保育園・託児サービス業の売上
そして、保育園や託児サービス業の経営を「売上」から考えてみましょう。
経営の基本的な算式です。
売上-(人件費+その他経費)=利益
個人事業だろうが、法人形態だろうが、また、どんな業種だろうが、これが基本です。
ここでは、保育園・託児サービス業の売上から経営を考えてみましょう。
保育園形態の売上
保育園形態における種類別の売上
保育園形態における種類別の売上は次のようなものがあります。
(認可保育園は除きます)
月極保育・・月極料金×預かり人数
一時保育・・時間単価×預かり時間×預かり人数
延長保育
年会費、教材費など
その他オプション
さて、このように見てみると保育園のような施設型の保育・託児サービスの場合、保育・託児スペース(賃貸物件など)の広さによって、売上の上限枠が決まることがわかります。
物理的な空間の大きさによって、預かれる子どもの人数が決まるからです。
つまり、
保育園の売上を大きくしようとするなら → 広いスペースを用意する
ただし、賃貸料や保証金なども高額になる。
また、保育にあたる保育士なども増えることになる。= 人件費も増える
これらは利用者が集まらなかった場合の経営リスクになります。
年間を通した売上高の推移
次に、年間を通した売上高の推移です。
認可外保育園の売上が一番大きくなるのは2~3月です。
4月入園の慣らし保育があるからです。
そして4月なると売上は減少傾向です。
認可保育園へ入園できた利用者がそちらへ流れるからです。
認可外保育園の売上の特徴
その他、保育園の売上の特徴的なものとして次のようなことがあげられます。
月極の保育料については、「前受け」になる
ということです。
「売上」が上がる前に、お金が入ることになるのです。
入園・入会金や、年会費を設定する場合もあります。
これらは必ずその方法にするというわけではありませんが、多くの認可外保育園でとっている方法です。
もし設定するならば、「他の園でもやっているから」ではなく、「何のために設定されているか」、「どういうものに対する対価なのか」、しっかり説明できるようにしておくことをお勧めします。
また、退園時には返還されるものなのか・返還されないものなのか、契約書に盛り込み、もきちんと事前説明しましょう。
ちなみに、
返還されないものは → 売上になります
返還されるものは → 売上にはならず、「預り金」ということになり、利益にはなりません。
ベビーシッター形態の保育・託児サービス売上
ベビーシッター形態の保育・託児サービスの売上は
時間単価×預かり時間×預かり人数
ということになります。
そして、必要シッター数が決まることにもなります。
逆に言えば・・・
シッター数×時間単価×預かり時間
と見てみると、シッターの確保人数が売上の上限枠を決めることになります。
会計的なことを言えば、シッターに支払う給料は、「人件費」ではなく「売上原価」と考えることができます。
「人件費」は固定的なので「固定費」に含まれます。
「売上原価」は売上の増減によって、増減変動するので「変動費」に含まれます。
ベビーシッター業の売上を大きくしようとするなら → シッターの確保人数が多くする
いくら人数が多くても、サービス利用があってはじめて、つまり売上があってはじめて、シッターに支払う給料も発生することになるので、その部分では経営リスクにはなりにくいです。
ただし、シッターは登録というかたちで確保するわけですが、その登録したシッターが多くなるほど、登録者の管理、利用者とシッターとのマッチング作業といったところに、費用(時間)をかけることになり、その部分が若干の経営リスクと言えると思います。