2001年1月上旬の日常

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2001年1月1日(月)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20010101~.htm#Day01

謹賀新年。

 今年は新年祝のCGは省略します。もう手遅れですしまたそこで拘っていると色々と滞ってしまいますので。代わりに、クリスマスに掲載したCGを再度日記に掲載いたします。
 ともあれ、今年も宜しくご贔屓の程。

冬の贈り物

 年明け以降も絵を描き続け、午前三時頃にどうにか完成させる。その後も日本テレビでの『刑事コロンボ 初夜に消えた花嫁』再放送を眺めながらチャットでだらだら遊びながら、Illustratorにてデザインを行い、午前四時半頃、更にもう一本『刑事コロンボ』が始まろうとする中「これ以上起きてられるかっ!」と作業を中断し就寝、目醒めたあと手を入れて漸く年賀状の完成。
 ……が、プリントがうまくいかない。以前初めて家族の分も含めた年賀状をPCで製作しようとしたとき、何枚もプリントミスをした挙句断念した、という経緯があったので、普通紙を葉書大に切ったもので試し刷りをするのだが、色合いやサイズは完璧なのに巧く用紙に収まらないのだ。結局ソフトウェア・ハードウェア双方に調整ミスがあったようで、都合二十枚近く試し刷りをして漸く納得のいく状態になった。苦心しただけあって、我ながらなかなかの出来になった。お送りしたのは住所を存じている一部の方だけだが、ちょっとだけ期待してください。ちょっとだけな。
 で、本当は作業を終えたらあとはまったりと読書に耽るつもりだったのが、俄にデザイン熱が盛り上がってしまい、そのまま同人誌のベーシック・デザイン作成に着手してしまう。デザインするのはいいがそこに長文を貼り込む場合どういう手続きを踏めばいいのか、サイズやデザインの要領はどんなものか、などを確認するのが主な目的……が、一番良く得心したのは、自分のPCが既に私の要求するスペックに遠く及ばなくなりつつある、ということ。二月になれば牛さんで新規購入の歳に下取りをして貰うことが可能になる。早急に買い換えるべきだなこれは。

『ジャーロNo.2 2001. WINTER 新世紀特大号』(光文社)散発レビュー、11日ぶりの第五弾。松尾由美『雨月夜霞 流一『首断ち六地蔵 <第二首>地獄院長は燃えたジョゼフ・ハンセン『懺悔。(2001/3/25別ファイルに格納)

 本当は西澤保彦『転・送・密・室』(講談社ノベルス)から単行本ごとの読書感想も追加したかったところだが、日付が変わってしまったのでここまでで一区切りとする。そろそろ――そろそろ、夏に向けて始動せねばなるまいぞ、と。……えらい長いスパンで動かないと成功が確信できない。


2001年1月2日(火)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20010101~.htm#Day02

 ……昨日の日記にケアレスミスを発見して、朝方に慌てて直したり。文章が途中で終わっていたのはどうしたことだ。で、ついでに「彷徨」にリニューアル以前の拾いもらしを二つばかり復帰させる。

 今年最初のお買い物
1,Miles Davis『In A Silent Way』(SME Records・CD)
 70年代のエレクトリック路線の発端となった、マイルス1969年録音作品。20分近い曲が二つのみ、というこの時期のマイルスが良く行った大胆な構成である。その後の『Bitches Brew』や『On The Corner』といったブラックで濃い毒を含んだ雰囲気ではなく、若干の柔らかさと、題名通りの静かさ(というか、穏やかさ)を秘めたアルバム。頑固なまでに一定のリズムを刻み続けるドラムとそれをフォローするベースの前で、しかしチック・コリアにハービー・ハンコック、ジョー・ザヴィヌルという三名のキーボードが縦横無尽に脚色を施し、マイルスとウェイン・ショーターというソリストがアドリブを利かせながらメロディを紡ぎあげる。その間を遊泳するようなジョン・マクラフリンのギターが全体にアクセントを与えている。この明確な配置が、フリージャズの気配を漂わせながら非常に統制の取れた音楽性を演出しており、相変わらず気が抜けないものののちのエレクトリック作品と較べて格段に耳障りがいい。エレクトリック・マイルスの発端であるが故に、入門編としても採用できそうな受け入れ易さがあると言えよう。

