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5月9日頃発売予定
井上雅彦・監修『異形コレクション 恐怖症』(光文社文庫/光文社)
最新作「あのバスに」が掲載されます

買っていただけるととっても助かります、ええそれはもう


2002年05月01日(水)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20020501~.htm#Day01

 昨日報告した『B's Menuet』の初期トラブルについて、ユーザーサポートが開いた時刻ちょうどに連絡する。出たばかりの商品ということもあって、同様のトラブルが確認されているわけではないらしいが、「これはどー考えても私が頼んだ商品ではない」ということは明言して、全てのトラブルが解消したあと改めて完全な状態のCD−ROMを送って欲しい、という要望だけは伝える。
 なんでかというと、実は昨日の日記をアップしたあとに、もう一つ正体不明のトラブルが発生したのだ。このソフトにはデータ加工用の『B's WaveEditor』とCDパッケージ作成用の『Cover Disigner』という二本のツールが同梱されている。いちおう別のソフトウェアとはなっているが、いずれの機能もマニュアル上で『B's Menuet』の仕様として表記しているのだかられっきとした製品版が入っている……はずだった。が、試しに一度動かしてから、午前二時頃にもう一回起動してみようとすると
“Your demo version has expired!”
 というメッセージが出るだけになってしまった。訳すと、
“あなたのお使いになっている試用版は期限切れになりました”
 ……唖然とした。冗談だろーと目を疑いつつソフトウェアを一度アンインストールしてインストールし直す。が、症状は同じ。他にも、肝心の『B's Menuet』じたいが起動しようとしても暫し無反応になるというトラブルを確認した。
 これはどー考えたって、CD−ROMに収録されているのは注文した製品ではない。強いて言うなら製品ROMのベータ版だ。トラブルが確認されれば向こうでも即刻差分を公表するだろうが、インストールし直す機会がある都度ダウンロードしたり差分を導入しないと動作すら覚束無いものを普通「製品版」とは呼ばない。これを書いている現在あちらからの連絡待ちだが、どーいう結果か出ても「ちゃんとした製品を送り直して欲しい」という意志は変わらない。
 ……あんまりいい喩えではないと解っても使ってしまう。18禁ソフト業界じゃないんだから、もっとまともな仕事せーよ、と。ライティングソフトのオーソリティを名乗ってる以上は、なあ。
 ここまでを書いたのが日中の空き時間。夜、日記をアップする直前にメーカーのHPを確認したところ、やっぱりCD−ROMの段階で使用制限がかかっていたらしい。困ったもんだほんまに。

 本業のトラブルは、出力装置のサポート会社に出動していただくことになった。当初GW明けて一週間ほど見て来てもらうはずが、退っ引きならない状態になっていたので予定を大幅に前倒ししてもらった次第。改めて原因の検証と光学系の清掃を行ってもらう。一目で解るほど歴然とした汚れが全ての原因だったわけで、やはり仕事用の機材はまめに保守点検を行わないといかん、という話である。実質この作業の確認だけが今日のお仕事と言ってもいい状況だった。それにしても、派遣された方の仕事ぶりは非常に丁寧でした。

 本日のお買い物
1,八木教広『CLAYMORE(2)』(ジャンプコミックス/集英社)
2,『バズ・ラーマン スペシャルコレクション』(20世紀フォックスホームエンタテインメント/DVD Video)

 漫画の積読は二冊を残すのみとなったので、暫くは中身を見たうえでの報告が可能となります。いやー、好きでもこういう残務整理は辛い。
 1はどうやら完全にシリアス路線で行くらしい新シリーズ第2巻。1話・2話完結が多かった前巻から一転、まるまるひとつのエピソードで更に次回に続く。大がかりではないが数話に跨って伏線が張られており、結構丁寧な仕上がりである。『エンジェル伝説』のようなギャグはないが今後も楽しみ。
 2はいきなりながら今月とっっても楽しみにしていた1枚というか全3枚。本日発売の『ムーランルージュ! 特別編』2枚組DVDに、発売済の『ロミオ+ジュリエット』に特典を追加したニューヴァージョンDVDを組み合わせた初回限定生産。『ムーランルージュ!』に劇場で惚れ込んで、あのイカれたハイテンションぶりを手許に置きたいと念じていた一方、『ロミオ+ジュリエット』は依然未見のままだったので、折角だからとセット版で買った次第。早速冒頭だけつまみ見てにやにやしっぱなし。この人たち人間辞めてるよ絶対。

 記録を整理していて愕然とした。今年に入ってから読んだ本よりも、観た映画の方が多くなってしまった。本は昨日までに30冊、映画は31本。DVDでも作業しながらとは言えかなりの本数を観ているはずだから、完全に数が逆転している。どーしたことだ。
 そのうえ今日は映画サービスデーである。ええ行きましたとも当然ですとも。この時期最も楽しみにしていた一本なのに前売りも劇場鑑賞券も確保していなかったため、今日を選んで鑑賞したのは、ケヴィン・スペイシーが自称異星人を演じた異色のドラマ光の旅人 K-PAX』(日本ヘラルド・配給)感想はこちら。あまり熱狂的に支持される作品ではないが、テーマ的にも表現的にもあまりに私好みで否定するところが見つかりません。お見事。昼間はずーっと待機状態が続いて普段よりも疲労と眠気が溜まっていたはずなのに、劇場を出たときにはすっかり背筋が伸びておりました。
 ……今年32本目。って毎回数える気か。

