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日本の安全保障に神経質な国・中国

 2025年11月7日、衆院予算委員会で高市早苗首相は、『(中国が)戦艦を使って、武力の行使も伴うものであれば、これはどう考えても存立危機事態になりうる』と答弁。    台湾の状況によっては、日本が武力行使に踏み切る可能性を示唆します。 これは立憲民主党の岡田克也議員の、《集団的自衛権行使の要件となる日本の『存立危機事態』について、台湾を念頭に、 どのようなケースを想定しているか》を質問したことに答えたものです。

 高市首相の答弁は、これまで台湾が武力攻撃を受けた場合、それが存立危機事態にあたるかは明言を避ける“曖昧路線(ウヤムヤ答弁)”を取ってきた歴代総理と違って、 例えばの例として答えたわけですが、この従来の日本政府の対応から一歩踏み込んだ答弁に対し、中国の薛剣駐大阪総領事はXで、 《勝手に突っ込んできたその汚い首は一瞬の躊躇もなく斬ってやるしかない》と反発します(この投稿は現在削除済み)。

 この投稿は本来なら「ペルソナ・ノン・グラータ(好ましからざる人物)」として国外退去も検討すべき事態です。  過去日本は、 1973年の在日韓国大使館の1等書記官、2006年の在日コートジボワール大使館の外交官、2012年の駐日シリア大使、2022年の駐札幌ロシア総領事にそれぞれ通告しています。    薛剣はお得意の「戦狼外交」を披露したつもりだったのでしょうが、これはこれまで岸田・石破といった中国サマには絶対逆らえない弱腰すぎる政権に不満を抱き、高市政権でやっと 《中国と対等関係》になれると期待した日本の保守層から、当然ながらこの無礼な投稿に対し猛反発が巻き起こります。

 すると、当初《個人の発言に関与しない》 と薛剣駐大阪総領事の投稿問題には距離を置く姿勢を見せていた中国側は、日本の反発の声が次第に大きくなると、このまま大人しくしていては自国民の反発を食らうと考えたか、 一転して強固な対立姿勢を取り出します。   中国当局者が過激な発言を行う背景には、19世紀のアヘン戦争以来の「屈辱の歴史」による「弱国心理の払拭」があります。    その偏狭な民族主義が、やがて経済発展と共に増長していき、暴力的な反日デモへと繋がっているのです。

 その後、日本国内のSNSでも、高市氏の答弁が冒頭のような中国の猛反発を招いたとし、責任を問う声が噴出する一方、《これは立憲民主党の岡田克也がしつこく聞くから悪い。 存立危機事態がどうのこうの しつこく聞いて高市さんから無理やり聞き出すから、こんな面倒くさい流れになった》などという声も上がります。  岡田氏の質問は、高市氏が昨年の自民党総裁選で 《中国による台湾の海上封鎖が発生した場合は存立危機事態になるかもしれない》と発言していたことを念頭に置いたもので、岡田氏は 《問題になるとわかっていて、執拗に高市首相からその答弁を引きだそうとした》わけです。

 この質問に対し高市首相は当初、『いかなる事態が存立危機事態に該当するかは実際に発生した事態の個別具体的な状況に即して、全ての情報を総合して判断する』と、 歴代政権の見解を引き継いでいましたが、岡田氏からより具体的なケースについて執拗に説明を求められたため、冒頭の『...これはどう考えても存立危機事態になりうる...』 と、ある意味《一線を越えた見解》を発したわけです。   しかも、岡田氏は『曖昧にするな』という質問をしておいて、 まんまと狙い通りの高市答弁を引き出したら、今度は『曖昧にせずけしからん』としてその発言を批判するのですから、わざと日中対立を生み出した岡田の性根は大分腐っています。   日本国民はもっと岡田に怒りを注ぐべきで、こんな政治家がのさばっているから、いつまで経っても中国との関係が安定しないのです。(2025.11.24)


またしても日中対立を煽った朝日新聞

 高市首相の答弁は、《台湾有事で中国の行動が仮に『武力の行使を伴うものであれば』》と前提を置いていますし、さらに、 《必ず存立危機事態になる》とは言わず、『発生した事態の個別具体的な状況に応じて、 政府がすべての情報を総合して判断』》し、その結果いかんで、《存立危機事態になりうる》としたものです。

 それを朝日新聞はデジタル版で《高市首相、台湾有事「存立危機事態になりうる」 認定なら武力行使も》との見出しを付け配信しました。   高市発言の文脈を飛ばし、しかも《認定なら武力行使するなどとは一言も言っていない》のに、まるでそのように発言したかのように事実を歪曲し 《認定なら武力行使も》とまで踏み込んだ報道をしたのです。  朝日新聞が悪質なのは、 その後《高市首相、台湾有事「存立危機事態になりうる」 武力攻撃の発生時》と、後段を"シレッと"、訂正記事も出さず入れ替えているのです。

 中国がもし最初の朝日新聞の記事を前提にして批判を展開したとすれば、今回の日中対立の火種は高市発言ではなく朝日新聞ということです。  朝日新聞は 戦後日本を「侵略国家」に仕立てた最大の黒幕ですが、 またしても日中対立を煽ったのです。  そもそも、今回の高市総理の見解は2015年に安倍政権下で成立した安保法制『存立危機事態』に則ったものであり、何ら間違ったことは言っていません。

 存立危機事態とは、《日本が武力攻撃されているわけではないが、わが国と密接な関係にある他国が攻撃されることで、日本の存立が脅かされ、国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆される場合、 そうした明白な危険がある場合に限り、自らはやられていなくても助けていい》というものです。

 これを従来の日本政府は、役人が書いた木で鼻をくくったような答弁、いわゆる“木鼻答弁”で曖昧にしてきたわけです。  今回の高市発言はそれを、一般国民にも分かる言葉で説明したわけで、 『当たり前のことを言った』だけです。  普通の日本人なら、《日本の最西端・与那国島の目と鼻の先にある台湾で戦争状態になったら、 いつ与那国島民たちにそのトバッチリが向けられ火の粉が降りかかってくるか分からないが、そのときは日本政府が知らん顔をするわけにはいかないゾ》、と考えるは当たり前です。

 だからこそ高市総理が《存立危機事態になりうる》としたわけで、この見解は《集団的自衛権行使の要件で謳われている内容を 『一つの例』として言葉にしただけ》の事であり、高市総理は日本人なら誰もが考えている当たり前のことを普通に言っただけです。  そのことで中国人ならともかく、 日本人がヒステリックに騒ぐ方がどうかしているという話です。  それなのに、わざわざ内容を歪曲して中国サマを怒らせる記事にする、朝日新聞のような反日メディア が背後で暗躍して日中対立を煽るのです。

 もともと、日本の安全保障体制に噛みついてくるのは中国と韓国くらいのもので、しかも、まともな相手ならこんな騒ぎにはなりません。  中国にしてもこぶしを振り上げたものの、 日本はなんら誤ったことを言ったわけではないので、お得意の経済制裁による恫喝で「発言を撤回せよ」と喚くしか手はありません。 笑えるのは中国軍のひたすら高市氏を個人攻撃する風刺漫画の幼稚さです。   やはり中国は大人の国などではなく、発展途上国で先進国の常識など持ち合わせない、小学生並みの行動をとる暴走国家であることを世界中に発信しているのです。(2025.11.24)


常に中国サマの顔色とご機嫌を窺う日本

 日米欧など民主主義圏の国会議員らで構成する「対中政策に関する列国議会連盟(IPAC)」は20日、 《集団的自衛権の行使が可能となる「存立危機事態」を巡る高市首相の答弁は「挑発ではなく、慎重で戦略的な判断に基づく」と分析。    「『台湾の安全保障は世界の安全保障』という国際社会の認識の拡大を反映する」とした》として、高市早苗首相が台湾有事について「存立危機事態」になり得るとした国会答弁を巡り、 中国の薛剣・駐大阪総領事が不穏当なSNS投稿をした問題に対し、「威圧的発言を強く非難する」との声明を出し、G7(先進7カ国)は中国による一方的な現状変更への反対を改めて表明します。

