ヘッドライト・テールライト

-42- (2009.9 - 2009.12 ) 


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 ('09/12/28) 
「ふるさと行きの乗車券」

いつも乗り降りするJRのホームに貼られているポスターの「ふるさと行きの乗車券」という大きな文字が目に付きました。どうやらJR東日本の年末年始の割引帰省キップの宣伝みたいです。このタイトルが注意を引いたのはもちろん、あれっ、中島みゆきの『ホームにて』YouTubeの歌詞じゃないか、と思ったからでした。

JR東日本の新幹線には「トランヴェール」という月替わりの車内誌があり、特集で紹介される各地の記事に、旅へと誘われる気分になります。この「トランヴェール」といい、中島みゆきの起用といい、JR東日本の広報活動はセンスが光ります。

つい先日、新型のiMacを買ったところ、モニターが高精細で大きい上に、スピーカーの音がいいので、むかしレコードで聴いていたアーティストのライブ映像などYouTubeに見つかるかしらと捜してみると、貴重な映像がずいぶんと提供されていることに今更のように驚きます。中島みゆきも、そのライブって「夜会」くらいかと思ったら、コンサートの収録も意外と見つかりました。

とくにこの曲はアルバムで初めて聴いたとき、どうしたらこの文句が歌になるのかしらと体が震えたものでした。レコーディングのための曲かしらとも思っていたものですが、こうしてYouTubeのライブで見ると、感極まって、高精細のはずのモニターもかすんできます。

 『ファイト!』YouTube

 ('09/12/26) 
AVATAR - CGというよりひとつの世界の創造

日本では23日から公開の『AVATAR』を観てきました。映画館で見た予告編しか予備知識がなかったのですが、ジェームズ・キャメロンの大ファンの私としては、ただキャメロン作品であるだけで映画館に足を運ぶ理由になります。予告編では12年前の『タイタニック』以来の作品と呼ばれていましたが、あらためて考えたら、映画作品としてはそうなるか。連続テレビシリーズの『Dark Angel』が2000-2001年の2シーズンで中断したままなので、あの続きの映画化を構想しているのかとも期待しておりました。

予告編ではキャメロンの代表作として、『タイタニック』のほかに『ターミネーター』『エイリアン2』のタイトルが見えましたが、私にとっては『AVATAR』はむしろ『THE ABYSS』『Dark Angel』と同じ路線上にある作品に見えます。

AVATARとはサンスクリット語で「神が地上に現れる化身」という意味で、映画では自分の「分身」という設定。脚本は1995年に作ったものの、当時の技術では映画化できそうもなく、そのままだったものが、ようやく最新のCGと3D技術がそれを可能にしました。けれど、キャメロン作品のCGがみなそうであるように、いかにもCGです、といわんばかりの映像ではなくて、それをCGとは気づかせなほど自然に見えるよう、彼の完璧主義がここでも健在です。

3DのCG技術がなにかと話題になりますが、想像世界というより、ひとつの世界を創造したようなリアルさが、3時間という長さを感じさせません。リピーターも多くなるでしょう。私もそのひとりですが。


 ('09/12/18) 
「またか」のPHVの燃費記事

ハイブリッド車の燃費数値がそもそもガソリン車の計測方法を使っていることの無意味さを以前指摘しましたが、こんどはプリウスPHV(プラグインハイブリッド)の燃費57キロという数字が踊り出しました。

フル充電で電気だけを使っての走行距離は23・4キロで、時速100キロまで出せる。その後
は、ガソリンエンジンで充電しながら走行するHVとなり、電気走行とガソリン併用の燃費性能
は、1リットル当たり57キロを誇り、HVの「プリウス」の1リットル当たり38キロを大幅
に上回っている。
『「プリウスPHV」2年後めどに市販へ トヨタが表明』 12月14日 産経新聞 
これで思いだすのはこの夏GMが発表したPHV車ボルトの燃費230mpg (miles per gallon)。230mpgとはメートル法に直すと98KM/L。
バッテリーだけで走行可能な40マイル(約64km)を走行。そこからさらに11マイル(約18km)、
充電用エンジンを回しながら走り、トータル51マイル(約82km)を走行した時点で、燃費を計測
した。この間、ボルトは0.22ガロン(約0.83リットル)のガソリンしか消費しておらず、結果、 
230MPG(約98km/リットル)という驚異的な燃費になるわけだ。
『GMの新型HV シボレー ボルト、燃費98km/リットルは本物か?』 8月12日 RESPONSE