 同人誌のページ・レイアウトだけでも先にやっておこう――というより、あとで慌てないために今のうちに利用する機能や手法について体得しておこう、というのが主な目的なのだが、ともあれその為に手頃な画像を探し出し、Photoshopで加工する。細かい手続は解りにくいので省略するが、要はPhotoshopなどで利用するビットマップ画像をIllustratorで扱いやすくする、というのが目的である。マニュアルのいちいち解りにくい描写に戸惑いつつある程度加工作業を進め、漸くIllustratorに変換できるところまで持ってきた、――と思ったら、肝心の「Illustratorへの書き出し」コマンドが何故か利用できない。普通ならユーザーサポートに訊ねて修復するところだが、困ったことにAdobeは有償サポートがメイン。従って、こちらに取りうる対策は、再インストールだけ。既にここまでの手続で随分と時間を取ってしまったため、再インストールはこの日記を書き終えてから行う予定だが……果たして上手く正常に動くように出来るのか。他のソフトとの兼ね合いだとしたら、お手上げだものなー……

 上記の作業と、その為のちょっとしたお絵描きにかまけていた所為で、読書感想は書けませんでした。読書そのものも、進んでいないわけではないがここに書けることは取り敢えずない、ので今日はこれにて失礼。今年はたぶんずっとこんな調子。


2001年1月3日(水)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20010101~.htm#Day03

 本日のお買い物
1,『Adobe Photoshop 6.0 アップグレード版』(Adobe・Windows対応アプリケーション)
 昨日遭遇したトラブルの解消法が思いつかない。こうなってはユーザーサポートを頼るぐらいしか思いつかないのだが、困ったことにAdobeでは無償サポートは最初の連絡から90日までしか受け付けないシステムになっている。ユーザーになって久しいが、その間サポートを利用したことがない、と自信を持って断言できないのだ。その上私が使用しているのは5.0。購入してから現在までにPhotoshopは5.5→6.0とヴァージョンアップを重ね、Webに対応した機能の増強も行われている。趣味とは言え主な用途がWeb画像の作成(尤も、今年は同人活動で非常にお世話になりそうな気配があるが)となっている現状では、5.0の使い勝手は決していいとは言えない。そもそも今利用しようとしている機能は、私のデザイン能力の限界を少し押し広げてくれる性質のもので、これが出来ると出来ないとではかなり差が生じる。ならば、状況改善とユーザーサポートを確実に受けられる権利と、新しい機能とを獲得するために、多少の出費も辞すべきではないだろう――と意を決して、いつも行く家電屋に向かい、購入した次第。
 しかし改めて利用してみると、ここのアップデートプログラムはいまいち親切さに欠く。ソフトとそのヴァージョンによってカラーリングプロファイルとかアクションの設定とか保存の仕方が異なっているところがあるのに、それをプログラム側で対応させようという努力があまりなされていない。色々試している間に5.0のアンインストールに6.0のインストール・アンインストール、加えてIllustratorも出し入れを行わなければならない状況に追い込まれたが、その半分ぐらいはこのアップデートプログラムの不備に起因する。ソフトの機能向上を目指しているのは解るが、ちょっとは次善策を講じろよう。
 しかし、インストールし直してもアンインストールしてもヴァージョンアップしても、昨日と同様のトラブルは尚も発生した。Illustratorデータを出力しようとすると何故か文字化けしたエラーログが表示される。加えて、処理しているデータをIllustratorの書類上に載せると、初期状態では異様なサイズで張り付けられてしまう――ここに至って、どうやら処理していたデータがそのバイト数の割に非常識な用紙サイズに設定されているのかも、と漸く気付いた。そこで、6.0のPhotoshopで用紙サイズ・解像度の変更を試みる――そして、初めて異常の原因を発見した。
 用紙サイズ・200cmX300cm(大体そのくらい)、解像度・
 因みに、普通私が扱うデータは用紙サイズで20X30前後、解像度はWeb専用の画像なら75、印刷などに利用する予定のあるCGなら300〜600。解像度の単位はドット/インチ、つまり一インチあたりどのくらいのドット数に解析して処理しているのかを示す。つまり、件のデータはどういう訳か1インチあたり1ドット、という異常な用紙サイズで作られていた訳である――印刷に関与している人間ならまず間違いなくこんな措置は行わない。件のデータはWebから適当に見繕ってきたものだが、それを解像度などデータの根本には手を入れず処理していたのがいけなかったらしい……用紙サイズを20センチ四方程度に変更し、解像度を300に変更して改めてIllustratorへ出力する……あっさりと、酷くあっさりと、作業はうまくいった。数点出力したものをIllustrator上で組み合わせ、サイズを変更する。さっきまでの苦労が嘘のように、たった数分で望んでいた図柄をIllustrator上に反映することが出来た。
 いまいち釈然としない。最初に解像度をチェックしなかった自分の迂闊さにも腹が立つ。……まあ、だいぶ懐は痛んだが、色々と勉強させて貰ったので良しとするしかない。Photoshop6.0にはgifアニメーション作成機能も備わっているので、そのうちバナーでも作って遊ぶ役立てることとしよう。