 ……あ、午後も映画観てから顔出せばよかった、と嘆いた私。月曜日の話です。いきなり入ったチャットでお話しした方と現実にお会いできるなんてケースがそうそうあるとは思えないもんなあ。


2002年05月02日(木)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20020501~.htm#Day02

『B's Menuet』初期トラブル続報。
 午前中にBHAのサポートから電話が入る。やはり全ての製品版に使用制限がかかっていたとかで、近日中にアップデートを用意してHPに掲載すること、当然ながら後日プレス版も送付することを明言した。それはいいが、私としてはWebのカタログに「CDDB機能対応」と謳っておきながら届いた製品の段階では使用できず、後日ホームページに差分を掲載するのでそちらを利用してくれ、と書いてあること自体に問題があることも指摘する。仮に使用制限の問題がなくとも、そもそもこの状態では「購入した製品が届いていない」のと同じではないのか。もし使用制限を解いたものをプレス版で用意するというのなら、むしろこちらの「欠陥」も改善したものを送るのが筋ではないのか、と指摘した。
 それにしても全くまあ、呆れて言葉が出てこない。その後の対応がまだまともだからいいとしても、企業としては一発で「信用する能わず」という評価に切り替わってしまった。……正直、問題のプログラムじたいそんなに出来がいいわけでもなさそうだしなー……。
 ちなみに今日現在、『B's Menuet』の販売はダウンロード・郵送共に休止している。当然だ。色々なバグに巡り逢ってきたが「使用期限が切れました」なんて言われたの初めてだよ畜生。元々、旧製品でユーザー登録を済ませている人を対象にした優先販売サービスだったが……体よく(……か?)バグフィックスに使われただけだよな実質は。

 本日のお買い物
1,瀬戸内寂聴・訳『源氏物語 [新装版] (九)』
2,小野不由美・いなだ詩穂『ゴーストハント(7)』(KCなかよし/以上、講談社)
3,津田雅美『彼氏彼女の事情(13)』(花とゆめコミックス/白泉社)
4,八神 健『ななか6/17(7)』(チャンピオンコミックス/秋田書店)
5,『MUSIC FROM BAZ LUHRMANN'S FILM MOULIN ROUGE!』(Universal International/CD)
6,aiko『あなたと握手』(Pony Canyon/CD Maxi)

 漫画の積読がやっと消化できたと思ったらその日のうちに三冊も。まあ、休日中は新刊の発売がないからまだましか……。
 DVDを買ったその翌日に何故かサントラも買ってみた5。劇場で鑑賞したときにも音楽の質は高いと思っていたが、DVDで鑑賞しているうちに単独で聴きたいという思いが募ってきたので早速購入。3月に2枚目が出ているが、そちらは映画で使われていた状態そのまま(但し、版権などの絡みでCD媒体でのリリースは危ぶまれていた楽曲が多い)のものが大半のようなので、映画版とは違うヴォーカルを採用していたり映画では全編が使用されていなかったものも多く収録したこちらをまず買ってみたわけ。映画では前半のハイライトとなるカンカンの場面でかかっているのがあのFatboy Slimによる新作だと知ってかなり驚いたが、そう言われてみればリズムの扱いはまさにノーマン・クックのそれである。CD収録版は、いちおうはミュージカルの体裁がある映画版では不可能なエフェクトを大量に施したもの。ハンス・ジドラー役のジム・ブロードベントの“Everybody Cancan!”という叫びがこれでもかとばかりに煽り立てる。いやー、やっぱし凄。CDの不満は、オリジナル楽曲である『Come What May』など重要な曲に限って歌詞が収録されていないこと。資料として欲しかったんだけどなー。
 6は店頭で初めて、発売していた事実を知った新作マキシシングル。何も考えずに購入。

 ――で、帰宅してからホームページを確認したところ、既にアップデートが掲載されていたので早速導入する。……アップデートが終わってもダイアログが閉じない。
 取り敢えずちゃんと不備は改善されたのだろう、と思っていじってみたのだが……
 動くことは動いたが、データ加工用のツール『B's WaveEditor』はマニュアルに書いてあるMP3方式での保存が出来ない(或いはどこで設定すれば保存できるのか解らない)、『B's Menuet』はデータの保存場所が設定ダイアログで指定した曖昧な場所にのみ保存されその都度指定し直したくても出来ない、データの変換がいつ終了したのかいまいち判断しづらい、更に保存したデータをその場で呼び出すことが出来ないため改めて「ファイルを開く」で指定しなければならない、そもそも起動するときとしないときがあるエラーは全く改善されていない、それ以前に使い勝手が最低、というどこを評価したらいいのか解らない屑ソフト。この状況で悠長にサポートセンターを休ませているのが更に不愉快である。んとにもう。電話でのサポートが休み明けまで不可能となったので、取り敢えずオンラインサポートに問い合わせてみようかと再びホームページを参照すると……処理能力を上回る問い合わせが殺到したため閉鎖中……駄目だ。本当に駄目だ。結局、MP3の再生・CDからの複写については今までどおり『Music Match Jukebox』を使うことにする。あっちは、データ加工の部分だけまともに使えるようになればよしとしよう。