アメリカでの記事にはトヨタのプリウスの燃費51mpgが引きあいに出されていますが、日本では「計測方法が異なるので比較の意味がない」と片づけられているのが、ちょっとちぐはぐです。

リッター98キロというボルトPHVの燃費数値に意味がないなら、プリウスPHVのリッター57キロも同じ。

ただ、ボルトの燃費の計測法を読んで思ったのは、燃費の考え方。つまり、1リットルで何キロ走るか、という画一的な問い方に意味があるのかどうなのか。通勤や日常の足に車を使うアメリカ人は1日の走行はほとんど100キロ以内。ならば、ボルトのように1日82キロという基準で考えて燃費が0.83リットル/日という数値表現は理にかなっていなくもない。

ヨーロッパでは車の燃費はリッターあたり何キロ、ではなくて100キロ走るのに何リットル、という表記です。私のK75Sの燃費は時速90キロ定速度で4リットル、時速120キロで5.4リットル、とあります。それぞれ、25km/リットル、18.5km/リットルで、これは高速走行時の実燃費とぴったり合致しているばかりでなく、ツーリングで200キロ、300キロ走る者からしたら、合理的でさえあります。

それはともかく、どうしてメディアはこんな意味のない燃費数字を臆面もなく受け売りするのか、うさんくさいものを感じていましたが、今日こんな論評がありました。

「HV・EV関連のネタなら、どんな小さな話題でも見出しは大きくなり、それ以外はボツになる公算が
高い」――。過日、食事を共にした旧知のベテラン記者が溜息を漏らす一幕があった。この記者は、
HVやEVが今後クルマ社会の主軸を担うことを確信していたが、最近の過熱気味の報道に一石を投じる
意味も込め、全く別のトーンで原稿を出したのだ。
『なぜマスコミはエコカーばかりを取り上げるのか』 12月17日 Business Media 誠
その記事はボツにはならなかったものの、「みごとに行数を削られた」というが、ここでいう「過熱」とは見方を変えればパニック、つまり恐慌状態ではないか。冷静に反省することもなく、慌てふためいて、右ならえで突き進んでしまう。経済が恐慌なら、メディアも同様に恐慌をきたしていることを見据える必要がありそうです。

あきれるのは、車が売れることが日本経済の起動力といわんばかりに、エコカー減税・補助金に何千億もの税金をつぎ込んでいることに批判的な論評が見当たらないこと。ほんとにエコをいうなら、もっと二輪や自転車の利用を促すべきでしょう。二輪の125ccまでを原付き免許で乗れるように法改正したら販売が2年で2倍になったスペインの例があります。日本の世界に誇るべき車はプリウスではなくてじつはスーパーカブであることを発見することになるのは、きっと日本人ではなくて日本以外のジャーナリストであることでしょう。


 ('09/12/15) 
カメラが捕えた夜盗

No.4'535 横浜市のZZさんの被害状況はマンションの管理カメラがその一部始終を捕えていました。「いかにも」の装束で参上しています。

3人組みで1名は原付らしきもので登場し2名は軽トラックで登場。
2名は半帽(ブルーメタリック・ピンク)1名は鼻から下をバンダナで隠していた。
3名とも全身黒の服装。


 ('09/12/11) 
横浜で密輸直前の盗難バイク30台を押収 その4

No.4'504 Valkyrieさんも、押収されたのはフレームにエンジンが載ったままという、同様な姿でした。するとタンクやシートなど外装パーツは別のコンテナですでに出荷済みということでしょうか。フレーム番号の削り方が尋常ではありません。これでは輸入国でも再登録が難しいでしょう。フレーム以外のパーツ取りが主要な目的だとしたら、エンジンは輸送のためにフレームに載せたままにした、ということか。これではオーナーを特定できないはずですが、警察でエンジン番号からフレーム番号を割り出したものでしょう。

写真は左から、FLHXSE CVO、Valkyrie、Valkyrieのフレームの切削された車台番号。

押収ハーレー 押収ワルキューレ フレーム番号切削

なお、昨日のFLHXSE CVOさんのレポートにあるように、バイク窃盗組織は、所有者情報収集班、実行班、分解梱包班、船積み班などに分業されていることは分かっていることなのですが、トカゲのしっぽはすぐに切れるために、いくら検挙しても組織の中枢までたどり着けないようです。バイク窃盗は万引きと同じ扱いで、捜査の重要度が低いままにされていることも、遠因ではあります。

