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短腸症候群とは
短腸症候群は、小腸広範囲切除術によって、ひき起こされるが、小腸の実効吸収面積が絶対的に減少するために生ずる、消化吸収障害を主体とする症候群である。したがって、三大栄養素、電解質、微量元素、ビタミンなどを含めて、あらゆる栄養素の 吸収障害のための欠乏症、ないし潜在的欠乏状態が現れる可能性が常に存在するが、これは残存小腸が短いほど大きくなる。
経口亜鉛負荷試験による短腸症候群の亜鉛吸収能の評価でも、クローン病や健康成人に比し有意に低値であることが明らかにされている。
また短腸症候群の血漿セレン濃度、赤血球グルタチオンペルオキシダーゼ活性も、また健康人値に比し有意に低値を示している。したがって、ほん症候群では、定期的な栄養アセスメントを行い、低下ないし欠乏している栄養素の適正な補給に努めることが重要である。
小腸広範囲切除後にみられる欠乏症
三大栄養素 | 体重減少、浮腫、低蛋白血症、低脂肪血症、 低コルステロール血症必須、脂肪酸皮疹、潮紅、発育障害(小児) |
電解質・微量元素 | |
Na(ナトリウム) Cl(クロール) K(カリウム) |
水分・電解質出納異常、酸塩基平衡異常など |
Ca(カルシウム) | テタニー、骨軟化症・骨粗鬆症 |
P(リン) | 手指振顫、知覚異常、意識障害 |
Mg(マグネシウム) | 痙攣、不整脈 |
Fe(鉄) | 低色素性貧血 |
Zn(亜鉛) | 腸性肢端皮膚炎、皮疹、味覚障害 |
Cu(銅) | 貧血、好中球減少、骨変化(小児) |
Cr(クロム) | 耐糖能異常 |
Se(セレン) | 下肢筋肉痛、心筋症 |
ビタミン | |
ビタミン A | 夜盲症 |
ビタミン D | 骨軟化症、骨粗鬆症 |
ビタミン E | 知覚障害、運動失調 |
ビタミン K | 出血傾向 |
ビタミン C | 出血傾向 |
ビタミン B群 | ペラグラ症候群、口角炎、神経炎 |
ビタミン B12 | 貧血 |
葉酸 | 貧血 |