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あなたはビタミンを知っていますか？ビタミンあれこれ豆知識

「ビタミンは健康のもと」というぐらい、だれでも知っています。しかし、正しくビタミンのことを知っているかというと、意外と・・？では、ビタミンとはどんなものか、ちょっと知っておきましょう。

●ビタミンとは

ビタミンという名前は、ポーランドの学者フンクが、生命維持に必要な(＝ヴァイタル)アミン(＝窒素基を持つ物質)という意味で、vital＋amine、つまりvitamineと名付けました。しかし、その後、次々と発見された同様の物質が、必ずしも窒素基を持つものではないことがわかったため、語尾のEを除いたvitaminという表記が定着しました。 この、ビタミンという物質は、人の健康を保つ上極めて重要で、なくてはならない栄養素のうち、体内で合成できないか、必要量を合成できないため、微量をとる必要のある有機化合物と定義付けられています。

それが、不足すると病気になったり、極端な場合は死にいたることさえある重要な栄養素ですそれは、人間の体の中で必要な分量を作ることができず、食事でとり入れなければならない栄養素です。1日に必要な量は、ほんの少し(mg単位以下)でよい栄養素です。 これらの要件を備えた有機化合物のことをビタミンと呼んでいます。

«わずかな量で大切な働きをする栄養素にミネラルもありますが、無機質であるため、ビタミンとは区別しています»

●ビタミンの性質とは

ビタミンには性質として“脂溶性”と“水溶性”の二つのタイプがあります。

脂溶性ビタミンとは油にしか溶けないビタミンのことです。脂溶性ビタミンは水に溶けにくく尿に排泄されないので、必要以上にとると体の中に蓄積されやすく、過剰症を起こす心配があります。

水溶性ビタミンとは水に溶けるビタミンのことです。水溶性ビタミンは、大量に摂って血液中の濃度が高くなると、必要量以上の分は尿とともに体の外に出てしまいます。そのため、一般的に摂り過ぎたために問題が起こることはありません。

●ビタミンは、何種類ありますか

ビタミンが発見され、研究が進んでいた一時期、非常に多くの物質がビタミンとされたことがあります。しかし、研究が進むにつれて同名異種が見つかったり、数種のビタミンの混合物であることがわかったりして整理され、さらに、ビタミンの定義が確立されると同時にビタミンから外される物質が続出しました。こうして現在、ビタミンとされているものは13種類となっています。

●微量ってどれくらい

ビタミンの定義に｢微量をとる必要がある｣とありますが、ではその｢微量｣とはどれくらいの量でしょうか。実は13種類のビタミンそれぞれによって微量の定義が異なるのです。現在、ビタミンの量をあらわす単位として、mg(ミリグラム)、μg(マイクログラム)、IU(アイユー)の3つが使われています。

●ビタミンの働き

ビタミンの働きの第一は、必要な栄養素としての役割です。ビタミン不足で病気にかからないため、また人間の生命を維持するための基本的な働きです。簡単に言えば、体の働きを助けて、その調子を整えるということです。この働きが「ビタミンは潤滑油である」というたとえでよく説明されています。

体がエンジン、栄養素が燃料とすれば、エンジンを滑らかに動かし、長持ちさせ、故障を防ぐために、常に必要なのが潤滑油(アブラ)つまりビタミンというわけです。この働きを具体的に説明するは、一つには補酵素としての働きが考えられています。私たちが食物を食べ、それらの成分を分解し、エネルギーに変えて運動に使ったり、血や肉や体内組織を形作る細胞を構成する物質を合成したりすることを、代謝といいます。この代謝をなめらかに進めるのに必要なのが酵素です。そして、それを助けるのが、補酵素です。ビタミンは、この補酵素の役割を果たすと考えられています。