 で、そんなことを延々とやっていたためあまり書くことはない。が、これだけは記しておきます。
『月姫』(TYPE-MOON・Windows対応ゲーム・18禁)、当たりです。細々と批判は出来ますが、この際目を瞑ってもいい。同人ソフトでこの出来なら、2500円でもお釣りが来ます。機会があったら遊んでみてください>同好の皆様。詳しくは、メインヒロインのエピソードを読み終えてからとします――長いんだよ。


2001年1月4日(木)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20010101~.htm#Day04

 やっぱり『アンビリーバボー』は自前で取材しない方がいいと思うんだわ。資料を検討する技術が皆無に等しいんだから。……詳しくツッコミましょうか?
 取り敢えず大まかに書く。番組の企画としては、古墳が出ただけでも無意味ではなかったろうが、番組の最後で言ったように更に古墳の底を掘ったところで、「古墳時代より以前の豪族の埋蔵品」が出てくる筈ないじゃないか、とだけ……つまりね、杉沢村伝説と同じ結末でしかないんだってばっ。そして、冒頭で言及した「十三塚」と発掘した塚に纏わる伝説はまっっっっっっっっっったくの別物だと断言します。ただ発掘したかっただけではないのかこの人たちは。

 今日は、特に何もしてません。


2001年1月5日(金)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20010101~.htm#Day05