 いずれにせよ、中国は高市発言について《謝罪し撤回せよ》などと勇ましく迫りますが、日本が制定した法律を中国サマの都合で変えるはずもなく、 また謝罪する理由などないのですから、中国に頭が上がらない石破政権ならともかく、高市総理が発言を撤回することはありえません。

 まだまだ日本人の中には、《首相でもある高市氏には冷静な判断が求められる。  本音はあるにせよ、歴代政権の見解を述べるにとどめ、 煙に巻いておけばよかっただけの話ではないか》という意見も多いようで、「特定のケースを想定したものについての首相談話は、防衛戦略上も控える方がいい」という意見もあります。  しかし、独立国家である日本が、いつまでも中国サマの顔色を窺い、中国の都合ばかり優先させるわけにもいきません。    日中関係の改善には時間がかかるでしょうが、中国の日本に対する態度は天気のように変わります。  相手にしなければいずれ変わります。

 そもそも、日本の政治家の発言が少しでも中国サマが気分を害す中身であろうものなら、《日本はその発言を取り消せ》、 《さもないと経済制裁するぞ》という恫喝外交へと突き進む現状を、日本人がこの先も唯々諾々と受け入れていい訳はアリマセン。   もうそろそろ日本の政治家も中国に対し「是々非々」の立場で、はっきりダメなものは駄目と意見を言える国になるべきで、 常に中国のご機嫌を勘案しながら意見を述べる悪癖とはおサラバすべき時期です。

 そのためには、中国に依存する経済活動を見直すのは当然として、もういい加減、戦勝国が日本に押し付けた《日本は戦争で中国に迷惑をかけた》、 《日本は加害者で我々はその被害者》とされてきた 誤った歴史認識は正すべきです。   このまま偽りの歴史を人質に取られた事態を放置していては、 いつまで経とうが日中関係は正常化しませんし、中国と対等な関係は築けません。

 こんな騒動になると、すぐ《日本は中国に謝罪すべき》と騒ぐ日本人がいます。  テレビにも平気で《日本が中国を挑発している。   日本ほど中国ともめている国は今はどこもない》などと、まるで中国の代弁者のような主張をするものがいますが、この中国にはひれ伏せ と言わんばかりの弱腰姿勢こそ、中国が望むことであるということを認識すべきです。

 この手の主張をする日本人は《いまや米国と肩を並べる大国・中国サマに、昔チョッカイを出した小国・日本が逆らうことなどトンデモナイ》、 《経済的に日本は絶対、中国と切れない》という、触らぬ神に祟りなしという考えに完全に染まっていて、 中国サマを絶対視しているわけです。    しかし、もともと中国は理屈が通用する国ではなく、恫喝は得意でも戦争には弱い国であることは歴史が教えています。

 日本人はもっと日本と中国との戦争に至った歴史を知り、 日本と中国の間に本当は何があったのか 正しい歴史を学ぶべきで、中国サマを日本が足元にも及ばないゴリッパな国であるかのように崇め、 未来永劫中国に何も反論できず、常に顔色を窺う現状は、変えていかなければなりません。    そうしない限りいつまでたっても中国や韓国の一方的な主張に振り回される国として生きていかなければなりません。(2025.11.19)


恫喝パフォーマンスを見せつける中国

 米国以外の相手に対しては傲慢不遜(ごうまんふそん)な大国ヅラして理不尽な横暴ぶりを振りかざす中国ですが、今回の高市早苗総理による 「台湾有事と存立危機事態」発言に対しても、日本に対し恫喝ともいえる高圧的な態度を強めています。     ところが独裁者として君臨する習近平国家主席率自身は、高市発言に対する批判を表面切って口にせず、日本を口撃しているのは、習近平に忖度する取り巻き幹部の茶坊主ばかりです。   要するに、茶坊主たちはヒステリックな猛反発のポーズをとることで、習近平への点数稼ぎをしているのです。

 習近平としては、日中首脳会談後に台湾代表である林信義氏と約20分間会談し、その様子をSNSに公開するなど、「台湾を国家扱いする」 という最も警戒する行為を、堂々と見せつける高市外交に「内心では怒り心頭」なのですが、中国経済は今、不動産バブルの崩壊に続いて、 トランプ関税が追い打ちをかける形で大失速の危機に瀕しており、このままでは致命的な経済破綻を招きかねません。    そこで習近平は日本との戦略的互恵関係を再構築することで中国経済を立て直す、というシナリオに舵を切り直していたところでした。

 そんな状況下で飛び出したのが今回の高市発言だったわけです。 この発言は独裁者としての習近平の権威が弱体化しかねないものですが、 かといって戦略的互恵関係の芽を潰してしまえば、中国経済の立て直しがままならなくなります。     習近平はそうしたジレンマに陥ってしまったわけで、日本に対しどう対応するのが正解か、薄氷を踏む思いで思案をめぐらせているわけです。

 したがって、中国外務省局長が人民服のポケットに両手を入れたまま、中国を訪問した日本外務省官僚と話す姿を公開して、中国国内の人民に《大国中国は生意気な日本の役人を叱ってやったゾ》 程度の子供じみた対応しかできないのです。  しかし、これで日本国内の反中感情がさらに高まりました。  さらに、 またしても子供じみた恫喝ポーズしか取れない中国の幼稚な外交手法を日本人はあらためて知ったはずです。

 中国は日本に対する恫喝として日本への旅行制限を言い出しますが、むしろこれはオーバーツーリズムに悩む日本としてはまさに望むところです。   また、禁輸を解禁したばかりなのに、ホタテなどの海産物を再び禁輸にしますが、この理由が放射能で汚染されているからというのですから笑えます。

 だったらなぜ一度は解禁したんだ、と言う話であり、そもそも、日本への団体旅行を禁じ、水産物を締め出すのは、逆に中国国内の旅行代理店、航空会社、日本料理店、 そして水産加工業者を直撃する「自傷行為」でもあります。  もともと経済が疲弊し、ただでさえ仕事が少ない中で、観光や飲食という数少ない雇用の受け皿を政府自らが破壊しているのです。    大国ぶっているのに子供だましの手を繰り出すこの事態こそが、追い込まれ理性を失った独裁政権の末路なのです。

 日本の対中希土類依存度が、ピークの半分程度まで下がっている今、中国の希土類輸出制限 はもう日本に効きません。  中国が繰り出せる次の手としては、日本国内の中国シンパの政治家や著名人による《日本経済は中国サマ頼りなのだから、ここは一旦謝れ》とするプロパガンダ作戦ですが、 これも近年ではやりすぎてしまうと逆に日本人から総スカンを食らうようになっており、正面切って日本批判できる大物中国シンパ日本人は、もはや存在しません。  ましてや公明党や 中国にはからきし意気地のない石破茂が高市批判しようものなら、 逆に日本国民から大バッシングされるだけです。  ただ、テレビに出るコメンテーターの中には、中国が見ているのにわざわざ日本の危機を煽る発言をする者もいますから困ったものです。

 いまや威圧的な「戦狼外交」から、「負け犬の遠吠え外交」へと変わった、 子供だましの恫喝パフォーマンスを見せつけてくる中国ですが、こんな相手には立ち向かうには静観が一番。  日本人の中にもすぐ 《まさに戦争前夜》などと危機をあおる輩もいますが、こちらが騒げば騒ぐほど中国の思う壺となり、 中国はさらに攻勢を強めて事態はますますエスカレートするだけです。  相手にしないことが肝要です。

 中国が「日本は脅せばすぐ屈してくる」と理解してきた要因に、中国サマに平身低頭するしか能のない親中・媚中派の日本政治家の存在があります。   「パンダ外交」の推進役としても知られる日中友好議員連盟会長を長く務めた親中派の大物、二階俊博・元自民党幹事長は、日中間の懸案解決になんら貢献しませんでしたが、 パンダをエサに中国に利用され、中国の言い分をフォローした人物です。

