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ふまない ねらない ねかさない

江戸流うどん打ち、その普及の意義についてT

平成16年11月1日

 

 未曾有の少子高齢社会が待望するもの

 今日、日本は大変な時代を迎えようとしております。いわゆる少子高齢社会が進展し、高齢者世帯や独居の高齢者の急速な増加など、地域が抱える課題も大変に重いものとなってきました。子育ての問題にしてみても、子どもの育て方が分からない若い人達が、それであっても夫婦でいるならまだ良い方で、結婚することすら覚束ない時代となりました。

 こんな時にこそ、穏やかにして温かな地域の人々の交流を育んでいく努力が大切です。

 そこで、毛呂山町では、すべての行政区に「ふれあい・いきいきサロン」と呼ばれる地域の人々が主体的にボランティアで取組む住民交流事業を立ち上げ、これを基軸にして地域づくりを進めようとしています。そのような取り組みもすでに3年目を迎え、67地区中28地区において事業が展開されるところなりました。しかし、その取り組みに要する補助金額もかなりの額になるとともに、さらに金額の上乗せを求める声も深刻です。

 高齢者が爆発的な勢いで増加していく中、高齢者の心身に及ぶ健康こそ社会の大問題となってきました。適度の運動を伴う日常的な活動と人々との温もりに溢れるふれあいの日々。その実現をめざさなければなりません。

 

「江戸流うどん」の登場

 そのような折、今回江戸流蕎麦打ちをうどん打ちに応用して開発された「江戸流うどん」は、軽微な経済的負担でしかも技術的にも体力的にもまことに手軽に取組むことができ、本人の健康維持への貢献の大なることはもとより、大変に美味なる麺が打ち上がるため、家族の歓迎を受けることは必定で、あまりの美味しさにこれをご近所に振舞えば、人々の信頼の輪の拡大に格別の役割を期待することができるものです。

 

従来のうどん打ち

 日本人の食生活において、うどんは欠くことの出来ない食材として、私達の生活に深く根付いています。しかも、その素材は、「小麦粉、塩、水」と極めてシンプルで、なおかつ安価です。

 にも関わらず今日、自宅でうどんを打つ人は、うどんが日常の食卓に上る頻度から考えれば、極めて少数であるといえるでしょう。

 その理由は、「捏ねなければならない」「踏まなければならない」「寝かせなければならない」「売っているものが安価で手軽である」などの事情が考えられます。

 実際、「若い頃には良く打ったが、高齢になり力がなくなって打てなくなった」「打ちたいけれど時間がなくて」ということを良く耳にします。また、小人数の家族では、生麺や茹で麺を購入する方が、余程合理的な面もあります。

 

「江戸流うどん打ち」の特性

 高齢者の食生活を考えた場合、一日に一食はうどんのような麺類で、お腹の負担の軽くすることは好ましいことであり、毎日食べるのであるならば、毎日少量を打つことによって、手先から足腰に至るまで一定の運動量を確実に確保することが出来ます。

 踏まない、練らない、ということで過大な運動を必要としません。加水量が多いので生地が扱いやすく、寝かせないので時間的な制約も小さいものとなります。30分もあれば、とてもお店では食べられないほどの、非常に美味しいうどんが6人前程度は打ち上がります。

 

希薄な近所づきあいを打開する手段

 隣近所のお付合いが希薄になったといわれ続け、すでに40年以上も経過しています。初めは大都会の人間関係に向けられていた言葉も、次第に日本中のことになり、今日では隣近所のお付合いが希薄であってこそあたり前であるような時代となりました。

 しかし、未曾有の高齢社会が到来するに及んで、人々が支え合う地域を創造しなければならず、隣近所の行き来を自然にするような、その鍵となる何らかの取り組みが待望されてきました。

 うどん打ちは、毎日の食生活に関わることであり、作って体に良く、食べて体に良く、人に分けて心に良く、喜ばれまた心に良く。いわば高齢者の日常生活に極めて自然に溶け込み、しかも近隣者との関係を円滑なさしめる機能を秘めているのです。

 

ボランティア精神の具体化

 実際、一口にボランティアといっても、本当に難しいものです。「人々のお役に立ちたい心は誰にもある」とはいっても、これを簡単に具体化することはできません。そして、あまりお金や時間が掛かるようでは、これも当然長続きさせることは難しくなります。しかも、相手が喜んで受入れてくれてこそ、ボランティアは輝いていきます。

 「非常に美味しいうどん」を差し上げるのであるなら、「自分がうれしいことを他人にしている」ということで、これらのことも自然に超えて行けることになります。

 

 純良な小麦を使い、本当に美味しいうどんを、極めて簡便な軽作業によって、ご自身のために、ご家族のために、隣人のために打上げることのできる手法。その普及を、健康で心豊かな地域の創造の一助としたいと考えます。

 


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