とくに情報のセキュリティが確保できない時代になっており、バイクの登録情報はかんたんに窃盗団の知るところとなります。以前、実行班の報酬は一台10万円との情報がありました。今や円高で「賃金」も下がったかも知れませんが、それでもこれだけの高価な商品なら、保管場所の情報に1件いくらの価値がつくか、容易に想像できます。


 ('09/12/10) 
横浜で密輸直前の盗難バイク30台を押収 その3

No.4'503 ハーレーFLHXSE CVOさんとNo.4'504 Valkyrieさんから、押収バイク引き取りのご報告をいただきました。まずFLHXSE CVOさんの詳しいレポートから紹介させていただきます。残念なことに、再組み上げを目的としたものではなく、解体が雑で部品もそろっていないこと、車体番号が派手に削り取られていること、フレームにエンジンを載せた状態のものだけであること、そのために税関でのコンテナX線検査で不正が分かったこと、などがこれまでの犯行の手口とは異なる点で、まるで新種の窃盗団が参入したかのようです。

CBX様

昨日現場確認に行って参りました。早速ですがご報告申し上げます。
ご担当の方より概要説明を受けました。(岩槻警察署:神奈川県警:横浜税関)

今回の事件ですが埼玉県内で多発している農機具並び重機を中心とした窃盗団の様です。
窃盗団はいくつかのグループに分かれておりバイクや車を狙うグループ、農機具:重機
を狙うグループ、貴金属:携帯電話等を狙うグループが存在するそうです?

組織概要は暴力団を頂点とし窃盗グループ:解体積込みグループ:情報屋が存在する
様で、特に情報に関しては色々な手口で収集するそうです。

インターネットサイトでの物品購入の際の個人情報を売買している業者や窃盗団が運
営している業者も存在するそうです!(表の顔は大変評価の良い業者であったり?)
特に個人情報の管理は慎重に行う必要が有るとお聞きしました!

アクセサリーやパーツ類の購入に関しては、車種:年式を聞かれますし購入形態も着
払いや入金確認後宅急便での配達ですので、住所や氏名も公になってしまう為、窃盗団に
よる下見が可能となり容易に犯行が行われる様です。

盗難に遭わないのでは無く、下見の際の難易度で判断している様です。(個々の防犯
対策)犯行時間は約最大で30分以内だそうです?(犯行グループのリスクを考慮し?)

担当の方からのお話を聞いている間、鳥肌が立ちっぱなしでした!
防犯対策に100%は無い様です!(盗られにくい環境作りが大切との事です!)

余談ですが上記事柄を踏まえ信用のおけるディーラーさん経由で購入が得策かと・・・

今回は犯人逮捕自供による押収では無いとの事でした。
横浜税関の検査(X線)⇒ コンテナ内の積荷が申請書類と異なり今回の押収となっ
た様です。押収された物に関しては全て被害者に連絡をしている様です。

私が現場へ確認に行った時も3名程の方が立ち会っていました。

さて、状況ですがフレームにエンジンが付いている状態でパレット積みされておりま
した。外装パーツは全てありません。(カウル:前後フェンダー:タンク:保安部品:
メーター:前後ホイールとタイヤ:左右サイドカバー:左右サイドバック等)
エンジン回りではエアークリーナー:コンピューターが無い状態でした。
唯一残っていたのが、左右マフラー:バッテリー:左右フロントフォークだけでした。

フレームとエンジンの状況ですが、限られた時間での素人による解体作業の為、かなり
乱暴に解体されておりました。(フレームにはかなりの傷:配線は途中で切断:ネジ類は無
理矢理に回した跡が残っておりました。)バイクの価値観が解る者の犯行ではなく素人同然
の無神経な作業と推測しました。(とても悲しい状況です・・・)

現地でバイクを組み直すと言う様な状況ではけしてなく、部品売りと推測します。
フレームに関してはID番号の下4桁がドリルで削り盗られておりました。(後々支障
が・・・)

程無く確認作業が終わり受取書にサインと押印を済ませ、ディーラーの方に用意をし
て頂いた車に積み込みHD工場へ持ち帰りました。

元の状態に戻すにしろかなりの金額が掛ってしまいそうです。(外装パーツ整備を含
め250万円)フレームIDについては再打刻が必要となり、正規HDでは下取が不可となってしまい買
換えが出来無いとの事です。(非常に残念ですが今回はあきらめるしかない様です・・・)