 また、中国が「日本は脅せばいい」と学習したキッカケとして、発足当初から米国と距離を置き、 安易な謝罪に走り中国寄りの姿勢を取った旧民主党政権時代の成功体験があります。  門田氏は 《習主席は民主党政権時代に、日本の政治家のハンドリングの仕方を実地で学んだと言ってもいい》としています。  その他にも、中国のプロパガンダ施設を訪れ騙され 「反日教育に加担する政治家」になってしまう 《日本の政治家のレベルの低さ》もあります。

 旧田中派は中国への援助事業にはじまり、対中国ビジネスに大きな利権を持ってきましたが、その流れをくむ「日中友好議連」の歴代会長は、中国寄りの姿勢をとり、 中国側も同議連を日本政府に自分たちの言うことを聞かせる代理人的存在として便宜を図ってきたわけです。(門田隆将氏)

 中国の日本に対する外交姿勢は、過去の体験から、親中派による反高市運動を煽り、“高市叩き”をエスカレートさせるため、今後も《恫喝一本やり》で迫ってきます。     過去の日本は、このような攻撃に屈し、唯々諾々と中韓の要求を受け入れてきました。    これが戦後処理問題がなかなか決着しない要因でもあります。   高市政権は過去のこのような日本政治の歴史を踏まえ、今後どのような対中姿勢を築くのか。  注視していく必要があります。(2025.12.1)


この発言は高市早苗総理の戦略?

 一方、今回の高市発言について、《...国際政治は、言葉一つで人の命や国家の存亡が決まる冷徹な世界である》、 《...勇ましいだけのスローガンではなく、緻密な計算と静かな抑止力だ》、《自分の発言が世界でどう受け取られ、次に何が起きるかを予測できない人物が、 日本の舵取りを行っている》、《その事実こそが、今、日本が直面している最大の「存立危機事態」なのかもしれない》と批判する声が日本人の中にもあります。

 ただ、《その発言が世界でどう受け取られるか》は、批判している人より高市首相の方がよくご存じなのは確かでしょう。  なにせ、 長年にわたり国際政治で活躍した安倍晋三外交を身近で見てきた、 国家レベルの情報を握っている一国の指導者なのですから、自分の発言が中国にどんな波紋を投げかけるかについて、十分弁えたうえでの答弁だったハズです。

 中国外務省は高市発言を「中国の内政への重大な干渉」と非難しますが、もともと台湾に関する日本政府の見解として、1964年2月29日の衆院予算委員会で当時の池田勇人首相は 《サンフランシスコ講和条約の文面から法律的に解釈すれば、台湾は中華民国のものではございません》としたうえで、《その帰属は連合国が決めるべき》として 《...世界の現状から言って一応認めて施政権があると解釈しております》と述べています。 さらに2012年には安倍晋三元首相が 《台湾有事は日本有事》という基本姿勢を表明しています。

 この日本の立場は、既に日本社会で確立されていますし、中国も十分に理解しています。 ただ、これまでと違うのは、高市首相が言葉を濁さず、 従来の曖昧答弁から一歩踏み込み、仮定の例として明確に示したことくらいであり、日本政府が立場を変えたわけでもありません。   それなのに中国側は怒りを爆発させたわけです。

 その背景には、いま習主席が置かれている立場があります。  いまの中国の経済状況は、もはや完全なデフレ経済に陥っており、賃金が上がらず失業率は高く、 就職率も悪く国民の不満はかなり高まっており、このままでは習主席は台湾統一くらいインパクトのあることをやらないと事態は打開できない立場に追い込まれていたところでした。   そこに高市首相が誰にでもわかるように《日本は台湾危機を看過しないゾと明言》したわけです。

 これに中国が敏感に反応し、拳を振り上げ《発言を撤回しろ》と騒ぎ出したわけです。  もともと、習近平国家主席は2022年10月、共産党大会で台湾統一を目標に掲げ、 『武力行使放棄を約束しない』と明言しており、高市発言を看過するわけにはいきません。  ただ、 人民解放軍の有力者の中にはアメリカとも一戦を交えることになる台湾侵攻に否定的な勢力も存在しており、 今回の問題が意図的で挑発的な軍事衝突や、武力行使という力ずくの対応に発展する可能性は低いはずです。

 そもそも、習主席の政治基盤は決して盤石というわけでもなく、習派と反習派は大規模な暗闘の真っ最中ともいわれます。  また、お得意の反日デモにしても、 供給過剰により企業の業績が悪化し、賃金の低下が発生し、これにより消費がさらに冷え込む負のループに陥っている中国経済が急失速する中、中国人民は職を失って流浪し、 若年失業率が20%近くで高止まりしている若者の就職難は過酷を極めています。  そんな中、うっかり動員をかけたらヘタしたらその反日デモを契機として 大規模な反政府デモに発展しかねない惨状に見舞われるリスクがあるため、コントロールしてデモは起こさないようにしているはずです。

 万が一、デモへと発展しようものなら天安門事件のような暴動へと発展することとなり、一歩間違えれば習近平独裁政権の転覆につながりかねません。    独裁者・習近平はそれに恐れおののいているのです。  もともと、中国国内で行われる抗議活動の大半は、当局が動員をかけて仕組んだ官製デモとされます。   習近平が高市発言を機に反日デモを仕組むのは容易なことですが、独裁者が一番恐れるのは「大衆による暴動で独裁秩序が崩壊してしまう」事態です。    そこで止む無く、国民の不満が中国共産党に向かうのを避けるため、せめて茶坊主たちが日本を恫喝する勇ましい姿を中国大衆に見せつけている、というわけです。

 いま「習近平は内心では、高市発言に頭を抱えている」わけで、もし高市早苗総理がここまでの情勢を読んだうえで、 従来の日本政府の見解から一歩踏み込んだ発言をしたのなら、高市氏は軟弱なオトコどもは足元にも及ばぬ、過去例を見ない名宰相の器を持つ度胸の据わった人物かもしれません。    なにせ、中国サマに逆らうなどトンデモナイと怯える石破茂政権は、親中派議員を重要ポストにつけ「対中配慮に腐心」していたのに、 高市政権はそんな親中体制とオサラバし、堂々と中国の過剰な反応を誘発しつづけているのですから。(2025.12.1)


 

《ハリボテの巨龍》をいたずらに恐れるな

 その証拠に、今の時点では中国側が発する日本批判の政治的メッセージの強さに反して、レアアース禁輸、機械装置や半導体製造装置の規制といった、 制裁措置が日本経済全体の構造を揺るがすほどの金融制裁にはまだ踏み込んでいません。  そもそも、これ以上中国の景気後退が深刻化すれば、 中国の体制がますます不安定化しかねません。

 日本企業の製造機械類、精密加工、半導体製造装置、高性能素材、FA機器などは、中国の産業を土台から支えています。  これ以上騒動が大きくなり日中関係が決裂すれば、 日本企業の中国からの大量撤退と、それに伴う国内労働者の大規模な失業を招く恐れがあります。  困るのは日本だけではなく中国経済も同様であり、 日本の製品が入らないと立ちいかない中国産業もあるのです。

 これを後押しするのがアメリカの台湾政策の変化です。  公式に「1つの中国」を否定したわけではありませんが、実務上は、 台湾を国家機能を持つ主体として扱い始めたというのです。  また、ウソかマコトか、トランプ大統領が大統領選挙の資金集めの会合での発言として 「台湾に侵攻すれば北京を爆撃する」と習近平主席に伝え、習主席が聞き返すと、 トランプ氏が「選択肢はない、爆撃せざるをえない」と述べたと、2025年7月米メディアが報じた話もあります。  トランプ大統領がディールの材料として「北京爆撃」を言ったと報道されたことは、 習近平の台湾政策にとてつもない制限を加えたわけで、事実としたらあまりにも大きい出来事です。

