(児玉さんの横田弁川柳)

あなたも出雲弁川柳を作ってみませんか
寄稿をお待ちしております

あ行 か行 さ行 た行 な行 は行 ま行 や行 ら行 わ行

☆2004年2月15日

〇 だえぐるしい 暑さざわりの 二三日
  だえぐるしい とは 体がだるくて難儀なこと。急に暑くなって 疲れも一度に出たようで この二三日 だるくて適いません。この際 無理をせず 体を休めましょう。

 

〇 だえしょうは うちにもあーけん 大丈夫
  だえしょう は 大小 少しは ということ。何かの催しに必要な品物を集めているようですが 「うちにもありますよ それで大方足りるでしょう」と 言っているのです。

 

〇 たかがしれた ことかどげなか やってみにゃー
  たかがしれたこと とは たいしたことではない と たかをくくること。「懸案事項をたかをくくって見ておられるが やってみなくてはね」と 案じてあげたのでした。

 

〇 たきがある 思ったよりも 上出来だ
  たき とは 量 重さ のこと。精出して作っていた畑の野菜 丹精の甲斐があってか文字通り充実した おいしそうなのが出来ました。喜んでいるのです。

 

〇 たごをなげたか ちーと早いよ あきらめが
  たごをなげる とは 望みを失う あきらめること。やりかけたことが どうも無理かなとあきらめかけた人に 「少しあきらめが早過ぎるよ」と 気合いをかけているのです。

 


☆2004年2月22日

〇 たしまえは ちょんぼしわてでも 出し合わー
  たしまえ とは 補い のこと。共同で購入した品物の金額が予定額を上回ったのです。世話した人が 自分の責任だから出すと言うのを 皆して補おうと 言っているのです。

 

〇 たじろがん やっぱしこんなは 大物だ
  たじろぐ とは 驚き恐れて後すざりすること。面と向かって そのやり方に批判を浴びたのでしたが 平然と立ち向かっておられます。やはり大物なのですね。

 

〇 ただぼうこう いつかは実る 時が来る
  ただぼうこう とは 無賃で奉仕的に仕事をこなすこと。黙々とただばたらきをしている人 気の毒です でも そのうち認められますよ その努力は 必ず報われますよ。

 

〇 たまにゃーのー 思うたやーに させなはい
  たまに は まれに ですね。危なっかしいし 信頼がおけないらしい やることなすことに口出しをされるのですね が 言われる方にも言い分があるらしいのです。

 

〇 だまりぼっか みっさいまいとこ しゃべっちょる
  だまりぼっか とは 無口な人のこと。無口で無愛想だ と定評のある人が 何の機会でしょうか 人前で滔々としゃべっている。どうしたんだ と 皆が驚いているのです。

 


☆2004年2月29日

〇 ちーたーのー 人の意見も 聞くだわね
  ちーたー は 少しは ですね。何でも自分の思い通りにやり 聞く耳を持たない人がいます。それを見かねて 「少しは人の意見も聞くようにしたら」と 言っているのです。

 

○ ちーとがなかい 他人の飯でも 食わせたら
  ちーとがなかい は 少しの間。苦労知らずでわがままの子がいるのですね。「少しの間 よそへ修行に出してでも 苦労を味わわせにゃー こんなはものにならんよ」

 

〇 ちーとだり わしにゃー聞かせて ごさんじね
  ちーとだり は 少しも です。「世間一般の出来事や噂話など 私にはちっとも聞かせてくれません」と 嘆いています。お年寄りの僻みですね どこでもなのでしょうか。

 

〇 ちかまわりは わしが行くけん せわーない
  ちかまわり とは 近所のこと。一軒一軒直接歩かなくてはならない用件が入って来たのですが 「近いところはわしに任せろ」と おじいさん なかなか元気です。

 

〇 ちゃぐちがのー 今切れちょって えけんだも
  茶口とは お茶うけ のこと お菓子の他に 煮物 漬物など出す向きもあります。お客さんにお茶を出すのですが 「いい茶口が 今ないけど」と おわびしているのです。

 


☆2004年3月6日

〇 ちやほやと 甘やかすけん 駄目だがの
  ちやほや は 機嫌を取るようす。子どものしつけは難しいですね。「甘やかいてばっかしおってだけん 一人で何だー出来んだがね」 言っている方は大丈夫なのですか。

 

〇 ちょーしもんだ やっぱしかまーて みんことにゃー
  ちょーしもん とは ここでは 運が伴うもの のこと。新しい機械でも 調子の良否はあるものです。ですから 実際に試してみてから購入するのが 常識 なのですねえ。

 

〇 ちょちはちょち まだやり直しが きく筈だ
  ちょち とは いい加減なこと 誤り。「あなたのしたことはおかしい 間違いは確かに間違いだ でもまだやり直せる 改めるのに憚ることはないよ」と 慰めたのでした。

 

〇 ちょっぱいが 通じる筈は ないもんね
  ちょっぱい とは 真実性がなく 口先だけが上手なこと。こういう人には符牒がついていますが 当人はそのことに気づいていないのですね。信頼されていませんよ。

 

〇 ちょんぼしは おせげになった みたいだね
  ちょんぼし は 少し ということ。働きに出ていたわが子が帰ってきました。人中で揉まれたせいなのか ちょっぴり大人らしくなっている 迎えた親の心中は複雑です。

 


☆2004年3月14日

〇 つけにして また買ったかね いけんじね
  つけとは 後払いのための請求書のこと。欲しいものがあり お金がない時は つけのままにして買いますが 癖になってはいけません。いつの間にか 借金が膨れています。

 