長くなりましたが何かのお役に立てばと思いご報告致します。

宜しくお願い申し上げます。


 ('09/12/6) 
CB1300のツアラーモデル

ホンダのCB1300にSuper Touringの名でツアラーモデルが追加になりました。多分東京モーターショーに出品されていたものと思いますが、外観的には専用パニアケースを備えていることが一番の特徴です。

これまでパニアケースの似合うバイクといったら、BMWの独壇場でした。日本のメーカーも海外向けにはパニアケースが標準装備のモデルをいくつか出していますが、国内向けにスポーツバイクに装着するのは初めてではないかと思います。現行のモデルに後付けにするのは、デザイン的に難しさもあったことでしょう。とくに、これまでバイクの後部のデザインはマフラーとテールカウル任せで、あまり自由度がありませんでした。このCB1300STはSFのマフラー位置を下げるとともに、リアサスに干渉しないようにケース形状を工夫しています。また、テールカウルの横への張りだしを逃げているのは、テールカウルを変更するよりもコストを押さえられるせいでしょう。

せっかく1300ccのエンジンがありながら、フェアリングなしでは高速での走行は苦しいはず。現に中央高速を飛ばしていると、1300SFをたまに見かけますが、ナナハンの私が追い越してしまいます。ETC割引が定着すると、これからはバイクで長距離ツーリングがひとつのトレンドになることでしょう。そのとき、フェアリングとパニアケースがうまくデザインされたツアラーが人気を増すことになると予想しています。

CB1300STは、もちろん国内市場よりも海外向けのモデルではあるでしょうが、はっきりとツアラーとして日本市場に投入されることは今後のバイクの楽しみ方とあわせて、注目に値するものです。


 ('09/11/30) 
横浜で密輸直前の盗難バイク30台を押収 その2

No.4'503 ハーレーFLHXSE CVOさんにも警察から連絡があったとの報告をいただきました。FLHXSEさんが被害にあったのが9月26日、Valkyrieさんは10月1日ですので、9月から11月の間に盗難されたバイクが船積みを待っていたことになります。まだ該当バイクが出てくることを期待しています。

盗難の最盛期は盗んでから2−3週間で船に積まれたものですが、このところ、コンテナを埋めるだけの収穫に手間取っているようです。バイク窃盗組織の手口はすでに分かっていて、まず、盗んだバイクを集積所ですぐにいくつかのパーツに分解します。あとで組み上げやすいように各パーツは丁寧に包装されて識別番号が振られます。日本での輸出申告には部品・中古パーツとするようですが、フレームなどID番号のある部品は隠しています。クライアントのいる国へ直接送らずに、中継国でロンダリングするケースもあります。また、盗品を分解したものであることを隠ぺいするために、コンテナの仕向け港を2つに分けることもあります。この場合、片方のコンテナだけ押収しても、パーツが不足してしまいます。

輸入国で正規に登録、販売するためには、正規の輸入品として偽装しないとなりません。そのため、VIN(フレーム番号)とエンジン製造S/Nを明記して輸入通関することになります。警察機構が自国でだけ捜査していても、これは見抜くことができません。

なお、3年前に被害にあって、隠匿所でバラバラにされていたところを押収されたNo.3'948 CBR954RRさんから、写真入りの詳しいレポートをいただいています。


 ('09/11/26) 
横浜で密輸直前の盗難バイク30台を押収

横浜で約30台の盗難バイクが警察に押収されたそうです。そのうちの一台、No.4'504 Valkyrieさんから連絡をいただきました。引き取り後に詳細を伺う予定です。他のバイクもオーナーが特定できることを祈っています。盗難被害件数は減っているとはいえ、窃盗組織にとってとくに大型バイクはターゲットであり続けています。


 ('09/11/2) 
2009年二輪市場はどうなる その7

アメリカの二輪市場の縮小をハーレーの出荷実績で見てきましたが、以前『続・ハーレーダビッドソンの成長神話 - HD Annual Report に見るバイク市場動向』で言及したように、アメリカでのハーレーの市場占有率は約50%で、残り半分をおもに日本の4メーカーが分けあっています。したがって、アメリカ市場の縮小はそのまま日本のバイクメーカーの輸出の減少につながります。