 だから、中国はアメリカに対抗するため、大急ぎで軍備拡張に血眼になっているわけですが、果たしてデフレに苦しむ経済下で、このまま莫大な費用を投下し続け、 最後《ソ連化》の危機に突入していくのか注目されています。  《ソ連化》とは、社会主義国が戦略産業に過大投資し、全体的な経済均衡を歪めることを指します。

 レーガン政権下において、米露は冷戦競争に突き進み、ソ連は防衛費に多くの国家予算が割かれ、国民経済が疲弊し、国家財政の破綻を招き、 共産党に対する一党独裁に国民の不満が渦巻き、政府に激しく不満を抱いたことでソ連邦が崩壊した歴史があります。

 習近平の掲げる「強国への夢」のため、中国は持てるパワーを国の安全保障につぎ込み、民間企業より国有企業を優先する戦略を続け、結果、国民の財布は干上がり、消費は冷え込み、 デフレの螺旋階段を転げ落ちています。  個人独裁の政治力学で猛威をふるってきた習近平体制は、この冷厳な経済の現実によりこのまま終焉を迎えるまで突き進み、 歴史の二の舞に中国も陥るのか、期待して見守りたいものです。

 このような事態に置いて懸念されるのが、古今東西、行き詰まった独裁者が最後にすがりつく常套手段である、「外敵」の創出です。   権力という乗り物を動かし続けるには、国内に渦巻く不満を、国外への憎悪という形に変えて排出させ、求心力を維持する「燃料」が必要になります。   いまや、その恰好の標的(外敵)とされているのが日本です。

 いまだに日本国内には、過去の遺物である《中国は大国》という幻想に支配され《中国サマには逆らうな》と刷り込まれたままの者たちは大勢いますが、 この連中は《中国は虚飾にまみれた独裁国家》という現実を見ていません。   追い詰められた独裁者は、いずれ自らの延命のために自国民の生活が犠牲になろうがお構いなく、 自らのメンツと保身のため獣の凶暴さを発揮し、外的を威嚇し唾を吐きかけ、潰しにかかります。

 もはや、中国という巨大市場は世界の工場などではなくリスクの塊と化しています。  普通の日本人は《ハリボテのボロボロの巨龍》 に付き合う義理など、これっぽっちもありません。  日本企業はいつまでも中国市場にしがみつかず「脱中国」を進めるべきで、サプライチェーンを再構築し、 過度な中国依存から脱却することこそが、最高のリスク管理となります。  自由主義国家・日本は、中国のコケ脅しに怯えることなく、 ほかの民主主義諸国と連携しつつ、事態の推移を冷静に見守り、自らの蒔いた種によって自滅していく中国を冷静に観察していけばいいのです。 (2025.12.9 集英社オンライン「小倉健一」引用)


 

いまこそ日本が負のスパイラルを断ち切るとき

 そもそも、《中国を怒らせるのはイカン》といいますが、独立国家・日本がなぜいつまで中国サマの顔色を窺い、 《威圧外交》に怖れひれ伏し、お気に召す外交スタイルを続けなければならないのでしょうか。   「日本は敵性国(adversary)である」とする中国の姿勢は、2005年頃からはじまっています。    その後も、沖縄県・尖閣諸島で起きた中国漁船衝突事件、日本政府の尖閣国有化など、その時々で中国内では反日暴動が起こっています。

 中国とは友好関係を大事にせよ、などとリベラルがいくら叫ぼうが、中国サマに頭の上がらなかった民主党の菅直人政権のときでさえ、 中国は漁船衝突事件を起こしています。  中国は情勢に応じ「微笑外交」と「戦狼外交」を使い分ける国であり、いつでも危機は起き得るのです。    外交とは片手に棍棒を持ち、もう一方で握手する腹の探り合いゲームです。    当初中国側は今回の高市発言に対し静観していました。 それが、 日頃から中国中枢に忠誠をアピールするため他国を罵倒するのが趣味のような中国の大阪総領事が、日本に対し暴言を吐いたことで日本国内から猛反発が起こり、 中国政府はこれはマズイ、捨て置けないとして慌てて高市発言を批判し始めたのです。

 つまり、中国側は最初は独立国家として当然の対応を口にした高市発言は、以前からの日本の立場であり、したがって中国がこれを問題視するのはお門違いなのだが、 日本国内で沸き上がる中国批判の声に、このままでは中国の民衆も自分たち共産党に不満をぶつけてくる雲行きになるかも知れないことに警戒し 大慌てでいつもの恫喝外交に舵を切り、日本は「踏み越えてはならない一線を越えた」と言いがかりをつけ反撃してきた、 というのが今回の騒動の舞台裏であり、これが中国外交のいつもの手口です。

 これに、いつも通りに日本国内世論が過剰反応して、《中国サマを怒らせる発言は慎め》とか《踏み込んだ答弁を行うことはイカン》、 《経済的損失の責任はだれが取るんダ》と騒ぎ、最終的に根負けした日本側が撤回してなんとか始末がつくという 毎度お決まりのパターンを繰り返すわけです。  この、ネガティブな状況が連鎖的に悪化し、抜け出すことが難しくなる負のスパイラル を断ち切るには、いつかどこかの時点で、横暴な外交手段で恫喝してくる中国に対し、日本が毅然とした態度で中国に対峙できる国家になるしか道はありません。

 そのためには、戦勝国がでっち上げた100年前の偽りの歴史によって、 中国・韓国による「日本は戦争加害者でわれわれはその被害者」という主張を唯々諾々と受け入れることを強要され、未来永劫、 中国と韓国に謝罪させられる運命を担わされ、永遠の謝罪国家へと突き落とされている現状に終止符を打つ必要があります。    日本が中国の軛から逃れられる道は、まず中国の《日本は加害者なのだから我々に未来永劫償え》という言いがかりは、 もう日本には通じないゾ、という流れを作らなければなりません。

 故安倍首相は、「日本だけ悪者にされた偏向戦後史観」 に振り回されてきた過去と日本国民が決別するために、 日本を「アジアの解放者」から「侵略国」へ変えた村山首相が発出した、 日本を「侵略国家」にした元凶・「村山談話」について、 『...村山さんの個人的な歴史観に日本がいつまでも縛られることはない』として当時の国際情勢と日本の立場から日本の歩みをたどり、 100年先を見据えた未来志向の総理談話を打ち出し 日本の謝罪外交からの脱却と名誉回復を目指しました。

 日本が真の独立国家になろうとするとき、必ず生じるのが中国との軋轢です。 そして、日本がそれを乗り越えない限り、 日本は何時まで経とうが、自分たちの子孫に永遠にその累が及ぶということです。  したがって、 どこかの時点で日本のリーダーがその軛を断ち切る覚悟とタイミングが必要です。

 故安倍首相の志を継ぐ高市首相が、国会で《台湾有事で日本国民に危害が及んだらどうするか》問われ、歴代首相が曖昧答弁で誤魔化してきたことから一歩踏み出し、 《存立危機事態になりうる》と答弁するのは、独立国家・日本を目指す高市首相として当然の態度です。  しかも、《認定なら武力行使も》などとは一言も言っておらず、 戦争放棄国家として軍事的対立にはキチンと「一線を画して」いるのです。(2025.11.19)


 

中国サマの顔色を窺う外交スタイルから脱却せよ

 高市氏は安全保障の基本として日本の立場を伝えたわけですが、それをヤレ 《...その発言が世界でどう受け取られるか》、《中国側の対応を日本側は甘く見ない方がよい》などと、 あたかも日本は中国に逆らってはいけない属国であるかのように、頭ごなしに否定する日本人がまだまだ存在している現実こそ、 日本人が陥っている誤った歴史認識の弊害なのです。

 「平和を望む」だけでは平和は守れないのは歴史の事実ですが、 これまで日本民族は何もせずとも平和に胡坐をかいてきたため、《武器も持たず敵の攻撃にも反撃できない憲法》に縛られていても、 「人類皆兄弟」、「話し合えば戦争は起きない」としか考えない平和ボケした国民性となっています。    これが戦勝国が日本に仕掛けた《...日本が二度と覇権者に立ち向かってこない教育》の成果なのです。