 眠いです。正月に入ってからこっち生活パターンが適当なので、日記を書く時間帯は眠くて眠くて仕方ないか、或いは他のことに熱中してしまいがちで記述が淡泊になってます。ごめん。
 取り敢えず今日の時点で『月姫』(TYPE-MOON・Windows対応ゲーム・18禁)は全キャラの主要エンディングを見届けました。改めて、なかなかの出来だと保証します。ただ、『月姫』という題名に一番相応しいヒロインが、ゲームを進めるほどに存在感を失っていくのはやっぱりどうかと思う。彼女ともう一人のヒロインがしのぎを削る表シナリオと、主人公の過去と境遇に纏わる裏シナリオ、比重的にはほぼ同じながら人物同士の結びつきの問題から、プレイヤーが表から裏へとセオリー通りに攻略していくと、どんどん正ヒロインの存在感が消し飛んでいくのだ。これが、作品としては最大の欠陥。あと誤字脱字、表現上の問題、そしてバグなどお定まりのミスは多々見られたが、それらを考慮に容れてもハイレベルな一作。見付けたら買え、ぐらいのことは言い切ってもいいかと思ってます。
 反対に、同日購入した『弔〜とむらい〜』(Sakura Soft・Windows対応ゲーム・18禁)の方は、ちょっとなあ……。文章が軽薄なのはまだしも、フラグが中途半端にシビアでエピソードとの接点が明確でない点(お陰でメイン・ヒロインの攻略にやたら手間取ってしまったではないか)、文章の読み込みが異様に重く、かつメッセージスキップが全く出来ない(音声のカットもソフト上では出来ない)などなど不親切さや杜撰さが目について、良くも悪くも同人ゲームレベルでしかないな、という印象。これが一般市場に並ぶ可能性が極めて低い、という意味から言えば、それで充分存在意義はあるようにも思えるのだが。何故一般市場に出回らないと断言できるかというと、ソフ倫のコードに引っかかるヒロインが三人中二人もいるから。……いや、もしかしたら全員かも知れん。とにかく、そーいう危険なシチュエーションを平然と展開している辺りは、貴重と言えるかも知れないが。それはそうと、サブキャラのグラフィック手を抜きすぎ。

 日中は買い物と食事へ出る。行き付けの店は今日から開店だったのだが、流石にえらい混雑。十分ほど表で待ち、座敷の一画に腰を下ろして注文を待っている間にシャッターが半分閉められてしまった。この店は麺が切れた時点で閉店という決まりなのだが、一時半頃で閉める、というのは久々に見た。
 その後元バイト先の書店で雑誌二冊を買い、更に秋葉原まで走ってあるソフトを探し回るが発見できずじまい。日が沈んでからインターネット通販で注文した。……これで、同人活動のために欲しかったツールは、どうやら揃ってしまった。いよいよ自分を追い込んだところで、明日からぼちぼち始動したいと考える。

 読書感想にちょっと着手していたが、そんなわけでまた明日以降とさせていただきたい。……ねーむーいー……


2001年1月6日(土)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20010101~.htm#Day06

 久々に猿状態になっております……年明け早々から。しかも何をやっているかというと、『elf大人の缶詰』所収の『この世の果てで恋を唄う少女 YU-NO』Windowsベタ移植版。時々同梱の『シャングリラ』もやってはいるのだが、グラフィックの質もシナリオも(と言っても『シャングリラ』『同2』は面クリア型のシミュレーションという作品の性格上、シナリオは無きに等しいのだが)ゲームシステムも遙かに出来がいいので、どうしても『YU-NO』中心に遊んでしまう。やっぱり好きだわ、この作品。
 一応読書もじわじわと進んでいるのだがまだ一冊読了には至らず、加えてそんな風に表現者として受動的な態勢が固まってしまった現状では読書感想はおろか創作活動も進展しないのであった。いや、そこはかとなく刺激を受けている分、色々と構想は纏まりつつあるのだけれど、出力はしていない、という意味で。
 そんなこんなで、特に書くことはありません悪しからず。


2001年1月7日(日)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20010101~.htm#Day07

