羅生門
（児玉さんの横田弁川柳）
作者より一言
あなたも出雲弁川柳を作ってみませんか
寄稿をお待ちしております
あ行 か行 さ行 た行 な行 は行 ま行 や行 ら行 わ行
☆２００３年２月１６日
| 〇 たいぎかね お部屋を丸く 掃いており |
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たいぎな とは 気が進まない 億劫な ということです。どうもその気持ちが態度に表われているようです。部屋を丸く掃くなど もってのほかです どうなんでしょう。
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| 〇 たえげなら 間にあーやーね しちょいてよ |
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たえげなら は 大抵 大概なら ということです。気がかりなのですね。日常会話を五七五にはめ込んで表わしている 川柳もどきですね。こんなのがまだまだ出て来ます。
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| 〇 だだーこねて 親の手引っぱる 店の先 |
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だだーこねる は 無理を言って人を困らせることです。 この様子は よく見かけますね。聞き分けのない子どもが店の品物を欲しがっている 我がままはいけませんよ。
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| 〇 たてあーても 別に困らん 大丈夫 |
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たてあう とは 同時にかち合うこと。いっときに いくつも仕事を抱えることがあります。しかし 別に困りませんよ 捌く手順は出来ていますから といっているのです。
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| 〇 たてひきが 合いませんがね あそことは |
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たてひき とは 血統のことをさします。結婚を決めるのは 現在では 本人同志の考えが中心なのですが 相手の血統をまだ気にしている親もあるのです。
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☆２００３年２月２２日
| 〇 たばこにして 下さいませと ご注進 |
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たばこにする は 休憩する です。団体の奉仕作業の場合だったかもしれません。丁寧な言葉で「休憩にして下さい」と急いだ報せがありました。お茶でも出るのかな。
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| 〇 たまいたまい 大事に食べてる 袋菓子 |
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たまいたまい は 大事に大事に ですね。「たまいたまい 食ゎにゃーえけんよ」といわれて おやつを貰った子どもが 如何にも大事そうに食べているところなのです。
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| 〇 だれんだり 来てごすもんも ないかいね |
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だれんだり は 誰も です。「ん」が入った特有の言い方です。仕事の手伝いをしてくれる人を探しているのです。困っておられるようですが 何とかなりませんかね。
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| 〇 たわいない 言い分だよと 却下され |
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たわいない とは 問題にならない つまらない などでしょうか。あなたの意見は 駄目だよと 取り上げて貰えなかった。がっかりでしたし すっきりもしないのです。
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| 〇 だんどりが ひとまず出来て 一服し |
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だんどり は 準備 計画のこと。新しい仕事の計画を あれこれと考えていたのだがようやく出来上がった。ひとまず安心だ と 今後に備えて一服しているのです。
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☆２００３年３月１日
| 〇 ち−とばかし お前さんにゃー 荷がはーじ |
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ちーとばかし は 少しばかり 荷がはー は 荷が張る つまり 負担が重い 手に合わぬということです。無理だと見られ 反面また 同情もされているのでしょうね。
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| 〇 ちぇーだって 出ていったきり 戻らんね |
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ちぇーだって は 連れ立って ですね。仲のよい二人なのでしょうか 連れだって 出かけていったきり戻ってこないのです。どうしたのでしょう 心配ですね。
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| 〇 ちくばんで 庭の草取り よっこらしょ |
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ちくばむ は つくばむ しゃがむ うずくまることです。うずくまっての庭の草取りは年を取ってくると楽なことではありません。思わず気合いが入るのです。
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| 〇 ちょっかいを かけなさんなと 叱られる |
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ちょっかいをかける は 横から干渉することです。どうも気になって つい差し出がましく言いたくなる それをまた 言っちゃーいけんよと つつく人もあるのです。
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| 〇 ちょっこしが なかい待ってて ごさんかね |
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ちょっこしがなかい は 少しの間 ですね。借金返済の催促でもあったのでしょう。あなたと私の仲ではないですか 少しの間待っていてくれませんか と頼んでいるのです。
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☆２００３年３月１５日
| 〇 つーなぶり 商談なぜか 不成立 |
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つーなぶる は 返事をあれこれと長引かせること。売り手 買い手双方とも 腹の内の探り合いで返事を長引かせ 不信感が募って 結局商談が成り立ちませんでした。
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| 〇 つかいごに すぐ行ってごす 隣の子 |
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つかいご とは お使いに行くこと。お隣りに聞き分けのよいお子さんがいます。老人所帯なのでお使いを頼むことがあるのですが すぐ行ってくれるので有難いのです。
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| 〇 つけあがり 人の心が 読み取れず |
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つけあがる は 思いあがることです。自信過剰で 自分一人で何でも出来る と思いこんでいる。人から受けた親切 その思いやりの心などがわからない 困った人ですね。
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| 〇 つべこべと 並べるぐちに お手をあげ |
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つべこべ は あれやこれや ですね。ちょっとお願いをしてみたところ あれやこれやぐちを並べたてて 結局してくれない 頼まねばよかった と思っているのです。
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| 〇 つれあいの 白いほつれ毛 抜いてやり |
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つれあい とは 配偶者のこと。この場合は ご主人が 奥さんの白髪がどうも気にかかったので抜いてあげているのです。どこかで見たような場面ですね 如何ですか。
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☆２００３年３月２２日