 かつて日本社会党は「日本が紛争の原因を作らない限り、他国から侵略される恐れはない」と「非武装中立論」を唱え、 それはいまだに「護憲信者たちの聖書」と化しています。  これは「反日的日本人」が最大の拠り所とした「反日的日本人の聖典、 三十二年テーゼ」とそっくり同じ構図で、人間は変わらない愚かな生き物であることを見せつけています。

 その弊害か、いまだにテレビには、怪しげな主張を繰り返す玉川徹氏のような、ふた昔前までメデイアに巣食って「平和念仏主義」 をまき散らしていた左翼の劣化版のような人物が、《...日本が中国を直接攻撃する能力がなければ...(中国が)日本を攻撃する理由もない》 といった何の根拠もない話を、恥ずかしげもなくテレビで披露し、 こんなお花畑理論に騙される日本人もいます。    中国サマがそんなゴリッパな理性の国なら、どうして敵基地攻撃能力どころかロクな兵力も持たないチベット、ウイグルが侵略されたのか、玉川氏は説明できるのでしょうか。    このような勢力が独立国家として当たり前の主張をする日本のリーダーに後ろから弾を撃つことを繰り返してきたのです。

 そもそも、媚中姿勢で日本批判ばかりしているこのような連中は、 日本は輸出措置だけで中国経済を揺るがすことができる 国であることさえ知りません。     中国製品が世界をリードしているといっても、自動運転車やドローン部門も、実際には核心部品の日本依存度が高く、万が一、日本が本気で対中国輸出規制を開始したとしたら、 中国の先端製品関連企業はパニック状態に陥ります。  日中対立で甚大な打撃を受けるのは、中国の方なのです。

 一方、中国はこのような《「戦争はしない」という現在の平和憲法を守りさえすれば、 日本はいつまでも平和な国でいられると頑なに信じ込む勢力》が、 日本にはまだまだ幅を利かせていることを知り抜いています。  だから恫喝によって日本世論を分断させようとしてくるわけです。  こうした中国の凶暴さに怖れを抱いた日本人が 《中国サマとは争うな》、《高市発言は日本が直面している最大の「存立危機事態」》、 《これは天災でなくて人災》などと中国の肩を持つ意見をタレ流すのです。

 いまは中国サマによる見せかけの恫喝を、さも日本の存立危機のように囃し立てる日本のメディアも、あとひと月もすればこんなチキンゲームに飽きて、報道しなくなります。    もともと 《“外圧”がかからない限り真実が明らかにされることはない》 日本のメディアにセイギを求めるなどムダではありますが、反日メディアも、その道化役に徹している玉川氏も、中国側の立場で日本のリーダーを批判し、危機を煽るこの負のサイクルこそ、 まんまと中国の術中に嵌められた戦後日本が、真の独立国家になることを阻害してきた最大の弊害であり、 中国の思う壺であることは自覚すべきです。

 いずれにせよ、菅義偉、岸田文雄、石破茂の3政権は、中国サマを恐れ「媚中外交」に徹し、中国軍が発射した弾道ミサイルが日本の排他的経済水域(EEZ)に落下しても、 駐日大使を呼び出すことさえしませんでした。  このような日本の対中姿勢は、《日本は独立国家としての気概など持ち合わせない》国であると対外発信し、 《中国もそのように見なしていた》わけですが、そこにやっと《当たり前のことを言う日本の首相》が登場したわけです。

 そもそも、高市早苗首相が国会答弁で、台湾有事が「存立危機事態」になり得る、としたのは「10年前から何度も説明している当然のこと」です。  小泉防衛大臣も中国軍機のレーダー照射には、 毅然とした態度で非難・反論しています。  いくら中国に阿る(おもねる・媚びを売って、気に入られるような言動をとる)姿勢を取ろうが、 必要とあれば中国は容赦しません。  高市首相は中国の横暴さを放置していては、いずれトンデモナイことになる、 という目の前の危機を可視化させてくれたともいえます。

 大人しく中国サマを怒らせないような姿勢でいることこそ、災難を呼び込む悪手(あくしゅ)であることは歴史が表明しています。     これまで偽りの近現代史に騙され 中国に平身低頭してきた日本にも、やっと当たり前のことを堂々と主張できる首相が誕生したようです。   今後はこの流れを逆行させるような指導者が出ないことを祈るばかりです。  (2025.12.12)


 

この騒動を対中外交転機のチャンスにつなげるべき

 本来であれば、高市首相の『存立危機事態』答弁については、中国がここまで猛反発して報復措置を取るべき事案でもないのですが、権力基盤が揺らいでいる習近平にとって、 日本を敵視することにより中国国民が反日で団結すれば、自分の政権が脅かされるリスクは減少するわけで、高市首相の発言はまさに“千載一遇のチャンス”だったとも言えます。    だからこそ次々と日本に対する報復措置を発表しているわけで、裏を返せばそれほど習派は危機意識を持っているともいえます。

 そんな中で日本人が今回の高市発言を否定するということは、習派の思う壺であり、「戦勝国側の一方的な史観」に騙されたまま、 「国賊的無知」を発揮して、 「懺悔一色の80年談話を発出」した村山富市元首相のような愚かな政治家と大差ない、 先の戦争は全て日本が悪かったと思い込む自虐思考の持ち主であるということです。

 そろそろ、日本が独立国家として踏み出すのを否定する人たちも、 「白人国家による植民地支配の嵐が吹き荒れていた時代、 「白人列強による植民地支配に終止符を打った日本の 「特筆すべき偉業」を知り、 「100年前の戦争の舞台ウラ」を理解し、 戦勝国がかけた洗脳から抜け出すべき時期です。

 2012年に日本政府が尖閣諸島の3つの島を国有化したときにも、 中国の約100都市以上で反日デモが起こり、暴徒が日本車を破壊し、日本へ行く中国人観光客は40〜50%減少。  このときの日本の経済損失はGDPの約0.8%に上ったとされます。   今回も日本のメディアは盛んに中国の経済制裁について《このままでは日本経済は大打撃だ》、《日本の存在危機ダ》などと、 いたずらに日本国民を脅かしていますが、習近平自身も中国経済の低迷で大衆の支持を失いつつあり、 一歩間違えれば民衆の不満が自分に向かう可能性があります。

 そのため、習近平は2012年のような強気なやり方は出来ないはずで、中国民衆を刺激する過激な日本叩きは避け、もっぱら茶坊主たちを使い 《日本を悪者扱いにして、我々はけしからん日本を叱りつけているゾ》というパフォーマンスをとり、日本への難癖と経済制裁を突き付け、 民衆の不満のハケ口を日本に向けさせているのです。

 2020年、当時のオーストラリア・モリソン首相が新型コロナウイルスの発生源や感染拡大の経緯をめぐり、 「独立した調査が必要だ」と述べたことで、オーストラリアにとって最大の貿易相手国・中国は報復措置を打ち出します。  これに、モリソン首相は 「脅しには屈しない。 強要されて価値観を売り払うことはしない」と突っぱねました。  オーストラリアやスウェーデンでさえ中国による制裁に対し、毅然と対応したのです。 

 ここは我慢比べの時で、 メディアも頭を冷やして冷静な報道を心がけるべきです。    産業界も昔から何度も痛い目に遭ってきたのですから、90%を中国輸出に頼っているホタテ産業も、もういいかげん中国頼みの姿勢から脱客を図るべきです。    昔からピンチはチャンスにつながるといいます。      「敗戦国」から抜け出せなくなっている日本は、 これを機に日本国民が中国の凶暴さを改めて認識し、なぜいつまでも日本は中国の顔色を窺わなければならないのか、 この当たり前の疑問について、よく考えるいい機会です。