 と怒ってばっかりいるのもアレなので、最後に個人的に嬉しいニュースを付け加えておく。
 トム・クルーズ主演・製作による『Mission Impossible』シリーズ、第3作の製作自体はかなり前から予告されていたが、肝心の監督が誰になるのか、様々な情報が飛び交い確定しなかった。前作同様ジョン・ウーが担当するというのを筆頭に大物が並んでいたが、どれも個人的にピンとこなかったのである。
 が、今日知った正式発表にあったその名前は、私にとって一番嬉しいものであった。
 デイヴィッド・フィンチャー。『セブン』『ファイト・クラブ』の、トリッキーな映像感覚と狂気の描写に長けた監督である。なるほど、この選択ならば少なくとも私には文句がない。期待しましょう。


2002年05月03日(金)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20020501~.htm#Day03

 憲法記念日。映画版『マップ・オブ・ザ・ワールド』も某氏に見せたいと思う今日この頃。だって、元を質せば原作そのものが「家族」をテーマにしてるんだものそりゃ合うわな。

 朝、食事しながらやっぱり今日も行くか? などと考えていたら宅配便が来た。井上雅彦・監修『異形コレクション 恐怖症』(光文社文庫/光文社)の見本、追加注文込みの10冊である。今回わたしの居場所は……ぐはっ。……実地でご確認ください。早見裕司さんと同じ本に載るというだけでも嬉しかったが今回は柴田よしきさんもいらっしゃって驚く。
 とりあえず自分の作品を点検……早速修正ミスをふたつほど見つけて凹む。一般読者からするとそれがどーした的な問題に過ぎないが、作者には忸怩たるものがあるミス。店頭に並んでから誤記部分をここに記しますので、脳味噌の中でだけで結構ですので修正しておいてください。うあーん。
 現物が届いたところで、そろそろ次の準備も始めないとならない。題材は幾つか頭の中にあるのだが、どれを選ぶかが迷い処である――間違うと書いている途中で資料が足りなくなったり書き方が解らなくなったりでまた仕切り直しになるから、ここが結構難しい。ところで次の次のテーマは何だろう、と思って見てみると――
『酒の夜語り』
 漸く長年の約束が果たせそうである。本人にとっては不快かも知れないが。

 明らかに道を知らない運転者が大挙する町中を首を振り振り駆け抜けて本日観た作品は、アカデミー作品賞ほか主要四部門獲得のビューティフル・マインド』(UIP・配給)。今年33本目の感想はこちら。堪能堪能。何でもいいんじゃんお前とか言わないように(半分くらい事実だが)。来月半ばぐらいで少なくとも現在の日比谷スカラ座からは撤退するようだが、劇場を出てみると2回目上映を待つ人の列が受付の外にまで続いており依然盛況らしい。……まあ、GWだし。
 帰途も運転の下手な車(含タクシー)を躱しつつ、本屋とファーストフード屋に立ち寄って帰宅。そのあとは『ムーランルージュ!』のDVDをしつこく眺めたりしながらのんびり。……この連休、一日くらい本格的に何もしない日を作らないと、あとが辛いな……。

 本日のお買い物(異形コレクションは省く)
1,上山安敏『魔女とキリスト教 ヨーロッパ学再考』
2,湯浅泰雄『ユングとキリスト教』(以上、講談社学術文庫/講談社)

 資料がわりの二冊。この辺をいつ題材にするのかは解らないが、ちまちま蓄えておくに越したことはない。

 なんか知らないが毎回見るように習慣づいてしまった『ビューティー・コロシアム』。第一印象から「顔立ちえーやん」とはっきり解る娘もいて、世の中美醜の基準自体曖昧だよなあという具合に学ぶことも多い番組である――物書きの端くれとしてな。
 しかし、この番組にはもう一人プロフェッショナルが必要だと前々から思っているのだが、導入するつもりはないのだろうか――メンタルケアの専門家を。明らかに主観的な問題から苦しんでいる人もおり、心持ちさえ変えればメイクアップ抜きでも充分美人になりそうな資質の持ち主も少なくない(というかこれこそ基本の方法だと思う)。むろん、それから髪型の工夫やメイクの技術を学んで自分なりに美を磨く方向へ指導する必要はあると思うが、意識を改革できる人間が一人居れば更に仕事はやりやすくなる筈なんだが。しばらく前に、眼鏡が外せない、という一種の依存症を示していた娘が出演しており、まあ外形を整えることでどうにか外させることに成功したものの、ここにメンタルケアの人間がいればもっと仕事はしやすかったと思うのだけど。
 ……まあ、別に長く続いて欲しいと願っている番組でもないので、現状でもどーでもいいと言えばどーでもいいんだけど。

