万華鏡
(児玉さんの横田弁川柳)
あなたも出雲弁川柳を作ってみませんか
寄稿をお待ちしております
あ行 か行 さ行 た行 な行 は行 ま行 や行 ら行 わ行
☆2004年5月4日
〇 なーじして おかえましたじ えかったわ |
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なーじする とは 満足すること。容赦なお客さんを迎えて あれこれ気を遣ってのおもてなし 帰られてから 「満足して帰られました よかったわ」と 話しているのです。
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〇 なーなかいて しまーた方が ええかのー |
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なーなかす とは 捨てる なくす こと。大分古くなった道具があります。「この際 使いきってなくしてしまった方が さっぱりするねえ」と 言っているのです。
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〇 ないだねえ きみも背筋を もどいたよ |
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なぐ というのは 風がおさまること きみ は とうもろこし のこと。強い風がようやくおさまって 畑のとうもろこしも 安心したように 真っ直ぐに戻ったのです。
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〇 ながおりして ごっつおうさんに なーました |
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ながおり とは 長く居ること。「長時間 お邪魔していて その上に ご馳走にあずかったりして 申し訳ありませんでした」と お礼を述べているのです。
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〇 ながたれて 重石(おもし)がどっかり 動かない |
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ながたれる とは なかなかお尻をあげないこと。そういう人もあるものです。「尻に重石でもつけちょってだらーか もたいさーで こしー上げちゃーねーがの」
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☆2004年5月8日
〇 ながまって ゆっくり休んで ごしなはい |
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ながまる とは 横になること。働いていただいた方の休息時間です。「お疲れ様でしたどうぞ横になって ゆっくりと休んで下さい」と 言っているところです。
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〇 なまじのー あんまーかまわん 方がええ |
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なまじ は 却って むしろ。機械がどうも故障して動かない 何とかしなくてはと取り組んでいますが 「構わないで なまじ専門家に任せたら」と言われているのです。
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〇 なんちーこと ひょっこり戻って きた訳は |
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なんちーこと は 何ということ のなまり。よそへ出かけて 仕事に携わっていた子どもが ひょっこり帰ってきたので 「どういうことなのか」と 問い糺しているのです。
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〇 なんのけも ねーがのやっても つまらんじ |
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なんのけもない とは 何の効果もない ということ。「折角頑張っていろいろ手を尽くしたのに ちっとも効果が上がらない 何でだろうか」と 言っているのです。
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〇 何やかや 人がええけん 請けあーて |
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何やかや は 何やらかにやら。人がいいばっかりに 何でもかんでも頼まれて 断り切れないのです。でも 頼まれないよりは増しですよ せけている人もあるのですからね。
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☆2004年5月15日
〇 にえちょーか すえっちょーかも わからんね |
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にえる は 煮える すえる は 腐る ですね。煮えたものか 腐っているのか わからない というのは ぐずぐずして要領を得ない人 の例え なのです。
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〇 にくずらしー だーからもらーた 口かいのー |
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にくずらしい は 小面憎いこと。憎まれ口をたたく若い者がいます。にくずらしいのでついつい 「いったい 誰からもらった口だろうか」と 親の悪口まで言われています。
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〇 にげたねー 思うやーにゃー 出来んだねえ |
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逃げる は この場合 逃れる 降りる つまり 敬遠して遠ざかること。新しく取り組んだことが 思うように出来ないので止めてしまった それを言われているのです。
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○ 二番芽に なーとやっぱし 駄目かねえ |
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二番芽 は 共通語かもしれません。お茶でも 山椒でも 初芽を摘んだあとで また芽が出てきます。惜しい気もするので摘むのですが 味はやっぱり落ちますねえ。
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〇 ぬくもって えかっしゃいよと 引き留める |
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ぬくもる は あたたまる ですね。寒い折り 用事も終わったので帰ろうか と 立たれた人に「寒いから もう少し温まってからお出かけなさい」と 言っているのです。
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☆2004年5月22日
〇 ねくさしで 子どものきげんの わりーこと |
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ねくさし とは 寝不足のこと。子どもを寝かしつけていたのに どうしたことか起きてしまった 寝不足で ずいぶん 機嫌が悪いのですが 何とかなりませんか。
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〇 ねこなでも どこまで通じる もんだやら |
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猫撫で とは お世辞を言うこと。世智がらい世の中 誰もが 人の心はよく読んで 対応しています。見えすいたお世辞など かえって見苦しいですよ。
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〇 ねねしいのー そこまで言わにゃー いけんかのー |
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ねねしい とは 粘り強い 執念深いこと。何が原因なのか 人を問いつめていますが その様子があまりにもねねしく見えるので 周りが見兼ねて忠告しているのです。
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〇 ねやごだよ はよーねままで もそばにゃー |
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ねやご とは 小さい子が 眠くなってぐずること もそぶ は 運ぶ。赤ん坊が ねやごを言い出しました。「早くきちんと寝かせなくては」と 誰かが指示しているのです。
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〇 ねよのまちへ みやすげにえって しまーたわ |
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寝夜の街へ行く というのは 要するに 眠る ということ。さっきまで ぐずついていた小さい子が 疲れもあったのでしょう いとも簡単に 寝入ってしまったのでした。
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☆2004年5月30日
〇 のーまつに 乗ってまたもや 失敗し |
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のりまつに乗る とは 人の煽動にすぐ乗ること。「おだてに乗って すぐに飛びついて やーけん 失敗すーわね またやったわと 笑われちょーかもしれんじね」
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〇 のくったら たったも後へ はーがのー |
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のくる は 先送りすること。忙しいので 請け負った仕事がだんだんと先送りになっているのですが それが後になって 困るようになりはしないか と 心配なのです。
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〇 のつかえたら しゃんと返事を もらわにゃー |
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のつかす とは 物を手渡すこと。物を届けることを請け合ったら「確かに受け取った」とか「物の中身はどうだった」とかの 返事をもらって帰らなくてはいけませんね。
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〇 のふーずだ やっぱし仕事を 持たにゃーのー |
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のふーず とは ずぼらな ふしだらなこと。所謂フリーター やむを得ずやってはいるのでしょうが その生きざまは のふーず と言われても 仕方ないですね。
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〇 のらりくらりと その場しのぎの 言いのがれ |
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のらりくらり とは 怠けてだらしなく つかみどころがない様子。問い糾されて つかみ所のない言い逃ればかりしていますが いつまでもそれでは通用しませんよ。
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作者:児玉敏郎
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