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By Genre
(1) Musical/ Music videos
  Oklahoma (1955) Rodgers & Hammersteinのミュージカル。 母に連れられて小学3年の時に映画で見た(右下) 最後は、新州としてのオクラホマを祝う「Oklahoma」のテーマソングで終わり、それなりに楽しめる映画だが、いろいろ知るようになった現在は、少し異なるイメージを持っている。
         
 Laurey と Curly が乗るSurry   劇場公演版 エンディング・テーマ
              
  Showboat (1936 version, black & white)  繰り返し映画化されているが、1936年のが一番よい。黒人問題にも切り込む。
     Nola と Gaylord

  Der Kongress tanzt(会議は踊る) (1931)  「会議は踊る、されど進まず」 私よりも上の世代が楽しんだ
              
 Wien und der Wein (mp3down load)  Maedchenを惑わかたロシア皇帝Alexander I とMetternich(Windsor宮殿に肖像画)  
 Es gibt nur einmal, es kommt nicht wieder  
  
 Leise flehen meine Lieder(未完成交響曲)(1933)  悲しい恋の物語(詳細解説 <--を見よ)
               

(2)Novels and Short Stories
  Der Schimmelreiter (1934) 主演 Matias Wieman (Hauke)、Marianne Hoppe. 原作 Theodor Storm。北ドイツのフリースラントにおいて海岸の堤防を守る責任者(Deichgraf)であるHaukeとその一家の話。小説は、後述するように、「私」が昔よんだ雑誌の手記を思い出すところから始まり、その手記の中身が小説の主題となるという、Storm が得意ないわゆるRahmenerzaehlung (枠物語)になっているが、1934年の映画は村の青年Haukeが新しい堤防を計画するところから始まる。海と接し、厳しい自然の中で暮らす北ドイツの農民の生活が白黒の映画によって一層リアルに伝わってくる。しかし、Haukeとその妻が犠牲になる最後の場面は、この話の一番ハラハラするところだが、当時の撮影技術のせいか、今一つだ。
 話の中身については、次のページ Books/Theodor Storm/Schimmelreiter

(3)Mysteries / Crimminal stories
  Sherlock Holmes Series      ホームズ・シリーズは、殺人がなくてもミステリーになることを証明している。「銀星号事件」(Silver Blaze)などが面白い。イギリスは、競馬の本場、競馬に関する小説・推理小説が多い。

  Poirot (Agatha Cristie) TVシリーズを映画化したのは、最初のアール・デコのタイトル・ページがいい。各挿話の中でも、ポワロの部屋やその他のところで、アール・デコがふんだんに出てくる。ポワロの事務所があるあの建物はどこにあるのか? ポワロは昔本で読んだときは、金髪で緑の目だったように記憶しているが、テレビのポワロは異なる。ポワロがまだベルギーで警官をしていたときに、ある金持ちの家で男性がチョコレートを食べて毒殺さされる事件、若い女性がロンドンの食堂で親類友人と食事をしているときに毒殺されるアイリスの事件などは、面白いが、最近はポワロが嫌いになった。それは、ポワロが最後に事件解決をする際に、犯人を非難することが多く、しかも、犯人の殺意を説明するときに、ある種のパターンがあり、たとえば非嫡出子で冷遇されていたことが殺意の原因であるかのような言い方をしている話が幾つかあるからである。

 Partners in crime, 'Tommy and Tuppence (Agatha Cristie) 人のよい探偵トミー、帽子好きのタペンスの話。タペンスは2ペンスのことだが、どの話だったか、タペンスの名前に関係して事件が解決されるものがあったが、忘れた。
 Dorothy Sayers, Mysteries (BBC Videos)  最初のテーマ音楽とロールス・ロイスで男女のシルエットがいい。
 Line of Duty イギリスで人気がある最近のBBCテレビドラマ。第1主リーズは2012年、2021年現在は、第6シリーズの放映。汚職・犯罪警官などを捜査する部署(AC12)の話だが、内部にも裏切者がいて、誰が善く、誰が悪なのか、わからないところがおもしろい。また、部署内で聞き取り・取り調べをするガラス張りの部屋と、記録(録音・録画?)の取り方がよい。密室で取り調べをするのと異なる。
               
(4)Comedies
  The Princess and the Pirate (1944) 主演 Bob Hope、変装が得意なコメディアン芸人シルヴェスター (Bob Hope) が乗り込んでいた船が海賊に襲われ、乗っ取られる。シルヴェスターは、とっさに女性に変装して、殺されないですむが、その船には事情があってお忍びの旅をしているマーガレット王女に、臆病者としてののしられる。しかし、シルヴェスターは彼女を連れて、ボートで逃げ出し、イギリスの総統が統治する島に漂着する。そこは、海賊や荒くれ者ばかりが住む大変なところで、総統もシルベスターが連れている女性が王女であると見破って、これを人質に金儲けをしようとたくらんでいる。シルベスターも王女も総統に軟禁され、また、海賊船の船長も彼らを追っている。シルベスターは、彼女を助けるうちに、彼女に恋心を抱くが・・・。悪人達の中で、2人の運命や如何に、という話。ボブ・ホープがとにかく面白い。また、会話が軽妙で、for whom the bell tolls などいう表現がちりばめられており、楽しめる。日本の敗戦直前の1944年の作品ということにも驚かされる。Fantasia(1940年)もそうだし、この映画も然り。