 そしてあんまし興味がないはずなのに『スターウォーズ特別編』初の地上波放送を眺める。結構面白い(が演出が間延び気味でないか?)が、それ以上に某氏(リンク不可)が放映途中にリアルタイムで日記に雑感を書き留めているのが笑えた。


2002年05月04日(土)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20020501~.htm#Day04

 国民の休日。世間的にはまだ春の陽気だが、それは西向きにしか窓のない私の部屋に初夏が訪れたことを意味する。今年初冷房。扇風機は常時稼働。

 今日は完全休養と称して、創作活動は全て休む――と心に決めたはずなのに、本を読みながらあれこれと思いつくところがあって、結局ちまちま手を入れているアイディア用のテキストを書き足したり書き直したりしているのだった。……ああ、調べないといけない資料がどんどん増えていくなあ……。

 それでも日中は特に外出もせず、DVD(しつこくもまだムーランルージュだ)をつけながら軽い整理整頓。軽い、と添えねばならないのは、これで足許がすっきりするわけではないから。めったやたらに雑誌や包装、ゲームの箱などを積み上げていただけだった一画を一旦切り崩し、雑誌とゲーム箱、どうしてこんなとこに挟まっていたんだと思うような買い物の特典類とそれぞれ別々に仕分け、紙袋やビニール袋などの梱包材は使えるものと使えないものとに選り分け、再度分類ごとに積み直したのである――仕舞うところなどとうにないから、スペース確保のための大規模な整理が出来ない今はこれが精一杯なのだった。下に低めの本棚などを納める空間も設けたベッドより更に高い雑誌の山が二つも出来てしまうと我ながら色々危機を感じなくもないが。
 切実に蔵が欲しい。それが駄目でも1フロアぶち抜きの広大な書庫が。

 で、ほんとにしつこくて恐縮だがそれでも話題に出すDVD『ムーランルージュ!』。
 この特典ディスクにはFatboy Slimのインタビュー(使っているのがあんな古い“アタリ”のPCだというのが凄い)など、作品の内容故か音楽ファンにとっても興味深い映像が多々収められているが、中でも特に私が惹かれたのは、数少ないオリジナル歌曲『Come What May』のプロモーション画像である。
 作中ではリハーサル中、クリスチャン(ユアン・マクレガー)がサティーン(ニコール・キッドマン)に演技を指導するふりをしながら愛を語る、という場面で使われている曲で、静かだが感動的な曲想のバラードに仕上げられている。が、特典として収録されたPVのそれは、アレンジが劇中のオーケストラ主体のものと違い、打ち込み中心のポップバラードになっている。これえーやん、と思い、映画で使われていないヴァージョンである以上CDに収録されているのだろう、とあちこち調べてみたが……ない。劇中と同じ雰囲気でアレンジしたものがサントラ1枚目に収録され、最近発売された2枚目には映画で使われたのと全く同じ音源が使われているのみ。
 どうやらこのヴァージョン、本当にPVのためだけにリミックスされたものらしい。勿体ぶった劇中のものよりも、単独としては聴きやすい仕上がりなだけに非常に勿体ない。サントラ3枚目の企画があるようならば(実際、もう一枚作れるくらいの音源が残っているはず――前半の山場、ムーランルージュ初登場の場面で使われる“ジドラーのラップ”など)是非とも収録してくれないだろうか。……無理かなー。

 更にしつこくもう一つだけ。大作映画を観に行くとその1/3くらい戸田奈津子氏の仕事だったりするのだが、例に漏れず『ムーランルージュ!』も戸田氏の手による。問題となっている『ロード・オブ・ザ・リング』についてはまだ観ていない、というか正直観るかどうかも微妙なので言及しないが、基本的にこの人の「意訳」については、物語のリズムを文字で損なわせない技術のひとつとして許容している。『ムーランルージュ!』についてもかなり大量の意訳が目に付くのだが、だが言葉の意味通り訳して果たして日本人に理解できるか、という疑問もあり、そういう意味では非常に巧い、と感じることの方が多い。
 それでも技術が勝ちすぎる所為なのか、幾つか重大な問題を見つけた。いちばんの問題は、動きと字幕で示される内容の不一致。分かり易いのは、クリスチャンとサティーンが抱きあっている(場の成りゆきではあったが)場面を出資者となるはずの男爵に目撃され、慌てて「芝居の打ち合わせをしていた」と取り繕う一幕。クリスチャンはその場にあるものから連想して、アドリブで粗筋を語っていくのだが、このとき「シタール奏者」というキャラクターを着想して突然に話に盛り込む。きっかけは、彼らのいる部屋に置いてあるシタールをクリスチャンが見つけたことで、クリスチャンが初めて「シタール」という言葉を口にするのは当の楽器を手に取ったその瞬間。
 この、タイミングが重要な一幕で、字幕は一瞬だけ先走って「シタール奏者」という台詞を表示してしまっている。殆どの人は大した問題ではない、と感じるかも知れないが、クリスチャンがシタールを掲げつつ「シタール奏者が〜」と口にするのと、説明として先に吹きこまれてしまうのとでは、動きの見せる効果が全く異なる。ここは、それこそ前後に「意訳」を交えてでも、クリスチャンの仕種に合わせた字幕にして欲しかった。
 で、そう考えて観ていくと、他にも気になるところが少なくない――まあ、結局のところ、字幕とてある方法論に基づいた「創作」のひとつであり、同じように言葉を使って表現することにこだわりのある者として不満を覚えるのは常のことで、特に戸田訳が悪いわけではない、と思うのだけど。――昔、深夜に放送されていた映画の字幕なんか明らかに時代考証を間違えてたしなあ……。

