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HAPPY、HAPPY、LOVELY ! − summer festival −






月子さんが伊集院にセクハラしている。

「あ、あの、」
「わーふわふわ!」
髪を触ったり頬を撫でたり、 やりたい放題だ。
俺は蛍光緑のメロンソーダを啜りながら、目の前に座る二人を眺めた。
「かわいい〜〜」
なんだろ。
伊集院って、同性にセクハラされる運命にあるんだろうか。
…ああ、そういえば女って小動物 好きだもんな。
わたわたしている伊集院を見ながら、妙に俺は納得した。
パフェ食べようかなあとメニューをめくる。

「あ、あの! それで、月子さんと竜くんは、どういう関係なんですかっ?」
撫でくり回している月子さんを避けるように伊集院が訊く。
「別に…」
一夜を共にした仲よv
わー! 月子さん!!
「なによ。一番 適切な表現だと思うけど」
「そうかもしれないけど!」
前から冷気が!!  ぷるぷる震えてるし!
「・・・竜くんの、竜くんの・・・」


うそつきーーー!!!
どっかーーーん!


ああ! やっぱり!

「お、落ち着け? な?」
頭上に振り下ろされた植木鉢を危うく掴んで、俺は伊集院に言った。
伊集院は目をうるうるとさせて俺を見る。

「だって、だって、」

「竜くん、」

童貞だって言ったのに !!!!! 」


大声で言うセリフかっ!!!


乙女の恥らいは!?







「え?まだ童貞なの?」




「・・・ハイ・・・」









「なぁんだ、そうだったんですか」
にこにこと伊集院が言う。
「そうそう。酔い潰れた私を介抱してくれただけよ。ねえ?」
「ハイ…」
「やだ私すっかり誤解して…」
きゃっ恥ずかしい!と顔を赤らめる。
俺は だまされないぞ…  乱暴モノめ

「それで、真琴ちゃんとイチの関係は?」
「婚約者で…」
嘘つけ
伊集院にツッこむ。
「夢ぐらい見させてくれたっていいのにー」
「いや、伊集院は見すぎだから」
異次元 飛びすぎ

「あはは! 真琴ちゃん面白〜い」
ええ、よそから見たらそうでしょーよ。
不貞腐れた俺をよそに、なにやら意気投合した様子。
さっきまで鬼のような顔をしてたのは誰なんだ、まったく。

俺がパフェを頼もうと辺りを見渡すと、 月子さんが手を伸ばしてきた。

「イチ」

あのときの冷たい指先が、頬にふれる。

「いい顔するようになった」
そう言って、月子さんは眩しそうに目を細めた。

月子さんが、やわらかく、ほほえむ。



「…うん」



「うん、月子さんも」











つづく








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