 今年最初に見に行った映画は、アーノルド・シュワルツェネッガー主演『シックス・デイ』(東宝東和配給)。近場でも上映しているのだが、日比谷スカラ座新装後のこけら落とし作品でもあり、綺麗になったという劇場を確認するのも含めて有楽町まで出向いた。
 劇場は宝塚劇場の脇から地下に降ったところにある。階段からして、ステップの下から仄かな光線を発して幻想的な雰囲気を演出したりと妙に洒落ている。そして肝心の劇場は、座席の配置がスクリーンに向けてかなり傾斜した構造になっている。何処に座ってもスクリーンの見え方が等しくなるように、また前の席に座った人の頭や体が邪魔にならないようにという配慮が窺われる。椅子の座り心地もいい。何より、座席の肘掛けにコップのトレイが設えてあるのが嬉しい。飲み物を買ってくると、上映中延々抱える羽目になり腕が疲れたり痺れたり、という悩みがなくなるわけだ。ただ、真ん中辺りに座っている人は状況次第で置き場がない、という場合も考えられるんだけど……。
 そして開演。予告編中は場内の照明が落ちないのにも驚いた。それでも問題なく画面は見えるのだが、逆に気が散ってしまわないか、という心配をしてしまう。だが、本編に入るとともに照明は全て落ち、デジタルサラウンドを駆使した音響と相俟ってかつて体験したことのない程物語に集中できた。映画の内容がどうであれ、この劇場でかかっている、というだけで見に来てもいいぐらいの優れた環境である。近郊在住の方は一度体験してみてください。
 で、肝心の映画内容である。今よりも少し未来の物語。各種科学技術が発達し、クローン技術も高水準に到達した時代。アダム・ギブソン(アーノルド・シュワルツェネッガー)は、ヘリコプターのチャーター便会社のパイロット兼オーナーを務めている。彼の誕生日であるその日、飼い犬がウィルスに感染して法律によって処分されてしまい、アダムの妻はクローン再生を提案した。クローンに不快感を禁じ得ないアダムは乗り気でないながらも、友人に大切なVIPの送迎を代わって貰い、再生事業を行う会社へと向かった。それでも決心が付かず、代わりに娘へのお土産を携えて帰宅したアダムが目にしたのは、再生した飼い犬と、自分よりも先に娘に土産を届け、家族や友人たちに誕生日を祝われている、もう一人の自分の姿だった。間髪入れずにアダムを急襲する刺客。その背後には、人間のクローン作製禁止に纏わる法律――6d法に纏わる大企業の犯罪と、過激派の暗躍とがあった。自らの生活を取り戻すために刺客との戦いを繰り返すアダムだったが……
 シュワちゃんはこーでなくては、と思うくらい、かなりストレートに近いアクション娯楽もの。SF的設定が現実と地続きで組み立てられているため、それ故の誇張が所々鼻につくのはご愛敬というところ。作品としての着眼はエンディング近くで明かされる捻りだが、いまいち捻り切れておらずインパクトに欠くのが勿体ない。しかし、細部のアクションは理屈抜きに見応えがあり、あまり堅苦しく考えず、肩の力を抜いて楽しめる作品でした。クローンに関する問題についても様々な提起を行っているが、その点は見たあとで悩みましょう。名作ではないが、今世紀初頭に見るには相応しかったかも。

 夕方、ソフマップコムストアで注文しておいた『Power Tone ver.1.5』(ModE・Windows対応アプリケーション)が届く。Photoshopのプラグインとして利用する、PC上でイラストにスクリーントーンを貼り込むツールである。……つまり、本格的にデジタルで漫画を描き始めよう、という腹な訳だ。


2001年1月8日(月)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20010101~.htm#Day08

 のんべんだらだら。
 だらだらしつつ、正月休み丸々使って泡坂妻夫『奇術探偵曾我佳城全集』(講談社)読了。色々な意見はあるが、端正に豪奢に築き上げられた稀有な一冊であるのは確か。感想は根詰まり気味なのでいま暫くお待ちを。

 そろそろ本格的に始動したいのだが、やることが多すぎて何処から手をつけていいのか――という毎度毎度な状況に陥っている。六月までに書く予定の長篇は『本格推理』で登場済みの春川敬を探偵役に、真っ新なところから立ち上げる(何故かというと、手持ちのネタは長篇初登場にするには不都合があるからだったりする)つもりでいたのだが、ふと降ってきた構想は明らかに春川ではなく別の未公表な探偵役の方が相応しい内容なのである。しかも出し方次第では逆効果になりそうなネタ。どうする。一応別にも練っているネタはあるが。

