羅生門
（児玉さんの横田弁川柳）
作者より一言
あなたも出雲弁川柳を作ってみませんか
寄稿をお待ちしております
あ行 か行 さ行 た行 な行 は行 ま行 や行 ら行 わ行
☆２００３年７月１９日
| 〇 まい上がり 何を言ったか 覚えんね |
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まい上がる は 興奮すること。集会の場で 何か大事なことの発言を求められたのでしょうか 何を言ったか覚えていない程 すっかり興奮してしまったのですね。
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| ○ まかいでませ タイミングなら 今ですよ |
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まかいでる は 罷り出る 参上する です。上司が大切な陳情に行かれる計画だったので 折を見計らっていた部下が進言しました。成果は「吉」と出ますでしょうか。
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| 〇 間がわたらん あげなことでは 手間がいる |
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間がわたらん とは 融通がきかないこと。誰かの所作を見ていていたたまれなくなり 「融通がきかんね あんなことでは手間がかかっていけんわ」 と口から出たのです。
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| 〇 まげながね お前にまかせて よかったわ |
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まげな は この場合 上手な です。「まあ 上手にうまいとこ出来ましたですね あなたにお任せしたことは正解でした よかったです」 そのようですね。
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| 〇 まだりーのー わしが代わって してごすわ |
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まだりー は 仕事などがのろいこと。前句と反対ですね。仕事がのろくて見ていられない とうとう 自分が代わってしてやろうか と 名乗り出たのでした。
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☆２００３年７月２６日
| 〇 まちあわん 着物の柄が 派手過ぎる |
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まちあわん とは 似合わない つり合わないこと。着物の見立てをしているのですがなかなか難しいようです。齢に合わせて派手過ぎる と ためらっているのです。
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| 〇 まどろこしい 言いわけだねと 見すかされ |
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まどろこしい は この場合 じれったい まわりくどい でしょうか。あなたの言うことは まわりくどい 結局言いわけだね と 受け取られてしまったのでした。
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| 〇 まひょうしに 合わんやーなら 止めようか |
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まひょうしに合わん とは 遅くて間に合わないこと。自分達の手に合わない 時間のかかりそうな仕事なので 請け合うのを止めようかと言っているのです。
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| 〇 まやいを見て 手伝いに来て ごしなはい |
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まやい は 間合い のなまり 時間 間のことです。自分の仕事に余裕ができ 時間的に都合がつけられたら 手伝いに来てくれませんか とお願いをしているのです。
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| 〇 まめなかね お酒の方は どげなかね |
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まめな は 元気な ですね。年を取ると 自分の健康はもとより 友人のことも気がかかりになってきます。「元気かね お酒はまだいけるかね」 電話しているのです。
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☆２００３年８月２日
| 〇 見変わった 町並みこれが ふるさとか |
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見変わった は 一新した ということになるでしょう。久しぶりに郷里の土を踏んだ人が 町並みのあまりの変貌に驚いています。懐旧の情がこみあげて来たのでした。
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| 〇 みたんない ことはできんと へんがえし |
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みたんない は みっともない ですね。頼まれごとに対して それはどうもよくない外聞も悪いし みっともないことだ 自分には出来ませんと 断ったのでした。
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| 〇 みてくれは 成程いいがと つい手が出 |
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みてくれがいい というのは 外見がいい ということです。外見がよさそうなので ついつい買ったのでしたが 案の定 中身は 思ったようなものではありませんでした。
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| 〇 みやすげに 請け合いなさって いいですか |
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みやすげに は たやすく 楽に ですね。「あなたは えらいたやすく簡単に仕事を請け合いなさったようですが 大丈夫ですか」 心配してくれているのです。
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| 〇 みょーせきは 誰がたててか 知らんじね |
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みょーせきをたてる とは その家の跡を継いでいくこと。跡取りとなるべき人が現在よそへ出ておられる そんなお家の近所の人々が 色々噂をしているのです。
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☆２００３年８月９日
| 〇 みよりのよい 日当たりのよい 土地さがし |
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みよりのよい は 便利のよい ですね。家を新築するに当たっての土地さがし 誰でも条件として先ず考えるのは 便利がよいこと 日当たりのよいことなどでしょうね。
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| 〇 むこはちも 晩酌相手で 手が上がり |
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おむこさんも 近頃は格が上がってきました。お舅さんのお相手をして晩酌を重ねているうちに だんだん手が上がってきて お舅さん以上に飲めるようになったのです。
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| 〇 むさくるしい あばら屋ですよと ご謙遜 |
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むさくるしい は 汚くて見苦しいこと。初めての客人に家を案内する際に 謙遜して「どうも むさくるしいあばら屋ですけれど」 と申し上げているのです。
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| 〇 むなくそが 悪んなったと オフにする |
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むなくそが悪い は 気持ちが悪くなること。テレビを見ていたのでしょう。不愉快な映像が流れ出し 見るに耐えなくなったのか 自分でスイッチをオフにしたのでした。
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| 〇 めーめーこに 持って来たてて こまーがね |
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めーめーこ は めいめいに ですね。集計する責任者のところへ 各地区毎に集めて届けられる手筈だったのに めいめいで持参されるので 困っておられるのです。
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☆２００３年８月１７日
| 〇 もーじきに おいでますわね 気にせんで |
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もーじきに は もうすぐに。さるお方をお招きしていた ところが予定時刻になっても姿が見えない どうなんでしょうか。でも気にしなくてもいい すぐ来られますよ。
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| 〇 もーちょんぼー あの人よりは ましですわ |
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もーちょんぼー は もう少し ですね。ある人の力量や信頼度が話題になっているのですが 誰かさんの方が あの人より少し増しかもしれない と言っているのです。
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| 〇 もとだしは 何かもそもそ 言いにくそう |
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もとだし とは 言い出す方のこと。皆にはかって決めなければならない難問が生じたのです。言い出しにくいけど言わねばならない 誰かがもそもそ言い出しました。
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| 〇 もとらずを 言う人だとは つゆ知らず |
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もとらず とは ひがんでいるのか 理解力がないのかで 訳のわからない人のこと。「あの人が あんなに訳のわからないことを言う人だとは 思ってもいませんでした」
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| 〇 ものかずは 言わず手際の 鮮やかさ |
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ものかず とは 発言のこと。職人さんとか一芸に秀でた人には 口数の少ない人が多いですね。口を結んで 手際よく仕上げていきます。その鮮やかさ まさに名人芸です。
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作者：児玉敏郎
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