  Tammy tell me true(1961) 主演Sandra Dee、テーマ音楽Tammy Tell Me True。映画を見たことがない人も、このシリーズのテーマ音楽はどこかで聞いたことがあるであろう。私も、どこかで、昔聞いたことがあるが、映画は最近まで見たことがなかった。南部の田舎出で、都会のことを知らないTammy Tyreeが大学に入学し、いろいろなことが起きる。アルバイトのためにある裕福な家に行くが、そこで姪に全てを管理されている老夫人に会う。この老夫人は、姪に管理されていて、自由がないのがいやで、その後、「家出」して、タミーのボートで暮らすことになる。ちなみに、タミーはおじいさんとボートで暮らしているが、おじいさんは密造酒を造ったとして、牢屋にいる。老夫人の家では、老夫人がいなくなったので、大騒ぎになって探している。しかし、老婦人は、タミーの気さくで優しい人柄が気に入って、一緒に暮らしているのだ。あるとき、タミーのデートのときに、この老夫人がネックレスをタミーに与える。しかし、これが老婦人の姪の目にとまり、タミーは捕まってしまう。老婦人も連れ戻される。しかも、老婦人は財産管理能力のない心身状況にあるかどうか判断するために裁判が行われる(日本の成年後見とほぼ同じ)。財産管理能力がないと判断されれば、老夫人は自己の財産についての管理権限を剥奪され、後見人に選ばれる姪に全てが管理することになる。タミーは老婦人が判断能力があることを証明しようとして苦労する。・・・ 最後の裁判の場面は、はらはらするところだが、面白い。・・・・>日本の成年後見制度も、本来は本人の財産管理を助けるための制度だが、一部の推定相続人が後の相続争いを有利にするために、成年後見を申立て、自らが後見人になるという悪用例もあるようである。

  Tammy and the Millionaire 主演Debbie Watson

(5)For children (Disney and others)
  Emil and the Detectives / Emil und die Detektive /エーミールと探偵達: Erich Kaestner(ケストナー) 原作。何度も映画化されているが、ドイツでは1931, 1954, 2001の3作がある。 しかし、どれも今1つという感じだ。Deutche GrammaphonのAudio CDが一番生き生きとしていてよい。Parole Emil.
 
  Das fliegende Klassenzimmer
/ 空飛ぶ教室 (1954年, 監督Kurt Hoffmann、白黒)(1973年にも映画あり):子供の友情(Freundschaft) およびJustusとNichtraucherの友情が主題だと思うが、他のケストナーの作品と比べると、この作品には違和感を感じる。1つは、友情の中身があまり心に迫るものではない。もう1つは、Lateinschule(Gymnasiumであり、ドイツ社会のエリートの卵の学ぶ学校)とRealschule(職業学校)の対立という図式が適当と思えない(雪合戦の後、仲直りするが)ことにある。ケストナーは、ギュムナジウムの子供達の立場から書いている。

  Das doppelte Loettchen / 二人のロッテ
  Parent Trap (Disney, 1961) Heyley Mills主演。E・ケストナーの「2人のロッテ(Das doppelte Loettchen)」をアメリカ的に映画化したもの。SuzanとSharonは、双子であるが、小さいときに両親が離婚し、1人づづ引き取って育ててきたので、お互いの存在をしらない。しかし、サマーキャンプで、偶然二人が出会う。最初は、いがみ合うが、やがて誕生日が同じと知って、これには訳があると気が付く。Suzanは、カリフォルニアで父と暮らしている。Sharonは、母親とボストンで暮らしている(逆だったかもしれない)。二人は、入れ替わることにし、両親を仲直りのために引き合わせようと相談する。ボストンに行くことになるSuzan に対して、Sharonが言葉使いを注意する。ボストンではカリフォルニアと違って、 I sh'ant ( I shall not)というなどと教える。ケストナーの原作では、母親とLuiseがミュンヘンに、父親とLoettchenがウイーンに暮らす。ディズニー版も結構楽しめるが、ちょっとふざけすぎ。
 
  Liberty's Kids (2002)  アメリカの独立戦争をアニメで描くもの。ベンジャミン・フランクリンの印刷所でニュースレポーターとして働くイギリス生まれのサラと、アメリカ生まれのジェイムズ、さらにはフランクリンに雇われている自由人の黒人モーゼス達の目を通じて見るアメリカの独立戦争の話である(もう1人、フランス人の孤児アンリ)。テーマ音楽(ラップ調)も現代のアメリカの若者向けに作られており、話の展開もハラハラさせるし、奥行きもあり、私には極めて新鮮な感じがした。特に、アメリカ独立時に、奴隷制度を存続させるかどうかを巡っての議論や、イギリス側が奴隷解放を約束して黒人奴隷を自分たちの陣営に引き入れる戦術をとったこと、アメリカ原住民を巻き込んだイギリス、フランス、アメリカ植民地の対立など、私のような専門外の者にははじめての話が沢山盛り込まれており、知的な好奇心も満足させてくれる(しかし、あくまでもアニメであることを忘れない方がよい)。G・ワシントンやT・ジェファーソンの陰に隠れて目立たないが、B・フランクリンやW・ペンなどの活躍ないしその重要性なども伝わってくる。子供用(大人も楽しめる)の優れたアニメだ。Boston Tea party, Give me Liberty, The First Fourth of Julyの3部作。(2006)
 