 今期は観るドラマがあるぞ。『HERO』(フジテレビ系列)。SMAP贔屓なのだが、演出や脚本家・共演者などの問題でドラマはあまりチェックしておらず、その中でも一番私にとって縁遠かったのが木村拓哉主演のドラマだったりする。『ロングバケーション』『ラブジェネレーション』『ビューティフルライフ』いずれも観てません。今回チェックしようと思ったのは、やはり検察庁刑事部という舞台設定に惹かれたから。
 いざ観てみると、織田裕二主演の諸作から『踊る大捜査線』に至り、その後『ショムニ』や『TEAM』などで発展した系統に属する作風に過ぎないのだが、それ故に安心して楽しめそう。第一話のネタに関しては、果たしてその程度のことを警察・ひいては検察官が見落とすか、という疑問を抱かされたが、木村の平素からのキャラクターと役柄が一番無理なく溶け合っているし、『TRICK』を契機にすっかり壊れてしまった阿部寛を筆頭に癖のある脇役が揃って、今後の展開に期待を持たせてくれる。それはそうと、放映開始前にサイトの体裁はちゃんと整えておきましょうね。トップと第一話のストーリーぐらいしかまともに見られへんやないか。

 ……で、その後、結局書いてしまいました『佳城全集』の感想。上の書名に繋げたリンクから移動してください。短篇集は疲れる。22本となると尚更だ。


2001年1月9日(火)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20010101~.htm#Day09

 本日のお買い物。久々に本……と言っても漫画のみ。
1,小野不由美・いなだ詩穂『ゴーストハント(5)』(講談社なかよしKC)
2,やまざき貴子『っポイ!(17)』(白泉社・花とゆめコミックス)

 何故か私が予定表から拾いもらしがちな漫画が、村枝賢一『RED』と1。今回も見事に不意打ち。前回中途半端なところで終わったエピソードを一巻費やして回収している。面白いのは相変わらずだが、この巻で連載→単行本化という様式から半年に一冊ペースの単行本書き下ろしに変わるらしい。元々単行本で読んでいる私のような人間には、柱が無くなって残念、というぐらいの感慨しか湧かないけれど。連載終了即完結、という展開にしなかったのが、取り敢えず嬉しい。
 対して2はいつ完結するんだろうか、というか何年中学三年やってるのよ。一般の漫画のように季節すら超越しているのではなく、九月頃のエピソードから始まって今漸く受験前の一月半ばぐらいにさしかかったところ。描き込んでいる、と言えば聞こえはいいが、最近は一時期のような鋭さが失われつつあるようにも思う。でも読んじゃうんだな。

 仕事始めといってもこういう時期はただただ暇が続くだけ、という場合が大抵である。今日も今日とてひたすらお絵描きと、資料というか殆どお勉強の読書に時間を費やす。
 職場に置きっぱなしにしてあった丸ペンを卸してペン入れを施す、が、紙が脆いのかペン先が鋭すぎるのか、ちょっとおかしな角度で線を引くと、ペン先が紙の表面を削ってインクの玉を引っかけてしまうのである。騙し騙し一枚仕上げたが、或いは紙が安物過ぎたのかも知れないと思い、帰途文房具屋に寄って10枚セットのケント紙を仕入れてくる。自宅に持ち帰り、新しいケント紙に適当なイラストを即興で描き、自宅にある丸ペンで線を拾う。――今度は問題なかった。だが、ペン先の問題なのかもと思い、前々から利用していた紙の方に、今度は何となく西澤保彦氏のシリーズキャラクター・神麻嗣子嬢のイラストを描いてペン入れしてみた。……やっぱり異常なし。どうやら職場に放置しておいたペン先が、私の筆圧とこの紙の品質に対して鋭すぎたらしい。
 本当はあれこれと作業をするつもりが、何となくスキャニングしてしまった嗣子イラストの着色に熱中し、結局今日は何も出来ずじまい。「妄想」内CGページに、先頃描いたまま放置していた『冬の贈り物』イラストと共に展示いたしましたのでご笑覧下さい。ついでにトップも嗣子さんにしてしまう。あー疲れた。


