羅生門
(児玉さんの横田弁川柳)
作者より一言
あなたも出雲弁川柳を作ってみませんか
寄稿をお待ちしております
あ行 か行 さ行 た行 な行 は行 ま行 や行 ら行 わ行
☆2003年5月17日
| 〇 はえごんし やっとタクシーで 滑り込み |
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はえごんする は あわてて大騒ぎすること。団体旅行か何かで出かける朝なのですね。忘れ物でもあったのか おおあわて でも バスは待っていてくれました。
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| 〇 はかいきに まげにおかげで 出来ました |
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はかいきに は 能率的に まげに は 上手に ですね。頼まれていたことが 側からの協力もあったのでしょう いい具合に仕上がったので 喜んでいるのです。
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| 〇 はこきめが ちーと過ぎると 眉ひそめ |
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はこをきめる とは 知ったかぶりをして勝手にやっていくこと。どこにも そういう人があるものですね。「ありゃー はこきめがちーと過ぎーじょ」「えけんわな」
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| 〇 はずんがええ 皆が祝いに 来てごいて |
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はずんがええ はずみがいい は 喜んで気持ちが高ぶること。お年寄りの長寿のお祝いがあったのですが 一族こぞって賑やかに来てくれました。嬉しかったのでしょう。
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| 〇 ばっくらと 腰を下ろして 一休み |
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ばっくらとする は くつろいで気抜けした様子。心にかけていた仕事が一段落したのです 腰を下ろしてくつろいでいますが ごくろうさんでしたね。
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☆2003年5月24日
| 〇 はつめーな やり手ばかりの ご兄弟 |
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はつめーな とは 利口でやり手な ということです。世の中には 二人揃ってやり手だという兄弟もありますね。学者 経営者 俳優 それに 横綱 総理大臣までも。
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| 〇 はなぐすり ちょっと利かせて 無事通過 |
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はなぐすりを利かせる とは 犯罪行為とまでは行かないが ちょっとした賄賂で機嫌を取ることです。効きめがあったのですね 人より先に入れて貰えたのでした。
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| 〇 はなさきに 落ちちょーやつが 見えんかね |
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はなさき とは 鼻の先 すぐ目の前のこと。「そこそこ そのはなさきに 落ちちょーがね 見えんかね」といわれても 気がつかないこともあります 仕方ないです。
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| 〇 はなばしらを 折っちゃらーこい あげなもん |
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鼻柱を折る は 高慢な人をこらしめることですね。「まーじえばっちょーのー どげぞして やっつけちゃらにゃー」「おらもそげー思うわ あーじゃーえけんわな」
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| 〇 はねごにあーて 今日もあの子は ただひとり |
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はねごにあう は 仲間はずれにされること。子どもにとっては 辛い 悲しいことなのです。勢力関係がもとで はじき出されたのでしょう。何とかしてやりたいですね。
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☆2003年6月8日
| 〇 場ふたげに なーばっかしだと 邪魔にされ |
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場ふたげ は 場をふさぐ つまり 邪魔になること。「えま 忙しい最中だにからーに こんなは役に立たんのー 邪魔んなーばっかーだがな」 冷たくあしらわれています。
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| 〇 腹がないたよ まんだお昼に ならんかね |
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腹がないた は おなかがすいた ですね。大分頑張ってお仕事に取り組んでいたのでしょう おなかがすいたので 昼飯の催促です。もう そろそろですよ。
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| 〇 腹くそが 悪んなーがの 気が利かん |
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腹くそが悪い は 不愉快だ 腹が立つ ということ。仕事をしてもらっているのですが 期待に反して 手間はかかるわ 気が利かないわで 腹を立てているのですね。
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| 〇 はんざまくな ことでしたわね いけんかね |
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はんざまくな は ざまくな 粗雑なを 強めた言い方です。製品が粗雑だと言われたのですね。ざまくでしてとあやまりながらも いけんのですか と 強気なのです。
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| 〇 ばんじまして 今日も一日 ごくろうさん |
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ばんじまして は 出雲地方を代表する 方言での挨拶言葉です。お互いに ばんじまして と挨拶を交わしながら 一日を終えるのです。明日も頑張りましょう。
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☆2003年5月31日
| 〇 ひーさんなかい かけてやーやこ 出来たがね |
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ひーさんなかい は 長い間 やーやこ は ようやく。請け合った仕事が 長時間かけて ようやく出来上がりました。苦労のあとを見て下さい と言っているのです。
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| 〇 ひけらかす 程のものでも ないけれど |
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ひけらかす は 威光を背負って自慢する ということになりましょうか。どれ程自慢をする程のものではありませんが と お宝を取り出して見せているところです。
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| 〇 ひざえちーに あげにせんでも よからーに |
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ひざえちー とは 日盛りのこと。日盛りの真っ最中に あんなにわざわざ外へ出て 仕事をしなくてもよかろうに と 少々頑固なご主人を奥さんが呆れて見ています。
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| 〇 ひざんぼーずの 痛みは年の せいなのか |
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膝のことを ひざっこ ひざんぼーず といいます。膝の痛みは 膝関節の軟骨がすり減って直接きしみ合うからですが 年寄りなら誰でも痛いのか そうでもないようです。
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| 〇 ひょうげまつ 怒られんけん 得だわな |
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ひょうげまつ とは おどけもの ひょうきん者のこと。頓智があり ユーモアに富み笑わせてくれます。目上に失礼な時もありますが 怒られません 得をしますね。
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☆2003年6月14日