●クスリとしてのビタミン

次にビタミンにはお薬としての作用があることが解っています。前にビタミンは潤滑油であると説明しましたが、ではビタミンを大量に摂るとどうなるのか？きっかけを作ったのは、アメリカのノーベル賞化学者L・ポーリング博士が1969年に著した『ビタミンCとカゼ』という本でした。その後、世界各国の学者により、ビタミンの薬理作用について、さまざまな研究が続けられており、徐々に解明が進められています。そして現在では、病気を予防し治す働きがあることが、次第にわかってきました。

●今なぜビタミンが必要ですか

昔、人生は50年と言われていました。そして、この時代の人々はビタミンを食物だけで摂っていました。今はどうでしょう、人生100年ともいわれるほどの高齢化社会に突入しています。しかしながら、人は年をとればだんだんと食べる量が減ってきますし、十二指腸や小腸からの吸収力も減ってきます。その上、年をとると、歯が悪くなったり、好みが変わり食べる物も変化していきます。私たちが必要とするビタミンを食物だけから摂取するのがだんだんと難しくなってきたのです。それだけではなく、食生活も変わり、生産される食物すら変わってきています。たとえば、路地ものの野菜とハウス栽培の野菜ではビタミンCの含有量は2/3とも半分ともいわれています。お薬としてだけでなく、現代では、潤滑油としてのビタミンも老若男女を問わず、不足しています。

●どのくらいの量をとればいいの

ではどのくらいの量をとれば健康を維持･増進でき、欠乏症に陥らなのでしょうか。それはビタミンによってさまざまに異なるものです。その前に、ビタミンについての雑誌記事や新聞記事、あるいはビタミン剤の効能書きなどには、｢所要量｣とか｢必要量｣といった言葉が出てきます。それだけでなく、それぞれのビタミンによって分量が異なっています。何となくわかったようでわからないこれらの量は、毎日の食生活にとって、大いに参考にしなければならないものです。そこで、私たちにとって、ビタミンにはどのような“量”があって、それぞれ何を意味するものか、以下にまとめてみました。

必要量

健康を維持するために毎日補給しなければならない量のこと。いいかえれば、消化・吸収されたのち、体が必要とする量のことです。

飽和量

ある量以上のビタミンをとると、尿の中への排出が急に増えてきます。それ以上体が要求していない量で、ちょうどその境目の量のことをいいます。脂溶性のビタミンの場合、尿に排出されず体にたまるので、飽和量はありません。

所要量

一般に、健康な人が健康を維持するために必要な量として、目安や参考にされることの多い量です。原則的には、欠乏症を防ぐ最低水準(所要量最小必要量)に、一定の安全率(2割前後)を上のせした量のことです。一人1日当たりの所要量は、年齢別、性別、労働強度別、妊婦・授乳婦別の所要量が加味された平均値がとられます。ビタミンC以外の水溶性ビタミンでは、飽和量が所要量になっています。

摂取量

食品に含まれるビタミン量はわかっていても、保存の程度や調理などでビタミンは壊れます。また、食べたものが100％吸収されるわけではありません。そこで所要量を知るためには、それらの点を考慮した｢摂取量｣が必要になります。つまり、健康維持には、正味の摂取量と所要量が同程度になる必要があるわけです。

●天然物と合成品どう違うの

ビタミン剤のビタミンには天然物と合成品がありますが、効果は同じです(ただし、ビタミンEの場合多少違います)。ビタミンCを、レモンのような天然の食べ物からとろうと、ビタミン剤からとろうと、ビタミンそのものは同じものです。
さらに、ビタミン剤に入っているビタミンには、天然のものと化学合成されたものとがあります。たとえばビタミンAでいえば、天然のAはスケトウダラなどの肝油から抽出されますが、市販のビタミン剤の多くが石油化学の合成品です。
物質としては天然であろうが合成であろうが同じもので、効果は同じです。

