モリブデン欠乏症
モリブデンの関連酵素としては、xanthine oxidase,xanthine dehydro genase,al-dehyde oxidase,sulfite oxidaseがあげられる。
しかしモリブデンの動物における必要量は極めて少なく、自然食においては動物やヒトでは欠乏症はみられていない。
静脈栄養時のモリブデン欠乏症は1981年にAbumradらが最初の報告を行っている。
18ヶ月間TPNのみにより管理された24歳のクローン病の男性患者が、最近の6ヶ月間に頻脈、多呼吸、視野暗点、夜盲症、易刺激性をきたし、昏睡に陥ることがあった。
これらの症状はL-アミノ酸の投与を中止すると消退した。
生化学的異常としては高メチオニン血症110~130μmol/l、尿中亜硫酸塩、チオ硫酸塩、ヒポキサンチン、キサンチンの排泄増加、尿中尿酸および無機硫酸塩の排泄減少をみとめた。
これらの異常は、xanthine oxidase,sulfite oxidaseの異常に基づくことが示唆され、この両酵素はモリブデンのmetalloenzymeであることにより、モリブデンの欠乏によるこれらの酵素の障害と考え、モリブデンアンモニウム300μg/日を投与したところ、20日以内にこれらの症状や生化学的異常が改善したとしている。
この症例ではモリブデンの血中濃度の測定は行われていないが、続くバランススタディーの症例(27歳、クローン病、男性)では回腸瘻からのモリブデンの排泄量は300~350μg/日と多く、一方尿中にはモリブデンの排泄はほとんどみとめられなかった。
また尿酸値は尿中排泄の減少と関連して、血漿レベルは低値であった。血漿モリブデン値は正常範囲であった。
これに対しモリブデンアンモニウム500μg/日を投与すると、尿中尿酸の排泄増加とともに、血漿尿酸値も上昇した。血漿モリブデン値には、変化はみられなかったと述べている。
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