 なおあのゲームはインストールすらしてません悪しからず。『終ノ空』のことではありません(こっちはインストールそのものが無理だが)。


2002年05月05日(日)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20020501~.htm#Day05

 コドモ大トカゲの日。

 マーク・D・フェルドマン/チャールズ・V・フォード『病気志願者 「死ぬほど」病気になりたがる人たち』(原書房)読了。資料目的なので感想はなし……と言いつつちよこっとだけ触れると、自らの血を抜いて尿に混ぜたり排泄物を傷痕に擦り付けて感染症を引き起こしたり、自らの命を危険に晒しても病気を偽ろうとする人々――虚偽性障害についての啓蒙書。医師や医療スタッフの理解と理性が必要な病であるにも拘わらずまだまだ浸透していないことを憂えて発表した一冊である。読み物としても症例報告としても、まちまちな叙述方法のためにいまいち洗練されていないが、症例自体が持つインパクトと著者二人の深い考察があるために、当初の目的は充分に果たしていると言えるだろう。ただ、資料目的としても利用する身には、症例の書き方を統一し引きやすくするなどの工夫が欲しかったところだが。加えて、引用した論文の一覧もあれば更に幸いだったのだが――そこまでするとあまりに特殊化しすぎか。

 ボケのフォローすら怠るほど無気力な一日であった。反省して夕方突如覚醒し、だいぶ慣れてきた道を走ってお台場まで。……結局また一日おいただけで映画を観に行くのであった。GW限定公開、リュック・ベッソン提供、新鋭オリヴィエ・メガトン監督EXIT』(K2・配給)。感想は……帰宅時間が遅かったので、午前3時頃にのんびり追加するか、か或いは明日付の日記と一緒にアップします。お楽しみに、しなくてもいいです。
 時間が時間なので出先で夕食を採ろうとしたが、いつも立ち寄る日本料理店(そば・うどんが充実している)は長蛇の列が出来ていて時間内に食事が採れるか解らなかったので、てきとーに席に余裕のあったラーメン屋に入って食べる。これが意外と当たり。
 それにしてもGWのお台場は家族連れかカップルばかりで、しかも夏日なもんだから殆どの人が半袖程度の軽装である。こちとら帰宅時間が遅いうえバイクに乗ることも考えないといけないので、Gジャン着用の春先の装いである。エスカレーターに乗っていると訳もなくアクロバットをかましたくなるような連休の一日。


2002年05月06日(月)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20020501~.htm#Day06

 振替休日、GW最後の一日。

 今日もまた自堕落な一日。当初、かなり近所に越してきた某氏のお宅にちょこっとご挨拶に窺おうかと思っていたのだが、母が十年振りくらいにお台場がどうなっているのか見てきたい、と父と共に外出するのに思わずくっついていってしまった。図らずも二日連続のお台場詣でである。と言っても、DECKとメディアージュ、アクアシティの界隈をうろうろして、私がメディアージュで映画を観るたびにまず食事に訪れる店でそばを食って、父が欲しがっていたセカンドバッグを探して買っただけ。如何に部分的に繁栄しているかを眺めに行っただけなのだった。

 夕方、今度こそご挨拶に窺おうと思い、自転車で外出する――が、出掛けに住所を確認するのを忘れてしまい、記憶を頼りに引っ越し先近辺を探してみるも確信が持てなかったので結局後日に改めて訪れることに決める。
 そのまま帰るのも何なので、自転車を漕ぎ漕ぎ遥かに遠回りして秋葉原まで向かう。一時間以上あれこれと物色するが特に買いたいものもなかったので、DVD収納に利用しているコンテナをひとつだけ買い足して帰る。
 ……いい運動にはなった。

 で、一日遅れでEXIT』(K2・配給)感想をアップ。悲しいのは、今日出向いた秋葉原で、DVDが6月に発売すると知ってしまったこと。……いやまあ、劇場で観るのとDVDで観るのとでは意味が違うのでいいんだけど。てか、それでも買うのか俺は。
 そうそう、あとで気づいたことだが、どうやら私は三本続けてどこかしらで精神病院の登場する映画を観てしまったらしい。全部扱いは違うんだが、それでも何だかなーと思う。


2002年05月07日(火)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20020501~.htm#Day07