 Mary Poppins
   Disneyは子供の心を掴むのが実にうまい。A spoonful sugarを好きな子が多い。Let's go fly a kiteが好きだが、年とともにFeed the birdsを聴くとしんみりする。歌の中に出てくるSt.Paulは、Bank of Englandの近くにある。Supercalifragilisticexpialidociousは、当時英語の字書に出てくる最も長い単語。銀行家の奥さん(Mrs.Banks)が歌うSister Suffragetteは、婦人参政権運動の歌であるところが面白い。いずれにせよ、文句なく楽しい映画、Julie Andrews の英語の歯切れのよいのが気持ちいい。現在、ブロードウェイで行っているミュージカルは、歌も少し増えてようだ。昨年NYに行ったときに見に行こうと思って行き損なった。

  Robin Hood ( 1955-58, TV )Richard Green 主演。”Robin Hood, Robin Hood riding through the glens ....."というテーマ音楽で始まる。昔見たときには気が付かなかったが、SaxonとNormanの対立が触れられていて、なるほどと思うことがある。話は、Norman conquest の後のことなので、フランスから入ってきたNorman人が貴族など支配階級を占めており、Saxon系が一般庶民という構図だ。そして、背が高く、金髪なのがSaxon系で、背が低く、ダーク・ヘアがNorman系として描かれている。
 
  Mulan (Disney) Mulan 2  中国に伝わる木蘭伝承をもとにしている。木蘭伝承の元は北魏時代の詩であると言われているが、清代の「隋唐演義」では、隋の末期(恭帝時代)の設定になっている。年老いた父(花乗之)に代わり、男装して従軍するのが花木欄(Hua Mulan)である(「花」は姓である)。花乗之の家には木欄の樹があったが、なかなか開花しなかった。しかし、長女(木蘭)が生まれた時に満開の花が咲いた。そこで、父は、この女児を木蘭と名付けた。その後、妹の又蘭と弟の天郎が生まれた。その後、木蘭戦ったりするが、周辺民族と戦って活躍するという場面はない(「隋唐演義」は清朝時代に作られた話だからか?)。そして後、ある理由から自殺し、又蘭が姉と同じく男装し従軍するが、デイズニーのアニメとは全く異なる。ディズニーのは、京劇か何かをもとにしているのであろう。

  Johnny Appleseed (Disney) 
  ぼくの叔父さん(昔、ぼくの叔父さんと見に行った) 
  Charlotte's Web (原作 E.B.White)
  Fantasia (Disney)
     
(6)Love Story
  Shakespear in Love、Titanic、A Secret Affair、Shadow Land、Charing Cross 84、English Patientなど愛の物語にはきりがない。人は、こうした映画の(その意味で他人の)愛の物語を見て何を感じるのだろうか。ハッピーエンド(そのような映画は多くはないが)であっても、何か切なさを感じるのは、私の年のせいか?うれし泣きとは違うように思うが。
  Far and Away, (1998) Tom Cruise & Nicole Kidman. 19世紀末、アイルランドの貧農の息子Josepf (T.Cruise)と領主の娘(N.Kidman)の愛と苦労の物語。2人はアメリカに脱出するが、アメリカ移民の厳しい現実に直面する。・・・ ・・・最後のLand runの場面は、アメリカ政府がインディアンから奪った土地(一応代金は払ったようだが)を1889年4月22日12時に行われたオクラホマのland runだと思う。12時丁度に合図とともに、入植希望の約1万人が一斉に目当ての土地を目指して競争し、最初にその土地を占有した者(先占)が土地の権利を取得するというものだ。法律上の無主物先占とは少し異なるが、アメリカで実際にあったことであり、愛の行方とは別に一見の価値がある。

(7)History and Legends
  Troy, 2004, Brad Pitt (Achilles), Eric Bana (Hector), Diane Kruger (Helen) これまでのトロイ戦争の映画は、いつもアキレスの特異性(異常性)を強調しすぎるものが多かった(パリスとヘレンの恋を中心に描くので、アキレスは悪者でさえある)。しかし、原作のイリアスは、アキレスの強さと怒りを強調するが、やはり英雄なのであって、これらの映画には違和感を感じていた。今回の映画Troy は、その点が異なる。これまでの映画がHelen of Troy となっていて、今回の作品が単にTroyと題しているのは、それなりに理由がある。 
  Helen of Troy, 1956, Rossana Podesta ( Helen), Jack Sernas (Paris) 
  Helen of Troy, 2003, 監督 J.K. Harrison, 主演 Sienna Guillory(Helen)。パリス、ヘレンの生い立ちや、トロイ戦争の前史を詳しく扱うが、トロイ戦争自体の取り上げ方は、ホメロスのイリアドとは全く異なる。パリスとヘレンの愛を中心とした映画.。アキレスもイメージが異なる。ブラッド・ビットのアキレスの方がよい。
      ギリシャの壺絵(大英博物館蔵):左がアキレスが、右ヘクトルを攻めている。
  ---> トロイ戦争・イリアス(Iliad)・オデュセイウス・ギリシャ神話   