| 〇 ふーてぶられ 結局すかを 食わされる |
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ふーてぶる は ゆすったり 振り回したりすること。人が好いのですね。うまいことを聞かされ振り回されて その気になっていたのに 結局一杯食わされたのでした。
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| 〇 ふーやいが もちーと昔は よかったよ |
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ふーやい とは なり ふり 格好のこと。「あの人の若い頃は 素敵だったよ 今でこそあんなだけど 昔はハンサムで スマートだったのよ」 信じられませんね。
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| 〇 ふつごーも ない割り当てだ なしてかね |
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ふつごーもない とは 途方もない です。減反の割り当て だんだんと厳しくなって常識を超えています。非難しながらも消化している 農家は義理堅いのですね。
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| 〇 ふとつだえ わしがいーこたー 聞かんじね |
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ふとつだえ は ひとつも ちっとも。子どものことでしょうか 自分の言うことはちっとも聞いてくれない と嘆いています。なしてそげなことになってしまーただかね。
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| 〇 ふとはなに 思いもよらず 早く出来 |
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ふとはなに は ひとはなに 一気に です。難航するな と思っていたことが 思いがけず一気に出来てしまったのでした。案ずるより産むは易し だったのかしら。
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☆2003年6月21日
| 〇 へーこらと 旦那の前では 頭下げ |
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へーこら は ぺこぺこと平身低頭する様子。普通のつき合いの中では そんなことは考えられないのに 旦那の前へ出るといやに態度が変わる。格の違いからでしょうか。
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| 〇 へこたれちゃー 果されんじね 責任が |
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へこたれる は 意気地なく弱ってしまうこと。仕事を任されてやりかけていたけど 荷が重くて 投げ出したくなっている そこへ誰かが気合いをかけているのです。
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| 〇 へたばって よいこらしょっと うずくまり |
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へたばる は 疲労して体を休めること。齢を考えないで肉体労働にチャレンジしていました。案の定応えたのです。思わずへたばって うずくまったのでした。
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| 〇 へらずを言い 自分の言い訳 正当化 |
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へらず とは 屁理屈をいうことですね。それはどうかね と注意を受けたのです。しかし 何のかんのと屁理屈を並べて 違っていません と言い張っているのです。
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| 〇 へんげたよ 今度の選挙は おかしいぞ |
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へんげる は 状況が変わること。選挙戦にはデマがつきものですか ご多分に洩れずその渦中にあるようです。状況が変わってきたらしいと 分析しているのですね。
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☆2003年6月28日
| ○ ぼーどえけん あげなはずじゃー なかったに |
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ぼーどえけん は ちっともよくない ですね。あんなはずではなかったのに と 悔やんでいるのです。見込み違いか企画の誤りか それとも 人選のミスだったのでしょうか。
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| 〇 ほーらくに 買いなさんなよ 程がある |
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ほーらくに は 放題に 思う存分に ということです。ボーナス時期のお買い物なのでしょうか あれこれとあさっています。側から袖を引っ張っているのは誰ですか。
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| 〇 ほえごめそ どこぞへ連れて 行ってごせ |
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ほえごめそ とは 泣き虫の子どものことです。子守を頼まれたので連れていました。ところが どうしてか機嫌を損ねて泣きやまないのです。お手上げなのですね。
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| 〇 ぼさっとして 何だーせん日も なけにゃーのー |
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ぼさっとする は 気抜けしていること。気が抜けたようにぼんやりと 何にもしないで過ごすような一日も たまにはあってもいいではないか。それもうなずけますね。
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| 〇 星ばって 明日の天気は 大丈夫 |
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星ばる とは 星がたくさん出ている様子。つまり 夜空が晴れわたっているのです。このように冴えていれば たいてい 明くる日の天気は上々なのですね。
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☆2003年7月11日
| 〇 ほだまくっても やはり足元 見られてる |
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ほだまくる とは 大きなことを言うこと。とかく物事を大きくひろげて言う癖の人があります。ところがそれを知っている人達は 何割か割り引いて聞いているのです。
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| 〇 ぼっさげて やーやこーやで 追いついた |
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ぼっさげる は 追いかけること。さっき別れた人に用事をひとつ忘れていました。何だったのでしょうか。これは大変と追いかけていって ようやく追いついたのです。
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| 〇 ほったらかし 見て見ぬ振りの ヤングママ |
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ほったらかす は うち捨てておくこと。子どもの躾について 近頃の母親の言動には不可解なことが多いです。なぜ 糺すべきを糺さず 叱るべきを叱らないのでしょうか。
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| 〇 ほらまっしゃい 心配しちょった 通りだよ |
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ほらまっしゃい とは それ見なさい ということ。世事一般 なかなか思い通りに事が運べません。それ見なさい 心配しちょった通りだがね ということになりますね。
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| 〇 ぼろーさげて 今更帰れる もんですか |
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ぼろをさげる は みすぼらしい様子のこと。決心して家を飛び出したのですが うまくいかなかった。でも 今更 みすぼらしいなりをして帰れるものではありません。
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作者:児玉敏郎
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