2001年1月10日(水)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20010101~.htm#Day10

 本日のお買い物
1,山田風太郎『山田風太郎コレクション1 天狗岬殺人事件』(出版芸術社)
2,マックス・アラン・コリンズ『リンドバーグ・デッドライン』
3,高島俊夫『お言葉ですが…(2) 「週刊文春」の怪』(以上、文春文庫)
4,ミステリー文学資料館・編『幻の探偵雑誌(4) 「探偵春秋」傑作選』(光文社文庫)
5,柴田よしき『0』(祥伝社文庫)
6,門井亜矢『ヘブンズゲイト』(ワニブックスGUM COM!CS)

 漸く買ったかの1。うっかりすると『天狗』と書いてしまう自分が厭。本命は『忍法創世記』だが、こういうのはきちんと揃えなければ日下三蔵氏に報いることが出来ないではないか。ところで、ホームページはどこに行ってしまったの?
 2は粗筋などを見ての衝動買い。実際にあった事件に取材したハードボイルド・シリーズの第五作(うち訳出済みは第一作のみだそうな)であり、PWA受賞作。ハードボイルド、というのもそうだが、魅力的なのはあのリンドバーグの子息が誘拐された事件を題材にしている点である。この事件はアメリカ史上に残る犯罪であると同時に、歴史的な冤罪事件をも引き起こしており、ミステリの素材として最適ではないかと常々思っていた。それをこの大部で、しかもハードボイルドの手法で実現しているというのだから。――余談だが、このリンドバーグ事件はアガサ・クリスティの代表作『オリエント急行の殺人』にも影響を齎しており、あの『マーダーケースブック』でも「冤罪」という同誌では珍しい側面からメスを入れている。
 3は、以前知人に薦められて第三巻を四六判で購入して以来揃え続けている、週刊文春連載コラム。購入し、興味深いと思いつつ積読にしている現状を後ろめたく思ってふと最初の一節に目を通したら、止まらなくなりました。「言葉」に関心のある向きはご一読あれ。
 確かこれの正式な発売日は2000/12/15頃だったのだが、なかなか元バイト先で入荷してくれず、思いあまって先日bk1で検索してみたらあっさりと発見、その場で注文してしまった、6。ゲームソフト『下級生』のキャラクターデザイン・原画などで知られる門井亜矢氏初の漫画単行本である。そもそも私はこの画風にやられてしまった口なのだが、お話もなかなか鋭いものがあって、面白い。特に二本目は馬鹿笑いしました。

 昨日に引き続きお絵描き。同人誌用長篇の設定資料に用いるイラストを描き始める……が、やっぱりまたしても、ペン先のチェックに走ってしまう。心持ち筆圧を抑えめに筆を使うと、紙を削らずに済むと判明。だが反面、この描き方は神経を削る。ひとつ描いただけでへばった。
 読書は依然、資料というか勉強用のものに集中。が、興味を惹かれつつ他の巻を積みっぱなしにしている現状に引け目を覚えてふと最初の一節に目を通してしまった3に俄に没頭してしまい、お絵描きも進行中の本もこの日記さえも一時放棄してしまった。言葉は来歴よりも現在どう使われているか、それ以上に表現者を標榜する以上は己の完成に従うことの方が重要だ、と考えている私には即座に首肯できない箇所も多々見えるが、それはさておき、該博な著者のユーモア溢れる考察は単純に面白いと感じられる。あとで、埋まっているはずの他の巻も引っ張り出してこようか、などと思う。

 リンクページに、上記で触れたものの他、U村さんの「なんとなく劇場」を追加。そのうち消してしまうようなことを仰言っていたが、取り敢えず。説明文で触れているとおり、一部の環境では見えない恐れがありますことを御了承下さい。


「若おやじの日々」への感想はこちらからお寄せ下さい。深川が空を飛びます(飛ばねえって)
もっと本を読みたいよう。

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