  Land of Pharaohs (1955)(Howard Hawks監督)大学時代の友人のK君が最近メールで、原題はPyramidではなく、Land of the Pharaohs であることを教えてくれた。ノーベル賞作家のWilliam Faulknerが脚本を書いていることも教えてくれた。フォークナーは映画監督のHawks仲がよく、Hollywoodで一緒に仕事をしていたようだ。この映画の原作がFaulknerの小説にあるのかどうかはしらない。
 いずれにせよ、アマゾンのマーケットでビデオを入手できるので、早速購入して見た。少し、記憶違いのところがあったが、ほぼ覚えていたのには我ながら驚いた。見たのは10才ころだと思う。子供の時の記憶は忘れないが、最近のことを忘れるのは年のせいだ。
 近隣諸国を打ち破り、沢山の財宝を集めたエジプトのファラオ(クフ王)は、自分の来世の住みかであるピラミッドの建設を計画する。しかし、墓泥棒に荒らされない墓を作りたい。なかなかファラオの満足のいく設計ができないでいたところ、奴隷として連れてきたユダヤ人の建築家が見つかり、満足のいく墓を完成させれば、ユダヤの民を解放すると約束する。ユダヤ人建築家は、石を砂で支えておき、この砂を流出させることで石が重みで通路を完全にふさぐ仕組みを見せ、これを気に入ったファラオは早速工事を命じる。エジプト全土から作業のための人が集められる。初めは喜んで作業をするエジプトの民、しかし、何年にもわたる作業で人々は疲弊し、段々と鞭による強制労働へと変わって行く。上流の石切場から石を切り、船でナイルを下り運ぶ様子は、現実もこのようなものでったであろうという感じをよく出している。石を船に乗せるときに起重機なども良くできている。ピラミッド建設場面の描き方は、カフカの「長城」を想起させる。建設工事で主張する内容は、カフカとは全く異なるが、ある種の哲学を感じさせる。
 そして、いよいよピラミッドの内部の秘密の通路、人が絶対に入れない仕組みを作る段にさしかかる。ここから先は、人夫は作業場に入るときは目隠しをさせられ、どこで作業しているかわからないようにする。作業場への案内は、選ばれた神官達が務める。彼らは、舌を切られ、話せないようにされている。また、ファラオの埋葬のときには、一緒に死ぬことが命じられている。
 さて、話は少し遡るが、ファラオのもとにキプロスから大使が来る。貢ぎ物の代わりに、大使は自分の身を差し出すという。大使はJoan Collins が扮する美女である。しかし、彼女には野望がある。現在の后を取り除き、自分が女王になり国王も殺害してエジプトとその財宝を手に入れようとのだ。・・・・(中略)・・・・・計画はうまくいきそうだったが、ファラオの棺をピラミッドに埋葬し、いよいよ王位を承継したかと思いきや、神官達が墓の入り口の巨石の支えを壊していくと、砂がそこから流れ出てくる。そして、・・・・。
  この映画はピラミッドの建設作業の様子や、内部構造など、できるだけリアルに描いており(真実に近いかどうかは知らない)、楽しめる。石の重みと砂を使うというのは、いろいろな所で本当に使われたテクニックのようだ。また、友人K君の言うように、キプロスの王女に扮するJoan Collinは確かに美人だ。最近の美人とはどこか違う1950年代の美人。大きな瞳で見つめる時が特に美しい。


