いが、患者の首の動きを制限する。
鎖骨下穿刺で挿入した場合よりもカテーテル敗血症の発生頻度が高いなどの理由で長期管理には不向きである。

 ● 外頸静脈経路:穿刺法と静脈切開法がある。
体表より見える場合、穿刺や切開部位の決定は容易である。 しかし、静脈の走行にバリエーションが多い。
いったん外側へと走行してから内側へと向かう。

 ● 橈側皮静脈経路:肩の部分で静脈切開を行う方法が一般的で、安定した管理ができる。 皮下トンネルを介して前胸部に誘導する。

 ● 尺側皮静脈経路:肘より上腕内側を通って腋窩静脈、鎖骨下静脈へとつながる静脈で、肘で穿刺したり上腕で切開したりする。
駆血した場合に肘部で拡張血管をお確認できる場合には穿刺は容易である。

 ● 大腿静脈経路、大伏在静脈経路:緊急時などに容易に確保できる静脈路で、大腿動脈の誤穿刺以外、穿刺時の合併症はほとんどない。
大腿静脈は穿刺により、大伏在静脈は静脈切開により挿入する。 陰部に近いので、CVC挿入部が汚染しやすい。
深部静脈血栓症が発生する、という理由で上大静脈系にCVCを留置できない場合に限るべきである。

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