羅生門
(児玉さんの横田弁川柳)
作者より一言
あなたも出雲弁川柳を作ってみませんか
寄稿をお待ちしております
あ行 か行 さ行 た行 な行 は行 ま行 や行 ら行 わ行
☆2003年4月19日
〇 なーたけなら 早やーにすませて くーだがね |
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なーたけなら は なるべくなら です。どこかへ一緒に行こうと誘ってでもいるのでしょうか。「なるべくなら 早く仕事を済ませて来たらどうかね」「すぐすむけんね」
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〇 ないぶんで あなたにあげるわ 取っちょいて |
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ないぶんで は ないしょで こっそり隠れた行動をすることですね。親密なお友達なので喜んでもらおう と こっそりと持ってきたもの 一体何だったのでしょう。
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〇 なしてかね お前さんにゃー 似合わんじ |
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なしてかね は どうしてですか です。夫婦か友達間の会話かわかりませんが 服装について話しています。相手がいつものような着こなしでないのが 気にかかるのです。
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〇 なんかちーと 文句言うやちゃ あれとあれ |
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なんかちーと は 何かと言うと です。集団で 何か始めたりする時 批判をしたり文句をいって執行部を困らせたりする人は 大体決まっていますね。
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〇 何ねだえ ならんよそげね ぎばんでも |
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なんねだえならん は 何の役にも立たないこと。そげね は そんなに ぎばむ は頑張る です。「そんなに頑張っても何にもならんよ」「え 何でですか?」
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☆2003年4月26日
〇 にくづらげ 親の顔見ちゃ よう言わん |
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にくづらげ は 憎まれ口のこと。帰ってきて 親に対していろいろ言ってやろうと意気ごんでいたけど 面と向かうと言い出せなかった それでよかったではないですか。
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〇 にぜんまる もらーたじねと 得意顔 |
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にぜんまる とは 二重丸のこと。子どもが いつになく元気よく学校から帰って来ました。見ると 大きく二重丸が書いてある答案用紙をかざしています。よかったですね。
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〇 人数に 入れてもらって ハッスルし |
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人数に入れる とは 仲間に入れることです。あまり声がけをしてもらったことがなかったのに 今回はチームに加えてもらって張り切ったのですね。気持ちが分かります。
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〇 ぬくいかね まあこれ位が おもてなし |
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ぬくい は あたたかい ですね。寒い頃です。お友達を呼んでおもてなしをするのですが 取りあえず温まって貰っています。おもてなしの本番はこれからなのでしょう。
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〇 ぬれしょぼけ 雨上がり待つ 店の軒 |
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ぬれしょぼける は びっしょりとひどくぬれることです。傘も持たなかったのでずぶぬれになり店の軒先で雨宿り 入って買う気も起こらない 止むのを待っています。
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☆2003年5月3日
〇 ねしくって 人におおせて すみますか |
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ねしくる は こすりつける おおせる は 罪をきせること。「今度のことを すべて人がやったのだと人のせいにして それでいいのですか」 きつい お叱りですね。
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〇 ねじれもんと 言われようとも 我を通し |
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ねじれもん は つむじ曲がり 素直でない人のこと。「ありゃー ほんにねじれもんだが」と言われているのを知りながら あく迄も自分の考えを押し通しているのです。
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〇 寝そびれて 隣の寝息が 気にかかり |
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寝そびれる は 寝損なうこと。齢を取れば 寝そびれることがあります。いらいらしているのに隣は安らかな寝息です。でもそのリズムを伴奏にして やがて寝入れますよ。
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〇 根掘り葉掘り そげね聞かんでも えからーに |
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根掘り葉掘り は 物事を詳しく尋ねる様子。野次馬根性というか 聞きたがり屋がいるのです。プライバシーにまで 平気で立ち入っていきます いけませんね。
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〇 ねんがけた 喜寿の旅行も 眼の前に |
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ねんがける は いつも気をつけて心に持つこと。喜寿になったら二人で〇〇へ旅行しよう と決めていた。それが間もなく実現するのですね おめでとう。
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☆2003年5月10日
〇 のくたらしい ちーと異常だ この天気 |
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のくたらしい は 暑苦しいこと。気象の状況に 平年とか標準とかいうのありますがそうでないことが多い。平年を遥かに通り越して 今年は異常に暑い夏でした。
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〇 のせかけて 仕事をたったも 手伝わせ |
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のせかける は おだてること たったも は だんだんに です。これは人がいいなと見込んで おだててだんだんに仕事を手伝わせているのです 人使いが上手ですね。
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〇 後添えの 所作振舞の 明るくて |
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後添え は 後妻のこと。後妻はとかく世間注視の的になります。今度来られた後妻さんはそれを意識してかどうだか 明るく振舞っています。気を使っているのですね。
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〇 のぼせもん どこまでやれる ことだやら |
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のぼせもん は 物事にすぐ熱中する人のこと。熱中するのはいいですが 見通しを持っていないのが多いのです。本当にできるのだろうか 周りが心配しているのです。
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〇 のんのさんに ご飯をあげて 来てごいて |
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のんのさん は 仏様の幼児語です。「仏様に ご飯を供えてきて下さい」と頼まれた幼児が 早速供えたのでしょう。鉦の音も 聞こえてきますね。
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作者:児玉敏郎
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