 連休……明けたんだよな。仕事があんまり少ないからまだ休みが続いているような気分さあはははははは(虚しい笑い)。

 午前中にまたBHAのサポートに電話を入れる。ソフトがうまく起動しないトラブルと、WaveEditorで対応しているとマニュアルには記述してある保存形式が実際には適用できない2点について確認を取る。ソフトの販売の仕方はあまりに駄目駄目だったが、午後になって折り返し連絡をくれたのが前と同じ担当者であった点だけでも、サポートの対応は評価しないといけないだろう。起動しないトラブルの方は、他のライティングソフトの影響が考えられるので、HPに掲載しているそれらの影響を外すためのツールを利用してみることで一旦様子を見る。しかし後者は、単純にマニュアルと広告が間違っていただけの話で、はなから仕様になかったとのこと。……問題は、作る側の不協和音かも知れず。取り敢えず様子を見つつ、使える範囲で使ってみることにする。
 帰宅後は、異形コレクションの担当氏に連絡を取って、『あのバスに』の表記統一上のミスを訂正してもらう。ついでに幾つかお話を伺ったり。うーん、やっぱし難しいか。

 本日のお買い物
1,渡瀬草一郎『陰陽ノ京 巻の三』(電撃文庫/メディアワークス)
2,梅川和実『ガウガウわー太(3)』(BUNCH COMICS/新潮社)

 2は一部で異様に話題を振りまいた委員長編が遂に収録。この巻だけ異常に売れたら笑うな。どーして話題になっていたのかよく解らなかった方は、これ一冊で片が付くのでこの機会にご確認を。

 bk1のメンテナンスが終了したはずなので、伝奇フェアの特典目当てに何か購入しようとアクセスしてみるが反応なし。おーい。

 電撃に名前が載ってない? それはもしかして、原画・シナリオが同一人物と記されている一件かな? いや、私も嫌がらせかなーとも一瞬思ったが、新作情報記事の誤記なんて日常茶飯事だから気にも留めてなかったわあはは。

 それにしても、全く接点のない出版社や編集部にアクセスを取るにはどーしたらいいやら。訳あって、ちょっとあっちこち打診してみる必要が出来そうなのだけど……ここを御覧の方で「紹介してもいーよー」という奇特な方、いらっしゃいましたらご一報下さい。結構本気で困ってます――いや、最近はいきなりアクセスを取ってみるくらいのくそ度胸はついてきた気がするんですが、まあ。

 その後、bk1に無事……かどうかは知らないが、繋がる。どうもサーバが桁違いに重くなっているらしい。どうしてメンテナンスしたのに重くなるのだろう。そして、購入するものをあれこれ物色しているうちに再びアクセス不能になって現在に至る。メンテナンス……いまやってんじゃないのか……?

 ……では、用意が出来たら直接交渉してみましょう……。ちょうど名刺代わりもいまなら提出できるし……。


2002年05月08日(水)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20020501~.htm#Day08

 昨晩ふと浮かんできた思いつきが日中いっぱいかけて醸成し帰宅途上に凄まじい勢いで醗酵してきたので、家に着くとすぐさまノートPCを起動してネタを纏める。文章で勘所だけ抽出すると非常に短くなってしまうのがアレだが、なかなか理想的な長さの長篇になりうるネタである……但し、果たしてどう捉えられるかが問題だったりするのだが……。

 帰宅後、再び出かけて確認がてらの軽い買い物。講談社ノベルスと光文社文庫の新刊を見つけるが、いずれも行き付けで多分入荷するはずなので購入自体は見送り。しかし、今回は大フィーバーだと思っていたのだが、個人的な目玉のうち二つまで延期してしまったのでちょっと泣く。目玉だと思っていた中で、残ったのは『マレー鉄道の謎』だけ……。

 本日のお買い物
1,『TrueTypeWorld ValueFont D2』(RICOH/フォント集)
2,『Kanon Band 2 [初回限定版]』(東映アニメーションMovic/DVD Video)
3,近藤富枝『服装で楽しむ源氏物語』(PHP文庫/PHP研究社)
4,早見裕司『Mr.サイレント 仮想世界の優しい奇跡』(富士見ミステリー文庫/富士見書房)d

 1はまず、古印フォントがどーしてもひとつぐらいは欲しかったので、安めで、ある程度の数も収録していて、更に第一水準でフォローできていない漢字を収録していると機能的に一番お手頃だったので購入……が、どーもIllustratorは外字の入力そのものに対応していないらしい。ぐっすし。まあ、半古印フォントは手に入ったし、他にも現在利用しているのよりも適当なフォントが幾つか入手できたので良しとする。あー、「こめかみ」を最小限の手数で表示できるようにならないものか。
 2は要するに全巻収納可能なBOXつきのもの……かと思いきや、DVDのみならずサウンドトラックCDの、初回限定で発売されるトールケース版二種も同時に収納できるものだったらしい。……ああ、姑息な手に引っかかってしまった……
 3は資料代わり。あまり資料の見つからない平安時代の服飾についてかなり細々と記しているようなので。
 4、は自覚的に購入したダブり。いつかサインしてもらうんだいっ。

 入浴中に、冒頭で触れたネタの一番重要な絡繰りが降ってくる。出たあとで他のこと(この日記も含む)を放り出してネタ帳に書き留める。あとは幾つかのポイントさえ整頓して、アウトラインを補強すれば一気に書けそう。

