感極まった伊集院が大きな声で俺を呼ぶ。
壇上からの声に、離れていた視線がまた俺に戻った。
あーあ。
伊集院のアホー。
仕事をしろ、と手で追い払う仕草をする。
しかし、伊集院は目をそらさず、俺を見ていた。
隣りのハートの女王に賞品を手渡して、壇上から飛び降りようと・・・
あ、ばか! スカート!!
ひらりとスカートが舞って、中が見え・・・!
って
なか ジャージぃぃ?!!!
↑ 陵ONE仕様です (by 真琴)
伊集院が舞台から飛び降りたところから、俺の前まで、人垣が割れる。
「竜くん!」
駆け寄ってくる伊集院。
またタックルされるかと、衝撃に耐えるように踏ん張るものの、俺の手前でピタリと止まった。
「竜くん・・」
大きな目が俺を見上げる。
「・・よ」
松葉杖で立ったまま、片手をあげた。
伊集院はそれには応えず、濡れた瞳でじっと俺の顔を見る。
「・・・・・」
「泣くな、ばか」
コツンと手の甲で伊集院のおでこを叩く。
「~~泣いてません!」
額に両手をあてて悔しそうに言う伊集院を、
「あーそう」
と言って、軽く流した。
「温泉旅行、あてたんだろ?」
「えっ・・」
「?」
なんで驚くんだ?
「よこせよ」
ズイっと差し出した手を、伊集院が俺の顔と交互に見る。
「一緒に行ってくれるの?!」
「はぁ?」
「行ってくれるんですね!」
キラキラと目を輝かせて、伊集院が詰め寄った。
「あ、そうか、ペアチケット・・」
・・・にしては、なんだか・・・?
「竜也」
ポン、と由希が俺の肩を叩く。
「 温泉当たったのは、真琴ちゃん 」
は?
「だから、旅行を当てたのは、真琴ちゃん本人」
「はあ!?」
じゃあ何でみんな俺に当たったって言うんだよ?!
「それは・・」
周りはニヤニヤと俺と伊集院を見る。
「真琴ちゃんが 竜くんに捧げる宣言 をしたから」
ささげる?
「捧げるって何を?」
「やだわ、川原さんのエッチ!」
「そう言う鈴木さんこそ!」
うるさいぞ お前ら!
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