こんにちは! 花うどんです たとえば、ボールの中のうどん粉にうどん粉の量の半分くらいの水を加え、そのままかき混ぜてみてください。まだ乾いて白いところがある一方で、ベタベタに粘りついて、ボールから生地を出すことさえもできなくなって、身動きがとれなくなってしまいます。 それで、うどんを作るとき、小麦粉に水を加える割合を“少な目”にすることになります。しかし、“少な目”にしか水を加えないと、今度はかたくて手でねることがむずかしくなってしまうため、踏んでくっつけることになります。踏んでくっつけた後さらに寝かせて、それでようやく延すことができるていどにやわらかくなります。 けれども、美味しいうどんを作るためには、実は適量の水を加えることが欠かせません。適量の水を加えることでこそ、良くコシも出ますし、すがすがしい香りや甘い味わいがあふれ出ます。水が不足をしているままでうどんにしたのでは、小麦のおいしさが出てきません。 また、粉にたいして水が、平均に行き渡るようにすることも大切です。均一に水が行き渡らないと、水が足りているところと不足しているところがまだらになって、ボソボソとした感じになります。 これらのことを解決して、美味しいうどんができるように道をひらいたのが、江戸流蕎麦打ち(えどりゅうそばうち)の「水回し」と呼ばれている粉と水のまぜ方です。この「水回し」は、 「粉と水を、絶対にねったりこねたりしない」 「粉と水を、指先だけを使ってまぜあわせる」 「粉と水の、重さだけを利用しまぜあわせる」 「水に粉を、まぶすようにしてまぜあわせる」 つまり、粉にたいして水が、どこまでも平均に行きわたるように、そして粉に圧力をかけることなく水がふんわりと自然に浸透して、ふっくらと仕上がるように努めます。 花うどんでは、江戸流蕎麦打ちの水回し法により、水を十分にふくませます( 粉全体に 水を ふんわり ふっくら ふくませる )。ですから、もうそれだけで、小麦粉のおいしさが引き出され、コシが十分にでて、適度にやわらかく、踏むひつようも寝かせるひつようもありません。 水回しを終えただけで、おいしいうどんの生地が仕上がっています。 けれどもまだこの状況では、たくさんの大小の粒があつまっているだけですから、これらの生地から空気を追い出して、粒と粒をくっつけなければなりません。そのためだけに、粒と粒をつなげて一体化させるそのためだけに最小限、こねて合わせ、つなぐことがひつようです。 江戸流花うどんでは、こねることさえも最小限にとどめ、小麦粉に水を合せて、そこに生まれる本来の小麦粉の味わいを、大切にします。 小麦粉に水をくわえると、「粘るたんぱく質(グリアジン)」と「伸び縮みするたんぱく質(グルテニン)」とが活性化をして、その機能がはたらきはじめます。 そして、その粘るたんぱく質と伸びちぢみするたんぱく質とは結合するとグルテンを形成して、これがうどんのコシになります。小麦粉に水をくわえるとそれだけでコシができてきますから、それ以上生地をいじるとグルテンが過剰となり、麺のあじわいが失われます。 また、加水を多くしてねってしまうと、粘るたんぱく質の活性が進み粘着性がたかまってくっつき、麺を切りさばきにくく、引きはなしにくくなってしまいます。 ねらないことはほんとうに大切です。 さあ、みんなでおいしいうどんの作り方がわかったら、家族や近所の人に、「ほんとうにおいしいうどんができたよ」と、教えてあげてください。 |