●ビタミン剤のちがいとは

実はビタミン剤と総称されるものは、2つに大別できます。
ひとつは医薬品としてのビタミン剤、正確にいうとビタミン主薬製剤です。もうひとつは医薬品ではありませんが、非常に医薬品に似ているビタミン食品です。

ビタミン主薬製剤

厚生省によって定められた、一般用医薬品(大衆薬)のビタミン主薬製剤製造承認基準(どういう配合ならビタミン剤として認可されるかの基準)を満たすお薬です。また、薬事法による基準にしたがって、内容成分とその量、用法、用量、効能、適応症の表示が義務付けられています。これら医薬品は、薬局や薬店のみで販売され、商品のパッケージには｢医薬品｣と明示され、使用期限が表示してあります。

健康食品(栄養強化食品、栄養補助食品など)

一般に、成分量などの基準が明確でなく、その代わり用法、用量、効能をうたえません。つまり、医薬品とはちがい、健康食品は内容表示もまちまちで野放しといってもいい状態です。ただ、健康食品については、(財)日本健康食品協会の認定品(認定マークが付けられる)を選ぶことがひとつの目安になるといわれます。これは、86年8月から規格基準が公示されました。あくまで業界の自主規制ですが、審査内容は厳しく信頼性は高いといわれています。

●ビタミン剤を飲む時の注意は

毎日、いろいろな食品(たとえば1日に30品目)を、正しく調理して、規則正しく食べていれば、ビタミンは十分にとることができます。こうした意味で、ビタミン剤からとるという方法は、本来はあくまでも補助的なものです。ただ、どうしても、現代ではさまざまな原因から、ビタミン剤利用はなくてはならないものかもしれません。正しく食事をとると同時に、必要に応じ、その補助としてビタミン剤を利用しましょう。

効能書きに指示された量を守って飲んで下さい。

常識的かもしれませんが、やはり、そのビタミン剤に付いている効能書きに示された量を守ることが一番です。一般に持病がある人が長期的にビタミン剤を利用しようとするとき以外は、補助的な栄養補給のためではあっても、お気軽にお近くの薬局でご相談下さい。その上で目的に合ったビタミン製剤を服用されることをおすすめします。

食事をおろそかにしないでください。

ビタミン剤の利用はあくまで補助的なものです。ビタミン剤を飲んでいるからといって食事をおろそかにしたり、嫌いな食品を食べないなどということのないようにしましょう。 というのは、食物には、ビタミン以外にもミネラルをはじめ、さまざまな微量栄養素が含まれており、それらが直接作用したり、ビタミンを効果的に働かせるためにミネラルも必要だったりするからです。食事を大切にすることは健康を守る上でぜひとも必要なことなのです。

●ビタミン剤を選ぶ時は

ビタミン剤には総合ビタミン剤をはじめとして、健康食品までさまざまなタイプがあります。これら各種ビタミン剤の上手な選び方をご紹介しましょう。

目的をはっきり決めましょう

ビタミン剤を利用するのは何のためか、自分には何が必要か、それをどうとるのかをしっかり把握してから選びましょう。たとえば、食事のアンバランスによるビタミン不足が気になるなら、総合ビタミン剤を選ぶといったように、不必要なビタミンまで飲むことはありません。

ビタミン剤は3カ月以内に飲める量を選びます。

ビタミン剤は酸化されやすい(特にビタミンC)ので、開封後3カ月以内に飲み終えられる量を購入するようにしましょう。

わからなくなったら薬局へ。

ビタミン剤のパッケージにはどこをみても、ビタミンAとかCとか記されていません。これは、医薬品の含有成分は化学名で表示されるためです。また、○○誘導体という文字を見かけることがあると思います。これはビタミンとしての作用を変えず、その性質などを変えたものです。たとえば、水溶性でも化学変化で誘導体を作り出し、油に溶ける型にできるわけです。このように、同じビタミンでも効き方や効く症状が違ってきたりします。どれを選んで良いかわからなくなったら薬局へお気軽にご相談ください。