 そーいやASって知り合いのどなたかが関与してたような……や、別に深い意味はないですええないですとも。


5月9日発売
井上雅彦・監修『異形コレクション 恐怖症』(光文社文庫/光文社)
最新作あのバスにが掲載されました

買っていただけるととっても助かります、ええそれはもう

初版に一部訂正個所があります。
内容的な影響はありませんが、
ご確認のうえ適宜修正下さい。

こちらから
(なるべくでしたら読了後に一読願います)

2002年05月09日(木)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20020501~.htm#Day09

 昨晩のそれから。
 そーいや買ってきたゲームのためにハードディスクの中身を整理整頓しておいたんだった、と思い出し、俄にちょこっとだけ遊んでみる気になった。そこで手をつけたのが、
 ……『Only You -リ・クルス-』-』(Alicesoft・Windows対応ゲーム・18禁)……?
 何故か最近買ったゲームではなく昨年夏頃に買ったままほったらかしの一本。ケース自体は開封済だが中身のゲームディスクを収めたプラケースは何と未開封。無論とうの昔に攻略本も豪華な装幀で発売済の、そんなゲームを突如遊び始めて……ちょっと、では済まなくなった。
 さすがはアリスソフト、システムがこなれているお陰で、プロローグの冗長さもあまり気にならない。いざ本編に入れば、――時間経過がシビアな『同級生』シリーズ(オリジナル版の作られた時代を感じさせるデザインだ……)といった趣で、しかも移動の間に敵との遭遇もあるので緊張感が保たれている。まだ冒頭なので(だから切り上げどころが見つからなくなりだらだらと遊んでしまったわけで)シナリオそのものの評価は措くが、問題点を殆ど感じさせない仕上がりであるのは間違いない。てゆーかタイガージョー最高。
 ……『うたわれるもの』は? 『ONE2』は? どーしたんでしょーね。

 夜中がそんな状態だったのでせめて日中は作業に没頭しよう、と決意したのにそーいう日に限って忙しい木曜日。なんだかとうとう職場でもネットワーク環境を取り入れることになりそうだが、それはまた別の話。愚痴がてら日記の下書きをするのが精一杯であった。

 本日のお買い物
1,有栖川有栖『マレー鉄道の謎』
2,浦賀和宏『浦賀和宏殺人事件』
3,西尾維新『クビシメロマンチスト 人間失格・零崎人識』
4,森 博嗣『朽ちる散る落ちる』
5,本格ミステリ作家クラブ・編『本格ミステリ02』(以上、講談社ノベルス/講談社)
6,鮎川哲也『王を探せ』
7,土屋隆夫『天狗の面 [新装版]』
8,山田風太郎『山田風太郎ミステリー傑作選9 怪奇篇 怪談部屋』
9,井上雅彦・監修『異形コレクション 恐怖症』(以上、光文社文庫/光文社)

 講談社ノベルスのばか――――――――――!
 ……この叫びはダブルミーニングです。それは兎も角やっと、漸く、とうとうの国名シリーズ最新刊登場。いつもより厚めの長篇である。しかし、国名シリーズでタイトルに掲げられた国を本当に舞台にしたものって今回が初めてじゃなかったか?
 2は密室本。正直、この体裁自体に異論はあるのだが、この本に限っては……いや、何も言うまい。ちなみにまだ一冊も封を切ってません。
 3はメフィスト賞受賞第二作。前作を読んでいないのはいつものことだが、それにしてもパラパラと眺めただけでどーも反りが合わない危険を感じてしまった。表現そのものには抵抗はないが、その取り込み方のセンスが……不安。
 5はその分厚さで話題になった本格ミステリ選集の第2巻。この手のアンソロジーとしてやや特異なのは評論を併載していること、そして本巻から漫画も掲載していること。と言っても、二階堂黎人さんの『ボクちゃん探偵』シリーズの設定に基づくオリジナル・ストーリーなので、人と解釈によっては微妙な位置にあるかも知れない。殆どの作品は後日それぞれの作品集に掲載されるはずで、作家のファンにとっては価格もあってお買得感は薄いかも知れないが、本格ミステリ大賞の選考会の議事録も収録されており、「いま」の本格ミステリ観を理解するためのいい資料にはなるのでは。
 6は光文社文庫からの復刻、ひとまず最後となるらしい一冊。同姓同名の人物のいずれかが犯人、という意外と類を見ないシチュエーションを用いた、比較的(あくまで比較的)最近の長篇である。……だから、『宛先不明』を出してくれないのか……
 7もまた復刻シリーズより。例によって2/5くらい短篇・エッセイを追加した再編集版。表題作は土屋氏の第1長篇で、それ故に文章・ストーリー共々こなれていないが奇妙な勢いのある作品である。
 8は風太郎ミステリのみの全集、遂に完結の一冊。補遺刊行後に発掘された短篇(まだ「発掘」されてしまうのが何というか)も追加した怪談集である。何度見ても、『うんこ殺人』は題名の破壊力が凄まじい。
 よーやく店頭で確認しました、の9。見本と直接購入で手に入れたあとでも、取り敢えず最低一冊は買ってみる悪癖。ともあれ店頭に並んだので、profileの作品一覧にデータを収録。短篇ばかり7本……別の意味で凄いんじゃないかと思い始めた今日この頃。

