保育園・託児サービス業の事業を拡大する方法

保育園・託児サービス業の事業を拡大する方法を4つにまとめてみました。
自園・自社の経営、強みや得意分野を見つめなおす機会にもなります。

このページでは「保育・託児サービス事業の拡大」をテーマにしますが、まずハッキリさせておきます。
経営の目的は、「事業を拡大させること」ではありません
当事務所はそう考えています。
でも経営をしていく中で、拡大することが自然の流れであったり、経営者自身が拡大志向であったりという場合に、それは否定されるものでもないとも思っています。

したがいまして、保育・託児サービス事業の拡大を推奨しているものではなく、整理として、保育・託児サービス事業の経営者が事業を拡大させる場合に考えられる方法をまとめておくものです。

さて、イメージしやすいように例として保育園をあげてみます。

保育園事業の拡大方法

預かり時間を増やす
定員を増やす
園の数を増やす
関連する他の事業を展開する。

預かり時間を増やす

預かりの時間帯バリエーションを増やすことで、総預かり時間が増えることになります。

あとは、必ずしも「預かり時間」に直結するわけではないですが、有料オプションを増やしたりすることでサービスを厚くする方法もあります。
そういったニーズが利用者にあるのなら、喜んでもいただけます。

預かりのバリエーションについてはこちらをご参照ください。 (参照「保育園・託児サービス業のサービスのバリエーション」)

預かり時間や、有料オプションが増えれば、売上も増えることになります。
と同時に、それに伴う人件費や、経費も増えることでしょう。
それらの増え方のバランス見通しと、利用者ニーズの要望度合を、実行の判断基準にするとよいでしょう。

定員を増やす

定員を増やすには、既存の保育スペースではできないことが多いことでしょう。
すると、実現するには増床移転ということになります。

保育スペースが賃貸物件の場合は、増床はなかなか難しいでしょう。
移転については、すぐ近くで今より広い物件の空きがでたというケースであれば、利用者の負担もそんなにはかかりません。
こちらは現実的です。

定員を増やす方法の場合には、人件費経費のほか、

  • 増床なら・・設計費用、増築費用など
  • 移転なら・・賃料の差額、保証金の差額、引っ越し費用、各種変更費用など

が、比較的高額にかかることになり、定員増による売り上げ増とのバランスによっては、増床・移転の初年度ほど収支は一時悪化し、徐々に回復好転という傾向になります。

園の数を増やす

既存園の成功例があるので、これが一番やりやすい方法と言えます。
収支見通し比較的容易にできるのではないでしょうか。

園が増えると、いい意味での人事異動も可能になります。
園が増えるメリットになります。

また、経営にはスケールメリットというものがあります。
一例として、人材募集広告を出すというケース。

スタッフを1人募集しようが10人募集しようが、広告枠としての料金は変わらず同じ料金です。
すると10人採用した場合1人あたりの広告費は、1人採用した場合の1/10になるのです。

園が増えるデメリットもないわけではありません。
現場が1ヵ所であったときより、経営者の目が行き届きにくくなることです。

園を増やす前に、経営者の理念をしっかりとスタッフに浸透させ、人材を育て上げておくことが大切になってきます。

関連する他の事業を展開する

上記までのものとは違う展開です。

保育園事業のほかに、別の事業にも進出するという例として3つ。

(例1)
過去に在籍したことがある保育スタッフで、まとまった時間の継続勤務はできないが、断続的に働く時間はあるという人を多く知っている
保育園に加え、「ベビーシッター業」を始める
(例2)
今までの人脈や、園の評判の良さから、多くの保育士・スタッフを集めることができる
保育園に加え、「保育士専門の人材派遣業」を始める

(参照「人材派遣業を始める前に」)

(例3)
保育士の教育に自信と実績がある。また、その育成方法を体系化している。
他の保育園に対し、「保育士の研修事業」を始める
他の保育園に対し、「保育士の人材紹介事業」を始める

(参照「職業紹介業を始める前に」)


いずれも既存事業の「保育園」にとどまらず、「保育」という分野で、関連する事業を展開する例です。

「何ができるか」という視点で、身の回りの「材料」を探してみるのもいいのですが、事業を興すというのはエネルギーを必要とするものです。

ポイントは、自分の(自園の、自社の)強みを活かすということだと思います。
日頃から「何が強みなのか」を意識することも大切ですし、今はまだ小さい芽としての「強みかもしれないことを伸ばしていく」ということも輪をかけて大切なことだと思います。

自分の得意なことで、他人様の役に立つ。
とても素晴らしいことではないでしょうか。

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