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X.中心静脈カテーテルによる合併症


 上大静脈症候群(superior vena cava syndrome;SVC syndrome)

 ● 上大静脈がさまざまな原因により狭窄や閉塞が生じ、上半身からの静脈
   還流が障害され、顔面を中心とした上半身に浮腫が生じる状態です。
   中心静脈カテーテルなど長期間に亘り上大静脈にカテーテルが留置される
   機会が多く、上大静脈血栓症の合併が増加している。

 ● 上大静脈の狭窄部位・程度と側副血行路の発達に応じて、顔面、頸部、
   上肢の腫脹・浮腫がみられ、頸部〜前胸部の表在静脈の怒張が現れる。

 ● 中心静脈カテーテルは静脈内に長期間留置されるためフィブリンや微粒子
   が付着し閉塞しやすい。
   重症な場合には鎖骨下静脈から内頸静脈まで広範囲に血栓が詰まり、とき
   には上大静脈症候群のような症状を来すこともある。

                    

 上大静脈症候群の治療として

 ● 治療はまずカテーテルの早期抜去抗凝固剤の投与である。

 ● 血栓症では最初に抗凝固療法ならびに血栓溶解療法を施行し、
   上大静脈の再開通が得られない場合は手術する。

 ● 以前はバイパス手術が行れた事もあるが、現在ではほとんど行われない。
   最近では血管内治療として上大静脈へのステント留置が試みられ良好な
   成績が報告されている。

 ● ステント留置後は静脈内血栓による肺血栓塞栓症、容量負荷の急速な
   増加による心不全に注意する必要がある。