(児玉さんの横田弁川柳)

あなたも出雲弁川柳を作ってみませんか
寄稿をお待ちしております

あ行 か行 さ行 た行 な行 は行 ま行 や行 ら行 わ行

☆2004年7月31日

〇 まーじだのー そろそろ返事は どげーかね
  まーじだのー とは まあまあ よくもよくも という 非難する言葉です。聞き合わせていることに ちっとも答えてくれない しびれを切らして請求しているのです。

 

〇 まーたごと 持って帰って ええけんね
  まーたごと というのは 全部いっしょにして ということです。「全部いっしょに 持って帰っていただいて結構です」 有難いですね。何を戴けたのかしら。

 

〇 まあまあだ ここまで出来りゃー ええとせにゃー
  まあまあ というのは 先ず先ず つまり どうやら水準に達している 目的に適っている ということ。頼んだものの仕上がりが 思ったよりも上出来だったのですね。

 

〇 まいしこだ こんなはやっぱし 手がええわ
  まいしこ とは 上手に 立派に出来た ということ。お願いしたものが 立派に出来上がりました。「頼んでよかった あの人はやっぱり腕が立つ」と 感心しているのです。

 

〇 まかせよーに したつもりだが 見てごっさい
  まかせ とは 準備のこと。会場へお客を迎える準備の責任を負わされて 万端整えたつもりなのだが どうだろうか 居合わせた人に意見を求めているのです。


☆2004年8月7日

〇 まさげなが だどもこわいは 後の飯
  まさげな とは うまそうだ よさそうだ ということ。クレジットカードの使用は 便利で重宝です でも いつの間にか通帳が空っぽになっています 気を付けましょうね。

 

〇 ましゃくには とてもあわんよ ごいたてて
  間尺に合わん とは 役に立たない 間に合わない ということ。「そんなものを 今呉れたところで もう今更 役には立たん つまらんよ」と 言っているのです。

 

〇 まわーたちで もう番が来たか はえーのー
  まわーたち というのは 家順に当番などを回すこと。輪番でやっている仕事 あまり歓迎されないようなことに限って 早く番が来るような気がするものですね。

 

〇 まんだ出来ん あしたまでだに えけんがな
  まんだ は まだ。頼まれた仕事が 明日がその期限だというのに まだ出来上がっていないのです。仕事に携わっている人に せきたてているのです。

 

〇 まんなおしだ お前も一杯 やらっしゃい
  まんなおし というのは 運をたて直すこと。仕事がうまくいかないか トラブルがあったからなのか むしゃくしゃして つい人を誘い込んで 飲もうとしているのです。

 


☆2004年8月14日

〇 みしょーにのー 今思いつく ことはない
  みしょーに は むやみに ですね。「時期を今少し考えてみましょう あわてて むやみやたらに 今 取り組まなくてもいいではないか」と 言っているのです。

 

〇 みずあべの 場所は昔は 淵だった
  みずあべ は 水泳 のこと。今 水泳をするのは 水の汚染ということから プールでないとできません。昔は 清流の淵などきれいで 楽しく泳げたのですがね。

 

〇 みてーさんぼな やり方ですよ 困ります
  みてーさんぼな というのは 不当な 情知らずの ということ。「あなたのしておられることは 相手の立場を考えていない 不当なやり方ですよ 困りますがね」

 

〇 みそにほねが あるようだねと にらまれる
  味噌に骨がある とは 遠回しにあてつけて悪口を言うこと。ちっともそんな気で言ったではないのに「あなたは よくもあてつけて言ってくれましたね」と 睨まれたのです。

 

〇 みそをつけたね そのやり方じゃー 無理だわね
  味噌をつける とは 失敗する 醜態を演じること。「どうもうまくできなかった 失敗でしたね そのやり方では無理だったわけだから 今後は 考え直しましょうや」

 


☆2004年8月21日

〇 みたてだわの 待合室は 混んじょーよ
  みたて とは 診断 のこと だわの は この場合 いいだわの の省略です。みたてがよくて 親切で 早く治るのなら 医院の待合室も 混むのが当たり前ですわね。

 

〇 みばはいいが 何かが足らん 若い人
  みば とは 外観 見たところの体裁。近頃の若い人には 見た目はたいへん格好いいのだが 言動所作に 何か物足りない人が多いな などと思ってしまってはいけませんか。

 

〇 迎え火が ゆらゆら揺れて 初の盆
  迎え火 は 共通語かも。説明の要はないと思います。迎え火を焚いて 新仏を迎えている初の盆 在りし日の故人に 思いを馳せているのでしょう。夏の夕暮れの情景です。

 

〇 むしおこし 今は寄りつかん 方がよい
  虫をおこす とは 子どもが癇癪をおこして いらくること。何が原因だったかわからないが 子どもが荒け回っている。あわてて機嫌を取ったりせんでも 今に治まるよ。

 

〇 めがんでは 同じいように 見えるけど
  めがん というのは 目分量 ということ 正確ではないでしょうね。「自分が見た限りでは 量が同じようだけど まあ測ってみなさい」と 言っているのです。

 


☆2004年8月28日

〇 めくそほど やーやこ持って きてあげた
  目糞 というのは ほんの少しばかり ということ。頼まれたものが こちらにも僅かしかなかったので ほんの少しばかりを ようやく持ってきてあげたのでした。

 

○ めげたがね ええと思うて とっただも
  めげる というのは こわれること。宣伝につられて 通信販売で購入した品物が 早速こわれてしまったのです。一歩踏み止まって クーリングオフ出来なかったでしょうか。

 

〇 めどがたち 気も晴れ晴れと 鍬を入れ
  めどがたつ というのは 見込みが立つ ということ。箱物構築の 予算もきちんと計上することが出来 関係者は気持ちよく その地鎮祭に臨んでいるのです。

 

〇 めにあーたわ 人はわからん もんだのー
  めにあう とは ひどい仕打ちを受けること。全く予想外 信頼し切っていた人から裏切られ 協力もして貰えません。人は 本当に 見かけによらないものなのですね。

 

〇 めんたしだ えらいまいとこ まとめたね
  めんたし は めでたいことだ ということ。若い二人 いいカップルだなあと思い その仲人を と 買って出ました。首尾は上々で 回りからの評判も 大変いいのです。

 


☆2004年9月4日

〇 もーちーと ぎばみゃーあれで できたにのー
  もーちーと は もう少し ぎばむ は 頑張る。「もう少し頑張れば あれでできていたのに」と 一歩手前で頓挫したことを 側から くやんであげているのです。

 

〇 もくのまま 飲まっしゃったか つえーのー
  もく というのは 水に割らない酒 ということ。焼酎か ウイスキーか でしょうね。薄めないで 濃度そのままのを飲まれたのです。「強いなあ」と びっくりなのですね。

 

〇 もちゃーげて 乗せて契約 第一号
  もちゃーげる とは 機嫌をとってそそのかす ということでしょうか。セールスマンの口車に上手に乗せられて 契約第一号だったのです。悔やんでも後の祭りなのですね。

 

〇 もっけな顔 いったい何が あったかね
  もっけな顔 というのは あきれて びっくりしたような顔つき のことです。ひどく驚き あわてておられるようで 一体何事が起こったのか と 聞き糾したのです。

 

○ ものみにのー 誰かに食べて もらわにゃー
  ものみに とは 試しに 手始めに ということ。にぎやかに評定しあいながらの課題の料理 どうやら味付けにさしかかったようですね。舌に自信のある人はいませんか。

 

作者:児玉敏郎

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