 中国も、今回の高市首相の発言で、少なくとも日本がただ大人しく自分の顔色を窺う軟弱国家ではないゾ、という認識は抱いたはずです。    今回の出来事が《いつまでも中国に平身低頭する日本》という事態から脱却して、 偏向戦後史観が見直されるきっかけになることを期待したいものです。    戦後処理問題が解決すると困るのは、中国と韓国なのですから。

 いずれにせよ、2028年に任期満了を迎える習国家主席は、今後も“終身国家主席”を目指すとされ、 それには台湾統一という大きな成果が必要と考えているはずです。     そのため「2027年か28年に中国は台湾に軍事侵攻する可能性が高い」と予測する専門家もいます。  逆に反習派にとっては、習主席を実質的な引退に追い込む最後のチャンスは、 その前しかありません。  2025年8月には、人民解放軍の一部が、習近平国家主席を警護する「特別勤務部隊」を“殲滅”するという“武力衝突”が起きたというウワサもあります。    2028年の前に、中国中枢において何らかの混乱が生じることは間違いなさそうです。(2025.12.10)


中国をいたずらに恐れるな

 大国ぶってはいるものの、中身は前近代的国家で、経済発展も頓挫しつつある中国ですが、いま盛んにヨーロッパと外交を重ね、台湾有事における日本について、 ヤレ《地域の安定を損なう侵略的行為である》などと、自分たちの行動をそのまま口にする愚かさで、 EU首脳たちに無理やり中国の正当性を吹き込んでいます。  もちろん、これにEUが騙されるわけはアリマセン。

 ただ、EUは何年か前から中国依存の危機を警戒し、距離を置こうとはしていますが、なかなか道は険しく、いまだにレアアースの98%を中国に依存しています。  したがって、 中国側の主張に真っ向から反対することはできず、適当に口裏を合わせている状況です。 ただ、中国は日本叩きのためだけでEUに接近しているわけではありません。

 EUはコロナ騒動前は中国の正体に気づかず、中国は信頼できるとして友好な姿勢を取っていましたが、コロナにおける強権的で自由などとは無縁の中国の指導体制を目の当たりにし、 中国に嫌悪感を抱く層が増加しました。   逆に、評判を高めているのが台湾です。  これに焦った中国が、盛んにEUに《台湾は中国のもの》とアプローチしているわけで、 けっして《高市首相排斥運動》だけが目的ではないのです。

 これまで見て来たとおり、中枢技術を日本に依存している中国は、日本に経済制裁を加える、などという手は使えません。  中国が出来ることと言えば、せいぜい 《軍事力を誇示し日本を恫喝する》ことぐらいしかありません。    だから、南シナ海において空母の離着陸訓練を繰り返し、ロシアと協力して太平洋にまで進出し、いつでも東京を空爆出来るゾ、という脅しをかけるのです。

 しかし、中国がいくら軍事力を誇示しようが、日米同盟が続く限り、中国が日本を攻撃してくることはあり得ません。  ここで憂慮すべきは、日本国内に巣食う左翼勢力が、 この危機を煽り立て《軍事衝突の危険性が高まっているのは高市政権の対中姿勢が間違っているからダ》と騒ぎ、高市政権に対する国民の支持を奪おうとすることです。

 たしかに、高市首相の台湾有事に関する発言に関しては、一部の日本人から《首相ならば中国を刺激する発言は慎むべき》という意見もあります。  しかし、 高市発言は従来の日本政府の見解から逸脱したわけでも、間違った内容を表明したわけでもありません。  従来からの日本の立場を、誰にでも分かる表現で伝えただけです。

 今回の高市発言が無かったとしても、いつかは必ず中国とこのような事態になるのは分かり切っています。   外交とは《片手に棍棒を持ち、もう一方の手で握手すること》 とされます。  中国と対等な関係を築きたかったら、戦後100年経とうが執拗に「日本の戦争責任」とやらの言いがかりをつけてくる相手に対しては、 いつかは中国サマにヘイコラする態度とはオサラバしなければなりません。

 むしろ、これまで曖昧な表現で誤魔化してきた歴代政権の対中姿勢こそ批判されるべきであって、日中関係が 《中国サマに頭が上がらない日本》という立場に長年置かれてきた最大の要因は 《ハレモノに触るように、中国に忖度してきた》日本政府の弱腰すぎた態度であり、それが中国を調子に乗せてきた面があったことを、日本の政治家は肝に銘じるべきです。

 高市政権の支持が高い理由の一つに、これまであまりに情けなさ過ぎた日本政府の対中姿勢ぶりに、つくづく嫌気がさしていた日本国民の期待があるのは間違いありません。     日本国民は、強権姿勢で自分から関係を悪化させてくる中国の威圧外交に憤りを感じており、いつかはその弊害を打ち破ってくれる強いリーダーの誕生を待ち望んでいたのです。

 今回は、たまたま、中国など恐れず毅然とした態度で保守本流を貫く高市政権で起こったからよかったものの、もしこの騒動が石破政権のような からきし意気地のないリベラル政権で起きたとしたら、中国は激しく日本に迫り脅し、 又しても《中国サマに頭が上がらない》事態が一層深まり、ますます日中の主従関係は明確に、そして深刻になったハズです。

 毎年12月13日は中国における南京記念日(南京大虐殺記念日)とされ、追悼行事が行われ、 これは日中関係において長年にわたり緊張の原因となっています。  ところが、ナゼか習近平は出席しません。    そもそも、《「南京事件」》なるものの正体は、荒唐無稽のホラ話であり、 中国によるプロパガンダです。  しかも笑えるのが、 「南京事件(南京攻略戦)」の中国側当事者は、現在台湾に逃れている 中華民国なのです。    むしろ、中国共産党の毛沢東は、南京攻略戦を問題視などしていません。 それどころか 南京陥落で大喜びしていたのです。

 いまの中国(中華人民共和国)は、日本軍とマトモに戦っておらず、 中華民国の邪魔をしつつ逃げまどっていただけでした。    だから中国共産党主席である習近平としても、立場が中途半端であるため、ノコノコ姿を見せるわけにもいかないのです。  しかし、このような史実を知る日本人は多くありません。

 現代においても日本人が、《日本軍は中国大陸で中国人にヒドイことをした》と、一方的に信じ込まされ、騙され、中国に反発できずにいる背景には、 こうした《日本と中国の真の歴史》が教えられてこなかったことも影響しているのです。     いずれにせよ、《日本が輸出措置だけで中国経済を揺るがすことが出来る》 いまこそ、日本が対中政策を見直す最後の機会なのです。(2025.12.15)


  

ドイツなら許すが、日本には認めない自立

 今回の高市首相の台湾有事発言は、海外でも様々な受け止められ方をされ、賛否両論がありますが、ニューヨーク・タイムズのエッセイは、 「高市氏が利害関係を明確にしたことは、沈黙よりも安定への確かな道である」と評価しています。

 つまり、これまで「物言わぬ極東の傍観者」だった日本が、曖昧さをやめ「覚悟」を示したこと自体が抑止力となり、 結果的に戦争を遠ざけるという肯定的な見方であり、この論調から読み取れるのは、日本がようやく世界から見て「無視できない存在」 へと近づいたということを、外国でも認識し出したということです。

 その一方で、日本が当たり前のことを表明しただけで、ヤレ、《今回の問題が短期的にクールダウンできたとしても、地政学的にヒートアップしているのを覆い隠すことはできない》とか 《東アジアの隣国同士が外交的応酬を続ける中、紛争が激化し、関係はさらに緊張を深めている》と囃し立てる意見も多いようです。  しかし、 欧米人は同じ白人国家の敗戦国・ドイツが軍備拡張しようが、武器を輸出しようが、何ら否定的な意見は言いません。  ましてや、アメリカが中国に対しどんな強気な態度に出ようが、 《外交的応酬を否定する見方》は絶対にしません。  ところが、有色人種国家・日本が毅然と中国に対峙する意思を示すと、 《無謀な火遊びはやめよ》と諭すわけです。

