怒りに燃える目が俺を見る。
それをニヤニヤと見返した。
「!」
「っと、」
レフェリーの開始の声に合わせて、唐沢が攻撃を打ち込んできた。
それを避けて、俺も踏み込んだ。
唐沢はまだ足がふらついているようだ。
簡単に俺を射程距離に侵入させる。
前蹴り、インロー。
ジャブから右ローキック。
ぎりぎりで避けたところへ、ミドルキック。
「っ!!!」
「当たったぁーー!」
「 一宮、怒涛の攻撃ぃー!!」
「さきほどまで倒れていた唐沢に容赦しません!」
「これでとどめだ、とばかりにラッシューーー!!」
「ジャブ!そしてハイキック!」
「早い!」
「一宮、まだまだ早くなる!」
「前蹴りーーーああー!フェイント!左ストレート!!!」
「あげる、一宮ギアを上げていくー!!」
「 さらに回転数があがるのかーー!!!?」
左フック、インロー。ミドルキック、逃げたところにジャブ。
「どれだけ一宮は手数を持っているのか?!!」
「唐沢の反撃もむなしく空を切る!!」
「唐沢のローキック!」
「一宮、左フック」
「ああーー!」
キャーー !!!
「危ない!!」
「また左フックーー?!」
「ダブルだ!!」
「唐沢あやうく難を逃れるッ」
「 しかし一宮は逃がさない――ッ!!」
「一宮の猛攻は収まらない!!」
「まるで怒いかれる獅子のようだ!」
怒れるぅーー?
ああ?
当たり前だろ?
ライバルは叩き潰す。
こんなの基本だろーーが。
ひとのモンに手ぇ出しやがって。
「止まらない!止まらない一宮!!」
「唐沢の前蹴ーーーああ!」
「かわしながらのミドルキック!!」
「あの体勢で入れるか?!一宮!!」
「全身が凶器!!一宮竜也!!!」
「脚を薙ぎ払うようなロー!!」
「唐沢のワンツーを綺麗に避ける!」
「防御まで隙がない!!!」
「突き刺さる凶悪なボディブローーー!!!」
キャーー!いやーー!! 唐沢くーーん!
「会場に響く悲鳴!!!」
「 あああぁーーー!しかし!」
「 決まったぁああああーー!! 」
「 右ハイキィぃーーック!!!」
「ダウン!」
「唐沢選手ダウンですーーー!!」
「あーー!ここでレフェリーが両手を交差!!!!」
「試合終了の合図!!」
「 壮絶な戦いがここで幕を閉じるー!! 」
カンカンカァン!
「終了の鐘がなったァああ!」
「激闘を制したのは!」
おれ、おれ。
ヒーロー、一宮竜也!
「 陵湘のヒール!! 」
はぁ!!?
「ブラッディー いちみやァぁー!!!」
なんで ここで俺がヒール!!?
|