右のチャートは日本の4メーカーによる251cc以上の排気量バイクの地域別輸出台数の推移です。『成熟社会のバイク産業とバイク文化』と同様、JAMAのデータベースから集計したものです。2004年からの統計ですので、この4年前のエッセーで作成したグラフを延長するものでもあります。ただし、今年2009年の数字は1月から9月までの9ヶ月間の集計ですので、残り3ヶ月分の予想を考慮しないとなりませんが、落ち込みの急激なことは変わりません。

一見してわかることは、輸出の延び方も、また落ち込み方も、ハーレーのものとよく似ていること。大型バイク市場の縮小はアメリカのみではなくて、ヨーロッパも同じであることが見て取れます。日本の4メーカーにとって、バイク市場は圧倒的に国外のほうでしたが、小型バイクは新興国での市場拡大と現地生産で対応していても、大型バイク市場はまだまだこの世界恐慌下で縮小が続くことが予想されます。


 ('09/10/17) 
2009年二輪市場はどうなる その6

ハーレーの第3四半期の決算が10月15日に発表になって、ハーレーダビッドソンの出荷台数(Buell, MV Agustaを除く)が54,236台。うち、国内出荷が36,524、国外出荷が17,712という結果になりました。3ヶ月前の時点での予測52,000〜57,000台どおりですが、アメリカ国内での販売は減少したまま横ばいですが、海外への出荷が減少しています。

第4四半期の出荷予想も、さらに減少を見込んで、35,000〜40,000台としていますが、年間出荷予測は前回の四半期決算時の予測212,000〜228,000台にたいして222,000〜227,000へと、幅を狭くしてはいますが、ほぼそのままになっています。

The Company is narrowing its guidance for full-year 2009 shipments, and now 
expects to ship 222,000 to 227,000 Harley-Davidson motorcycles to dealers, 
including 35,000 to 40,000 during the fourth quarter. The Company continues 
to expect full-year gross margins to be between 30.5 percent and 31.5 percent.
(ハーレー プレスレリース "Harley-Davidson announces 3rd quarter results, 
Unveils long-term business strategy" 2009.10.15)
今回は予想出荷台数の上限値を使って、前回のグラフをアップデートします。なお、国内、国外販売の内訳は今回も私が便宜的に振り分けたものです。

HD四半期毎出荷統計2009 HD年毎出荷統計2009予測

なお、このプレスレリースを伝えるアメリカのニュースでは、「ハーレーが84%の減益、Buellブランドの廃止、MV Agustaの売却」を見出しに使っています。当然日本のメディアもこれをコピーすることになりますが、減益とは、前年同期比の純利益のことです。ハーレーの損益計算書を見ると、売り上げが 14.2 から11.2億ドルへ減少、粗利が 4.8 から 3.7億ドルへ減少、リストラに関わる費用を 0.5億ドル計上、これにより営業利益が2.3 から 1.1億ドル へ減少。結果として純利益が 1.66 から 0.26億ドル へと減少したものですが、もっとも大きな要因はやはり販売台数の減少であることが見えます。

アメリカ国内での市場の縮小がはっきりしているために、海外での販売に活路を見いだすことが戦略のひとつですが、ここへ来て、海外、とくに先進国での販売が思わしくありません。9ヶ月累計の前年比で、ヨーロッパが34,284から27,954台、日本が11,502から10,240台と、これまでの右肩上がりにブレーキがかかっています。

したがって、日本メーカーが小型バイクの販売で二輪市場を拡大させている中国、インド、ブラジル、などの新興国で大型バイク市場が拓けてくることを期待することになるでしょう。


 ('09/10/14) 
東北の旅 田沢湖 - 死の湖からの回生

田沢湖はその湖畔の金色に輝くたつこ像がシンボルになっている、青く澄んだ水をたたえる美しい湖です。初めて訪れたのは10年ほど前だったでしょうか、そのときはたつこ像は湖岸から離れたところに、湖水から突き出た台座の上に立っていました。それが、金色の姿と相まって、まるで水の中から現れた妖精のように見えました。

今回、たつこ像に再会してびっくりしました。水の上に浮かんでいたはずの像が、なんと陸続きだったのです。台座のみか、そのまた土台までむき出しになるほど、水位が下がっていました。その水位低下は3−4メートルになるでしょうか。こんなに水位が変化する湖は聞いたことがありません。干上がった湖岸はみすぼらしい姿をさらしています。