 今回の、台湾問題を見る世界の目を激変させた出来事は、大袈裟に言えば、大英帝国でさえ正面衝突は避けていたほどの軍事強国ロシア相手に、 東アジアの小国日本が1対1の戦いを挑み、薄氷を踏む戦いだった日露戦争《1904(明治37) 年2月8日〜1905(明治38)年9月5日》において勝利を収め、 《世界の一等国(列強)の仲間入り》を果たしたとき欧州が抱いた、 《強力な有色人種国家が、突如存在感を示した》驚き以来の反応かも知れません。

 日本は大東亜戦争(太平洋戦争)において、 白人列強国が弱小国を武力で支配し、 問答無用で有色人国家を植民地支配していた無法時代、極東アジアからその白人列強国を追い払い、 白人列強による植民地支配に終止符を打った国です。   アジア独立の道筋をつけたわけですが、 この、いまから100年前の日本の存在と行動は、当時の《有色人種は白人列強に植民地支配されるのが当然》とされ、 《白人絶対優位の帝国主義がまかり通っていた》欧米にとっては、看過できるものではありませんでした。

 東京裁判の判事レーニングは「太平洋戦争は人種差別が主因のひとつだった」としています。     日本を毛嫌いしていたルーズベルト大統領は、 日本に対し様々な妨害工作を行い   邪魔者日本を潰そうとしました。  アメリカは、 英国チャーチルと結託し「即座に日本を粉みじんにしよう(チャーチル回顧録)」と、 ABCD包囲網を日本に仕掛けます。  1941年8月には日本を戦争へ誘い込むため 「石油の全面禁輸」を実施。 外交上の暴挙「ハル・ノート」を突き付け、 日本を戦争に引きずり込み、 日本に最初の一撃を打たせることを目論みます。(2025.12.15)


  

日本にお門違いの「侵略の歴史」を押し付ける中国

 これにまんまと乗せられた日本は、勝ち目のない戦いへと追いやられ、 最後は原爆まで投下され、 悲惨な敗戦へと追いやられたのです。   しかし、戦後の日本人は この戦争の本当の姿を知る機会を奪われ、悪名高い 《外圧がかからない限り真実は報道しない》日本メディアも、 当然ながら本当の史実は報道しません。 したがって、 戦後は「どこの国と戦ったのか知らない日本人」が増え、新聞・テレビしか見ない日本人は、 戦後史観の「まやかし」から目覚めることはあり得ません。    いまの日本は戦勝国の史観に大人しく従わされているのです。

 日本はアメリカに翻弄されてきたとも言えますが、 植民地支配破壊という「歴史的偉業」を成し遂げた日本について、 ルーズベルトの側近ウィリアム・レーヒは《日本は欧米植民地に縛られてきたアジアの民衆を反白人に変えるだろう》として、 《欧州の国々が国家財政の要にしてきた植民地は米国のせいでなくなった》とつぶやきました。

 日本のせいで植民地を失った欧米ですが、彼らは絶対に 自分達は「植民地支配した」 などとは書きませんし、 《「列強による過酷な植民地支配」が表ざたにされる》 こともありません。  また、「彼らが非白人人種に対しに見下しというか本音を語ることはめったにない(山正之氏)」のも事実です。  しかし、 「何が何でも日本を悪者にしておきたい」 のが戦勝国の本音なのです。

 その理由は、当時アジア・アフリカを植民地支配していた、宗主国を中心に構成された連合国は、有色人国家を奴隷として使役し牛耳り、神のように恐れられていたのですが、 その世界をぶち壊したのが日本であり、日本はアジアはおろか全世界から人種差別と植民地支配を一掃したからです。     日本が先の戦争で果たした役割は、歴史に残る偉業なのです。    しかし、日中戦争や大東亜戦争を語る本にも、なぜかこの部分はスッポリ外され、日本が植民地支配に終止符を打った史実と、 「白人列強による侵略の歴史」は、近現代史本に載ることはありません。

 日本は終戦まで「太平洋戦争」とは言わず、「大東亜戦争」と呼んでいましたが、その呼称は、日本の戦争の大義名分である 「アジア解放戦」を意味していました。  そして目的通り 「...白人のアジア侵略を止めるどころか、帝国主義、 植民地主義さらには人種差別というものに終止符を打つという、スペクタキュラーな偉業」(藤原正彦 日本人の誇り)を成し遂げたのです。

 それは、有色人種を牛馬のように使い、資源を搾取していた白人列強国にとって屈辱以外の何モノでもありません。  だから、占領軍GHQは「大東亜戦争」を 「戦時用語」として使用を禁止し、 わざわざ「太平洋戦争」という語に変えさせたのです。    そういう屈辱の歴史を抱える彼らは、今回、日本が独立国家の当然の権利として 《禁忌とされていた台湾問題の封印を破った》発言をしたとたん、100年前と世界と同様、 有色人種の日本は大人しくしていろと、 まるで日本が世界を危機に陥れるかのような反応を示すのです。

 米報道博物館「ニュージアム」が全米のジャーナリストに20世紀最大のニュースは何だったかアンケートをとったところ、 「月面着陸」でも「ソ連崩壊」でも「ナチスドイツ降伏」でもなく、 断トツで「原爆で日本を降伏させた」ことだったそうです。  ジャーナリストたちの回答には、 日本を潰し白人世界の復権を果たした いう想いが籠められていた、と思うのは考えすぎでしょうか。

 いま中国の外相が大慌てで『日本による台湾問題への介入に反対する』、『日本の侵略歴史が繰り返されてはならない』 とする国際世論戦を、欧州・中東で盛んに展開していますが、「侵略の歴史」というフレーズは、有色民族を散々植民地支配していた欧米列強に対しては、 アンチテーゼ(ある主張「テーゼ」に対立する主張)にもなり得ることです。    なにせ《当時、他国を侵略していたのは白人列強》であり、 彼らに半植民地支配された中国は、それを一番わかっているはずです。     日本はその中国を援助しようとした国であって、 侵略戦争など起こしていないのですから。(2025.12.18)


中国の台湾侵攻はあるのか

 なぜ中国がここまで過剰に反応し、けん制してくるかについては、専門家や識者の見立てでは習近平国家主席は台湾を統一することで「中華民族復興を達成した偉大な指導者として歴史に名を残したい」から、 というのが大きな理由といわれます。  歴史に名を残すには、中華民族にとっての偉業達成、つまり民族の悲願である台湾との分裂状態を解消し統一を果たす、と考えても不思議ではないわけです。

 2023年1月に、米シンクタンク「戦略国際問題研究所」(CSIS)は全24のシナリオから成る台湾侵攻シミュレーションを公表しますが、 そのほぼ全てで中国が台湾占領に失敗するとの判定でした。    1つのシナリオだけが辛うじて中国軍が台湾制圧に成功すると判定されますが、その設定は「日本は不介入で、在日米軍基地も台湾介入の米軍に使わせない」ことでした。

 つまり、台湾侵攻作戦については中国側も台湾侵攻シミュレーションは綿密に行っているはずであり、結果も米側と大きな差異はないはずで、中国側が高市発言を眼の色変えて批判する背景には、 「日本に介入させない手立てを考えるべき」という中国側の思いがあると考えてもおかしくないわけです。

 CSISの報告書が出る前の2021年3月、米インド太平洋軍司令官は「今後6年以内に中国が台湾に侵攻する可能性がある」と“爆弾発言”します。  これが「台湾侵攻2027年説」の発端で、 その後この説が独り歩きし、中台対立の危機感を必要以上に煽る事態ともなっています。  また、2023年台湾侵攻シミュレーションにおける、推定される米中両軍の損害の大きさは世界中に衝撃を与えます。

