(児玉さんの横田弁川柳)

あなたも出雲弁川柳を作ってみませんか
寄稿をお待ちしております

あ行 か行 さ行 た行 な行 は行 ま行 や行 ら行 わ行

☆2003年10月4日

〇 あいまー見て 腹ごしらえを しちょいてね
  あいま とは すき 間 のこと。仕事をやってもらっている人に「仕事のあいまに しっかり食べちょいて それからまたぎばんでね」と お願いをしているのです。

 

〇 あおんだま うてば広がる 青天井
  あおんだまをうつ とは 寝転がって仰向けになること。ゴルフです ミスショットで思わず芝生の上に大の字になったのですが 青天井を見上げて すっきりしたのでした。

 

〇 あが−はな じゃーいけません さあどうぞ
  あがーはな は 玄関の上がり口のこと。訪ねてこられた人が上がり口に腰を下ろして話しかけられるので「それじゃーいけません 奥の方へどうぞ」と 案内しているのです。

 

〇 あしーたてて 折角おいで ましただも
  あしをたてる とは わざわざ出かけること。面談の目的で 遠くからわざわざおいで下さったのに 会うべき相手の方の都合がたまたまつかなくて 気の毒がっているのです。

 

〇 あてがーて もらーた程でも 有難い
  あてがう は 割り当てる 任せる ということになりましょうか。とてもお鉢が回る筈がないと思っていたものが 自分にも頂けたので喜んでいます。よかったですね。

 


☆2003年10月12日

〇 あとさきが まだまだこれじゃー 終わらんわ
  あとさきする とは 往復する 交際すること。商談のまとめなのでしょうか 仲人としての後先なのでしょうか どうも張り切って ばたばたしておられるようです。

 

〇 あばしれて かまーかけちゃー いけんわね
  あばしれる は ふざけていたずらをする。かまをかける は この場合 からかう ですね。子どもに悪ふざけはいけません。本気で怒っています 冗談は通じませんよ。

 

〇 あまだまで もそんで上げて ごしなはい
  あまだ は 藁葺き農家の中二階のこと。もそぶ は 重いものを持ち上げて運ぶこと。何を頼まれたのか 梯子をかけて担い上げなくてはなりません。気をつけてね。

 

〇 あらましだ いかさまたたき 大工だね
  あらましな とは 粗雑なこと。たたき大工 とは 腕の不確かな大工のことをさして言います。仕上がりを批判しているのですね。あまり辛辣なのは 気の毒ですよ。

 

〇 あわさいが あーだもあんたにゃ 見えんわね
  あわさい とは 差 開きのこと。職人さんの作品の品定め 素人には その出来の良否がなかなかわかりません。みんな同じように よく見えますものね。

 


☆2003年10月18日

〇 いいつぎが どこでちがーた もんだやら
  いいつぎとは 家順に言い継ぐこと。電話でのいいつぎでしたが 始めに出した集合時刻が 終わりの家に回った時には違っていました どうしてだったのですかねえ。

 

〇 いきはがない 誰を頼って よいのやら
  いきはがない は 行き場がない なす術がないこと。困った問題を抱え 思案にくれた揚げ句 人にお縋りして知恵を借りたいのです。どなたか ないでしょうか。

 

〇 いとまごい まさかこんなに 早いとは
  いとまごい は 死者との最後の対面のこと。ついこの間まで元気だったお方の 急死に直面し いとまごいに行けば お悔やみの言葉にも詰まります。世の中は無常ですね。

 

〇 いなげにした 罰だよあれは あの通り
  いなげにする は 嫌がらせをすること です。骨肉の争いというか 親族間でもあることがあります。「醜いね だから罰が当たったんだよ」 などと噂されるのですね。

 

〇 いろがわり あなたもはずみが いいことで
  いろがわり とは 男の子の次に女の子が生まれる その逆の場合のことも言いますね。いずれにしても 偏るより は 待っていた家族には その方がいいのかもしれません。

 


☆2003年10月25日

〇 うつすやーに 降って来たねと 雨宿り
  雨が急に集中的に降り出すことを バケツをひっくり返したように降り出した といいますね。まさにそんな土砂降りに出くわしたのでした。友と二人で雨宿りなのです。

 

〇 うまが合い 誘い合っての 旅行です
  うまが合う というのは 双方の気持ちがよく合う ということ。そんなコンビは 傍目にもいいものです。誘い合っての家族ぐるみの旅行など 羨ましい限りですね。

 

〇 えーかちーほど 落ちちょったわね 拾うたよ
  いいかという程 を 方言で言うとこうですね。台風が去った後 栗がえびた頃だ と思って山へ出かけたら それこそいいかと言う程落ちていたので ほくほくだったのです。

 

〇 ええこといいも 程々にして 下さいよ
  ええこといい とは 自分本位 自分に都合のいいことだけ言うこと。あまりにもそれが過ぎる人があったので ついつい注意を促したのですが 皆の代弁になったようです。

 

〇 えにかぜが たったやーだね あの所作は
  えにかぜがたつ とは 急に帰りたくなること。会合の中で 誰かひとりそわそわし始めました。「なんでかい えんたーになったさーながな(帰りたくなったらしい)」

 


☆2003年11月1日

〇 おいでませ たまにゃー顔を 見せーだわ
  おいでませ は 来て下さいませ ですね。お互いに忙しいのか 近隣の方とも案外疎遠なので「たまには一緒にお茶でもどうですか」と 顔を見かけた折りに誘ったのです。

 

〇 おおねんじ 来てごいちゃった 成功だ
  大人数のことを なまると こう言います。会を企画したら 折角の折りですから 大勢集まって頂かなくてはなりません。今までの呼びかけが実ったので 喜んでいるのです。

 

〇 おせらえて ませた子だねと マークされ
  おせらえる は 大人びた ませた は 早熟な です。大勢の中にはそんな子どももいるものです。大人がやり込められることもあり 大体嫌われていますね。

 

〇 おちらとして 愛想もよし 品もよし
  おちらとする は 鷹揚な ゆったりした ということです。仲人口の話なのでしょうかしら 近頃の娘さんには見られない いい人のようです。

 

〇 お手あわん 方が今度は よさそうだ
  お手あわん とは 相手にしない できない ということ。今回の用件については どうも意見があわない 相手にしない方がいいようだ と 考えているのです。 

 

 

作者:児玉敏郎

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