(8)中国映画・テレビドラマ(最近見た順)
 骨董局中局 Mistery of Antiques (全36話) 同名の馬伯庸の小説(2012年)に基づくテレビドラマ化(2018年)。物語は全てフィクションであるとの断り書きがある。
  主演: 夏雨(主人公 許願XuYuan) 蔡文静(黄姻姻)、?振宇(葯不然)。田中千絵(木戸有三の孫、木戸加奈)(その中国語もまあまあ。私よりは上手)
  (第1話)1937年北平、中華民国の公民で骨董業者の、許一城が中国の国宝(武則天の顔に模した玉の仏頭=則天明堂玉仏頭)を日本に渡したという理由で処刑される場面から始まる。(この仏頭の話は本当ではないが、日本は中国から多くの物を持ち去った(イギリス、フランスもその昔、円明園から石像など持ち去った)。北京原人の頭骨も日本が持ち去り、その後、所在が不明になっていると言われている)。それから約60年後(1995年)、許一城の孫の許願が北京の潘家園(Panjjia yuan)の一角で骨董店「四悔斎」を営んでいる(潘家園は実際にある骨董市場で、私も昔よく買ったが、もはや掘り出し物はない。中国人の知り合いの弁護士がほとんど偽物だと言っていた。)。ある日、そこに洋風仕込みでかつ骨董にも詳しい葯不然Yao Buran)がやってくる。少しキザで癖があるが、182センチの美男子だ。彼は、中国骨董界を牛耳る5家族(五脈)(黄、白、玄、紅、青:これらは、黄を除いて 家の名前ではない))の1つ「玄門=葯」家に属する。葯不然は、許の骨董店でいくつかの品を買い、代金を支払ってから、その場でそれらが全て偽物であると言って壊して立ち去る。
 場面は東京の東亜研究所に移る。ここには、木戸有三が日中戦争時期に許一城から受け取った則天明堂の玉仏頭が保管されている。孫娘の 木戸加奈は、祖父の遺言であるとして、この仏頭を中国に返還しようと計画している。そして、その交渉のために、中国で五脈の事務局長を務める羅局(Luoju)と交渉を開始する。中国側も五脈の当主たちが集まり、交渉をどう進めるか協議を始める。西山にある彼らの本拠地に、許願が呼ばれる。許願は、その父親許平和(学校の先生をしていた)も文化大革命の時代に学生たちに囲まれて、その騒動の中で死んでいた。そのため、祖父のことや、父親のこともあまり知らない。許の家が五脈の1つであることも、祖父の許一城が何をしたかも、ここに連れてこられて教えられるまで知らなかった。彼がここに連れてこられて五脈の人々と会うことになったのは、仏頭を返還する木戸加奈の条件が、返還の際には、許一城の子孫(許願)が立ち会うことだったからだ。でも、なぜ、そのような条件を加奈は出したのか?実は、加奈は、祖父の残したいろいろな資料から、返還jしようとしている仏頭が実は偽物なのではないかと疑っていた。これが本物か、偽物かは許願何か情報を持っている可能性のある許一城の子孫にしかわからないのではないかと考えた。許一城は、裁判でも何も弁明することなく、死についた。なぜか?これも謎だった。仏頭に関して、その真贋に関して何か秘密がある。ここから、いろいろの出来事が始まる。
 話の展開が実に面白い。1話を見ると、次回を見ずにはいられない。1話約40分だが、36話を5日間くらいかかったが、一気に見てしまった。舞台は、北京、天津、岐山(洛陽から西に250キロほどの場所。昔の墳墓があるらしい)など各地の風景も見せてくれて楽しい。許願にとって誰が味方で誰が敵かもわからない。仏頭の真贋は最後までわからない。許願からすると、祖父が偽物を日本に渡して、本物を保護したのであれば、汚名も晴れて喜ばしいのだが。しかし、そうだとすると、本物はどこにあるのか。(36話=最終回)許願と加奈は返還される仏頭は偽物であるとの疑いを持っているが、許願は、暗躍する老朝奉に人質として黄姻姻を助けるために、その意向に従って「本物」であると羅局に言う。そこで、羅局も安心して返還式を設定する。返還の式典が行われる日に至る。でも、これは本物なのか、偽物なのか。35話まで見て、私もいろいろ結末を想定したが、最終回36話は全くの予想外であった。返還式典で一波乱あるが、それにはふれない。許願がカ式典会場で、「這个佛頭是假的。但是,同時它也是真的」と皆に向かって説明する。どういう意味だろうか?
 (私の中国語のレベルは、簡体字の字幕を見ながら、なんとか話しの筋を追っているという程度なので、誤解しているところもある。比較的わかりやすい中国語なので、是非このドラマを見ることをお勧めする。)。

骨董局中局2(2020年)
今度は中国の国宝で故宮に保管されている「清明上河図」の真贋が問題となる事件。これだけで纏めれば面白いし、出来がよい映画と言えたのだが、いろいろな話を盛り込み、また無理につなげるので、せっかくの物語が台無し。特に、いつものことだが、変なところに、関係なく日本人を悪者として持ち込んでくるので、これも興覚め。2020年の連続ドラマだが、これが今の中国国内の世相なのか。あるいはテレビ制作者の考えなのか。いずれにせよ、こちらは第1話(仏頭の話)と違っておすすめはできない。見るとすれば、前半だけ、清明上河図のなぞを解決することまでにするのがいい。
 映画は別として、この「清明上河図」は日本の洛中洛外図と同じように、当時の人々の生活の様子
が描かれていて面白い。絵を詳細に見ると、いろいろなことに気が付く。


美人如画 (2014年ドラマ全50話) 明代、蘇州の2つの刺繍の家、江家と杭家の間の競争、対立にからめながら、江家の美人で才気煥発な娘、江嘉???(Jiang Jiayuan)の波乱万丈の愛の話。蘇州の刺繍の話が出てくるところが面白い。「美人如画」という題名のとおり、美人がたくさん出てくる。