 全シナリオを平均すると、アメリカは空母2隻、水上戦闘艦7〜20隻以上、潜水艦(原子力潜水艦)4隻、航空機90〜774機、死者・行方不明者約1万人と推計。   中国は空母、強襲揚陸艦の大半を含む艦船138隻、航空機155〜327機、死傷者(海上・地上含む)1万4500人とはじき出します。   台湾は航空機の半数と主要艦船のほぼ全部を喪失、日本は中国から攻撃を受けて参戦すると仮定し、 航空機121〜161機、艦船26隻を失うと推測しています。

 しかし、2022年に入ると「台湾武力侵攻説」は急速に勢いを失います。 その理由の一つが、習氏の「終身制が盤石」になった点です。  権力基盤を固めた習氏にとって、 台湾への着上陸作戦を強行し大損害で敗退となれば、失脚は必至であり、あえてそんなリスクを負う必要もなく、中長期戦で構えた方が得策と考えるのが普通だろう、というわけです。

 理由の二つ目は、2022年2月に勃発した、ロシアによるウクライナへの全面侵攻です。 プーチン大統領は開戦当初「数週間で全土を制圧できる」 と豪語しましたが、開戦から間もなく4年がたとうとしても、いまだに勝利が得られないどころか、100万人以上の死傷者と数千台の戦車喪失を出し戦線は膠着状態です。

 ウクライナの善戦ぶりを見せつけられれば、九州ほどの大きさに2000万人超が暮らし、南北に3000m級の山々が連なる台湾を完全制圧するには、ウクライナ戦争とは比較にならないほどの損失と時間がかかる可能性があり、 そこに米国と日本、ひょっとしたら豪州やカナダ、イギリスまで加勢するとなれば、中国側の勝利はほぼ確実に見込めません。(2025.12.18)


外交も「ディール」でしかないトランプ政権の信用度

 中国が武力で台湾を手にすることがほぼ不可能となれば、次に繰り出す手は銃弾を1発も撃たずに敵を屈服させる孫氏の兵法「不戦屈敵」の具現化です。  このため中国は「三戦」(心理戦、世論戦、法律戦)を強化し、 選挙介入やサイバー戦なども交えながら徐々に台湾を「親中」へと変貌させる戦法を取っていくはずです。  また並行して、台湾島をぐるりと海上封鎖し、兵糧攻めで締め上げ、台湾政府や台湾軍、 市民を降参させる戦術を取る可能性も考えられます。

 武力衝突における戦術的優劣を生み出すのが、「兵力の差」です。  海上封鎖のカギを握るのは「潜水艦」で、制空権を握るのは「航空機」です。 現段階では「潜水艦」は米日に豪州やカナダ、 イギリスが各1〜2隻米側に加勢した場合、常時40隻以上の潜水艦戦力が台湾周辺の海をパトロールして、中国の30隻を徹底的に追跡し、妨害することができます。

 「航空機」に関しては、台湾の東海岸(太平洋側)は、米海軍の空母艦隊(空母打撃群)が複数展開し、艦上戦闘機や早期警戒機で半径1000km規模の空域を警戒できます。    開戦となれば中国機は真っ先に妨害・撃墜される危険性が高くなるでしょう。

 ただ、一番の懸念は肝心の米国トランプ政権の信用度です。   同盟国との絆よりも大国間との「ディール(それで手を打とう)」を優先するトランプ氏では、イザというときに日本の後ろ盾になるはずの同盟国アメリカが、 手のひら返ししてくる可能性があります。  2025年10月30日、トランプ氏は米中首脳会談に臨み、対中追加関税の引き下げと引き換えに、中国によるレアアース対米輸出規制の1年延期を“ディール(取引)”したと喧伝します。    その一方で懸案の台湾問題は一切議題に上らなかった様子です。

 これには、「台湾を取引カードに使ったのではないか」、もしかしたらトランプ氏と習氏との間で、「中国が台湾に対して軍事的圧力を加えても、アメリカは黙認する」 という密約が結ばれたのではないか、との観測も飛び出します。  同盟国との絆よりも、大国間との「ディール」や金銭的な損得勘定、さらにはノーベル平和賞受賞を重視しているように感じられるトランプ氏が、 極東情勢をどれだけ深刻に考えているかは不透明であり、こういう指導者が大統領である期間に中国が台湾に手を出してくる危険性は十分に考えられます。

 台湾・世新大学管理学院の江岷欽(ジアン・ミンチン)院長・江氏は、ロシア・ウクライナ戦争の現状が「国際政治の素顔」だとし、ウクライナがこれほど欧米から声援を受けていながら、 開戦から4年が経っても米国や北大西洋条約機構(NATO)は一向に兵士を参戦させていないという現実に言及。  その上で、米トランプ政権が台湾に対して高い関税やTSMCの米国移転、 「少なくとも3000億ドル(約47兆円)」の投資を要求していること、台湾が米国から購入した武器の引き渡しが遅れていることに触れ、米国は台湾を「同盟関係」ではなく、 「交換可能な駒」としか見なしていないのだと論じ、「台湾有事、実は台湾だけ有事」という残酷な国際政治の現実から目を背けるものなのだと指摘します。

 高市早苗首相が「存立危機事態」と台湾問題を関連づけて中国を激怒させた件についても、「歴代日本政府は日本の有事に等しいとは明言していない」として、「日本の台湾支持は、 結局のところ大部分は『言うことはできても実際はやらない、できることは言えることよりもはるかに少ない』だ。 その時が来たら、日本は日本のために戦い、 台湾のために滅びることはないのだ」と評しています。

 中国にとって、2027年には「3つの追い風」が吹くとされます。 一つ目は、アメリカは強気のトランプ大統領が退任するため「台湾有事」に関わるリスクも軽減されること。 二つ目は、 2026年年11月の台湾統一地方選挙で民進党が大敗すれば、「天敵」の頼清徳総統はレイムダック化し、かわりに「親中派勢力」の最大野党・国民党に「最も親中的な」鄭麗文が総裁となり、 「台湾が内部から変わる」こと。 三つめは、2027年8月1日に、人民解放軍が創建100周年を迎えること。  習主席は、この時までに「奮闘目標を達成する」と明言しており、 台湾統一へ向けて習主席と軍が一体化しやすい状況となります。(「週刊現代」2025年12月22日号より)

 ヒトが他人のために血を流すのは、よほど自分の身に危機が迫った時です。  万が一中国が台湾に武力侵攻を考えた場合、在日米軍を奇襲し、日本もいや応なく有事に巻き込まれると考えるのが、 軍事の常識です。  果たして中国は台湾への無謀な軍事侵攻にどこまで本気なのか、日本に対しても牙をむいてくるのか、そのときトランプ氏はどんな判断を下すのか、 この人物が任期を務めるあと3年間は心配はつきません。(2025.11.23 msnニュース引用)


 

 

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関連サイト


コトバ学(wikipedia参照)

(*1)....WGIP

War Guilt Information Program(ウオー・ギルト・インフォメーション・プログラム)
米国が日本占領政策の一環として行った「戦争についての罪悪感を日本人の心に植えつけるための宣伝計画」。

日本政府も、相手が中国や韓国だと、たとえその歴史認識が明白なウソであっても「これまで政府関係文書には書けなかった」(政府高官) とされる。

(*2)....

 

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セルフビルド
・"せっけい倶楽部ソフト"で間取り検討
・網戸の張替え


電動工具あれこれ
・電動丸ノコこぼれ話し
・電動ドライバーこぼれ話し
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YAMAHAxjr1300外観
・YAMAHA xjr1300カタログ
・アコギギターの弦交換


【 全国各地ドライブ旅行記 】

日本の救世主......三笠公園の戦艦三笠の雄姿



ドライブの便利グッズ→
旅の記録に...........ドライブレコーダー
車内で家電品............パワーインバーター
読書でリラックス.......好きな作家、読んだ本




【 災害対策用品・災害備え 】

キャンプ用品にはイザ、というとき役立つものが数々があります。



災害時の備えに→
停電時の暖房......カセット式ガスストーブ
停電時の照明.........クワッドLEDランタン
便利な2口コンロ......LPツーバーナーストーブ






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