 発売を確認したので、『異形コレクション 恐怖症』掲載の拙作『あのバスに』について、訂正の告知をさせていただく。(以下、なんとなく筋が察せられてしまう危険が指摘されましたので背景に同化させます)
 内容的な問題は発見していないのだが(仮に発見してもその辺はほっかむりしてしまうかも知れないが)、表記の統一上で二つの問題があった。まず、49ページ中程にある「※」、三つ並びになっているが、一番下のものだけ消していただきたい。理由は、二度三度ほど通して読んでいただければ解っていただけるはず。
 もう一点、72ページ最後から2行目、8文字目の「私」は平仮名の「わたし」である。このくだりの一人称は全て平仮名で統一しているからだ。
いずれも、本への書き込みに抵抗を感じない方は直接修正していただいても構わないし、駄目ならば脳内で変換していただければ幸い。繰り返すが、殆どの方には意味のない、あくまで作者の拘りの問題なので。

 ――ちなみに、ここではやたら頻繁に「本格ミステリ」という単語を用いておりますが、その定義については「商標」としての存在意義と「様々な解釈をなるべく包括したうえでの最大公約数」的なものを代弁する言葉、程度に捉えて使用しております。ジャンルなんて人によって解釈が違うもんだ、というかなり捨て鉢な考え方をしている人間ゆえ、厳密に定義するつもりは今後もあんまりありません悪しからず御了承下さい。
(――まあ、カーとクイーンに倣ったものと叙述トリックまでは間違いなく本格ミステリ、という程度の信念はあり、その上で「本格ミステリを書きたい」などと言っているわけですが。しかし私のあてにならないところは、志水辰夫氏の『背いて故郷』を本格ミステリだと考えているあたりであって以下略)


2002年05月10日(金)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20020501~.htm#Day10

 ……ほんの一杯のつもりで呑んで、いつの間にやら梯子酒……
 酒ではないが似たようなものだ。カバーかけに時間がかかり、もー寝るまでの時間もあとちょっとだから作業に集中することも難しい。それなら、と『Only You -リ・クルス-』に手を出してしまったのが運の尽き。
 就寝したのは午前五時、すっかり空も白み始めた頃合いであった。
 正直に言うと、それほど圧倒的に出来のいいシナリオではない。特異な冒頭にタイガージョーという衝撃特大のキャラが底上げしているが、全般にエピソードは凡庸だし展開が読める割りに自由度が低く、キャラ攻略に執心すると終盤ルーティンワークが増えるのも(実はこれこそアリスソフト作品共通の、最大の弱点だ)問題で、延々遊び続けていたにもかかわらず実はまだひとつもエンディングを見ていない。途中でも確認できる薔薇エンドぐらい見ておきたい気もするが、出来れば悪夢はギリギリまで見ずに済ませたい。しかし、世の中にルーティンワークほど嵌って始末に負えないものもなく、切り上げどころが解らないまま夜更かししてしまったのだった。
 どーでもいいが来夢って幾つだ……? 色々と、色々な約束に抵触してないかこの設定。

 今週は本業が平均的に忙しい毎日で、気分のうえではだいぶ楽なのだが時間はますます足りなくなっている、ってそりゃゲームまで始めたからだろ、というツッコミは不可。
 一方、同人活動の余波か俄に個人の創作のヴォルテージも高まっていて、随分前から考えている昔書いた長篇(ただし短め)のリライトの準備を始める。一体幾つの作業を同時進行させれば気が済むんだ。

 本日のお買い物
1,ビル・プロンジーニ&バリー・N・マルツバーグ『嘲笑う闇夜』
2,黒川博行『文福茶釜』
3,柴田よしき『Miss You』(以上、文春文庫/文藝春秋)

 新刊ばかり買っていると表記が楽で却って退屈なのだがそれはさておき。
 1は日本に於いてはその名前だけが知られていた、幻の名作初の訳出。プロンジーニのサスペンスというだけでも買いだと思うのだが、そこへ折原 一氏の推薦文がついてはもはや逃げる術がない。どうして「パルプ・ノワール」シリーズの一冊として刊行されたのかが謎だが。
 2は直木賞の候補にもなった、古美術の世界に取材したミステリ。黒川氏の作品自体あまり読んだことがないので、入門のために購入。……毎度ながらいつ読むのかはまるで不明。

 久々に小説読了。稲生平太郎『アクアリウムの夜』(スニーカー・ミステリ倶楽部/角川スニーカー文庫/角川書店)。やっと読みましたよー>某氏。作業や資料読みと並行しての読書だったため、読みやすいと感じながらも2週間以上費やしてしまった。何にしても、読めること自体が幸いと思えるホラーの秀作。詳しい感想は例によって別ファイルにて。

 ……あ、そろそろ、あっちの同人の原稿依頼も再開しないと。どーもこういう交渉作業は先延ばしにしてしまいがちでいけない。

 気づかないうちにまた状況が変わっていたらしい。夏頃、ってことは……まだ今年いっぱいは企画として成立しうるわけか。ちょっと性急に働きかけるつもりでいたが、またしても思案どころ。どーしたもんやら。
 しかしほんとに仕事だらけやね。それもいつ公表できるのか解らないものばかり。


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