気になって、帰ってから調べると、意外な事実を知ることになりました。まず、戦時中、玉川の水をこの田沢湖へ引き込んで、発電所のためのダム湖にしたこと。

田沢湖の湖水が発電に用いられていると聞けば、湖岸の「たつこ像」のあたりの水かさの
変動が激しいのにも合点がいくのではないか。田沢湖を代表する記念撮影スポットである
たつこ像は、台座部分まで歩いていける時もあれば、台座の半分近くまで水位が上がり、
まったく近寄れない時もある。水が引いている時は、生保内発電所がフル稼働したあとだ
と考えればいいだろう。
『秋田水風景「生保内発電所」』
http://www.a-kenkyo.or.jp/shuken/0909/mizu.html
けれど、玉川は強酸性で知られる玉川温泉からの水。
 別の水系である玉川温泉からpH1.1に達する強酸性の水(玉川毒水・玉川悪水と呼ばれる)
を導入した結果、田沢湖は急速に酸性化し固有種であったクニマスは絶滅。水質も悪化し
魚類はほぼ死滅してしまった。
 それに対し、1972年から石灰石を使った酸性水の中和対策が始まり、1991年には抜本的な
解決を目指して玉川酸性水中和処理施設が本運転を開始。湖水表層部は徐々に中性に近づ
いてきており放流されたウグイが見られるまでになった。
『田沢湖 wikipedia』 
舟越保武によるたつこ像が完成したのは1968年。ブロンズ像ですが、酸性の強い水による腐蝕を防ぐために、金粉で被ったとも言われています。初めて見たとき、金ピカの像は成り金趣味かとも見えたものですが、その輝きを失わない像は、死の湖と化した田沢湖にもういちど命の輝きを取り戻そうという願いを込めたものかも知れません。

そのたつこ像をシンボルにして、そのドメインもTatsuko.netと、「田沢湖に生命を育む会」が死の湖の回生をめざした活動を続けています。

 現に、発電による水位の変動は湖岸を崩落させ、千年木と呼ばれる天然木を失い、観光ス
ポットの一つである「御座の石」の姿をも変えてしまいました。
 また、一見自然保護に有効であるように見える石灰石による中和処理も、湖のPHの改善
にその力を発揮しているものの、塩化や石灰成分の沈殿、湖の富栄養化による透明度の低下
を招くのではないかと危惧されており、それらの事から、 田沢湖を元に戻すためには、玉川、
先達川の導水を停止させることで酸性水そのものを停止させ、何年、何百年かかっても、自
然の力で湖が復活するのを見守るのが、低コストで一番効果が期待できる最良の方法である
と考えています。
『田沢湖に生命を育む会』- 「田沢湖をよみがえらせるために」
http://www.tatsuko.net/index.html
はじめは違和感のあった金色のたつこ像も、いまでは風景にすっかり溶け込んでいるようです。いくらか前かがみ気味に腰をひねり、片足を前に置いたポーズと、はるか遠くを見据える目は、ミロのビーナスに通ずるところがあります。永遠の美貌を求めたために龍に変えられたというたつこ姫伝説。今それは湖の回生のために水の精に姿を変えたかのようです。

 ('09/10/2) 
口から口へ伝える重み

No.4'503 東村山市のハーレーFLHXSE CVOさんが添えてくださった被害状況を以下に紹介させていただきます。文中「防犯対策を軽視」と書かれたくだりがありますが、実際は何重にも対策をされていた重量車が、わずかの3時間のうちに持ち去られています。また今日の新規登録No.4'505 神戸市のハーレーSPORTSTER 883Rさんは「ハーバーランド前の路上にて約30分程用事で車両からはなれた際に被害」に遭われています。

被害状況をご説明させて頂きます。

平成21年9月26日午後9時頃に帰宅し駐輪場にてバイクの確認いたしました。友人に誘われ駅前で
飲む事となり妻を誘い、再度駐輪場に寄りバイクを確認し外出しました。午前1時頃帰宅、駐輪場
に寄った所バイクが無くなっていました。現場から携帯電話で110番通報をしました。

保管状況は前輪にデスクロック2個:U字ロック1個:ワイヤーロック1個を装着しました。後輪
はワイヤーロック1個を駐輪場内ポールに装着しました。ハンドルロック並びに純正セキュリティー
をセットしバイクカバーとワイヤーロック1個を装着しました。

