羅生門
(児玉さんの横田弁川柳)

作者より一言

あなたも出雲弁川柳を作ってみませんか
寄稿をお待ちしております

あ行 か行 さ行 た行 な行 は行 ま行 や行 ら行 わ行


☆2002年12月28日

〇 さいりょうし 取りしきっては みたけれど
  さいりょうする は 意味が転じており 余計なおせっかいをすることです。上に立つ立場になって指図してみたけれど 皆が動いてくれない 信頼されていないのですね。

 

〇 さしあたり せわーないよと 飲み薬
  さしあたり とは 当分は 先ずもって ということです。風邪気味の人がいたので 薬を差し出し 力づけるように こう言っているのです。

 

〇 ざまくをいい 笑い合ってる 仲のよさ
  ざまく は 粗雑な 念を入れないことです。粗雑な暴言を浴びせ合っても お互いにそれで心が通じている そうした真の友人を持ちたいものですね。

 

〇 さんごーしても それは無駄です 出てこんよ
  さんごーする は 尋ね探すことです。ずっと以前にしまっておいたもので その後のことを誰も知っていない なくなっているかもしれないですよ。探しても無駄ですね。

 

○ さんばけちゃー えけんと幹事は サイン出し
  さんばける は 興がさめることです。宴会を盛り上げるのも 幹事さんの手腕の一つですね。座が白けてはいけないと あれこれ気を使っている ご苦労さんです。

 


☆2003年1月4日

〇 じぎなしに よばれちょーます ごっつおうさん
  じぎなしに は 遠慮なしに よばれる は この場合 供応を受ける ですね。「遠慮なしにいただいております。どうも ご馳走さまです」といっているのです。

 

〇 しこえっぱい ぎばんだはなに おごまくれ
  しこえ(い)っぱい は 全力で おごまくれ は 転んだ の強い表現です。力一杯頑張った途端に転んだというのですから 力み過ぎて何かに引っかかったのでしょうか。

 

〇 しごならず 今日も単独 行動か
  しごならず は 手に合わない悪童のこと。したがって 人の言うことも聞かないし 言動は気ままです。今日も 皆の共同作業をよそに 独り勝手に振舞っているのです。

 

〇 しそわけを あなたもどうぞ 食べなはい
  し(す)そわけ とは 貰い物を分け与えること。よそから貰い物をいただいた折りにたまたま客人があった その方に 一緒に食べましょうとすすめているのです。

 

〇 しちもとらん くせに皮切り やりたがり
  しちもとらん とは 手腕のないことをいいます。手腕もない癖して トップバッターでやりたがるのです 危なっかしくて 見ていられないですね。

 


☆2003年1月11日

〇 しっぺーこっぺー いいわけはもう たくさんだ
  ああ言えばこう言い こう言えばああ言って 口答えをする様子を しっぺーこっぺー と言います。腹の底は見えている もう 聞きたくないのです。

 

〇 しねこばって とうとう相手に 出させたよ
  しねこばる は 粘って抵抗する ということでしょうか。意見が反対だ というような相手を とうとう説き伏せて 幾許かのお金も出させたのです。たいしたもんだ。

 

〇 しばやーまーて 今度ばかりは ごまかせた
  しばや は 芝居 しばやーまう は どちらかといえば ごまかすための演技をすること。借金の取り立てでもあったのでしょう。涙でも見せて 延ばしてもらえたのかな。

 

〇 じぶんどき おなかの時計は 正確だ
  じぶんどき とは そろそろ おなかの減る時間帯 という意味でしょう。仕事に没頭していても おなかは減っていきます。お昼になったな とわかるのです。

 

〇 しまーかいたわ 土産のあて先 間違えた
  しまーかいた は 失敗したなあ ということ。旅行先からのお土産だったのでしょうか 思いもよらぬ人からお礼を言われて 気づいたのですね やれやれ。

 


☆2003年1月18日

○ しめつめを したとて今更 間に合わぬ
  しめつめ とは 後始末。厳しい選択を迫られ そのためにやむを得ず 人に詰問することもあります。しかし どうもこの不手際 自分が全責任を負わざるを得ないのですね。

 

○ しゃーくんだ 友達の輪に はいれない
  しゃーくむ とは 気心が通じ合う 団結することです。大変に気心の通じ合った 結束の固いグループがあります。仲間になど とても入れて貰えないようですね。

 