神探狄仁杰 第1話「使団惊魂幽州案」(第1回-第13回まで)(2004年) 約15年前に見たが、この第1話は見たのだが、最近再び見ると、いろいろ気づき面白い(2021)
 梁冠華(狄仁杰)、張子健(元芳)、呂中(武則典)ら出演。「長歌一曲」の主題歌で始まる。每次听到你, 总是大风起、每次看到你,却又惊雷起,长烟落日山河壮,你在飘渺云里画里,你在飘渺云里画里,长歌一曲。好风好梦好歌好意气,长歌一曲。
天授元年(690年) 武則天改大唐国号為周。しかし、第1話は、大足元年ということなので、かなり後のことになる。唐の時代から突厥との戦争が頻発し、武則天も苦労した。地図を見るとよく分かるが、首都の長安はずっと西に寄っている。西域(突厥)に近い。そのために、突厥との紛争が大きな課題であった。幽州は唐の領土の最前線。狄仁杰(Di Renjie)の扱う事件も西域関連が多い。第1話も、突厥の和平使節が長安に派遣されるが、途中で殺され、偽の使節が長安に来るという話。事件の解決のために、狄仁杰が地方から呼び戻され門下省の平章事になる(697年ころの話。狄仁杰は700年に死ぬので晩年の話ということになる)。事件によって突厥との緊迫した関係が生じるが、しかし、実は背後には武則天に殺された李一族の復讐計画がある。狄仁杰は武則天に忠正な立場であるが、李氏の唐の復活を支持する立場でもある(武后の後は、武后の子である李氏が後を継ぎ、唐が復活すると考えている)。従って、狄仁杰と武后の間には一定の緊張関係はあるが、すぐに対立に至るものではない。この第1集では狄仁杰は、武則天は民のことを考えるよき治世者で、農民のことなどを考えない高官や農民を搾取する地方官僚を罰するもちろん狄仁杰が官僚の不正を暴くのだが)。このような話なので、歴史的分部も面白いが、弱き者を助ける映画の中を流れる基本思想がよかった(この分部が最近のシリーズには見られない)。

神探狄仁杰「藍衫記」第2話(第14回から22回まで)(2004)
 第1話に続く話なのかどうかわからないが、李一族の越王李貞が武后に対して起こした乱(687年)の事後の話としては共通だが、登場人物に湖州の知事として天授元年(690年)の科挙の試験で1番(状元)となった者が出てくるので、もっと後の話ということになる。また、今回の事件は湖州で起きた殺人事件(長安からの旅行者が2人殺され、宿泊させた農民と船頭に容疑がかかる)に関するものだが、狄仁杰が疑問を1つ1つ解いていく中で、背後に大きな陰謀があることが徐々に明らかになっていく。この辺の映画の作り方(連続テレビドラマ)は実にうまくできている。1回を見ると、次話を見ずにはいられない。しかも、1つ1つ、深いところに展開していく。あっと言う間に10回まで見てしまった。そのせいで寝不足、血圧上昇、その他体調が悪くなった。話はまだ続くが、第1回を見ただけでは、第10回の展開を誰が予想できたであろうか。もっとも、第1回は、長安の太子(李顕)の蔵書館(崇文館)に呉孝傑が血まみれで現れ、崇文館の館員に、隠し棚にある「藍衫記」という冊子を湖州県の劉査礼という者に渡してほしいと頼むという場面。ここから、太子関係のきな臭い話が創造できるのだが、しばらくは話は先の旅行者の殺人事件などをめぐるもので、太子の話とはすぐにはつながらない。
素直に、話の展開を楽しむのがよい。なお、後半では、太子の地位の危うさ、それをめぐって武后と狄仁杰との対立緊張関係が見どころ。しかし、物語の展開には無理があり、不自然なのが残念。  (以下略)   無恙、二十八宿、乾坤、走水、不翼而飛(これは第1集から)などの日本語としても知られている言葉がもともと中国語でどのように使われるか知ることができて面白い。「走水zoushui」が「失火」することとは知らなかった。(2021)。

神探狄仁杰 第3話「滴血雄鷹」
 都の周辺で起きた3つの殺人事件。その1つの事件では被害者は首と肩を切り取られている。また、血で描かれた鳥の絵が残されている(これが滴血雄鷹)。他方、神都洛陽の上陽宮殿では武后が夢にうなされるところから始まる。昔、殺した王皇后や粛妃の夢だ。一見すると関連のない2つの話がいずれつながるのであろう。ここでは狄仁杰は「国老」と呼ばれているので、いよいよ晩年の話ということになる。また、武后も最後が近い。武后が自分の死後、武后のことをどう評価するか聞く。とがめない(无妨)から正直に言うようにと命じると、「功过参半」(gong guo canban功罪相半する)と答える。・・・・これで私の見慣れた梁冠華の演じる狄仁杰シリーズもおしまいか?
       

神探狄仁杰前伝(DiRenjie) 2010年 富大竜(Direnjie役)、王静(武則天役)     
 唐の皇帝李治の治世、皇太子李賢が失脚する事件から話が始まる。狄仁杰の調査、彼を煙たがる武承嗣の悪だくみの数々。歴史を題材に、しかし、フィクション。武則天が色っぽいが(王静が演じる。実年齢はわからないが、50歳くらいか?)、睨むときの目つきが怖い。
 狄仁杰シリーズは沢山テレビドラマや映画が作られていて、昔は、狄仁杰は頭を使うだけであったが、最近のものでは、剣術の達人であったりする。ここまでくると、面白くなくなる。

 歴史上の狄仁杰について詳しくはjump to

最近の「狄仁杰」の映画(2021)
 
