壊れてくのを見守るだけなんて。
そんなの、嫌。
待ってるだけのオンナになんてなりたくない。
「Wish Matrix」
− J side −
なにか、おかしい。
ねぇ、豪どうしたの?
さっき、烈となにかあったの?
豪に、何かあるときは絶対に烈が理由だから。
豪、お願い、いつもみたいに笑ってよ。
私に、余計なことを気づかせないで。
「なぁ、ジュン、今日兄貴と帰ってくるとき、兄貴なんか言ってたか?」
「何かって?」
「なんか・・・いつもと違うこととか・・・」
「別に・・・言ってなかったけど・・・烈がどーかした?」
「いや、たいしたことじゃねーんだけど・・・・・」
やっぱり。
豪を動かすのはいつも烈なんだね。
いつも烈のこと誘うのはね、
烈といるときの豪ってすごくカッコイイから。
烈といるときの豪の顔、好きなの。
でも今日は・・・烈のこと、誘わなければよかった。
「ありがと、わざわざ送ってくれて」
「んじゃ、また明日な」
振り返って、来た道を戻ろうとする豪に声をかける。
「・・・豪」
「んあ?」
首だけで振り向いた豪に背伸びして口付けた。
「豪、好きだよ」
「知ってるよ」
と言って、私のおでこにキスをすると、豪はまた歩き出す。
本当に知ってるの?
私がどんなにあんたのこと好きなのか。
知ってて、こんな仕打ちしてるわけ?
ヒドイ奴ね。
でも、それでも、側にいたいの。