| 〇 てきめつに よー利いたねえ この薬 |
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てきめつに は てきめんに 即座に です。ちょっと病気にかかって 人から聞いた薬を服用してみました。効果抜群で即座に直ったのです。よかったですね。
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| 〇 でごせもん やり過ぎだよと 杭打たれ |
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でごせもん とは 出しゃばってやりたがる者 頼みもしないのに世話をやく者のこと。従って 本人は気分はいいのだが 周囲からは煙たがられ 抑えられるのです。
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| 〇 てのりーのー 話はちゃんと しちょいたら |
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てのりー は 手ぬるいのなまり 打つべき手をしっかり打たないこと。「どうも手ぬるいよ 話は落ちがないやーにちゃんとしちょかにゃーのー」 叱られていますね。
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| 〇 てれぐれし 進行係も おろおろと |
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てれぐれは ぐずぐずして仕事が捗らない，前後し混乱する，変わる などのことです。会議がうまく捗らず 進行係が困っておられます。好い知恵を貸せてあげて下さい。
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| 〇 てんてこ舞い 開店直後の にぎやかさ |
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てんてこ舞い は 忙しい うろたえること。新しい店舗の開店当日は どこでも目の回るような忙しさです。お客で賑やかです。いつまでもこうだといいのですが。
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☆２００３年３月２８日
| 〇 とーの昔に すんだことだよ ほっちょけよ |
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とーの昔に は ずっと以前に です。「その話は ずっと前に解決したことだよ。今更蒸し返すなんておかしいよ ほっちょくだわ」 でも 何か気にかかるのですね。
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| 〇 どうぐまつ やはり出番は ありました |
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どうぐまつ とは 変わった面白い人 器用な人のこと。場合によってはとっても重宝がられる時があります。今日も困っていたのに 丁度そんな人がいて助かったのです。
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| 〇 どげーかね 合併はそーで できーかね |
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どげーかね は どうですか ですね。目下のところ 最大の関心事は町村合併ですがどうやら船出したようです。でも こんな心配を抱いている人はまだまだあるのです。
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| 〇 ところふうに あーたやーねで 元戻り |
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ところふうにあーたやーね とは 土地の習慣に合ったようにということです。折角葬儀の風習が簡素化されかけたのに こんな意見が出て元戻りになってしまったのでした。
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| 〇 どさくれて どこかへ無くした 届け物 |
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どさくれる は 混雑する 大騒ぎする。 婚礼のお祝いで 家中ごった返しだったのでしたが 肝心のお届け物がいくつか見えなくなってしまった これはまた騒ぎですね。
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☆２００３年４月５日
| 〇 どちはんじゃくな 言い方ですけど すみません |
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どちはんじゃく は 中途半端 どっちつかず のことです。意見を求められても 立場上はっきりと言いきれない よくあることです。自分からお断りしているのですね。
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| 〇 とち迷う こともないよと 気合いかけ |
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とち迷う は 迷う を強めた言い方です。大役を仰せつかって 自分に出来るだろうかと迷っている人に 「大丈夫 しっかりやりなさい」と気合いをかけているのです。
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| 〇 どっこだり 出かけられんわ この寒さ |
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どっこだり は どこへも ですね。奥出雲の突き刺さるような寒さは よそから来た人にはこたえるようです。「どこへも出かけられんわ」と 身をすくめているのですね。
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| 〇 どっちみち こーからはお前の 世代だよ |
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どっちみち は いずれにしても こーから は これから。親がわが子に しみじみと語っているのですね。世代交代がいい具合に出来れば 結構なことです。
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| 〇 とてつもない 思いつきだよ やめたらね |
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とてつもない は 途方もない 非常識な ということです。「お前さんの考えは 途方もない 度外れたもんだよ 考え直したら」と 忠告しているのですね。
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☆２００３年４月１２日
| 〇 とどのつまりは 成功で終わる 偉人伝 |
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とどのつまり は 結局 最後は ということです。偉人の生涯を伝えているのが偉人伝ですが その人の成功したわけは 読み終わる頃にはわかるようになっていますね。
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| 〇 ととろかん なりは見せかけ 出来ており |
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ととろかん とは 物事に頓着しないこと。早く作ってくれ と願っているのに 頓着しないように見えた。ところがちゃんと出来上がっていたのです やられましたね。
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| 〇 どまかいて 連れ戻いたと もめており |
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どまかす は あざむく だますこと。嫁ぎ先から実家へ帰らされていたのが 連れ戻されたのです。ところが その和解の条件について揉めているようですね。
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| 〇 とりこんで 今頼みなはっても 駄目ですわ |
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とりこむ は 冠婚葬祭時などに混雑すること。親戚も他人も入り交じって混雑するのが冠婚葬祭ですが そんな折りに別件を持ち出しても 取り上げてもらえないのですね。
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| 〇 とんとーに 仕事が終わって えんだじね |
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とんとーに は ずっと前に えんだ は 帰った ですね。連絡が不徹底だったのでしょうか 「ずっと前に仕事が終わったから帰りましたよ」「えっ そりゃまたなしてね」
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作者：児玉敏郎
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