昔の「神探狄仁杰」シリーズが終わり、新しいタイプの狄仁杰の映画が登場。神探狄仁杰シリーズは個別の話は全く架空の話であったが、それなりに時代背景にも目を配り、武則天の会話など面白かった。現代の中国人が女皇帝武則天をどう評価しているか(封建時代の中国では否定的であったが)、などを垣間見ることができ、面白かった。しかし、最近の狄仁杰の映画は、現在の中国の世相を反映しているのか、変わってしまった。1つのタイプは、政治的な話につながることに一切触れない(武則天も一切登場しない。狄仁杰が若いときの話で武后とは接点がないこともある)。娯楽性だけを追求する。「狄仁杰長安変」(2021年?)などはこれに属する。それでも、あたらしいアイデアなどを用いて面白ければよいが、「長安変」は後述するように、アメリカの小説Dante Clubを地獄10篇に置き換えただけで興覚めの内容だった。もう1つのタイプは武則天をより肯定的に描くものである。「神探狄仁杰」シリーズでは武則天は所与の存在で、その是非には触れていなかった。狄仁杰との緊張関係を描くものもあったが、あまり踏み込まない。せいぜい、狄仁杰に「功过参半」と言わせるくらいであった。しかし、「狄仁杰通天教主」(2021?)は、武則天を全面的に評価するわけではないが、もう少し武則天を肯定的にとらえ、「民にとってよいことであれば、国家にとってもよいことだ( 只要能对天下百姓好,能对江山社稷好)」とする。これは現在の中国の考え方を反映していのだろう歴史映画はどのような視点で作るか、結構難しい。唐の時代、もっと前の始皇帝の時代であっても、その時の権力を肯定的にとらえるか、否定的にとらえるか、現在の社会との関係をどう見るか(現在からすれば否定すべ専制政治と見るか、現在と共通する社会と見入るか)、いろいろな視点の組み合わせがあり、どのような視点で作られるかが決まる。こんな目で見ると、最近の狄仁杰の映画も面白い。中国語を勉強したい者にとっては、歴史映画は現在の若者映画と違って会話のスピードが緩やかなので、聞き取りやすい。また、中国語簡体字の字幕もでるので分からない単語を調べながら見るのもよいと思う。(私の中国語理解力も、2011年以降は家事と仕事が忙しくなり進歩がない。それどころか、覚えていた単語も忘れ、記憶力の低下のみ感じるのは侘しい(2021))。


狄仁杰通天教主
 2021年
  しばらく見ていなかった狄仁の映画。最近たくさん作られている。人の相貌を変えてしまう毒薬・幻薬で武昭儀(媚娘)の替え玉が登場して宮廷を混乱させたのを狄仁杰が解決するというだけで、大したものではないが、武則天に対する見方が昔の映画と変わったが感じられる。かつての狄仁杰の映画は媚娘が武后になってからのストーリーだったので、則天武后の是非についてはほとんど触れることがなかったが、「通天教主」は武昭儀から武后になるときの時代設定なので、この点に触れざるを得ない。狄仁杰は事件解決の功績があっても、武后に遠ざけられる。しかし、狄仁杰は、武后の非凡な才能を評価し、その権力欲も常に悪いわけではないと言う (也不一定都是恶的)。更に、民にとってよいことであれば、国家にとってもよいことだ( 只要能对天下百姓好,能对江山社稷好)と締めくくる。この見方の変化をどう考えるべきか?
 もう1つ感想。これはレベルの低い話だが、中国の歴史映画は女性を主役ないし準主役として取り上げるものが多い。そして、史実に反して女性に強い性格と役割を与える。これは男女同権の思想から来るものではおそらくなく、映画としての華々しさ、面白さを出すためだと思うが、世界中の映画観客が楽しめる。これは日本映画にない点である。私は、藤沢周平の小説・映画が好きだが、日本人以外のファンを増やすのはなかな難しい。こういうところで、日本映画は品質はよいが、エンターテインメントとしては世界では負けるように思う。(Sep/2021)

狄仁杰長安変 
 これも最近の映画らしい。狄仁杰が大理寺丞のころという設定なので676年ころということになる。高宗の晩年で武皇后がすでに実権を握っていた時代である。しかし、この映画には唐の政治の問題は出てこない。それはよいとして、この作品の目玉は、長安で起きる連続殺人事件が地獄10編の場面を再現するように行われるところである。本来なら面白い発想なのだが、2003年のアメリカの小説Dante Club(Mathew Pearl)がダンテの神曲の地獄篇Infernoの場面を再現して行われる連続殺人事件のアイデアとそっくりで、アイデアの借用と言わざるを得ない。妓楼の場面で日本人の芸妓が出てくるのも不自然(長安には日本人の僧侶などはいたが)。また日本を表現するために、日本人の芸妓の部屋の飾りに日本の浮世絵(江戸時代の歌麿の絵)などを使ったりしていて、いい加減にしてくれといいたくなる。なお、しめくくりに、西域から来ていろいろ苦労のすえ芸妓となった女性が自分に惚れ込んでいた男を使っての「真犯人」だったというのも説得的ではなかった。(もしかしたら中国語の字幕しかないので、正しく理解しなかった点があるかもしれない)(Sep/2021)


 RAISE THE RED LANTERN (VHS) 1991 Zhang Yimou、 Starring Gong Li (赤い提灯が美しいが、話の内容は古い中国の女性の悲哀)
 The ROAD HOME 「初恋の来た道」(DVD) 2000 film by Zhang Yimou, starring 章子怡 
 FAREWELL MY CONCUBINE (DVD) film by Chen Kaige, starring Leslie Cheung, Zhang Fengyi,Gong Li
 Devils on the Doorstep ,鬼子来了 「紅いコウリャン」(DVD) 2000 film by Jiang Wen 姜文