〇 つづめがついたよ 四十五分だ 印籠だ
  つづめ とは 決着 のこと。テレビドラマ「水戸黄門」は 大体 八時四十五分頃 印籠がかざされることによって 決着します。偉大なるマンネリというべきでしょうね。

 

〇 つどうてのー 体は二つも ないだけん
  つどう は 集う 集まること。ある会合に出席出来ませんでした。会が重なって 片方は欠席せざるを得なかった その折りの 言い逃れ 弁解の言葉です。

 

〇 つなぎだよ ちょんぼーだども こらえてね
  つなぎ とは つなぐもののこと。この場合は その場しのぎにつなぐお金のこと。ある人の急場を救うために 取り敢えず少しばかりのお金をあげて こう言ったのですね。

 

〇 つねがねは まず健康と いうけれど
  つねがね とは 平素 ということ。平素は 何よりもまず健康でなくちゃ と 言いながら 不摂生 やせ我慢 また 承知の上での無理など どうもいけませんね。

 


☆2004年4月3日

〇 であいもんに 出くわせましたわ まんがええ
  出会いもん とは 欲しいと思っていたところへ折よく間に合う品物。丁度 言葉通り そんな品物に巡りあうことが出来 「運がよかったな」と 喜んでいるところです。

 

〇 でがすーけん もう二三本 買っちょくか
  でがする とは 長持ちする 使う値打ちがある などですね。買い求めたところが 使いでがする いいものだったので 「もう少し買い求めておこうか」と 考えたのです。

 

〇 手に負えん 人かもしれんと ノーチェック
  手に負えん とは この場合 もてあます ですね。皆からは 一緒に仕事など出来そうにない と敬遠されている人があり 仲間のリストからはずされたのです。 

 

〇 出べそかね ええ場へとても 出せんかね
  出べそ とは 出しゃばり のこと。「どうも 出しゃばりのようだね あんなでは とても あらたまった大切な場などでは 出て貰った私達が 恥をかくかもしれんね」

 

〇 手よごさず ええとこどりで すませてる
  手汚さず とは 自分は何もせず 人がしてくれて 事が成ること ええとこどり とはいいものを 我先に 取ってしまうこと。この二つが 平然とできる人もあるのです。

 


☆2004年4月10日

〇 とーしにのー さとから心配 してごすわ
  とーしに とは 度々ということ さとは この場合 都会のこと。都会に出かけた若い孫が 度々 珍しいものを送ってくれたりするので 感謝しているのです。 

 

〇 どげーだり せんでも何とも ない筈だ
  どげーだり は 何とも とか 少しも とか言えますか。計画もきちんと進行しているようだから こちらが 心配してあげたりすることは もう要らないんだね。

 

〇 どさくさに 紛れてしまーて 見えんじね
  どさくさ とは 混雑する様子。さがしもの でしょうか とりこみがあって混雑し どこへ紛れこんでしまったのか 困っているのですね。

 

○ とちってのー そのままあがって えけじゃった
  とちる は 失敗する 迷う こと。資格試験の実技か何かだったのでしょう 挑んでみたけれど 瞬間迷いが出 そのままあがってしまい 結局駄目だったのでした。

 

〇 とちめんぼー ふられたさーで えんじゃった
  とちめんぼーふる とは 面食らって ひどくあわてること。何事だったのでしょうか予期しないことが起きたので びっくりし そのまま帰ってしまわれたのですね。

 


☆2004年4月17日

〇 どっちぶり 思惑通り にゃー出来ん
  どっちぶりとは いずれにしても ですね。「今度の計画は 問題も多く抱えており いずれにしても 思ったようには出来ん 難しいもんだ」と 言っているのです。

 

〇 とってかえ またひっかえて 布団干し
  とってかえ は 裏返し のこと。久しぶりの天気になったので 布団干しです。念を入れて 何べんも裏返して 干しているのです。

 

〇 となーつけ 子の成績を ほめそやし
  となーつけ とは 隣りどうし のこと。さいわい 隣りどうし お子さんの学校の成績がよくて そのため仲がいい。成績もお互いに見せ合ったりしているのですね。

 

〇 どはずいて 連れの姿も 見失い
  どはずく とは 混雑すること。にぎやかな催しがあり 連れだって出かけたのでしたが あまりの混雑に 連れのお方とはぐれてしまったのでした。

 

〇 どひょうしな 質問攻めは 作戦か
  どひょうしな とは 途方もない 非常識な ということです。何の会合でしょうか 明らかに相手を困らせるための 訳のわからない質問が 飛びかっています。 

 


☆2004年4月24日

〇 どろおとし ちまきの香りは 里の味
  泥落とし とは 田植え休み のこと。農繁作業が一段落したので 里帰りをさせてもらったお嫁さんが 実家でちまきをいただいて 懐かしいその味を 満喫しているのです。

 

〇 とわずをいい 煙たがられる 年になり
  とわずを言う とは 訳のわからぬ 間違った ことを言うこと。そんなつもりで言った筈はないのに 変なことだなと受け取られ 敬遠されるような年になったのですね。

 

〇 とわんじね そげねせかせか やったてて
  とわん は 届かない 達しない せかせか は せっかちに。せいてやっても 期日までに間に合いそうにない。「なまじゆっくりやりましょうよ」と 言っているのです。

 

〇 とんこーだ あの鉢巻きが 孫かいのー
  とんこー とは かけっこ のこと。運動会に 孫の応援に駆けつけたのです。孫が走り出したのですが 鉢巻きの色で孫がわかり 声援を送っているのです。

 

〇 どんべでも 完走したねと ほめてやり
  どんべ とは 最後尾 つまり ビリ のこと。長距離競走 わが子はビリでのゴールイン でも 「途中で止めた人も大勢いたんだ よくやったよ」と ほめてやったのです。

 

作者:児玉敏郎

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