○ しゃきらがない 息子の部屋で 立ち往生
  しゃきらがない は 乱雑な 際限がない 途方もない などです。 どんなにしているのかと 都会で独り暮らしの息子の部屋を訪ねた親が びっくりしているのです。

 

〇 じゃんじゃーに 持ってきたてて こまーがね
  じゃーに は たくさんに じゃんじゃーに は それに輪をかけた言葉です。お願いしたものを 予想外にたくさん届けてもらったので 悲鳴をあげているのです。

 

〇 しょねせんよ おまえはそーで どげなかい
  しょねせん とは 格 考え方などの違いから 相手にしない ということ。ですから お前さんの相手は出来かねーぞ 考え方を変えにゃーいけんわ と きついのです。

 


☆2003年1月25日

〇 すえかけぜんで よばれたあとは 大車輪
  すえかけぜん とは 炊事などの世話もやかないで 食事をいただくこと。だから 何もしないでいただいたお返しに 今度は フルに働き 活躍するのですね。

 

〇 すっぽらかいて 出かけた途端に 鉢合わせ
  すっぽらかす は 隠れてこっそり出かけたりすること。タイミングよく こっそり出かけたつもりだったのに 家人に出会ってしまったのでした。何故だったのかしら ?

 

〇 すねがだいいが つきあいだけんと あきらめる
  すねがだいい というのは 過分な負担に出したくない気がすることです。自分にとってはずいぶんな負担だけれど これもつき合いなのだ やむを得ないのですね。

 

〇 すねくらしいのー 素直に承知 できんかい
  すねくらしい のは 何にでも反対する 憎たらしいような人のこと。相談などになかなか素直に応じてくれません。ついつい「すねくらしいのー」と言葉も出るのです。

 

〇 ずるかまえて 人に押し付け すまし顔
  ずるかまえる は ずるく横着なこと。頼まれたことを 面倒がって ずるく要領よく人に押し付けてしまったのです。一方には 真面目に請け合う人もあるのにね。

 


☆2003年2月1日

〇 せがまれて 出そか止めよか 親のすね
  せがむ は ねだる 無理に頼むこと。わが子からの無心には いつも思案するのです。送ってやろうか いやいやいつまでもそんなでは と決めかねるのが親心なのです。

 

〇 せびらかし ものにできたと 得意顔
  せびらかす も ねだる せがむことですね。大切にしておられて 手放されそうにない いいものを しつこくせびったところ 頂けたんだよ と 自慢しているのです。

 

〇 せれるのー 締め切りはもう 間近かだよ
  せれる は 気がせくこと。提出物には 締め切り日がつきものです。書類の作成をしている人の仕事がどうも捗らない。しびれを切らした上役がせっているのでしょう。

 

〇 せわーない おかげで熱も 下がったよ
  せわーない は 大丈夫 差し支えない ということ。病人が 心配して見舞いに来てくれた人に お礼を言っているのです。この調子なら 大丈夫なのでしょうね。

 

〇 せんどごろ 家へおいでた 方かしら
  せんどごろ とは 先日 先頃のことをいいます。人の顔を見ながら 二人で話しているのですが 歳のせいでしょうか 記憶が曖昧のようです。しっかりして下さいね。

 


☆2003年2月8日

〇 そーでこさえ 家がまいとこ 建っただよ
  そーでこさえ それでこそあれ です。一軒のお家が建ちました。主人は働き手でもあり 計画性のある人なのです。それだから あのように立派に家を建てられたのですよ。

 

〇 そぐわんよ 私の好みと 違うもん
  そぐう は ふさわしい よく似合うことです。服を求めて あれこれ選んでいるのでしょう。店員の示してくれたのが どうも気に入らないようですね。

 

〇 そげなやな ええこと聞いたは 初めてだ
  そげなやーな そのような ですね。よもやま話の最中です。人の成功談か 儲け話か うまいことが転がっている話か 聞いた人がびっくりしているのです。

 

〇 そばをくうて 心にもない お出迎え
  そばをくう は そば杖をくう 余波を受けることです。有名人が来られるというので 友人はフアンでもあるし張り切っています。お蔭で 出迎えまでつき合わされました。

 

〇 それみたが ええとはこれまた 殺生な
  それみたがええ というのは 案の定 ということです。「案の定 結果が悪かったではないかね」と 思いやりのないひどい言い方です。おっしゃっているのは誰ですか。

 


作者:児玉敏郎

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