わずか3時間ちょっとの間にバイクを盗まれてしまいました。床には引きずった跡も無く鍵も全て
無い状態でした。唯一現場に残っていた遺留品としては、後輪に掛けていたワイヤーロックの外側
の布製カバーが残っていただけです。400「近いバイクを痕跡も残さずいとも簡単に持ち去って
しまう手口は、プロの窃盗団の仕業と思っております。

私自身この様な事件に関しては、対岸の火事の事のように感じおており防犯対策も軽視しており
ました。実際に自分自身が被害に遭って初めて皆様方のご心痛を深く感じる事が出来ました。
こちらのサイトを拝見させて頂き、実態の恐ろしさを肌身に感じております。少しでもこの様な
犯罪が減る事を摂に願っております。もし私に出来る事が有ればご協力をさせて頂きたいと思って
おります。

納車されて1カ月も経たない内に盗難に遭うとは思っておりませんでした。保管場所は大変複雑な
所に有り、特定の友人にしか分からない様な場所ですので・・・

私の住む周辺のマンションには、リッターバイクがかなり多く駐輪場に置かれておりますが、特定
の車種を狙った犯行と思われます。(今回被害に遭ったのは私のバイクのみです!)断定は出来ま
せんが、個人情報が何らかの状況で漏洩した様な感じが致します。

販売店とも防犯対策について、自分の辛い経験を今後購入されるオーナーの皆様の為にも、話が
出来ればと思っております。正規ディーラーとしての防犯対策を真剣に考えてほしいと摂に願って
やみません。

勝手な事ばかり申し上げまして申し訳ございません。今は何かしないと落ち着かない状況です。
何卒皆様のご協力を賜りたく摂にお願い申し上げます。
バイクの販売店の中には、盗難の話は客を遠ざけるだけと、しっかりと注意を促さないところもあるかも知れません。いくら話しても、客のほうで真剣に受け止めてくれないので、めんどくさくなってやめた、というケースもあるでしょう。なにしろ、憧れのバイクを前に舞い上がってしまう心理は、だれもが思い当たることと思います。ですので、当サイトを訪問いただいたライダーの方にお願いです。ひとりでも多くの知人のバイク乗りに、盗難事例の恐ろしさ、ではなく、その事実だけ、お伝えください。事実を知れば、ライダーならどう対策すべきかの想像力は、みなお持ちです。

 ('09/9/17) 
真夜中の民主主義革命宣言

昨夜の真夜中にライブ中継された新閣僚記者会見は、午前0時を回っても視聴率が7.4%(関東地区)と異例に高かったことが報じられています。かく言う私もそのひとりですが、最初から見たいと思っていたわけではありませんでした。そもそも今まで新閣僚の記者会見など聞いたことないし、どうせ形式的な挨拶程度のものだろうと期待はしていませんでした。

ところが、各閣僚のスピーチはそうではありませんでした。皆、マニフェストの公約実行のビジョンを、原稿なしで自らのことばで話す姿には迫力がありました。マニフェストどおり、これまでの「官僚内閣」から「議員内閣」へ転換できれば、これは実際に民主主義革命と呼びうる変革ではないかと思います。

奇異な感じがしたのは、会見で記者団から同じ質問が繰り返されたことでした。それは、各省の次官などの定例記者会見中止についてで、省としての発表はその大臣が責任をもって行う、という当たりまえの理由説明に、記者団からは「取材の機会が制限される、国民の知る権利の制約になるのではないか」という質問。メディア関係者の錯誤感覚を見た思いがしました。これまで記者クラブなどの閉鎖的なサークルを作って、記者会見などでの発表を記事にするだけで、自分の足と汗で取材することを忘れたのが現在のメディアやプレス。ある意味、自民党政権と官僚と持ちつ持たれつの関係にあったのではないか。

そういえば、選挙の後では、小沢一郎の影響力がどうのこうのと、右倣えの論調の記事が目立ちました。そんなことマニフェストの前ではどうでもいいことでしょうに、結果としてそういう見方を押し付けているのは、やはり小沢一郎を恐れる一部官僚の思惑を代弁しているのでしょう。

新政権のビジョンにメディアが追いつくのに、まだしばらく時間がかかりそうです。それは主権者の日本国民も同じ。高速道路無料化政策も意外と反対意見が多いようで、これなども研究・調査・議論のいい対象ではないかと思います。




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