 無字碑歌、2007年にCCTV(スカイパーフェクト783Ch)で放映されていた則天武后(武則天)の話(中国でDVDも発売されている)。何度も映画化されているが、今回の無字碑歌は、比較的武則天に関する基本資料の1つである資治通鑑の記述に近い。もっとも、資治通鑑よりは好意的に描いている
       
  第32話 長寿2年(693年) 皇嗣李旦武承嗣の間の皇太子の地位をめぐる争いが激しくなっているさなか、武則天の寵信する召使い団児(Tuan’er)が仕組んだ武則天の厭呪(呪詛)事件がおきる。呪詛したとされた2人の妃は、武后の命で殺される。資治通鑑では、団児は皇嗣に対する恨みからしたと書いてあるが、身分の低い召使いが皇嗣に対する個人的な恨みなど持つだろうか?その後、団児の恨みから出たことが武后にわかり、団児は処刑される(33話)。資治通鑑では、「この頃、密告しようとする者は、他人の奴ひをそそのかして、その主人を告発させる」と書かれているので、団児の密告も、李旦を陥れようとした者によってそそのかされたのかもしれない。映画は、そのような解釈をし、張本人は武承嗣だったとしている。また、同年、斐匪キュウとハン雲仙が皇嗣に密かに会ったとして、公開処刑(腰斬)される。皇嗣についても密告する者があり、皇嗣に対する嫌疑を来俊臣が取り調べる。皇嗣の身近にいる者は拷問にかけられ、謀反の嫌疑を認めてしまうが、安金蔵は、皇嗣の潔白を証明しようとして刀で自分の胸を突く。武后はこれを聞き、安金蔵を宮中に運び治療させ、皇嗣自身が晴らすことのできなかった潔白を代わってなした、として皇嗣に対する取り調べを中止させ、皇嗣は危機を逃れた。
 (資治通鑑は明確には述べていないが、武后は明らかに皇嗣李旦を守る立場をとったように見える。皇帝の地位を李旦に引き継がせれば、周は武后一代で終わり、唐が復活するのは目に見えている。唐王朝の血族を次から次に殺してきた武后が唐の復活を望まないのは明らかである。しかし、武承嗣に皇位を引き継がせることにも躊躇したのであろう。その理由は何だったのか?資治通鑑には納得できる説明が書かれていない。)ーーー>なお、狄仁杰(Di Renjie)が随所で活躍する。



(9)Others
 Way Down South (1939) (1939) 南北戦争前のルイジアナ州の奴隷売買の話。

          

  12 Years a slave (それでも夜は明ける)〔2013年)NYで自由な身分で家族をもっていた黒人がだまされてワシントンDCに連れてこられ、そこで奴隷商人の手に落ち、12年間南部で奴隷としての生活を送るという映画。真実に迫っており、すごい迫力だ。当時の南部の白人の非人間性と怖さが伝わってくる。最後には、カナダ人の協力により、NYの白人の知人によって助け出されるところが唯一の救いだ。

  Die weisse Rose, 1982/ Sophie Scholl, 2005: ナチス政権に反対するグループを組織し、ミュンヘン大学などでビラを配ったことでゲシュタポに捕まって処刑されたショル兄妹とその仲間達(「白バラ」Die weisse Rose)の話。捕まって、Roland Frieslerというナチスの裁判官によって1943年2月22日に死刑判決を受け、即日ギロチンによって斬首刑を執行される。取り調べの場面、そして狂気じみた裁判の場面(Frieslerが一人叫び、弁護人は全く弁護しない)は、特に法律を学ぶ学生に見てもらいたい。初めから死を覚悟しての行動ではなかったとしても、勇気に敬服。ナチス政権下では、政権に反対して処刑された人の数は1000人を超えるという。(取り調べは、厳しかったに違いないが、手続的には淡々と行われ、日本の特高警察が行ったような拷問や虐待はなかったようでありーー少なくとも、この事件に関してはーー、それが本当だとすると、ドイツと日本の違いが感じられ、考えさせられるところが多い。)。いい映画だと思う。ドイツ人の手によって、ドイツで作られたことにも価値がある。付録としてついている関係者(戦後まで生き延びた関係者)ないしその遺族(逮捕取り調べをしたゲシュタポの子息も)のインタビューもよい。その中で、1人が言った「ショル達の行動は、英雄的というのと違う。むしろ、あのような反対活動はドイツ人としての義務だと感じられた」という発言が心に残った。
    

  Mephisto
  The Killing Fields (1984) プノンペン陥落から、ポルポト政権下の強制収容所を生き延びたあるカンボジア人の話。
  Save private Ryan 戦争の中にも「人間性」を見たいという気持ちは分かるが。
  Starlingrad   すべてが凄まじいが、中でも従軍牧師がナチス調で兵隊達に説教するところが不気味。
  All quiet on the western front (西部戦線異状なし)
  Metropolis (Germany,1927) 主演 Brigitte Helm ドイツ映画の名作をあげるとすれば、これだ。
  The last of Mohicans (スリルは少ないがBBC版もよい) カナダを舞台としたフランスとイギリスの7年戦争を描く。原作は   

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