■ はじめに
こちらに記載する繁殖方法(と言えるほどのものではありませんが)は、ヤマトヌマエビを増やしてみたいという方に、とっても安易な成功例を紹介するものです。
ヤマトヌマエビは、メダカ水槽のコケ取り部隊として飼育していました。6月のとある日に抱卵している親エビを発見、あわててネット上のサイトを探し回って、軽い気持ちで挑戦してみたら幸運にも繁殖に成功しました。そんなわけで、もともと繁殖についてほとんど知識はありませんし(実は汽水という言葉さえ知りませんでした)、内容は稚拙で、間違いがあるかもしれません。繁殖実績も2005年夏のたった1回で、2回目の繁殖は失敗してしまいました。こういう方法もあるというご参考程度にはなるのかなという感じで書いています・・・。
みなさんが繁殖に挑戦される時には、そういうサイトであることをご承知おきの上でお読みくださるとともに、ぜひとも他のサイトを参考にされて、エビたちをていねいに扱ってあげてください。
私の日々のぐだぐだ振りと狼狽振りについては、ブログ版「だめだめ飼い主のメダカ奮戦記」の「ヤマトヌマエビのカテゴリー」に綴ってありますので、そちらもご笑読いただければ幸いです。
■ ヤマトヌマエビの特徴
主に繁殖の観点から、ヤマトヌマエビの特徴について記載してみました。
一般的な特徴
ヤマトヌマエビの学名は「Caridina japonica」と呼ばれ、その名の通り日本固有の種です。水のきれいな河川の上流部を住処とし、コケや赤虫を食べています。寿命は2〜3年ほどで、メスの方がオスよりも大きく、大きいものは5センチ程度にまで成長します。水質に敏感で、中性を好み、水温が30℃以上の高温になると★になってしまうことがあります。
繁殖行動
春から夏にかけて、メスが脱皮するとオスと交尾し、その後抱卵します。交尾時には1匹のメスに何匹ものオスが覆いかぶさります。繁殖活動は、普通、夜に行われるということですが、私は何度か昼間に繁殖行動を見たことがあります。
繁殖時の飼育数は、オス5匹にメス4匹でした。どこかのサイトで、オスの数はメスの3倍くらいが繁殖しやすいと見かけましたが、ほぼ同数でも延べ7匹(2005年夏)が産卵しました。
ちなみにオスの数が少ないと無性卵になって、途中で脱卵することがあるそうです。私も3匹抱卵していたのに気がつけば1匹しか抱卵していないということがありました。後で4匹の抱卵した親エビがいたので、その時はどこかに隠れていただけかもしれませんが・・・。
「両側回遊性」
ヤマトヌマエビの繁殖にあたって、一番重要な特徴です。
親エビは河川上流部に生息し、産卵は淡水域で行われます。しかし孵化したばかりの幼生(ゾエア)が成長するためには塩分が必要で、淡水と海水が混ざり合った汽水域でないと、生息し、成長することができません。
産卵された卵は、川の流れに乗って川下へも向かい、そこで孵化します。そして約1ヶ月間、プランクトンのように水中を漂いながら脱皮を繰り返し、やがて稚エビに成長すると、親エビが生息する河川上流部を目指して川を遡上します。
したがって、ヤマトヌマエビの繁殖を成功させるためには、人工的に汽水域と淡水化という自然環境を再現してやることが必要になります。
育成が困難なヤマトヌマエビ
一度に数百から数千も産卵するのですが、家庭の飼育水槽で無事に孵化させ、成長させるのことは容易ではないようです。ネットを見る限りは、うまくいってもせいぜい20〜30匹が大きくなれれば成功で、全滅してしまうことも珍しくはないとか。私も2度目の繁殖時には、水温が上がりすぎて全滅させてしまいました。
孵化したばかりの幼生(ゾエア)を観察してみると、わずか1ミリほどのそれは小さな生き物です。口に入るものといえば、微生物か水槽面のコケを食べるくらい。それを無数のゾエアで奪い合うのですから、水槽がよほどよい状態でないと数多く生き残るのは難しいと思います。
なるべく大きな水槽、栄養分をたっぷり含んだ汽水、そしてタイミングのよい淡水化が、繁殖のポイントだと考えています。
ご参考
以下は、「水産無脊髄動物研究室」というサイトにあった、「川エビの生活と魚道(2/3)」というページを参考にまとめてみたものです(徳島県の小河川に生息するエビを観察されています)。
- 特徴
- ・ 日本産のヌマエビ類では最も大きい
- ・ 体長がオスでは30mm,メスでは40mmをこえる
- ・ 体側部に濃褐色の4列の点線模様と尾扇に濃紺色の大小斑紋がある
- ・ 寿命は1〜3才であるが,オスでは2年以上生存する個体は少ない
- ・ 体長がオスでは30mm,メスでは40mmをこえる
- 両側回遊型・ 典型的な両側回遊型
- ・ 親エビは河川最上流部に生息する
- ・ 幼生は淡水中では育たない
- ・ 50〜100%海水(体積%)中で稚エビに変態する
- ・ 幼生は淡水中では育たない
- 産卵〜抱卵まで
- ・ メスはふつう5月から8月にかけて産卵
- ・ 特に6月に産卵する個体が多い
- ・ 産卵後,メスは約1カ月間抱卵
- ・ 特に6月に産卵する個体が多い
- 孵化〜幼生期
- ・ 7〜8月に全長わずか1.5mmのゾエア幼生が卵からいっせいにふ化
- ・ ふ化した幼生は,川を流れ下って海にたどりつく
- ・ 海で、プランクトンとして約1ヶ月間生活
- ・ 9回脱皮した(=9期の幼生期を経た)のち,体長4.4mmの稚エビに変態
- ・ 8月以降に川をさかのぼり始める
- ・ ふ化した幼生は,川を流れ下って海にたどりつく
- 遡上
- ・ 上流へ遡上しながら成長し,二度と海に下ることはない
- ・ 稚エビの遡上は夏から秋の夜間に行われる
- ・ 早い個体では翌年に産卵する
- ・ 稚エビの遡上は夏から秋の夜間に行われる
- 参考URI
- ・ 「水産無脊髄動物研究室」 http://www2.fish-u.ac.jp/LAIZ/index.html
- ・ 「川エビの生活と魚道(2/3)」 http://www2.fish-u.ac.jp/LAIZ/topics/tansui/kawaebi2.html